17世紀のオランダ絵画の黄金期を代表する画家ヨハネス・フェルメール作品が6点展示される、西日本では過去最大規模となる展覧会『フェルメール展』が2月16日(土)より5月12日(日)まで、大阪市立美術館にて開催される。それに先立ち、2月14日にオープニングイベントが行われ、展覧会ナビゲーターで音声ガイドのナレーターを務めた石原さとみが来場した。フェルメール展 <大阪展>チケット情報石原は、「大阪でしか展示されないフェルメール作品をどうしても観たかったので、今回はわがままを言って、来させていただきました。大阪展のみの展示となっている「恋文」は、のぞき見しているような感覚に陥る作品でした。実物を観る前に画集などで観ていたんですが、印象が全く違って、驚きと発見がたくさんありましたし、どんどん想像が膨らんでストーリーが浮かんできました。そして、「手紙を書く女」は特に好きな作品です。恋に焦がれている様子や切なさ、儚さが想像できるので、どんどん引き込まれていきました。また、日本初公開となる「取り持ち女」にはすごく迫力を感じました。コントラストの強さや彫の深い表情などが、いろんなメッセージを伝えているように感じて、圧倒されました」と語った。最後にフェルメールの魅力について石原は「私は、美術館に行くと必ず音声ガイドを付けて、歴史や文化などその絵の背景を聞くことで想像を膨らませながら観るのが好きです。また、私はお芝居の仕事でカメラの前に立つことが多いので、モデルの女性たちはフェルメールからどういうオーダーを受けたんだろうか、どのぐらい静止していたんだろうかと考えながら観たりするんですが、歴史を知らなくても、ただ好きか嫌いか感じるだけでもいいと思いますし、どんな見方でも正解だと思うので、ぜひ足を運んでいただいて本物に触れてほしいと思います」と語っていた。本展覧会では、初来日となる「取り持ち女」や大阪展のみの展示作品「恋文」以外にも、「手紙を書く女」などフェルメール作品6点に加え、ハブリエル・メツーら17世紀オランダ絵画39点も展示されている。『フェルメール展』は、2月16日(土)より5月12日(日)まで大阪市立美術館にて開催。取材・文:華崎陽子
2019年02月15日猫クリエイターによる合同写真展&物販展「ねこ休み展」冬の本祭が、2019年1月25日(金)から2月24日(日)まで、東京・浅草橋のTODAYS GALLERY STUDIOにて開催される。これまで55万人以上を動員してきた、人気の猫クリエイターによる、ねこの合同写真展&物販展「ねこ休み展」。SNSで人気のスター猫の写真をはじめ、キャットモチーフのグッズ販売などを行っている。「ねこ休み展」冬の本祭では、過去にふーちゃん、うらちゃん、ホイちゃんなどのスター猫を描き下ろした福嶋吾然有が、無防備な寝姿で人気の猫“どんぐり”とコラボレートした作品を展示。サイン・シリアル⼊りの複製ポスター、ミラー、マウスパッドなどのグッズも限定販売される予定だ。また、北海道で過ごすスター猫「ももとみらい」も初参戦。北国の四季の移り変わりとともにのびのびと過ごす猫たちの自由な姿を映した写真を展示予定だ。開催期間中の2月22日(金)の“猫の日”には、営業時間を22時まで延長。19時よりから「ミッドニャイトパーティー&ワークショップ」として、Mai Yamamotoによるオリジナルザビエルの作り方を初公開。通常つけていない鈴やリボンなどのデコレーションも、最大2個まで施すことができる。【詳細】「ねこ休み展」冬の本祭開催期間:2019年1月25日(金)~2月24日(日)11:00〜19:00※2月22日(金)猫の日のみ、22:00まで開館。会場:TODAYS GALLERY STUDIO住所:東京都台東区浅草橋 5-27-6 5F休館日:月曜日入場料:500円※3歳以下は入場無料出展者 : 34組■ミッドニャイトパーティー&ワークショップMai Yamamoto<オリジナルザビエルの作り方>参加費:1,800円+税日時:2月22日(金) 19:00〜 先着30名
