松本喜三郎らの生人形、高橋由一の油彩画を導入部として、現代の絵画と彫刻における写実表現を検証する『リアル(写実)のゆくえ現代の作家たち生きること、写すこと』が4月9日(土)より平塚市美術館にて開催される。江戸期の自在置物、鎌倉時代の仏像など、日本では昔から写実表現が用いられてきた。明治 20 年代に滞日した人類学者シュトラッツは「解剖学の知識もなしに強い迫真性をもって模写することができる」生人形師の力量に感嘆。さらに、生人形が理想化も図式化もされず、ありのままの姿であることにも着目していた。 仏師で彫刻家の高村光雲も、幼い時に松本喜三郎の生人形の見世物を見ており、後年、西洋由来ではない写実を気付かせた存在として、松本喜三郎をはじめとする生人形師を敬慕していた。同展では、東西を問わず追求され、既存の方法や感性を上書き、 もしくは書き替えながら発展してきた写実表現を、松本喜三郎、安本亀八、高橋由一、小谷元彦、深堀隆介らの作品を通して紹介。西洋の文脈のみではとらえきれない日本 の「写実」が如何なるものなのか、またどのように生まれたのか、その手がかりを探る。深堀隆介《桜升命名淡紅》2017 年、平塚市美術館安本亀八《相撲生人形》1890年、熊本市現代美術館蔵※会期中展示替えあり本田健《夏草(芝棟の土)》2021年、作家蔵中谷ミチコ《夜を固めるⅢ( 雨)》2019 年、作家蔵前原冬樹《一刻―苺―》、2017 年、作家蔵 撮影:橋本憲一【開催概要】『リアル(写実)のゆくえ現代の作家たち生きること、写すこと』会期:2022年4月9日(土)~ 6月5日(日)※会期中展示替えあり会場:平塚市美術館時間:9:30~17:00休館日:月曜料金:一般900円、大高500円(土曜は高校生無料)※同時開催『けずる絵、ひっかく絵』美術館公式サイト: www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/()
2022年03月24日ポーラ美術館開館以来、 ポーラ創業家二代目・鈴木常司(1930-2000)が戦後約40年をかけて収集したコレクションと、 近年収蔵した作品を紹介する『ポーラ美術館開館20周年記念展 モネからリヒターへ―新収蔵作品を中心に』が、4月9日(土)より開催される。同展は、美術館の重要なテーマである「光」にまつわる作品を2部構成で展観。第1部では、19-20世紀の近代絵画を中心とした鈴木常司コレクションと新収蔵作品を組み合わせ、 第2部では、従来のコレクションには含まれていない、近代と現代を結ぶ作家の名品を多数公開する。また、従来のコレクションと新収蔵のコレクションをなるべく多く紹介するため、館内の5つの展示室のほか、 2017年に新設された現代美術を展示するアトリウム ギャラリー、 ロビー空間、 森の遊歩道にいたるまで作品を展示。 ポーラ美術館開館以来、最大規模の超大型企画となる。移ろう光を絵画に描き留めようとしたモネ、ルノワールら19世紀の印象派の画家たちの作品から、 シャイン(光=仮象)を表現し続けるゲルハルト・リヒター、 光の色そのものを写し撮る作品を展開する杉本博司、 ネオン管を用いたケリス・ウィン・エヴァンスの作品まで、 印象派から現代までの「光」にまつわる作品を数多く紹介。ポーラ美術館のコレクションの「現在(いま)」を紹介するとともに、 美術館の未来とコレクションの可能性を探る。<第1部 コレクション+新収蔵作品>ベルト・モリゾ/クロード・モネ/ピエール・オーギュスト・ルノワール/ロベール・ドローネー/ニコラ・ド・スタール/フェルナン・レジェ/ベン・ニコルソン/アンリ・マティス/レオナール・フジタ(藤田嗣治) /関根正二/松本竣介/里見勝蔵 など<第2部 新収蔵作品>ヴィルヘルム・ハマスホイ/ジャン・デュビュッフェ/モーリス・ルイス/ナルド・ジャッド/ヘレン・フランケンサーラー/パット・ステア/ゲルハルト・リヒター/アニッシュ・カプーア/ケリス・ウィン・エヴァンス/ロニ・ホーン/スーザン・フィリップス/山口長男/山田正亮/難波田龍起/猪熊弦一郎/斎藤義重/白髪一雄/李禹煥/田中敦子/中西夏之/中林忠良/杉本博司/三島喜美代 などベルト・モリゾ《ベランダにて》1884年ゲルハルト・リヒター《抽象絵画(649-2)》1987年 (c)Gerhard Richter 2021 (20102021)モーリス・ルイス《ベス・ザイン》1959年松本竣介《街》1940年(昭和15年)【開催概要】『ポーラ美術館開館20周年記念展 モネからリヒターへ―新収蔵作品を中心に』会期:2022年4月9日(土)〜9月6日(火) 会期中無休会場:ポーラ美術館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)料金:一般1,800円、65歳以上1,600円、大高1,300円展覧会特設サイト:
2022年03月18日日本の現代画壇をリードし、2021年度文化勲章を受章した画家・絹谷幸二が名誉館長を務める、大阪の絹谷幸二 天空美術館では、3月31日(木)まで『第1回 絹谷幸二 天空美術館 キッズ絵画コンクール』参加作品を募集している。大人だけでなく子どもにも開かれた美術館であることを目指し、絹谷幸二の代名詞ともいえる、壁画の古典技法「アフレスコ」を体験できるワークショップを定期開催している絹谷幸二 天空美術館。100年後も世界に残る壁画を作るという体験は、子供たちの創造性と未来を拓くデザインであると、2019年度「キッズデザイン賞」を受賞している。今回、ひとりでも多くの子どもたちに美術・芸術の素晴らしさを伝えるとともに、百人百様の個性の中からきらめく才能を見出し、夢と希望を育む機会を作ることを目的とした「第1回 絹谷幸二 天空美術館 キッズ絵画コンクール」を開催することとなった。「あなたの大切な人たち、自然、まち並み」をテーマに、全国から作品を募り、絹谷幸二らが応募作品を審査。絹谷幸二キッズ賞のほか、約20名の受賞・入選者を表彰し、2022年4月29日(金・祝)から6月27日(月)にかけて、絹谷幸二 天空美術館内で展示を行う。応募の締切は3月31日(木)必着。コンクールに参加することで、アートをより身近に感じてほしい。絹谷幸二【応募要項】テーマ:「あなたの大切な人たち、自然、まち並み」※ 「人」、「自然」、「まち並み」のどれかひとつが描かれていれば応募可応募資格:小学生~中学生以下応募条件:ひとり一点、新作に限る出品料:無料部門:1. 小学校低学年の部(小学校1年生~3年生)2. 小学校高学年の部(小学校4年生~6年生)3. 中学校の部(中学校1年生~3年生)画材:八つ切り画用紙(白色、約2cm×39cm)※色えんぴつ、クレヨン、水彩、アクリルなど(画材は問いません)で描いた絵画作品審査員:絹谷幸二(絹谷幸二 天空美術館名誉館長)堀内容介(絹谷幸二 天空美術館館長)南城守(絹谷幸二 天空美術館顧問・キュレーター)賞:絹谷幸二キッズ賞(1名)、部門優秀賞(各1名)、佳作賞(6名)、入選(約20名) ※ 受賞・入選者は2022年4月11日(月)に館公式ホームページにて発表表彰式:2022年4月29日(金・祝)11:00~ 、絹谷幸二 天空美術館にて作品展示:2022年4月29日(金・祝)~6月27日(月)の間、絹谷幸二 天空美術館内で展示(受賞・入選作品に限る)※そのほか詳細は「第一回 絹谷幸二 天空美術館キッズ絵画コンクール開催のお知らせ」( )にてご確認ください【開催中の展覧会】『文化勲章受章・開館5周年記念特別展』会期:6月27日(月)まで会場:絹谷幸二 天空美術館時間:10:00~18:00、金・土・祝前日は10:00~20:00(入館は閉館30分前まで)休館日:火曜(祝日の場合翌平日休)料金:一般1000円、大高中学600円絹谷幸二 天空美術館ホームページ:
2022年03月17日展覧会「国立国際美術館コレクション 現代アートの100年」が、2022年4月2日(土)から5月29日(日)まで、広島県立美術館にて開催される。20世紀から現在まで“現代アートの100年”を辿る名品「国立国際美術館コレクション 現代アートの100年」は、20世紀の絵画に多大な影響を与えたポール・セザンヌや、西洋美術の価値観を大きく変化させたマルセル・デュシャンから、アンディ・ウォーホルや草間彌生、森村泰昌、奈良美智に至るまで、国内外の現代美術作家達の名品約70点を、国立国際美術館収蔵のコレクションから紹介する展覧会。従来の美術の見方や価値観を揺るがし、常識を覆すアートが次々と登場した20世紀は、美術界が大きく変容した時代。近代から現代をめぐる100年のアートの動向を、作品の数々を通して辿っていく。“近代絵画の父”セザンヌなど20世紀美術のはじまり会場には、近代絵画から2000年代、現在にかけてのアート作品まで、多彩なアートが集結。「すべての自然は球、円筒、円錐に基づいて肉付けされている」という考えた“近代絵画の父”ポール・セザンヌの、後のキュビスムに通じる表現が見て取れる《宴の準備》や、抽象絵画を生み出したヴァシリー・カンディンスキーの《絵の中の絵》などは、“20世紀美術のはじまり”を感じさせる作品だ。ポップアートやミニマリズムなど戦後美術また、第二次世界大戦以後の“戦後美術”にもフォーカス。アートの中心地がパリからニューヨークへと移動し、1950年代後半には「ネオ・ダダ」、1960年代以降は、アンディ・ウォーホルを筆頭としたポップ・アートが一世を風靡する。一方で、ドナルド・ジャドらによる「ミニマリズム」の気運も高まり、コンセプチュアル・アートの誕生へと繋がっていく。さらに、写真や映像といったメディアの登場以降における「絵画」「写真」といったジャンルを横断した表現や、その反対に絵画や彫刻の独自性を追求する動き、1980年代以降の、歴史や伝統を踏まえつつ不特定の人物や物語、個人的な体験や感情に訴えかける傾向などについても、その流れを辿る。奈良美智や森村泰昌など日本の現代作家もさらに、現代にかけて活躍する日本の現代美術作家による作品にも注目だ。時代の空気をまとったポップな感覚で、ユニークな佇まいの少女を描く奈良美智や、ゴッホの自画像に扮するセルフポートレイト《肖像(ゴッホ)》をはじめ、“自画像的作品”を追求する森村泰昌などによる、バリエーション豊かな表現を間近に目にすることができる。【詳細】国立国際美術館コレクション 現代アートの100年会期:2022年4月2日(土)~5月29日(日)会場:広島県立美術館住所:広島県広島市中区上幟町2-22休館日:月曜日(5月2日は開館)開館時間 : 9:00~17:00(金曜日は20:00まで)※4月2日(土)は10:00開館 ※入場は閉館30分前まで料金:一般 1,400円、高・大学生 1,000円、小・中学生 700円※前売り・20名以上の団体は当日料金より200円引き。※学生券を購入・入場の際は学生証の提示が必要。※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳及び戦傷病者手帳の所持者と介助者(1名まで)の当日料金は半額。手帳の提示が必要。前売券販売所:広島県立美術館、セブンチケット(セブンコード:093-024)、ローソンチケット(Lコード:61416)、チケットひあ(Pコード:685-953)、広島市・呉市内の主なプレイガイド、画廊・画材店、ゆめタウン広島、中国新聞社読者広報部など※開館情報に変更が生じる場合あり。最新情報は広島県立美術館ホームページなどにて告知。※来館者が多い場合は、入場制限を行う場合あり。※本展入館券の提示により、100円で縮景園に入園可能。【問い合わせ先】広島県立美術館TEL:082-221-6246