2019年01月21日ねこの合同写真展&物販展「ねこ休み展」のスピンオフ企画「まるごとホイちゃん展 in ⼤阪」が、ルクア大阪にて開催。期間は、2019年1月16日(水)から21日(月)まで。「ねこ休み展」史上初の単独展開催となる本展。記念すべく第1回目の主役に選ばれたのは、「ねこ休み展」で⼈気の⽢えん坊猫“ホイップ”こと、通称“ホイちゃん”だ。まるで「チクワ」のようなユニークな模様の毛並みを持つホイちゃんは、その愛らしい姿からSNSで25万人超えのフォロワーを持つアイドル猫でもある。今回は、そんなホイちゃんに焦点をあてた新作や未公開作品を展示。また2.5メートルを超える超巨⼤化したホイちゃんと写真が撮れるフォトスポットも設置予定など、会場全体がホイちゃん一色に彩られる。ファンにはたまないグッズコーナーには、「ねこ休み展」ゆかりの作家陣とのコラボレーションアイテムも登場。<灯さかす>とタッグを組んだステッカーや、<marucoro chan>とコラボレートした「ホイちゃんこけし」など、会場でしか手に入らない限定グッズが並ぶ。さらに期間中は、先着入場者1000名に、ホイちゃんの姿を捉えたオリジナルポストカードを配布する嬉しい特典も用意。なお1月19日(土)と20日(日)には、ホイちゃんの飼い主である“ホイ主”も在廊する予定だ。【詳細】「まるごとホイちゃん展 in ⼤阪」期間:2019年1月16日(水)~21日(月)10:00〜21:00 ※最終⽇のみ19:00閉場休館日:なし場所:ルクア大阪 9階 LUCUAホール住所:⼤阪市北区梅⽥3-1-3⼊場料:300円 ※3歳以下無料※上記は予定の為、内容が変更になる可能性有り■アイテム例<灯さかす>ステッカー 2種 各700円<0313>オリジナルトートバッグ 2,400円<marucoro chan>ホイちゃんこけし 2,500円■入場者特典先着入場者1000名に、ホイちゃんのオリジナルポストカードがプレゼント
2018年12月28日箱根のポーラ美術館にて、絵画に描かれた「時間」の表現に焦点を当てる「名画の時間」展が、12月8日から2019年3月17日まで開催される。黒田清輝《菊》1912年(大正元) 油彩/カンヴァス絵画作品は時間と共に変化することも動き出したりすることもない。しかし、絵画に描かれた世界にはいくつもの「時間」が表現されている。わずかな時間を閉じ込めた「瞬間」だけでなく、同時代のモティーフを取り入れることで表される特定の「時代」や、文学作品と交わることで生まれる「物語性」など、その表現方法はさまざま。形を持たない「時間」とは、絵画においてどのように表現されるのか。また、近代において大きく変化した時間の概念は、人々の生活だけでなく画家たちの表現にも影響を及ぼしている。同展では、「瞬間」の情景や「時代」の空気、「永遠性」など、絵画における「時間」をテーマに、ポーラ美術館の1万点のコレクションから選んだ珠玉の作品約80点を展覧。形をもたない時間を描くために、画家たちがどのようにモティーフや表現方法を選んだのか、西洋絵画、日本の絵画、版画と幅広いジャンルの作品を通して探る。東信《Drop Time-菊-》2018年 ビデオ ©AMKKまた、特別企画として、フラワーアーティストの東信が、ポーラ美術館収蔵の花の絵画とコラボレーションした映像作品『Drop Time』シリーズを展示。同作は、黒田清輝の『菊』、ピエール・オーギュスト・ルノワールの『アネモネ』、秋の花々を思わせるオディロン・ルドンの『日本風の花瓶』の3点を生花によって再現。さらにその花々を数週間にわたり撮影し花の命の移ろいを記録することで、こぼれ落ちていくような時間を表現した映像作品だ。絵画に描かれた「時間」の表現を、東信によるコラボレーション作品を交えて体感できる機会となっている。【展覧会情報】「名画の時間」展会期:12月8日〜2019年3月17日会場:ポーラ美術館住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285時間:9:00〜17:00(入館は16時半まで)入館料:大人1,800円 シニア割引(65歳以上)1,600円 大高生1,300円 中小学生700円
2018年11月27日宇野亞喜良展「言語的絵画」が、銀座三越7階・ギャラリーにて、2018年11月21日(水)から12月4日(火)までの期間開催される。「言語的絵画」は、銀座の地で3回目となる宇野亞喜良の個展。「言語的絵画」のために描き下ろされた、言葉と絵画が調和した原画30点が集結する。中国や日本の掛け軸などに見られる、絵画と書を一緒に存在させる様式をベースに制作された原画には、幻想的に描かれた少女や動物と、言語・文章がコラージュされている。異なる次元の要素が組み合わせられた、宇野亞喜良ならではの耽美でミステリアスな世界観を楽しめる。会場には、原画の他、版画や、銀座三越先行販売の2019年イヤープレートも揃える。また、12月1日(土)には、宇野亞喜良が来店し、サイン会が開催される。【詳細】宇野亞喜良展「言語的絵画」会期:2018年11月21日(水)~12月4日(火) ※最終日は18:00閉場場所:銀座三越7階 ギャラリー住所:東京都中央区銀座4-6-16■レセプション日時:11月23日(金・祝)17:00~19:00■作家来店サイン会日時:12月1日(土)14:00~16:00※サイン会対象品は、会場にて購入した原画、イヤープレート
2018年11月22日その光景はまるで“借金回収”現場のようだった――。11月上旬、都内にある高級マンションの一室から大きな絵画を運び出す人物がいた。部屋に住んでいたのは三田佳子(77)の次男で、9月に覚醒剤取締法違反の容疑で逮捕された高橋祐也被告(38)。そして運びだしていたのは、三田の夫・高橋康夫氏(77)だ。高橋氏が息子宅から運び出していたのは、立派な額縁に入った縦70センチ×横50センチほどの油絵が2点。大切そうに車に載せると、マンションの駐車場から去っていった。「絵はもともと、三田さんが祐也さんに送ったもの。今回、初公判を前にして三田さんが康夫さんに“奪還”を命じたそうです」(三田の知人)三田といえば、これまでは息子に対する“過保護”ぶりが度々取り沙汰されていた。「祐也さんが最初に逮捕されたのは98年。当時、三田さんが18歳だった息子に月50万円の小遣いを渡していたと報じられました。最近では祐也さんが『母親はもう俺の言いなり。家族カードも持っていて、月に200万円使うことがある』と豪語していたといいます。ときには『もうお金がないの。これを売ってなんとかして……』と言って、絵画を送ったこともあったそうです」(芸能関係者)“アメ”を与えつづけてきた三田。しかし、今回ばかりは違っていた。高橋被告の逮捕時には《親としては、もう力及ばずの心境》とコメント。本誌10月30日号でも保釈金の支払いを拒否していたと報じるなど、一転して“鬼の厳しさ”をみせ始めていた。いったい、どんな心境の変化があったのか。11月14日放送の『めざましテレビ』(フジテレビ系)で、彼女は“過保護卒業”の真意について語っていた。「もう、私が何とかしてあげたいとかできないようになっちゃった。私には60年近くいっしょにやってきた俳優の仕事があって。それを辞めることはできないんです。彼は彼で一生懸命生きなきゃいけない。計算通りにいかないのが人生です。死にたいと思っても死んじゃいけない。生きている限りは頑張らなきゃだめよっていうことですよね」三田から飛び出した“絶縁宣言”。だが、それは見捨てるということではない。“本当の支援”がスタートしたことを意味する。「祐也さんの逮捕はもう4度目。手を差し伸べるのも限界だと感じたのでしょう。これまでは息子の再起を願って援助してきましたが、『逆に自立する機会を奪ってしまっているのでは……』という思いが芽生えてきたようです。そこで彼女はついに、心を鬼にすることを決意しました。それは、三田さんなりの祐也さんへの“エール”なんだと思います。