2022年03月14日アメリカ・ニューヨークにあるメトロポリタン美術館所蔵の絵画を紹介する『メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年』が国立新美術館(東京都港区)で開催中だ。1870年に創立されたメトロポリタン美術館は、先史時代から現代まで5000年以上にわたる世界各地の文化遺産を包括的に所蔵している。今回は、同館を構成する17部門のうち、ヨーロッパ絵画部門に属する2500点あまりの所蔵品から、珠玉の絵画65点を展示。うち46点は日本初公開作品となる。展示は3章構成。まず「信仰とルネサンス」では、イタリアと北方のルネサンスを代表する画家たちの名画17点を紹介。初期ルネサンスのイタリアを代表する画家フラ・アンジェリコ(本名 グイド・ディ・ピエトロ)の《キリストの磔刑》(1420-23年頃)、ルネサンスの巨匠であるラファエロが20〜21歳の時に描いた《ゲッセマネの祈り》(1504年頃)、ティツィアーノ・ヴェチェッリオ《ヴィーナスとアドニス》(1550年代)などが日本初公開となる。続いては「絶対主義と啓蒙主義の時代」と題し、君主が主権を掌握する絶対主義体制がヨーロッパ各国で強化された17世紀から、啓蒙思想が隆盛した18世紀にかけての美術を、各国の巨匠たちの名画30点により紹介。20世紀に再評価された画家であるジョルジュ・ド・ラ・トゥール《女占い師》(おそらく1630年代)、17世紀オランダの画家フェルメールによる異例の寓意画《信仰の寓意》(1670-1672年頃)、生命や現世の富・名声のはかなさの寓意を伝える「ヴァニタス(虚栄)」静物画の典型である、ピーテル・クラース《髑髏と羽根ペンのある静物》(1628年)などが見どころとなっている。最後は「革命と人々のための芸術」。市民社会の発展を背景に、絵画に数々の革新をもたらした19世紀の画家たちの名画18点が並ぶ。オーギュスト・ルノワール《ヒナギクを持つ少女》(1889年)、エドガー・ドガ《踊り子たち、ピンクと緑》(1890年頃)、フィンセント・ファン・ゴッホ《花咲く果樹園》(1888年)、ポール・セザンヌ《リンゴと洋ナシのある静物》(1891-92年頃)、クロード・モネ《睡蓮》(1916-19年)といった名画を見ることができる。会期は5月30日(月)まで。開館時間は10:00-18:00(毎週金・土曜日は20:00まで、入場は閉館の30分前まで)。休館日は火曜日。ただし、5月3日(火・祝)は開館。取材・文・撮影:五月女菜穂
2022年03月11日「スイス プチ・パレ美術館展 花ひらくフランス絵画」が、静岡市美術館にて2022年4月9日(土)から6月19日(日)まで開催される。フランス近代絵画65点、30年ぶりに一挙来日「スイス プチ・パレ美術館展 花ひらくフランス絵画」では、スイス・ジュネーブに1968年に創設されたプチ・パレ美術館の所蔵コレクションを、30年ぶりに日本で一挙に紹介する展覧会。これまで、滋賀や鹿児島などでも開催されてきた、巡回展だ。プチ・パレ美術館では、“平和に奉仕する芸術”という理念のもと作品を収集。コレクションは19世紀後半から20世紀初頭にかけてのフランス近代絵画を中心に構成されており、カイユボットやシュザンヌ・ヴァラドンなど、当時正当な評価を得られていなかった画家の作品も含まれている。1998年以降は休館しているが、充実した所蔵コレクションから、国内外の大規模美術展に継続的に出品協力を行っている。展覧会では、65点の油彩画を展示。オーギュスト・ルノワールやモーリス・ドニ、ラウル・デュフィ、アンドレ・ロート、モーリス・ユトリロ、藤田嗣治といった38作家が手がけた名品の数々が一堂に集結する。印象派からエコール・ド・パリまで、フランス近代美術の潮流を辿る移ろいゆく自然を活写した印象派にはじまり、科学と美術を融合させた新印象派、平坦な色面で神秘的な世界を表したナビ派、色彩の表現性を追求したフォーヴィスム、幾何学的形態で画面を構成したキュビスム、そして各々が個性豊かな具象絵画を追求したエコール・ド・パリに至るまで、様々な芸術運動が生み出された19世紀後半から20世紀前半にかけての、フランス近代美術の軌跡を辿っていく。中でも注目は、印象派を代表する画家・ルノワールの《詩人アリス・ヴァリエール=メルツバッハの肖像》。親しい友人や画商の制作依頼しか受けなくなっていた晩年のルノワールが描いた貴重な肖像画であり、薄い絵具の層を重ねてみずみずしい色調を作る、ルノワールの晩年に特有な独自の手法が見て取れる。【詳細】スイス プチ・パレ美術館展 花ひらくフランス絵画会期:2022年4月9日(土)~6月19日(日)会場:静岡市美術館住所:静岡県静岡市葵区紺屋町17-1葵タワー3階休館日:毎週月曜日※ただし5月2日(月)は臨時開館開館時間:10:00~19:00(展示室入場は閉館の30分前まで)観覧料:一般 1,400(1,200)円、大高生・70歳以上 1,000(800)円、中学生以下無料※( )内は前売および当日に限り20名以上の団体料金※障がい者手帳等持参者および介助者原則1名は無料※一般前売ペアチケットは2枚1組2,200円※前売券・前売ペアチケットは2月26日(土)~4月8日(金)まで販売※静岡市美術館ホームページにて日時指定予約が可能※来館の際は、最新の開館状況および注意事項を静岡市美術館ホームページ、または電話で確認【問い合わせ先】静岡市美術館TEL:054-273-1515(代表)
2022年02月17日日本一高いビル「あべのハルカス」16階の「あべのハルカス美術館」では、日本美術や西洋美術、現代アートなど多彩な展覧会を開催しています。2022年度前半は4月より「庵野秀明展」、7月より「出版120周年 ピーターラビットTM展」の開催を予定しております。(既報のとおり。詳細は別紙参照)上記2本の展覧会に続き、新たに2022年度後半に開催する展覧会が決定しましたのでお知らせします。今後もより魅力的な都市型美術館として多くのお客様にお越しいただけるよう運営してまいります。 「楳図かずお大美術展」会 期 :2022年9月17日(土)~11月20日(日)共 催 :読売テレビ、読売新聞社開 催 趣 旨 :傑出した漫画作品を多く世に送り出した楳図かずお。その作品には漫画という既存の分野だけでは語りきることができない先見的な世界観、幻視的なビジョンが至るところに発揮されています。本展は27年ぶりとなる新作を公開するとともに、「楳図かずおの世界」を気鋭のアーティストらによるインスタレーションで読み解こうとする今までにない展覧会です。「アリスーへんてこりん、へんてこりんな世界ー」会 期 :2022年12月10日(土)~2023年3月5日(日)共 催 :ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、朝日新聞社、関西テレビ放送開 催 趣 旨 :ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』は、1865年に初版本が発行されて以来、今もなお世界中の人々を魅了し続けています。本展は、英国ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)発の国際巡回展です。V&Aが所蔵するジョン・テニエルの貴重な原画をはじめ、物語をモチーフにした映画やデザイン、舞台やファッションなど、約300点の作品をとおして、150年以上の長きにわたり愛され続ける『不思議の国のアリス』の魅力を紐解きます。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年01月28日大阪のランドマーク、梅田スカイビル27階にある「絹谷幸二 天空美術館」。日本の現代画壇をリードし、2021年度文化勲章を受章した画家・絹谷幸二が名誉館長を務める美術館である。絹谷幸二 天空美術館 チケット情報大人だけでなく子どもにも開かれた美術館であることを目指し、絹谷幸二の代名詞ともいえる壁画の古典技法「アフレスコ」を体験できるワークショップを定期開催。100年後も世界に残る壁画を作るという体験は、子どもたちの創造性と未来を拓くデザインであると、2019年度「キッズデザイン賞」を受賞した。一人でも多くの子どもたちに美術・芸術の素晴らしさを伝えるとともに、百人百様の個性の中からきらめく才能を見出し、夢と希望を育む機会を作るべく、「第1回 絹谷幸二 天空美術館 キッズ絵画コンクール」を開催。「あなたの大切な人たち、自然、まち並み」をテーマに、全国の小学生から中学生の応募を募る。絹谷幸二らが応募作品を審査し、絹谷幸二キッズ賞のほか、約20名の受賞・入選者を表彰。4月29日(金・祝)から6月27日(月)にかけて絹谷幸二 天空美術館内で展示を行うほか、カタログにも掲載予定。応募締切は3月31日(木)必着。「第1回 絹谷幸二 天空美術館 キッズ絵画コンクール」■テーマ:あなたの大切な人たち、自然、まち並み■応募資格:小学生~中学生以下(全国より応募可)■出品料:無料■部門:小学生低学年の部(小学校1年生~3年生)/小学生高学年の部(小学校4年生~6年生)/中学校の部(中学校1年生~3年生)■作品出品受付期間:3月31日(木)必着・締切厳守■主催:絹谷幸二 天空美術館※出品規定や申込方法などは、絹谷幸二 天空美術館ホームページをご確認ください。■お問い合わせ先:絹谷幸二 天空美術館「キッズコンクール」事務局TEL:06-6440-3760(10:00~18:00/火曜休館)
2022年01月27日1870年創立、アメリカ最大の美術館のひとつであるメトロポリタン美術館は、先史時代から現代まで5000年以上にわたる世界各地の考古遺物・美術品 150万点余りを所蔵。そのヨーロッパ絵画部門に属する2500点余りの所蔵品から、珠玉の名画65点(うち46点が日本初公開!)を紹介する『メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年』の東京展が、2月9日(火)より国立新美術館にて開催される。フラ・アンジェリコ、ラファエロ、クラーナハ、ティツィアーノ、エル・グレコから、カラヴァッジョ、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール、レンブラント、 フェルメール、ルーベンス、ベラスケス、プッサン、ヴァトー、ブーシェ、そしてゴヤ、ターナー、クールベ、マネ、モネ、ルノワール、ドガ、ゴーギャン、ゴッホ、セザンヌまで、15世紀の初期ルネサンスの絵画から19世紀のポスト印象派まで、西洋絵画の500年の歴史を彩った巨匠たちの傑作が一挙来日。3章構成で西洋絵画の変遷をたどる。今回、日本初公開として注目されるのが、ヨハネス・フェルメールの《信仰の寓意》。抽象的な概念を擬人化した「寓意画」で、「信仰」を擬人化した女性の姿が描かれている。 そのほか、エル・グレコ《羊飼いの礼拝》、カラヴァッジョ《音楽家たち》、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール 《女占い師》など実に46点が日本初公開。珠玉の名画に会いにいきたい。フラ・アンジェリコ (本名 グイド・ディ・ピエトロ)《キリストの磔刑》 1420-23年頃 ニューヨーク、メトロポリタン美術館 Maitland F. Griggs Collection, Bequest of Maitland F. Griggs, 1943 / 43.98.5カラヴァッジョ(本名 ミケランジェロ・メリージ)《音楽家たち》1597年 ニューヨーク、メトロポリタン美術館 Rogers Fund, 1952 / 52.81ジョルジュ・ド・ラ・トゥール《女占い師》おそらく1630年代 ニューヨーク、メトロポリタン美術館 Rogers Fund, 1960 / 60.30ポール・セザンヌ《リンゴと洋ナシのある静物》1891-92年頃 ニューヨーク、メトロポリタン美術館 Bequest of Stephen C. Clark, 1960 / 61.101.3【開催概要】会場:国立新美術館 企画展示室1E会期:2022年2月9日(水)~5月30日(月)時間:10:00~18:00、金土は20:00(入場は閉館の30分前まで)休館日:火曜日(ただし、5月3日(火・祝)は開館)料金:一般2,100円、大学生1,400円 高校生1,000円※事前予約制(日時指定券)を導入展覧会公式サイト:
2022年01月25日現代陶芸の近現代作家137名の陶芸作品が一堂に展示される『未来へつなぐ陶芸 ―伝統工芸のチカラ展』が、パナソニック汐留美術館で3月21日(月・祝)まで開催されている。現代陶芸の今、そして未来も展望できる展覧会だ。1955年に発足した日本工芸会は、伝統工芸の向上発展のために設立された団体。重要無形文化財保持者(いわゆる人間国宝)を中心に伝統工芸作家や技術者らで組織されている。同展は、この日本工芸会の陶芸部門である日本工芸会陶芸部会が設立50周年を迎えた記念として行われるもの。日本の伝統工芸の技と美、そして未来への可能性について、人間国宝をはじめ、近現代作家137名の陶芸作品をもって紹介していく。左:加藤卓男《三彩鉢 蒼容》 1984年東京国立博物館蔵 中:松井康成《練上嘯裂文大壺》1979年 茨城県陶芸美術館蔵右:清水卯一《青瓷鉢》1973年 東京国立近代美術館蔵展覧会は3章構成。第1章「伝統工芸(陶芸)の確立」では、日本工芸会の初期に活躍した作家たちの作品やその活動を紹介する。加藤卓男は三彩、松井康成は練上、そして清水卯一は青磁という伝統の技法に、それぞれの創意工夫を加え新しい陶芸を作り出していく。伝統をただ引き継ぐだけでなく、新しい美を作り出そうとする姿勢は現在のつくり手たちまで引き継がれている。板谷波山 《葆光彩磁和合文様花瓶》1914〜19年MOA美術館頃濱田庄司《柿釉赤絵角皿》1970年 東京国立近代美術館蔵また、日本工芸会とともに、板谷波山をはじめとする日展陶芸部門の所属作家や、日本工芸会が設立された1955年に人間国宝に認定された濱田庄司などの作家も紹介。日本の陶芸がどのように牽引されてきたかをたどり、日本工芸会の存在を多角的に見つめていく。第2章「伝統工芸(陶芸)のわざと美」では、伝統陶芸の多彩な技を受け継ぎ、そしてさらに発展させていった作家33名の代表作を紹介する。展示風景より鉄釉を使用し黒と褐色のコントラストを追求する原清、染付の器に銀彩を施した寺本守など、それぞれが体得した技術をもって新しい美を追求し続けていることが作品から感じ取れる。原清《鉄釉馬文大壺》2005年茨城県陶芸美術館寺本守《呉須銀彩鉢》2019年そして、最終章となる第3章「未来へつなぐ伝統工芸(陶芸)」は、伝統的な技術や技法を駆使し、さらに自らの世界を作り上げている作家の作品を通して、陶芸の「現在」について考えていく。展示風景より展示風景より新里明士《光器》2021年磁器の素地に透かし彫りを施し、半透明の釉薬をかけ、透かし彫りの部分に光が通るように作る「蛍手」を使った作品を制作する新里明士の器は、展示ケースのなかでもほのかに光を通し、その技の巧みさで人々を引きつける。どの作品も大ぶりながらも、細部まで綿密に作られているものばかり。陶芸の今後の発展もさらに楽しみになってくる展覧会だ。その技巧と美しさを体感してみよう。取材・文:浦島茂世『未来へつなぐ陶芸 ―伝統工芸のチカラ展』2022年1月15日(土)~3月21日(月・祝)、パナソニック汐留美術館で開催※日時指定予約制
2022年01月24日今日の美術と人間の「感覚」を取り巻く状況にフィーチャーし、現代美術の分野で活動している7名の美術家を紹介する展覧会「感覚の領域今、「経験する」ということ」が、大阪の国立国際美術館で、2月8日(火)より始まる。昨今のコロナ禍のように、人類は数々な地球規模での困難な問題に直面している。人々を取り巻く環境や生活習慣は変化し、日常生活でも多くの行動が制限される中で、新しい経験のあり方が問われるようになってきた。そこでいま、現代美術が人々に多様な経験の機会を提供する媒体として、注目を集めている。同展では、飯川雄大、伊庭靖子、今村源、大岩オスカール、中原浩大、名和晃平、藤原康博という、現代美術界で活躍する、7名の美術家の作品が並ぶ。彼らは世代も表現形態も異なり、それぞれに独自の手法や素材、表現の世界、実験的な創作活動を探求してきた。展示作品の多くは新作となり、それぞれの出品作家が、これまでの創作の軌跡を引き継ぎながら、発展させた作品、新しい展開を試みた作品を出品する。国立国際美術館だけの特別展のため、それぞれの作家が同展のために考えた、展示空間への作品配置も見どころ。その展示空間は「感覚の実験室」とも受け取ることができ、鑑賞者である私たちは、感覚的に楽しんだり、身体を動かしながら感じたり、体験できるようになっている。美術が「視覚」の可能性の限界を押し広げようとした時代、「美術=視覚芸術(ビジュアルアート)」という捉え方は、すでに過去のものかもしれない。いまの美術、つまり現代美術は、私たちのあらゆる感覚器官を稼働させることによって遭遇する、新しい世界のイメージを開拓する行為である、と言えるだろう。そう考えるとき同展は、現代美術の多様性の一端を垣間見ることができるだけでなく、混沌とする現代社会の状況や様相、私たちの生き方や私たち自身を反映しているようだ。あなたの感覚を研ぎ澄ませて、感じてほしい。大岩オスカール《Big Wave (2020)》2020年 作家蔵 (c)Oscar Oiwa Studio[参考図版]藤原康博《Church on Cloud》2009年 (c)Yasuhiro Fujiwara, Thyssen-Bornemisza Art Contemporary Collection, photo: Kenryu Tanaka, Courtesy of MORI YU GALLERY[参考図版]今村源《きせい・キノコ―2019》2019年(リボーンアート・フェスティバル 2019 での展示風景) (c)Hajime Imamura【開催概要】『感覚の領域 今、「経験する」ということ』会場:国立国際美術館 地下3階展示室時間:10:00~17:00、金土は20:00(入場は閉館30分前まで)休館日:月曜(3月21日、5月2日は開館)、3月22日(火)料金:一般1,200円、大学700円美術館公式サイト:
2022年01月21日本物そっくりの精巧なクリームやキャンディ、フルーツなどを用いて現代アート作品を制作する作家 渡辺おさむ「いちご美術館」が阪神梅田本店8階ハローカルチャー1・2・3にて、2022年2月9日より期間限定オープンします。展示作品「Girl and Tiramisu」■いちごの絵画や彫刻など、いちごだらけの美術館が期間限定オープン!樹脂を用いて本物そっくりのお菓子の作品を制作する現代美術作家、渡辺おさむ氏による「いちご美術館」が阪神梅田本店にて期間限定で開館いたします。バレンタインのチョコレートが集まるフロアに、バンクシーやダリなどの有名絵画のいちご作品や、いちごをデコレーションした動物の立体作品。高さ1mのいちごとチョコレートの馬や、65cmのいちごだるまなど、いちごだらけのアート作品が一同に集まります。また会期中にはいちごとチョコレートをテーマにしたワークショップも開催されます。■展覧会 開催概要渡辺おさむ「いちご美術館」会期: 2022年2月9日(水)~14日(火)※最終日は当会場のみ午後5時に閉場いたします。会場: 阪神梅田本店8階ハローカルチャー1・2・3〒530-8224 大阪市北区梅田一丁目13番13号入場無料開催期間中の阪神梅田本店の営業時間は、阪神梅田本店ホームページTOPページにてご確認ください。阪神梅田本店ホームページ: ■いちご美術館バレンタインワークショップ 概要現代美術作家渡辺おさむがレクチャー 本物そっくりチョコレートフレーム&ブローチ作りワークショップ会期 : 2月11日(金)時間 : (1)午前11時~ チョコレートフォトフレームワークショップ(2)午後14~ チョコレートブローチワークショップ各回60分程度会場 : 阪神梅田本店8階ハローカルチャー4参加費 : 1,650円(税込)定員 : 各回5名までご予約方法: ご予約は阪神百貨店WEBページの「イベント予約システム」にて2月4日(金)から承ります。 ※定員になり次第、受付を終了させていただきます。※くわしくは、売場係員におたずねください。※6歳以下のお子さまが参加の場合には保護者同伴でお願いいたします。■渡辺おさむについてスイーツデコの技術をアートに昇華させた第一人者として「東京カワイイTV」(NHK)や「徹子の部屋スペシャル」(テレビ朝日)等、多くのメディアに取り上げられてきました。その作品は、国内はもとより海外でも注目を集め、中国、インドネシア、イタリア、ベルギー、トルコ、アメリカ、韓国などでも個展が開催され、話題を呼びました。