今度こそ本腰を入れて、彼を更生させようという強い意志を感じます」(前出・芸能関係者)その一環として、冒頭の“借金回収”に踏み切ったのだ。「康夫さんは三田さん以上に甘やかしていました。そんな夫に三田さんも不満を抱いていたようです。しかしゆるぎない妻の決意をみているうちに、彼もついに折れたのでしょう。最近では、祐也さんの自宅マンションも引き払うことも視野に入れているようです」(前出・芸能関係者)実際、別の日には都内の不動産業者のもとを訪れる夫の姿があった。店をあとにした康夫氏の表情はどこか晴れやかだった。そこで本誌は“絵画回収”や“不動産処分”について詳しく聞くべく、三田のもとを訪れた。11月中旬、都内の自宅マンションから出てきた三田。本誌記者がこう切り出した。「祐也さんに何か言いたいことはありますか?」だが、彼女は「忙しいのでお答えできません」と繰り返し、立ち去っていった。そこで三田の所属事務所にも問い合わせたが、「プライベートなことなので、事務所としては関知しておりません」と答えるのみだった。
2018年11月20日英国の画家デイヴィッド・ホックニー(81)の絵画が米国時間15日、ニューヨークのクリスティーズでオークションにかけられ、9030万ドル(約102億3135万円)で落札された。これは、存命中の画家の作品としては史上最高額だとUSA TODAYが報じている。ホックニーはプールを題材とした絵画を多く手がけている。今回クリスティーズに出品されたのはそのうちの一つで、1972年に描かれた「芸術家の肖像画 – プールと2人の人物 – [Portrait of an Artist (Pool With Two Figures)] 」というタイトルの作品。USA TODAYはクリスティーズの戦後・現代美術部門のチェアマンであるアレックス・ロッターが「人々がホックニーの絵に望む全ての要素が、この作品には存在しています」と9月にコメントし、推定落札価格を8000万ドル(約90億円)としていたことも報じている。
2018年11月16日「フランス国立図書館版画コレクション ピカソ」展が、京都・新潟・山梨で開催される。20世紀最大の芸術家として知られるパブロ・ピカソ。絵画、彫刻、陶芸など様々なジャンルで功績を残した彼は、美術史上まれにみる多作家としても知られており、91年の長い生涯において版画だけでも2,000点以上を制作している。本展では、ピカソが見つめた西洋美術の伝統に着目し、彼の全時代を網羅したフランス国立図書館の珠玉の版画コレクションより厳選した89点を展示する。“ピカソの版画史”を辿る89点10代の頃から最晩年の1972年まで、およそ70年以上の全生涯にわたって作品を制作し続けたピカソ。その彼の作品のうち、本展では版画から油彩画まで彼の創作を多角的に紹介していく。なかでも、目を向けるのは彼が積極的に取り組んだとされる“主題”。恋多きピカソが描いたモデルたちと、彼が愛しモチーフとした動物を描いた作品の数々を展示するほか、ギリシャ・ローマ神話を着想とした「バッカス祭」「牧神」、さらに彼が長年追いかけた主題でもあり、故郷スペインの闘牛への情熱を込めた作品「ミノタウロスの物語」も展開する。“いい芸術家は模倣する”ピカソが賛辞する過去の巨匠たちのとともに展示彼が残した言葉の中に「いい芸術家は模倣する、偉大な芸術家は盗む」というものがある。自由自在に画風を変えて、革新的な美術表現をみせてきたピカソも時に、過去の巨匠たちの傑作から構図やモチーフを模倣し、自らの作品へと転用していたという。そこで、本展ではゴヤやレンブラントといった17世紀から19世紀にかけての過去の巨匠たちの作品も同時に展示し、版画や作品のカラー参考図版のパネル、セクションごとに設置された充実の作品解説パネルとともに、ひとつの作品に対してピカソが行った実験的な構図を考察。ピカソの挑戦の軌跡を垣間見ることができる。【詳細】「フランス国立図書館版画コレクション ピカソ」展■京都会場会期:2018年9月7日(金)~10月8日(月・祝) 会期中無休開館時間:10:00~20:00(入館締切:閉館30分前)※但し、百貨店の営業時間に準じ、変更になる場合あり。