また作品集や著書が出版されたほか、大原美術館や清須市はるひ美術館など国内5ヶ所の美術館に作品がコレクションされています。渡辺おさむホームページ: 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年01月19日日本初のタロットカード美術館「東京タロット美術館」が、東京・浅草橋に誕生。2021年11月16日(火)よりオープンする。日本初!タロットカード専門の美術館「東京タロット美術館」は、日本で最初にタロットカードの輸入販売をはじめたニチユーが手掛ける、日本初のタロットカード専門美術館だ。ニチユーの直営施設としてオープンする美術館は、同社が保有する約3,000種類のタロットカードのコレクションをもとに、企画展示を実施。普段はなかなか出会えない希少なタロットカードの公開をはじめ、絶版品を含む約500種類のタロットカードの展示販売も常時実施する。ライブラリースペースを併設また併設のライブラリースぺースでは、約1,000種類のカードの絵柄をオリジナルのカタログで閲覧できるほか、カードサンプルや関連書籍も自由に読むことが可能。そのほか手土産にもぴったりなオリジナルグッズや、セレクト商品の販売も行われる。原画展示や占星術のセッションなどなお「東京タロット美術館」では、今後タロットカードの原画展をはじめ、タロットや占星術を用いた対面セッションなど、タロットにまつわる様々な企画を計画中。来館の際は日時指定の予約制となっているため、気になる人は是非チェックしてみてほしい。【詳細】「東京タロット美術館」オープン日:2021年11月16日(火)住所:東京都台東区柳橋2-4-2 Ubase浅草橋6階営業時間:平日 10:00~20:00、土曜日 9:00~18:00 ※公式ウェブサイトから予約制。入館料:500円定休日:日曜日(イベント開催日は除く)、祝日、年末年始、他季節休業有
2021年11月18日2017年に約30年間活動した旧八戸市美術館が閉館し、生まれ変わった八戸市美術館が11月3日(水・祝)にオープンした。新しい美術館は、建築家の佐藤慎也館長のもとに「種を蒔き、人を育み、100年後の八戸を創造する美術館〜出会いと学びのアートファーム〜」をコンセプトとしている。「もの」としての美術品展示を中心とした従来の美術館とは異なり、アートを介した人の活動に焦点を当て、「もの」や「こと」を生み出す新しい形の美術館となる。同館では、美術館活動に主体的に関わる人を「アートファーマー」、美術館活動を一緒に行う市民や団体、教育機関、企業などを「共創パートナー」と呼ぶ。アーティストや美術館スタッフ、市内外から訪れる多様な人々がともに活動し、新たな文化が創造され、八戸市全体の活性化にもつながることを目指している。テープカット。手前が佐藤慎也館長、隣が開館記念「ギフト、ギフト」のディレクター、吉川由美。老朽化していた建物は、西澤徹夫建築事務所・タカバンスタジオ設計共同体によって全面的に建て替えられた。美術館を象徴する面積約834㎡、天井高約17mの巨大空間「ジャイアントルーム」では、プロジェクトで話し合ったり、つくったり、ライブイベントが行われたりと、多様な動きが同時多発的に起こる。9mのカーテンや家具で自在に空間を仕切ることができるジャイアントルーム。また、展覧会を行う「ホワイトキューブ」やコレクションを展示する「コレクションラボ」、映像展示に適した「ブラックキューブ」、パフォーミングアーツや展示、講演を行う「スタジオ」など、それぞれの機能に特化した「個室群」が並ぶ。その時々でこれらの部屋を自由に組み合わせることも可能だ。開館記念「ギフト、ギフト、」は、アートプロデューサーの吉川由美をディレクターに迎え、八戸のシンボル「八戸三社大祭」を出発点として企画された。9組のアーティストと、共創パートナー「八戸クリニック街かどミュージアム」の浮世絵コレクションからなる展覧会、向井山朋子によるパフォーマンスプロジェクトで構成されている。八戸では、お年寄りから子どもまでが山車造りに参加するなど、世代を超えて祭りが受け継がれている。そうした創造活動を、過去から未来へ、人から人へと循環する「贈与」=ギフトとして展覧会が構想された。大西幹夫「八戸三社大祭絵巻」展示風景切り絵作家、大西幹夫が八戸三社大祭300年の歴史を描いた「八戸三社大祭絵巻」の切り絵とアニメーション映像から始まり、写真家の浅田政志が祭りを支えるコミュニティを撮影した写真群へと続く。山車からイメージを膨らませた桝本佳子の陶器や半磁器。田附勝が八戸発祥といわれるデコトラ(電飾で飾ったトラック)を撮影した写真。いずれも八戸を賑わす音や声が聴こえてくるようだ。浅田政志の新作写真14点と膨大なスナップ写真(市民より提供)を展示桝本佳子《波濤/皿》2021年田附勝が撮影したデコトラ写真の展示風景三社大祭に使われた山車彫刻を、市民から集めた柄毛布で包み、彩った江頭誠のインスタレーションは圧倒的だ。また、美術館を建築した西澤徹夫、浅子佳英、森純平がアーティストとしても参加。八戸の文化をリサーチして制作した「八戸文化資源相関図」では、漁業や遊郭、消防屯所などの解説の合間に、八戸市美術館の所蔵作品が組み込まれている。また、田村友一郎、KOSUGE1-16が現代社会の中のギフトのありように問いを投げかけてもいた。江頭誠《おやすみのあと》2021年西澤徹夫、浅子佳英、森純平《八戸文化資源相関図》展示風景KOSUGE 1-16《インバウンドおじさん》2021年八戸を知ることから、日本及び世界にも通じる問題や提案が、明るさやユーモアを交えて表現された展覧会だった。今後、美術館にどのような景色が繰り広げられていくのか楽しみだ。取材・文・撮影(外観以外):白坂由里【開催情報】『八戸市美術館開館記念「ギフト、ギフト、」』11月3日(水・祝)~2022年2月20日、八戸市美術館にて開催
2021年11月15日東京の現代アートを気軽に楽しめる新しいプロジェクト「アートウィーク東京」が開催される。これは国立美術館から国際的なギャラリー、小さなアートスペースやプライベートミュージアムまで、現代アートを牽引してきた都内50のギャラリーと美術館がタッグを組んだ、かつてない規模のアートイベントだ。海外からも注目される東京の現代アートシーンをバスで巡る秋のイベント!期間中はパスを手に、4つのルートを巡回するバスを自由に乗り降りして50のスポットへ気軽にアクセスできる。これなら足を運びにくかったギャラリーなどにも短時間でたどり着け、東京のアートとカルチャーを効率よく満喫できる。期間中巡回する「アートバス」では、ルートごとにアーティストの高山明、毛利悠子、塩見允枝子(みえこ)、グループ・音楽の4組による、車内だけで体験できる“都市を巡る声”をテーマにした作品も楽しめる。初心者からプロまで、アートファンなら誰もが気軽に参加できる、またとないチャンスだ。「コロナ禍で国際的にギャラリー同士のネットワークが盛り上がり、新しい取り組みを他の画廊と一緒に行う機会が増えたことが開催のきっかけとなりました。ならば東京でもコミュニティを盛り上げることができるのではと」とアートウィーク東京共同設立者・ディレクターの蜷川敦子さん。東京の現代アートの歴史は100年にも及ぶ長さで、世界に誇る作品を数多くのアーティストが生み出してきた。ギャラリーでは気に入った作品を購入することもできる。海外でも注目されるそんな東京アートシーンの魅力をこの期間にぜひ満喫して。ART WEEK TOKYO 巡回バスマップ美術館&ギャラリーを結ぶ4つのルートを巡回する「アートバス」は15分に一本の頻度で発着し、どのルート、どのバスにも乗り降り自由。2名用のペアパス(1800円)や4‐DAYパス(2000円)などお得なパスもあり。パスを提示すれば美術館で割引なども受けられる。購入は下記ウェブサイトより。ART WEEK TOKYO美術館6館、ギャラリー44軒で開催。11月4日(木)~7日(日)10時~18時(東京オペラシティアートギャラリー、ワタリウム美術館は11時開館)AWTパス1000円(1日有効)ほか。AWTインフォメーションセンター(東京都港区南青山5‐4‐30)info@artweektokyo.comROUTE Aアーティストに縁深い会場がある天王洲、品川、恵比寿方面を巡るルート。世界的に有名なアーティストが拠点としたギャラリーや画廊も多いのも特徴。【A4】カイカイキキギャラリー「Event Horizon」開催中~11月11日(木)予定アルミニウム、ガラス、ブロンズ、粘土といった素材を探求し彫刻への考察を深める仏人アーティスト、ジャンマリ・アプリユの日本初個展を開催。ジャンマリ・アプリユ《Callisto》2020©Jean-Marie Appriou, courtesy of the artist, photo by Benjamin Baltis【A9】ギャラリーサイド2「三井淑香新作展」開催中~11月26日(金)アーティスト三井淑香の日常や事物、思い出などを通し、現代のポップなイメージと隣り合わせで表現される伝統文化へのオマージュを描く。三井淑香《壺の間》2020ROUTE B新進から歴史的評価の高い作家まで、日本の実験的アートに注目した会場が集中するルート。新橋、京橋から両国までの歴史を感じられる風景も。【B7】ギャラリー小柳「I saw it, it was yours.」開催中~10月30日(土)、11月4日(木)~7日(日)膨大な作業量によって描かれた鉛筆画のインスタレーションを展開する橋本晶子の個展。2020年の個展「Ask him」に新作10点を加えた新たな内容。橋本晶子《Ask him》2020Installation view of Akiko Hashimoto’s exhibition “Ask him” at the 14th shiseido art egg, Shiseido Gallery, 2020制作協力:資生堂©Akiko Hashimoto, photo by watsonstudio【B11】Take Ninagawa「大竹伸朗『残景』」10月30日(土)~12月18日(土)コロナ禍に取り組んだ連作を紹介。様々な素材を組み合わせた分厚い油彩画の堆積物から成る三次元構造の作品を通して、“記憶の最後に残る景色”を探求。大竹伸朗《残景 1》2019 ©Shinro Ohtake, courtesy ofTake Ninagawa, Tokyo, photoby Kei OkanoROUTE C上野、池袋、渋谷までと広範囲をカバー。コンテンポラリーアートの中でも、今もっとも先鋭なセンスを満喫したい人がはずせないルートがこちら。【C9】ナンヅカ アンダーグラウンド「SOME DAYS ARE DIAMOND」開催中~11月7日(日)ナイジェリアを拠点に活動するワハブ・サヒードの日本初個展。印象的なマークやパターン、色鮮やかな背景と木炭で描かれた作品は人間に不可欠な出来事や心理とは何かを問う。ワハブ・サヒード《Secret in Scars》2021©Wahab Saheed, courtesy of NANZUKA【C4】4649「カルビン・ミシェリ‐ネルソンと清水将吾」11月4日(木)~12月19日(日)ロサンゼルスをベースに活動する画家カルビン・ミシェリ-ネルソンと「4649」のディレクターでもある清水将吾による二人展。本展はネット上での自助的な交流によって実現。カルビン・ミシェリ‐ネルソン 2021Courtesy of the artist and 4649, TokyoROUTE D新宿、渋谷、六本木、神楽坂など都心を中心に巡るルート。映像関連やアートフェア、トークショーまで、自主企画の展覧会が面白い個性派ギャラリーが集中。【D1】タカ・イシイギャラリー「YAKIMONO」開催中~11月7日(日)ポリウレタンやブロンズなどを用いた立体作品で有名なスターリング・ルビーをはじめ、リズ・ラーナー、ルシア・ビダレスなどのグループ展を開催中。スターリング・ルビー《CLUB(7689)》2021 ©Sterling Ruby, courtesy of Sterling Ruby Studio and TakaIshii Gallery, photo by Robert Wedemeyer【D1】シュウゴアーツ「わたしはどこに立っている」10月30日(土)~11月27日(土)森村泰昌と三嶋りつ惠の二人展。森村は自画像の美術史シリーズよりゴッホ、ダ・ヴィンチなどを取り上げ、三嶋はその人物に捧げる新作を発表。森村泰昌《青春の自画像(松本竣介/わたしはどこに立っている1 )》 2016 発色現像方式印画160×124cm ed.5 ©the artist, courtesy of Shugo Arts※『anan』2021年11月3日号より。取材、文・山田貴美子(by anan編集部)
2021年10月31日「美男」をテーマにしたユニークな展覧会『美男におわす』が、埼玉県立近代美術館で11月3日(水・祝)まで開催されている。絵画作品のみならず、アニメやまんがなど日本の視覚文化に表された理想の男性像を探っていくという内容だ。日本美術において「美人画」と呼ばれている作品は、「人」と銘打っているにも関わらず、のほとんどが女性をモデルとして描かれている。もちろん、昔から武士や歌舞伎役者など美しい男性の絵も数多く描かれている。けれども「美人画」というカテゴリーのなかに男性は入ることはなく、そして今日まで「美男画」といった言葉や概念が誕生することもなかった。本展は、これまで描かれてはいたものの、語られることはなかった「美男」について、江戸時代から現代に至るまで、時代やジャンルの壁を越え、さまざまな作品で紹介していくものだ。「美男におわす」という展覧会タイトルは、与謝野晶子が鎌倉の大仏を詠んだ短歌「かまくらや みほとけなれど 釈迦牟尼は 美男におわす 夏木立かな」に由来している。全5章構成で、さまざまな角度から美男を検証する。第2章展示風景より第1章「伝説の美少年」では、聖徳太子や曽我兄弟や源義経、天草四郎など、伝説的に美しいとされた男性たちを紹介する。流れる歴史のなかで、理想化された男性たちは写真もないのに、いつのまにか「美男」であったことにされ、そして描かれていく。本展は、日本画やまんが、現代美術、近代や現代などジャンルや時代区分で区切ることなく、混在させて展示させているのも特徴のひとつだ。現代美術作家の入江明日香《L’Alpha et L’Omega》の屏風も浮世絵や近代日本画とともに展示されている。左:松本楓湖《牛若》1874年右:今村紫紅《笛》1900年入江明日香《L’Alpha et L’Omega》 2019年第2章の「美しい男」は、愛でる対象として描かれた男性イメージを取り上げる。僧侶に仕えた稚児、武将たちに仕えた小姓のように、日本では古くから成人男性の身の回りの世話をする若年男性(若衆)たちの存在があった。近世の絵画でさかんに描かれた若衆たちの姿は、明治期に入ると健康的な肉体を持つ男性として描かれ、大正期には退廃的に描かれるようにもなり、時代によって大きく姿を変えていく。高畠華宵の表紙による『日本少年』1927〜1932年左:金子國義《メッセージ》1983年右:金子國義《殉教》1995年第3章の「魅せる男」はスター性を帯びた男性像を紹介する。江戸時代より人々を魅了したのはなんといっても歌舞伎役者たちだ。彼らが演じる姿は役者絵として描かれ人気を博していく。続く第4章は「戦う男」。男性美のイメージに付随する「力強さ」は、時代を越えて描かれるテーマであり、現代の私達の心をひきつけてやまない。第3章「魅せる男」より左:鳥居清忠《夏祭》大正時代右:山村耕花《梨園の華七世松本幸四郎の助六》第4章「戦う男」より 左:高畠華宵《杜鵑一声》1926年右:高畠華宵《馬賊の唄》1929年そして、展覧会は第5章「私の『美男』、あなたの『美男』」でフィナーレを迎える。伝統的な屏風絵のなかで、14名の若い男性が田植えやバーベキューにいそしむ木村了子《男子楽園図屏風 - EAST & WEST》、整った顔立ちと推察されるものの、その顔が骨に覆われて見ることができない金巻芳俊《空刻メメント・モリ》、日常生活の光に照らされた全裸男性を描く井原信次の作品など、現代に生きる作家たちは、自らが考える美男を特定の様式にとらわれず自由に描く。木村了子《男子楽園図屏風 - EAST & WEST》2011年金巻芳俊《空刻メメント・モリ》2021年左:井原信次《Afterimage》2018年右:井原信次《Daily gate》2012年アーティストが描く美男が多様であるように、鑑賞者の考える美男もまた多様だ。美男を鑑賞しながら、そのなかでも自分の理想の美男とはどのようなものかを考えていくと、より楽しくなっていく、刺激に富んだ展覧会だ。構成・文:浦島茂世【開催情報】『美男におわす』2021年9月23日(木・祝)~ 11月3日(水・祝)、埼玉県立近代美術館にて開催。
2021年10月15日スマホの普及により、インターネットは多くの人にとって、さらに身近なものになりました。ガラパゴス携帯(通称:ガラケー)よりも性能が上がり、さらに多くのウェブサイトを手軽に見ることができるようになったり、搭載機能が増えたりしています。しかし、便利すぎるがゆえに『ネット・スマホ依存症』になってしまう人が急増。気が付けばスマホをいじってしまう…という人は多いでしょう。スマホを封印したら、生活が一変…!?天竜川ナコン(@love_eminemu)さんも、スマホを使う時間が多い1人。そこで、スマホ依存を強制的に解決させる『あるアイテム』を購入したといいます。それは、スマホを入れたら決まった時間まで取り出すことができない箱。『スマホロック』と呼ばれるこのアイテムは、スマホを入れてロック時間を設定すると、その時間が来るまで取り出すことができなくなります。スマホが気になって物事に集中できない人など、『スマホ依存症』に悩まされている人にはピッタリのアイテムです。実際に使用した結果、なんと天竜川さんの生活は一変したのだとか。スマホ封印後の姿が、こちらです。「スマホを入れたら取り出せなくなる箱」を買ったらマジで生活が一変した… おすすめです pic.twitter.com/oBhCsmtSRL — 天竜川ナコン (@love_eminemu) October 3, 2021 きっと多くの人が、「いや、そっちかーい!」とノリツッコミをしてしまったことでしょう。スマホ封印後の写真には、天竜川さんが横になりながらノートパソコンでTwitterを見る姿が。確かに生活は変わったようですが、とっている行動は同じです…!投稿は拡散され、根本は何も解決していない天竜川さんの様子に多くの人が笑ってしまいました。・まさに今の自分の生活で爆笑した。いや笑えないわ。・泣ける。スマホが普及する前の光景に戻っただけっていう…。・悲しき『現代人あるある』…。ネットを完全に遮断するの難易度高すぎ。天竜川さんのようにスマホロックを購入し、ノートパソコンを代用してネットを見続けた人は多い模様。現代社会においてネットは生活の一部と考えると、解決はとても困難なのかもしれません…。[文・構成/grape編集部]
2021年10月04日企画展「四季折々の情景 美術館に息づく小さな自然たち」が、名古屋のヤマザキマザック美術館にて2021年10月29日(金)から2022年2月27日(日)まで開催される。“日本の四季”と“俳句”をテーマに作品展示「四季折々の情景 美術館に息づく小さな自然たち」は、変化に富んだ「日本の四季」と、四季を五七五の十七文字で鮮やかに切り取る俳句の世界を軸に、自然の情景を再現する展覧会。会場では、小林一茶「うまさうな 雪がふうわり ふわりかな」や正岡子規「柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺」といった有名な俳句を軸にして、現代作家9名(組)の作品をヤマザキマザック美術館所蔵のアール・ヌーヴォーのガラスや家具と共に展示。四季折々の美しさを巧みな技によって表現した絵画や陶芸、ガラス作品などを紹介する。植物や昆虫を表現した超絶技巧の陶芸微細な陶のパーツを組み合わせた稲崎栄利子の陶芸作品《念力Ⅱ》や、実物かと見紛うほど精巧な昆虫が羽を休める小橋順明の《jewel beetle and skull》など、陶芸ならではの超絶技巧に注目。陶の質感を生かし、動物や植物を力強く描いた井上雅子の《蓮と蛙》も目を引く作品だ。繊細なガラス工芸の蜘蛛の巣などまた、ガラス工芸による表情豊かな作品も登場。レース編みのように繊細に蜘蛛の巣を形作った土居陽子の《落花(金木犀と蜘蛛の巣)》は、蜘蛛の糸と枝、葉が描き出す有機的な造形が魅力。川北友果の《蓋物 梅狩り》は、丸みを帯びた立体的な梅の実の装飾によって生き生きとした佇まいを見せる。愛らしい動物を表現したガラス作品や彫刻も加えて、木の実を貯めこむリスを木彫りで表現した本多絵美子の《貯蓄》や、吹きガラスの器に愛らしいメジロを描いた元木貴信・庸子の《椿に目白》など、巡る四季の中に息づく動物たちをチャーミングに表現した作品も展示される。【詳細】四季折々の情景 美術館に息づく小さな自然たち会期:2021年10月29日(金)~2022年2月27日(日)※状況によっては会期等が変更となる場合あり。最新情報はヤマザキマザック美術館ホームページの「新着情報」欄にて告知。会場:ヤマザキマザック美術館 4階展示室住所:愛知県名古屋市東区葵1-19-30TEL:052-937-3737開館時間:平日 10:00~17:30 / 土日祝 10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで休館日:月曜日※月曜日が祝日の場合は開館・翌平日休館、年末年始(12月27日~1月3日)入館料:一般 1,300円(10名以上1,100円)、小・中・高生 500円、小学生未満無料※音声ガイド無料サービス