会場:美術館「えき」KYOTO住所:京都府京都市下京区 烏丸通塩小路下ル東塩小路町入館料(税込):一般 1,000円(800円)、高・大学生 800円(600円)、小・中学生 600円(400円)※( )内は前売および「障害者手帳」を提示者と同伴1名の料金。前売販売期間:2018年7月5日(木)~9月6日(木)※購入は美術館「えき」KYOTOチケット窓口(休館日を除く)、チケットぴあ(Pコード769-016)、ローソンチケット(Lコード53844)、など。■新潟会場会期:2018年11月3日(土)~12月16日(日)休館日:月曜日時間:9:30~18:00(観覧券の販売は17:30まで)会場:新潟市美術館企画展示室住所:新潟市中央区西大畑町5191-9観覧料:一般 1,000(800)円、大学生・高校生 800(600)円、中学生以下無料※()内は前売・団体(20名以上)、リピーター割引料金。※前売は一般のみ。※前売券の販売は11月2日(金)まで。セブン-イレブン(セブンチケット)にて取り扱いあり。■山梨会場会期:2019年1月12日(土)〜2月11日(月・祝)会場:南アルプス市立美術館住所:山梨県南アルプス市小笠原376
2018年08月31日「フェルメールの絵画の世界を小説にしたい」という思いから生まれ、絵画ファンとミステリーファンを熱狂させた世界的ベストセラー本を、アリシア・ヴィキャンデル主演で映画化した『チューリップ・フィーバー肖像画に秘めた愛』。アリシアをはじめ、デイン・デハーン、クリストフ・ヴァルツらが出演する本作からこの度、新たな場面写真が公開された。本作は、希少な品種の球根1個が邸宅1軒分に相当し、世界最古の経済バブル「チューリップ・バブル」がピークを迎えていた17世紀オランダを舞台に、アリシア演じるソフィアと無名の画家ヤン(デイン・デハーン)の許されない愛を描く。今回新たに公開された場面写真は5点。ソフィアとヤンの2ショットをはじめ、ソフィアの夫・コルネリス(クリストフ・ヴァルツ)、ソフィアの人生を見守るとともに、チューリップ取引の鍵を握る重要な人物である修道院長(ジュディ・デンチ)らの姿が写し出され、物語の世界へと引き込む。また、絵画を彷彿とさせるような写真も注目だ。そんな本作の魅力について、大ベストセラーとなった「怖い絵」の著者で、昨年41万人以上の来場者数を記録し話題となった「怖い絵」展の監修も務めた中野京子からコメントが到着。いち早く本作を観賞した中野氏は、「いまなお謎めいた画家のままで作品を通してしか彼に触れることはできません」と画家ヨハネス・フェルメールについて語り、「この映画のカメラはフェルメール世界へのオマージュに満ちています。窓辺で手紙を読む女性、鮮やかなブルーのドレス、女主人と女中の密やかな共犯関係、扉から覗き見するようなアングル、薄暗い室内に差し込む弱い光。どれもとても美しく聖性に満ち、外部の『チューリップ・フィーバー』との対比が鮮烈で、見どころですね」と述べている。『チューリップ・フィーバー肖像画に秘めた愛』は10月6日(土)より新宿バルト9ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:チューリップ・フィーバー肖像画に秘めた愛 2018年10月6日より新宿バルト9ほか全国にて公開©2017 TULIP FEVER FILMS LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
2018年07月21日『トゥームレイダー ファースト・ミッション』にて新生“ララ・クロフト”を熱演し話題となったアリシア・ヴィキャンデルが出演する、フェルメールの絵画の世界から生まれた愛の物語『Tulip Fever』(原題)が、『チューリップ・フィーバー肖像画に秘めた愛』の邦題で10月6日(土)より日本公開されることが決定した。■あらすじスペインから独立し「黄金時代」と呼ばれた17世紀オランダ。親子のように年の離れた、裕福なコルネリス(クリストフ・ヴァルツ)と結婚したソフィア(アリシア)の唯一の悩みは、夫が切望する跡継ぎができないこと。2人の間に燃えるような愛はなかったが、優しい夫に特に不満もなく、孤児となり修道院で育った彼女にとって、それは初めて味わう豊かで安定した暮らしだった。そんななか、夫が夫婦の肖像画を無名の画家・ヤン(デイン・デハーン)に依頼。キャンバス越しに見つめ合うヤンとソフィアは恋におち、若く情熱的な画家と許されない愛を貫きたいと願ったソフィアは、ある計画を思いつく。しかし、ヤンが2人の未来のために希少なチューリップの球根に全財産を投資したことから、思わぬ運命が立ちはだかる――。■絵画ファンとミステリーファンが熱狂! 世界的ベストセラーが映画化本作は、「フェルメールの絵画の世界を小説にしたい」という原作者、デボラ・モガーの思いから生まれたベストセラー小説を、『ブーリン家の姉妹』のジャスティン・チャドウィック監督が、『恋におちたシェイクスピア』でアカデミー賞を受賞したトム・ストッパードとモガーの共同脚本で映画化。球根1つの値段が邸宅1軒分の価値であった世界最古の経済バブルとして知られる「チューリップバブル」を背景に、若き肖像画家とその依頼主の妻との愛と運命を描いた物語だ。■アカデミー賞女優、アリシア・ヴィキャンデルが出演!主人公・ソフィアを演じるのは、『エクス・マキナ』『リリーのすべて』で知られ、『トゥームレイダー』のリブート版『トゥームレイダー ファースト・ミッション』では主演を務めたアリシア・ヴィキャンデル。フェルメールの代表作のひとつ、「真珠の耳飾りの少女」をオマージュした衣装や、フェルメール・ブルーのドレスをまとい、清楚だが身の内に熱い想いを秘めた女性を体現している。また、ソフィアと恋に落ちる若く美しい画家のヤンには、『アメイジング・スパイダーマン2』で敵役に大抜擢されたデイン・デハーン。さらに、夫のコルネリス役に『ジャンゴ 繋がれざる者』『007 スペクター』クリストフ・ヴァルツ、チューリップを栽培する修道院の院長役には『007』シリーズのジュディ・デンチが扮している。『チューリップ・フィーバー肖像画に秘めた愛』は10月6日(土)より新宿バルト9ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2018年06月19日ジョルジュ・ブラック 晩年の境地 キュビスムの創始者であるジョルジュ・ブラック。20世紀初頭、パブロ・ピカソとともに対象物の立体的な全容を平面上に表現するために、分割と再構成という手法で革新をもたらした重要な画家として知られています。本展覧会は、これまで日本ではほとんど紹介されてこなかった、ブラックが最晩年に取り組んだ「メタモルフォーシス」シリーズの一連の作品群が、絵画を含めてまとまった形で約90点も来日し、日本で初めて本格的に展示する大変貴重な機会です。メタモルフォーシスという言葉は…「変身」「変容」という意味。ブラックの絵画作品から発展させ、陶磁器、ジュエリー、彫刻などの装飾芸術に至る様々な形態への移り変わりが感じられるとともに、彼の絵画から立体への昇華や、最終的な目的である“すべての造形物への美化への挑戦”を汲み取ることができます。 美麗な立体への飽くなき探求 右)ジョルジュ・ブラックトリプトレモス(部分)ブローチ(金とルビー)サン=ディエ=デ=ヴォージュ市立ジョルジュ・ブラック‐メタモルフォーシス美術館蔵Archives Armand Israël 絵画である二次元作品から三次元に変容させるブラックの情熱は、ジュエリー作品に加えて、ガラス彫刻、陶磁器、タピスリー、ステンド・グラス他、装飾芸術に至る様々な形態へと変化させていきます。モチーフは一緒でも様々な表情を見せてくれるプロダクトから、素材と形態の組み合わせを変えながら永遠の命を与えようとする試みが感じ取れることでしょう。