2021年09月11日誰もがよく知る美術作品などを独自の視点で改変し、絵画の新たな可能性に挑戦し続けている現代美術家・福田美蘭(1963-)。新たなものの見方や考え方を提案する福田の芸術は、単なる絵画という枠にとどまらず、豊かな発想力によって独自の展開を遂げた作品を多く発表してきた。同展では、菱川師宜から葛飾北斎、伊藤若冲といった千葉市美術館が所蔵する浮世絵、江戸絵画の名作を福田美蘭が自らセレクトし、それを題材に新作16点を制作。発想の元となった作品と対応させ、浮世絵、江戸絵画と現代美術のコラボレーションを展開。だまし絵や描き表装、3D画像など視覚を揺さぶるトリックを用いて、鑑賞者の常識を覆す新しい見方を提示する。また、これまでも地下鉄サリン事件や東日本大震災など、社会を揺るがす出来事をテーマに作品を制作してきた福田だが、今回、東京2020オリンピック開催に対する戸惑いや、新型コロナウイルスの猛威への恐れ、終息への思いを込めた新作を制作。福田の飽くなき探求心をもって制作された作品を通して、コレクションの意義を見直すとともに、絵画を通して現代を生きる私たちにメッセージを投げかける。月岡芳年《風俗三十二相けむさう享和年間内室之風俗》明治21年(1888)千葉市美術館蔵伊藤若冲《雷神図》宝暦-明和期(1751-72)頃千葉市美術館蔵福田美蘭《大津絵−雷公》2014年群馬県立館林美術館蔵菱川師宣《酒呑童子褒賞》延宝(1673-81)末期千葉市美術館蔵福田美蘭《大江山の酒吞童子退治》2019年【開催概要】『福田美蘭展千葉市美コレクション遊覧』会期:2021年10月2日(土)– 12月19日(日)会場:千葉市美術館時間:10:00~18:00、金土は20:00まで(入場は閉館30分前まで)休館日:10月4日(月)、11月1日(月)、12月6日(月)※10月11日(月)、11月15日(月)は休室日料金:一般1,200円、大学生700円※10月18日(月)は「市民の日」につき観覧無料※ナイトミュージアム割引:金・土曜日の18:00以降は共通チケット半額千葉市美術館公式サイト:
2021年09月10日日本一高いビル「あべのハルカス」16階の「あべのハルカス美術館」では、日本美術や西洋美術、現代アートなど多彩な展覧会を開催しています。2021年度後半は9月より「tupera tupera のかおてん.」、11月より「コレクター福富太郎の眼」、1月より「イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜」の開催を予定しております。(既報のとおり。詳細は別紙参照)上記3本の展覧会に続き、新たに2022年度前半に開催する展覧会が決定しましたのでお知らせします。「庵野秀明展」会 期 :2022年4月16日(土)~6月19日(日)開 催 趣 旨 :総監督を務めた最新作「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が、興行収入100億円を突破し、今なお記録を伸ばし続けている庵野秀明。本展は、アニメーター時代に参加した過去作品や、監督、プロデューサーとして活躍する最新の仕事までを網羅し、創作活動の秘密に迫ります。自身の原点となった「アニメ」「特撮」作品の貴重な原画やミニチュアなどをはじめ、アマチュア時代から現在までの直筆の膨大なメモやイラスト、独自の映像作りに欠かせない脚本、設定、イメージスケッチ、画コンテ、レイアウト、原画からミニチュアセットに至るまで多彩な制作資料を余すところなく展示する世界初の展覧会です。「出版120周年 ピーターラビット展」会 期 :2022年7月2日(土)~9月4日(日)共 催 :朝日新聞社、関西テレビ放送、東映開 催 趣 旨 :今なお世界中で愛され続けるいたずらなうさぎ、ピーターラビット(TM)。作者のビアトリクス・ポターTMによって紡ぎ出され、ロンドンのフレデリック・ウォーン社から出版された物語は、2022年に出版120周年を迎えます。本展は、ピーターラビット誕生前夜から今日に至るまでの歩みを作品や資料合わせて約170点から振り返るものです。物語の原点である絵手紙と、『ピーターラビットのおはなし』の彩色原画全点が一堂に展示されるのは日本初の機会となります。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年09月03日展示「再演―指示とその手順」が現在、東京藝術大学大学美術館で開催されている。当展覧会は、現代の新たなメディアともいえる指示書(インストラクション)をテーマに、美術館というミュージアムにおける芸術作品の再演(再現)について考察するもの。指示書に従い、複製や再現、移行や再制作が必要となる芸術作品の再演(再展示)について、その保存、継承における作品の同一性を問うことを目的としている。作品の展示を主体とせず、展示時の作者不在を想定した第三者に伝えるための指示書や記録写真、映像、参考資料など、作品に関連する様々な指示や手順、仕様を知ることができるだろう。■展示情報「再演 ―指示とその手順Re-Display: Instruction and Protocol」8月31日(火)〜9月26日(日)(休館:9月6日、9月13日、9月21日)開館:午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)会場:東京藝術大学大学美術館 本館展示室2観覧料:無料※新型コロナウイルス感染拡大防止対策としてご来場の際は、マスクをご着用の上、ご来場ください。※本展は予約制ではありませんが、今後の状況により、変更、入場制限を実施する可能性がございます。<構成と主な展示作品>第1章 創造のために日本絵画における下図や模本、粉本、また彫刻の原型や建築模型、漆塗りや蒔絵の制作手順を表した手板は、創造のための指示であり、再現手順の見本として存在します。また、創造のための指示としてだけでなく、歴史や社会背景、文化形成など包括的な総体としての「もの」を手本としたからこそ、新たな表現の源泉となり、多様な創造が生み出されてきました。・《手板(塗工程-本堅地見本)》・須藤茂雄《手板(色粉蒔絵工程-箔絵見本)》・《牡丹蒔絵手板》・《石山縁起絵巻 一の巻》・山田鬼斎《楠公小型銅像木型》1899・川原慶賀(推定)《長崎出島館内之図》19世紀・加藤康司《倭蘭領東印度南方合戦外伝》2020/2021・中井川正道《場の転換から空間意識への展開》1984第2章 再演のための指示展覧会のたびに設置される空間展示(インスタレーション)や、常に外部からのエネルギーや物質の流入出(代謝)を伴う「生きた」バイオメディア・アートは、展示という再演(再現)を繰り返すための指示書を必要とします。しかし、再演された作品は以前の展示と同一であるといえるのでしょうか。再演のための指示書と展示記録から、作品の同一性について考えを巡らせます。・岩崎秀雄《Culturing cut》2018-2020(製作-継代維持-修復-再製作含む)および《aPrayer》2016/2020(本展示は指示書)・BCL / Georg Tremmel + Matthias Tremmel《Resist/Refuse》2017(本展示は指示書)・切江志龍+石田翔太《Soui-Renn -A Figure of Impression-》2019(本展示は指示書)・齋藤帆奈《食べられた色 / Eaten Colors-》2020(本展示は指示書)・室井悠輔《自由の錬金術》2014(本展示は参考資料)第3章 再制作とその継承コンピューター、ソフトウェアなどの機器や科学技術に依存し、制作当初からデジタルデータで制作・記録されたボーンデジタルの作品を再演(再現)する際には、模倣(エミュレーション)や移行(マイグレーション)などの手続きが必要です。また、鑑賞者が参加し、体験することで成立するインタラクティヴな作品は、常に一回性をもつ再制作が繰り返されます。そのとき、オリジナルと再演(再制作)に同一性はあるのでしょうか。・ウォルフガング・ミュンヒ+古川聖《Bubbles》2000/2021・フランソワ・バシェ《勝原フォーン》1970(本展示は指示書および参考資料、部材の一部)・坂田ゆかり《ない者の場 / ない場の地図(日本語版)》2019(本展示は2019年1月に行われたワークショップの成果を再現)・川俣正《自画像》1979(本展示は卒業制作展時に設置された状態を初めて再現)第X章ミュージアムの仕様公式WEBサイト: <同時開催>藝大コレクション展2021 Ⅱ期 東京美術学校の図案 -大戦前の卒業制作を中心に(8月31日(火)- 9月26日(日))を本館展示室1にて開催。詳細:
2021年09月02日アーティゾン美術館が年1回、「創造の体感」を体現する展覧会として企画している、石橋財団コレクションと現代美術家の共演「ジャム・セッション」。その第2弾となる展覧会『石橋財団コレクション×森村泰昌 M 式「海の幸」-森村泰昌 ワタシガタリの神話』が10月2日(土)より開催される。今回は、古今東西の絵画や写真に表された人物に変装し、独自の解釈を加えて再現する森村泰昌が登場。以前から青木繁の《自画像》(1903年)、《海の幸》(1904年)にインスピレーションを得た作品を制作するなど、石橋財団が所有する青木作品に密かな想いを寄せていたという森村は、改めて《海の幸》と本格的に向き合い、同作品が制作された明治期以降の日本の文化、政治、思想などの変遷史を“森村式”、略して“M式”「海の幸」として形象化。85人の人物が登場する10点のバリエーションで展開し、その10点を円環状に構成。大規模なインスタレーションとして公開する。そのほか、同館が所蔵する青木繁の《海の幸》や《わだつみのいろこの宮》(1907年)などの代表作を、森村独自の作品解釈やコメントとともに紹介する。展示は青木作品約10点と、森村作品約60点で構成。そのうち50点以上は、同展のために制作された森村による新作だという。森村と青木のかつてないセッションを楽しみたい。森村泰昌《自画像/青春(Aoki)》2016/2021 年 作家蔵青木繁《自画像》1903 年石橋財団アーティゾン美術館蔵青木繁《海の幸》1904 年(重要文化財)石橋財団アーティゾン美術館蔵森村泰昌《M 式「海の幸」習作(色合わせ 01:假象の創造)》2020 年作家蔵展覧会名: ジャム・セッション 石橋財団コレクション×森村泰昌 M 式「海の幸」-森村泰昌 ワタシガタリの神話会場: アーティゾン美術館6階展示室会期: 2021年10月2日(土)ー 2022年1月10日(月・祝)開館時間:10:00~18:00、金曜日は20:00(入館は閉館の30分前まで)休館日:月曜日(1月10日は開館)、12月28日-1月3日料金:日時指定予約制ウェブ予約チケット1,200円お問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)*ウェブ予約チケットが完売していない場合のみ、美術館窓口でも当日チケットを販売*開催情報は予告なく変更となることがあります。アーティゾン美術館公式サイト: 同時開催:石橋財団コレクション選 印象派ー画家たちの友情物語(5階 展示室)特集コーナー展示 挿絵本にみる20世紀フランスとワイン(4階 展示室)