ブラックの絵画が貴石と貴金属によって立体に変容した様子を目にした、フランス文化大臣のアンドレ・マルローが「ブラック芸術の最高峰」と絶賛したジュエリーの数々においては、崇高な彫刻とも言えるほどに、貴石や金属の美しさに魅了された画家の美への飽くなき探求が結実しています。 絵画作品や平面作品にも注目 本展覧会では、ジュエリーをはじめとする三次元に変容した作品紹介していますが、その原点となるジョルジュ・ブラックの画業の重要な遍歴を辿れるような構成になっています。最初の作品といわれている18歳の頃に描かれた《モンソー公園》をはじめ、貴重なキュビスム絵画《静物》が出品される他、「メタモルフォーシス」の制作活動の根幹である平面作品も紹介されています。第1章に展示されている一連のグワッシュ画は、その後の立体作品が作り出される下絵となり、晩年のブラックによるエネルギーを込められた躍動的な作品群です。 ブラックの人生もメタモルフォーシス 右)ジョルジュ・ブラックペルセポネ陶器サン=ディエ=デ=ヴォージュ市立ジョルジュ・ブラック‐メタモルフォーシス美術館蔵Archives Armand Israël 81歳で亡くなるまでの3年間に取り組んだ「メタモルフォーシス」シリーズ。そこに至るまでの彼の人生を思うと、まさに「変容」の一言に尽きます。少年時代は家業をついで装飾画家としての修行を積み、18歳でパリ・モンマルトルに住みながら夜間講座で油彩画やデッサンを学びながら最初の淡い色彩の作品を手掛けたり、フォーヴィスムの影響を受けて色彩豊かな作品を描いたり…そして、セザンヌとピカソから影響を受けてキュビスムを創始するとモノトーンの作品を制作するなど、その画風を一つずつ紐解いていくと彼の変化をたどることができます。そして、そのキュビスム絵画を探求していくにつれ、鑑賞品を超えて装飾品として生まれ変わっていく様子も変容と言えるでしょう。本展覧会は、ブラックの集大成ともいえる晩年の境地にフォーカスしていますが、そこへの道のりに想いを馳せながら鑑賞してみてください。 【情報】ジョルジュ・ブラック展絵画から立体への変容 ―メタモルフォーシス会期:2018年4月28日~6月24日会場:パナソニック 汐留ミュージアム住所:東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階時間:10:00~18:00休館日:水曜日観覧料:一般1000円、65歳以上900円、大学生700円、中高生500円、小学生以下は無料※5月18日(金)国際博物館の日は入館無料会場
2018年05月22日直木賞作家・西加奈子による絵画展、「おまじない」「“i” beyond」展が東京・千代田区のAI KOWADA GALLERYで開催される。本展は西が「文学」と同じく情熱を傾ける「絵画」にスポットを当てた、2度目となる企画展示となる。孫係 “私たちは、この世界で役割を与えられた係なんだ。” ボール紙にクレヨン 550x460mm 2018©Kanako NISHI courtesy of AI KOWADA GALLERYこれまでも、小説のテーマを絵画でも制作してきた西。その作品は表紙絵や挿絵となり、ストーリーを理解する鍵となる存在でもあった。クレヨンが油絵の具のように厚く塗り重ねられた段ボールのタブローには、西の華奢な体に宿るエネルギーが放出され、力強さに溢れている。西は小説を通し、自己のアイデンティティに悩み、途方に暮れる人々の背中を“あなたはあなたのままでいい”と押し続けてきているが、そのメッセージは絵画にも投影されている。西が画材としているのは、幼少時から親しんでいるクレヨン、そして通っているスーパーで譲り受けるという段ボール 。正式な美術教育を受けず身近な素材を“画材”とし 、表現するという西独自の制作スタイルは、 ニューヨークなどの街角で、描く素材や場所を選ばず、さまざまな社会問題を訴えてきたストリート・ アーティストの姿にも重ねられる。今回の作品展は前期「おまじない」と、後期「“i” beyond」に分けて行われる。