2021年08月31日熊本市現代美術館は、展覧会「こわいな!恐怖の美術館」を2021年9月25日(土)から12月5日(日)まで開催する。“恐怖や不安”をアートを通して受け止める「こわいな!恐怖の美術館 展」は、無意識を揺さぶる恐怖や不安を理知的に受け止め、「それ(恐怖や不安)」をテーマにした作品を紹介する展覧会。本展では、天災や疫病など、日常生活の様々なところに偏在する多様な“恐怖と不安”を、人間の持つ自然な感情の1つとして捉え、作品として昇華したアーティスト達の独自のセンスとユーモアを体感できる。作品を通して、恐怖や不安に対する発想の転換や、“こわい”ことに向き合って新たなアイデアを促すポジティブな内容となっている。“恐怖”から“安心”までのお化け屋敷体験迷路のような「お化け屋敷」に象徴されるように、出口がどこかわからない“恐怖”を体感できるのが、会場入口に登場する「南無サンダーの演劇お化け屋敷@大學湯」。恐怖と不安を抱えながら出口を目指し、最後に「あー怖かったね」と安心するまでの“お化け屋敷体験”をセットで楽しめる。尚、「お化け屋敷」が苦手な人には回避ルートも用意する。また、屋敷という場所そのものが悪しき場所であり「化け物」だととらえる西洋型お化け屋敷を見て取れる、オディロン・ルドンが描いた幽霊屋敷の絵画作品、出口の見えなさを“行き止まり”で表現した浜田知明の《行き止まり》なども登場する。恐怖の対象を可視化する「お化け」人々は、得体のしれない“恐怖の対象”に不安を感じ、「お化け」という可視化された存在を求める心情を持っている。実際に、江戸時代から伝わる怪談「百物語」や、都市伝説上の口裂け女、人面犬、人面魚、疫病除けのアマビエなど、数々の「お化け」を定義することで、不可解な存在を受け止めて理解しようしてきた。そんな人々の心情に共鳴するかのような、“得体のしれないもの”に形を与えた田名網敬一や浜田知明の立体作品などが登場する。恐怖と結びつく暗闇、夜の時間さらに、恐怖をあおる暗闇や、ホラー映画で恐怖の出来事が起こる“夜の時間”に着目した作品も展示。薄暗いタッチで描かれた暗闇の作品を紹介する一方で、恐怖とは対照的な“夜の楽しさ”を思わせる田名網敬一のカラフルアートや夜をモチーフにしたコーダ・ヨーコの「ヨルのキオク」シリーズなども登場。様々な真夜中のイメージを目の当たりにすることができる。【詳細】こわいな!恐怖の美術館開催期間:2021年9月25日(土)~12月5日(日)会場:熊本市現代美術館 ギャラリーⅠ・Ⅱ住所:熊本県熊本市中央区上通町2-3 びぷれす熊日会館 3階休館日:火曜日、11月24日(水) ※ただし11月23日は開館開館時間:10:00~20:00(展覧会入場は19:30まで)観覧料:一般 1,100(900)円、シニア(65歳以上) 900(700)円、学生(高校生以上) 600(500)円、中学生以下 無料※( )内は前売/20名以上の団体/各種障害者手帳を提示した人と付き添い1名(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、被爆者健康手帳等)、電車・バス1日乗車券、JAF会員証、緑のじゅうたんサポーター証/美術館友の会証を呈示した人。前売の販売は9月24日(金)まで。※10月10日(日)は熊本市現代美術館開館記念日を祝して入場無料。チケット取扱い:熊本市現代美術館、イープラス(e+)、ローソンチケット“ローチケ”[Lコード:81992]、セブンチケット[セブンコード:090-328]※開催内容の変更、入場制限の実施などの可能性あり。最新情報は、公式ホームページを確認。【問い合わせ先】熊本市現代美術館TEL:096-278-7500
2021年08月13日長野・軽井沢のセゾン現代美術館では、コレクション展「collection 40」を、2021年7月22日(木・祝)から11月21日(日)まで開催する。また、特別展示「若林奮軽井沢・高輪美術館(現・セゾン現代美術館)の庭」も同時開催される。コレクション作品40点を紹介「collection 40」展では、セゾン現代美術館のコレクションから、選りすぐりの40点を展示。パウル・クレー、ワシリー・カンディンスキー、マン・レイ、ジャクソン・ポロック、マーク・ロスコ、ジャスパー ・ジョーンズ、アンディ・ウォーホル、荒川修作、中西夏之、宇佐美圭司などの作品を目にすることができる。若林奮による庭園構想に着目した特別展示も一方、同時開催の特別展示「若林奮軽井沢・高輪美術館(現・セゾン現代美術館)の庭」では、戦後日本を代表する彫刻家であり、同館の庭園全体のプランも手がけた若林奮にフォーカス。若林の制作とは、人間と自然がとり結ぶ関係性を問うことであった。自然と人間の共生を希求しつつ作品制作を続けるなかで、1980年代から晩年まで取り組むことになる庭園制作は、そうした若林の思想を具現化する表現形態であったといえる。本展示では、1982〜85年に《軽井沢・高輪美術館の庭》として制作された同館の庭園構想のためのドローイング、写真作品、模型などを展示し、若林の思考の軌跡を紹介する。展覧会概要コレクション展「collection 40」同時開催:特別展示「若林奮軽井沢・高輪美術館(現・セゾン現代美術館)の庭」会期:2021年7月22日(木・祝)〜11月21日(日)会場:セゾン現代美術館(特別展示は1Fパサージュ)住所:長野県北佐久郡軽井沢町長倉芹ヶ沢2140開館時間:10:00〜18:00(11月は17:00まで)※入館は閉館30分前まで休館日:木曜日(9月23日(木・祝)は開館)※8月は無休入館料:一般 1,500円、大高生 1,000円、中小生 500円※20名以上の団体は各100円引※内容は変更となる場合あり(最新情報は美術館ホームページにて確認のこと)【問い合わせ先】セゾン現代美術館TEL:0267-46-2020
2021年07月11日特別企画展「スイス プチ・パレ美術館展―珠玉のフランス近代絵画―」が、滋賀の佐川美術館にて、2021年9月14日(火)から11月7日(日)まで開催される。なお、鹿児島市立美術館では9月5日(日)まで開催される予定であったが、8月19日(木)をもって終了。フランス近代絵画の充実したコレクションスイス・ジュネーブに1968年に開館したプチ・パレ美術館は、19世紀後半から20世紀前半にかけて芸術の都・パリを中心に制作された、フランス近代絵画を主としたコレクションを所蔵する美術館。1998年以降は休館しているものの、充実した所蔵コレクションから、国外の大規模美術展に継続的に出品協力を行っている。日本では30年ぶり、鹿児島では初となるコレクション展「スイス プチ・パレ美術館展―珠玉のフランス近代絵画―」は、プチ・パレ美術館の主要コレクションが来日する、日本では30年ぶり、鹿児島では初となる本格的なコレクション展だ。印象派のルノワールからナビ派のモーリス・ドニ、フォーヴィスムのヴラマンク、キュビスムのアンドレ・ロート、エコール・ド・パリのユトリロ、スタンラン、藤田嗣治まで、38作家による油彩画65点が一堂に集結する。19世紀後半に“光の描写”に挑んだ印象派が現れて以来、フランスでは画家たちによって次々と革新的な絵画が生み出されてきた。「プチ・パレ美術館」では、時代を象徴する巨匠の作品のみならず、その他多数の優れた周辺作家の作品も所蔵。実験的な精神に満ちた画家たちによる多彩な作品を通して、時代の活況を見て取ることができる。印象派からナビ派/ポン=タヴァン派、新印象派、フォーヴィスム、キュビスム、そしてポスト印象派やエコール・ド・パリに至るまで、フランス近代絵画の全体像とダイナミックな時代の潮流を体感できそうだ。【詳細】特別企画展「スイス プチ・パレ美術館展―珠玉のフランス近代絵画―」会期:2021年9月14日(火)~11月7日(日)場所:佐川美術館住所:滋賀県守山市水保町北川2891開館時間:9:30~17:00 ※最終入館は16:30まで。休館日:月曜日(9月20日は開館)、9月21日入館料:一般 1,200円、高大生 800円(要学生証提示)、中学生無料 ※ただし保護者の同伴が必要。※専門学校・専修学校は大学に準じる。※障害者手帳の持参者(手帳の提示が必要)、付添者(1名のみ)は無料。■終了した会場・鹿児島市立美術館会期:2021年7月23日(金・祝)~8月19日(木)※当初は9月5日(日)までの会期を予定していたものの変更(チケットの払い戻しについては、後日美術館ホームページにて案内)住所:鹿児島県鹿児島市城山町4-36問い合わせ先TEL:099-224-3400
2021年07月09日フランス・シャンパーニュ地方にあるランス美術館は、ルーヴル美術館に次いでカミーユ・コローの作品を多く所蔵するなど、19世紀の風景画が充実していることで有名。本展『ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ』では、このランス美術館のコレクションから厳選した約80点の名作を通して、印象派の中核ともいうべきフランス近代風景画の歴史をたどる。18世紀以前の西洋美術において、風景画は崇高な神話や歴史画の背景にすぎなかった。けれど18世紀末から19世紀初頭にかけて、その風景画に注目が集まり始める。この動きは革命後の社会の変化、新興ブルジョワジーの台頭、産業革命と都市化による田園風景への憧れなど、当時新しく生まれた価値観を受けて引き起こされたもので、画家らはアトリエを出て屋外で風景をスケッチし始めた。そんな風景画家の中でも特に注目を集めたのは「バルビゾン派」と呼ばれる画家たち。彼らはパリ郊外にあるフォンテーヌブローの森に隣接するバルビゾン村に滞在し、大作を生み出してゆく。その写実的な作風がモネやルノワール、シスレーなど19世紀後半に活躍する印象派の画家たちに受け継がれていったのだ。こうしたフランス印象派の成り立ちを余すところなく紹介したのが本展。近代画家の先駆者であるミシャロンやベルタンに始まり、コローやクールベ、ブーダン、さらに印象派のモネやルノワール、ピサロまで、19世紀フランス絵画の巨匠の作品が一堂に会する。会場では時系列に章が展開し、関連する資料も数多く登場。例えばチューブ式絵の具や、エッチング(腐食銅版画)の発明が風景画の発展を加速させたことなど、文明が美術に大きく影響を及ぼしている様子がよくわかる。いま話題となっているデジタルアートも、過去の名作も、技術の発展が新しい芸術を生んでいるという事実は変わらない。心が洗われるような異国の美しい風景画とともに、そんな普遍性にも気づかせてくれる、発見のある内容だ。コンスタン・トロワイヨン《ノルマンディー、牛と羊の群れの帰り道》1856年Inv. 907.19.234ランス美術館©MBA Reims 2019/Photo : C.Devleeschauwerジャン=バティスト・カミーユ・コロー《湖畔の木々の下のふたりの姉妹》1865‐70年Inv.887.3.82ランス美術館©MBA Reims 2019/Photo : C.Devleeschauwerクロード・モネ《べリールの岩礁》1886年Inv. 907.19.191ランス美術館©MBA Reims 2019/Photo : C.Devleeschauwerピエール=オーギュスト・ルノワール《風景》1890年頃Inv. 949.1.61ランス美術館©MBA Reims 2019/Photo : C.DevleeschauWer『ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ』SOMPO美術館東京都新宿区西新宿1‐26‐16月25日(金)~9月12日(日)10時~18時(入館は17時半まで)月曜休(8/9は開館)一般1500円ほかTEL:050・5541・8600(ハローダイヤル)※『anan』2021年6月30日号より。取材、文・山田貴美子(by anan編集部)
2021年06月29日7月3日(土)より世田谷美術館にて、普段はあまり目にする機会の少ない同館の大型収蔵作品を中心に紹介する収蔵品展が開催される。同展は、もともと2020年夏の東京オリンピック/パラリンピックに併せて、国際的なイベントの開催時にふさわしい展示をと“グローバル化時代”をキーワードに企画されたが、新型コロナウイルスの感染拡大で順延。2021年夏に改めて開催されることとなった。自国を離れて異国でも創作を展開したロバート・ラウシェンバーグ やデイヴィッド・ナッシュ 、ジャン=ミシェル・バスキア、国際的な評価を獲得した日本人作家の榎倉康二や横尾忠則といった、斬新な発想と冒険心に充ちた活動を地球規模で繰り広げてきた現代美術作家たちの大型作品を紹介。現代美術のさまざまな潮流を見てとることができる。80年代半ばに開館した同館で、同時代に制作された世界各国の大型作品を体感できる貴重な機会となりそうだ。堂本尚郎≪Cosmos IIII≫1978年榎倉康二≪無題≫1977年横尾忠則≪ロスのお土産≫1982年(c)Tadanori Yokoo【開催概要】ミュージアム コレクション特別篇『グローバル化時代の現代美術 ―“セタビ”のコレクションで楽しむ世界旅行』会場:世田谷美術館 1階&2階展示室会期:7月3日(土)~8月22日(日)時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌平日休館)※8月9日(月・祝)は開館、翌8月10日(火)は休館料金:一般200円/65歳以上100円/大高生150円/中小生100円公式サイト( )
2021年06月17日東京都世田谷区にある、『世田谷美術館』。砧(きぬた)公園内にある同美術館は、豊かな自然とアートを楽しむことができ、近隣住民の憩いの場となっています。そんな憩いの場に訪れるのは、どうやら人間だけではないようです。美術館に現れた『小さな訪問客』が話題に!ある日の夕方、美術館の職員用通用口の前では、警備員と客の攻防が行われていました。何かの侵入を必死に防ぐ警備員。中に入ろうとしていたのは…!通用口の前にいたのはなんと、赤ちゃんタヌキ…!出典:世田谷美術館母親とはぐれてしまったのでしょうか。ちょうどスタッフが通用口を行き来する時間帯だったため、ドアが開く度に侵入を試みようとしていたそうです。まだ体の小さな赤ちゃんタヌキは、階段を下りるのが怖い様子。その後、スタッフに見守られながらゆっくりと階段を降り、最後は茂みへ帰っていきました。美術館に現れた珍客に、ネット上ではこのような声が寄せられています。・かわいい…!無事お母さんの元へ帰れるといいな。・きぬた公園に、『たぬき』が現れたのか!・なんてかわいいお客様…。ずっと見ていられる。美術館に現れる珍しい客といえば、広島県尾道市の『尾道市立美術館』へやって来る猫も有名ですよね。美術館にやってきた『珍客』警備員とのやり取りに、心がポカポカどうやら美術館には、人間だけではなく動物も引き寄せる不思議な力があるようです…![文・構成/grape編集部]
2021年06月04日上質な日本美術のコレクションで知られるアメリカのミネアポリス美術館の名品がならぶ展覧会『ミネアポリス美術館日本絵画の名品』が、サントリー美術館で6月27日(日)まで開催されている。ミネアポリス美術館(通称 Mia)は、アメリカ中西部にあるミネソタ州最大の都市・ミネアポリスに1883年に設立された美術館。約9万点のコレクションのうち1割を超える約9500点が日本美術のコレクションだ。本展は室町時代から近世までの日本絵画の流れを、Miaの充実したコレクションでたどっていくもの。また、展示作品の3分の1以上が日本に初めて里帰りするものだそう。展示風景より展覧会は、日本絵画の主要ジャンルを8章構成で紹介していく。第一章「水墨画」では、躍動感あふれる描写で鳥を描いた雪村のほか、迫力とかわいらしさが同居する山田道安の屏風などを展示する。雪村周継《花鳥図屛風》室町時代、16世紀山田道安《龍虎図屏風》室町時代、16世紀とくに、山田道安《龍虎図屏風》は、虎の表情や吹きすさぶ風の描写など、細部まで楽しめる作品だ。山田道安《龍虎図屏風》部分室町時代、16世紀山田道安《龍虎図屏風》部分室町時代、16世紀続く第2章「狩野派の時代」では、当時の主流派であった狩野派の作品を展示。仙人と童子を描いた狩野山雪の《群仙図襖》は、9名の仙人と童子が描かれた襖。それぞれの仙人の表情やポーズを描き分けている。狩野山雪《群仙図襖(旧・天祥院客殿襖絵)》江戸時代、正保3年(1646)画面右端にいる仙人は「劉海蟾(蝦蟇仙人)」。糸を通した小銭を使ってガマガエルと遊んでおり、その姿が愛らしい。狩野山雪《群仙図襖(旧・天祥院客殿襖絵)》部分江戸時代、正保3年(1646)第3章の「やまと絵―景物画と物語絵―」では、日本独自の絵画様式となったやまと絵を紹介。もともとは中国的な主題の「唐絵」に対して、日本の風俗や事物を主題にした絵を指していた「やまと絵」は、時代を経ていくうちに日本独自の絵画様式として発展していった。武蔵野の平野を描いた《武蔵野図屛風》はその一例だ。第4章の「琳派」も日本で生まれた独自の様式である琳派を紹介している。作者不詳《武蔵野図屛風》 江戸時代、17世紀第5章の「浮世絵」は、江戸時代に花開いた大衆芸術、浮世絵を紹介。葛飾北斎や東洲斎写楽などの誰もが知る浮世絵版画のほか、肉筆浮世絵も展示。江戸の文化がいかに豊かであったかを垣間見ることができる。三畠上龍《舞妓覗き見図》江戸時代、19世紀三畠上龍《舞妓覗き見図》部分江戸時代、19世紀三畠上龍《舞妓覗き見図》は、謎が多い対幅の作品。左幅には美しい舞妓、右幅にはまぶたをこじ開けている丁稚姿の少年の図が描かれている。作品の主題はなんなのか、現時点ではわからないが、インパクトが強い作品だ。そして、第6章の「日本の文人画〈南画〉」、第7章「画壇の革新者たち」、最終章「幕末から近代へ」と続く。とくに第7章の「画壇の革新者たち」は、伊藤若冲や曾我蕭白など近年人気が高い奇想の絵師たちの作品が並んでいる。伊藤若冲《鶏図押絵貼屛風》は若冲が好んで描いた鶏が並ぶ屏風。筆の濃淡を巧みに使った躍動感あふれる鶏が描かれている。曾我蕭白の《群鶴図屛風》は、若冲とはまた異なるスタイルで鶏を巧みに描いており、両者を見比べると、絵師の特徴をわかりやすく捉えることができる。伊藤若冲《鶏図押絵貼屛風》江戸時代、18世紀曾我蕭白《群鶴図屛風》江戸時代、18世紀本展は室町時代から近代に至るまでの日本絵画の魅力がわかりやすくまとめられている展覧会。豊富なジャンルの日本絵画のなかから、お気に入りの絵師や作品を見つけ出しにいってみよう。取材・文:浦島茂世【開催情報】『ミネアポリス美術館日本絵画の名品』4月14日(水)~6月27日(日)、サントリー美術館にて開催
2021年06月02日東京・六本木の森美術館が、2021年4月22日(木)にリニューアルオープンします。森美術館がリニューアルオープン森美術館が、約3か月の改修工事期間を経てリニューアルオープン。オンラインでのチケット販売やQRコード認証などを活用するとともに、土日休日料金やオンライン事前購入料金を設定し、より快適な鑑賞環境を整えます。ミュージアムショップ旗艦店「森美術館 ショップ」リニューアルにあわせて、ミュージアムショップの旗艦店となる「森美術館 ショップ」を六本木ヒルズウェストウォーク3階にオープン予定。森美術館オリジナルのロゴグッズや展覧会カタログ、森美術館ゆかりのアーティストの限定グッズ、限定作品を展開するほか、花器や酒器といった若手陶芸家が手がける陶磁器、デザイン雑貨なども取り揃えられています。また、「森美術館 ショップ」のオープンを記念して、同店ではモレスキン(Moleskine)のノート「カイエジャーナル」に奈良美智のドローイングをプリントした限定版を展開します。展覧会「アナザーエナジー展」を開催なお、森美術館のリニューアルオープンにあわせて、展覧会「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力──世界の女性アーティスト16人」がスタート。本展では、世界各地で創作活動を続ける70代以上の女性アーティスト16名を取り上げ、それぞれの初期作から代表作、そして本展のための最新作などからそのキャリアを多角的に紹介。【詳細】森美術館 リニューアルオープン開館日:2021年4月22日(木)住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階■森美術館 ショップオープン日:決まり次第告知※2021年4月28日(水)のオープンを予定していたが、4月25日(日)からの臨時休館に伴い延期場所:六本木ヒルズウェストウォーク3階営業時間:11:00〜21:00TEL:03-6406-6280限定グッズ例:奈良美智 モレスキン カイエジャーナル(3冊セット) 3,300円(税込)■展覧会「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力──世界の女性アーティスト16人」会期:2021年4月22日(木)〜9月26日(日)会場:森美術館【問い合わせ先】TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)
2021年05月19日