前期「おまじない」では、先月刊行された、10年ぶりとなる短編集『おまじない』(筑摩書房、2018)にも表現される心の“ゆらぎ”や“不安定さ”をも見事に表現。夕焼けのように赤く染まる空をバックに煙を吐く煙突や、こちらを見上げる子犬の何か言いたげに揺らぐ瞳、地を這うカタツムリの滑らかな躰と魅惑的な殻模様。具体的な輪郭を与えられて描かれたそれらは優しい印象を持つ一方、不安定さも感じさせる。本展では、短編集それぞれの物語にあわせて描き下ろされた、具象絵画8点を展示する。後期「“i” beyond」は、小説 『 i(アイ)』(ポプラ社、2017)の刊行とともに本ギャラリーで開催された「インスタレーション “i”」 を、再構成したもの。ギャラリー全体を力強いストロークで描き上げた波や渦で埋め尽くし、西の表現世界に包まれる空間インスタレーションは、小説の登場人物たちの心の機微を追体験させ、たくさんの観客を圧倒。今回、そのインスタレーションを、「“i” beyond」というテーマで、個別のタブローとして再構成している。西が様々な色彩を自在に操りながら、鮮烈な生命観を描いた抽象絵画、13点が展示予定だ。小説を読んでなくても、西加奈子の豊穣な表現世界を体験できる貴重な機会となる。 【イベント情報】西加奈子「おまじない」「“I” beyond」会期:前期(「おまじない」)6月10日〜6月24日/後期(「“i” beyond」) 6月30日〜7月16日会場:AI KOWADA GALLERY住所:東京都千代田区外神田6丁目11-14 3331 Arts Chiyoda 2F時間:14:00〜18:00 ※会期中無休入場無料
2018年05月14日旅するような展示構成 珠玉のコレクションを所蔵していることで知られているモスクワのプーシキン美術館。古代エジプトから近代までの絵画、版画、彫刻を収蔵し、印象派を中心とするフランス近代絵画コレクションは世界屈指と言われています。本展覧会は、プーシキン美術館より“風景画”をテーマにし、初来日となるモネの《草上の朝食》をはじめ、ルソーの《馬を襲うジャガー》のほか、ロラン、ブーシェ、コロー、ルノワール、セザンヌ、ゴーギャンのフランス近代絵画65点が来日します。初夏の爽やかな風が吹き抜ける上野で、巨匠たちが愛した光と色彩が躍る、美しい風景を楽しめる「旅」をどうぞお楽しみください。 風景画の展開 風景画…現在では美術のジャンルとして確立しており、まるで絵画と同時期に誕生したかのように思えますが、クレタ島の宮殿壁画やポンペイの中のフレスコ画を除けば、17世紀まで確立していませんでした。本展覧会の第一部では、17世紀末の神話や聖書の物語を題材にした風景画にまでさかのぼり、19世紀からヨーロッパでは自然主義が主流となった、自然への賛美が感じられる情景を切り取った風景画に触れています。写真(右)のクロード・ロラン《エウロペの掠奪》は、フェニキアの王女エウロペに一目惚れしたゼウスが白い牡牛に姿を変身し、侍女たちと花を摘んでいたエウロペに近づいて、一瞬にして彼女を連れ去ってしまうシーンを描いた作品。暴力的な場面とは対照的に美しい自然が広がっている背景には、風が波を立てる様子や大きな木々、洋上の船などが丁寧に描かれ、理想的な風景が生み出されていますね。 印象派以降の風景画 クロード・モネ《草上の昼食》 1866年 130×181cm 油彩・カンヴァス本展覧会の第二部では、風景画に描かれている場所に着目した構成になっています。19世紀中頃から「パリ大改造」が行われた忙しない大都市パリの街並みや、鉄道網が発達したことからレジャーを楽しみ郊外に目を向けた作品。さらには南フランスや海辺、そして海を渡ってタヒチまで、果ては想像の世界へと、自然豊かな風景を表現しています。こちらはポスターにも使用されているモネの《草上の朝食》。本作品は、当時26歳のモネがみずみずしい感性で描いたもので、銀杏の木から溢れる木漏れ日の表現方、モネの才能溢れるタッチを感じ取れることでしょう。 風景画から読み解く 数々の風景画が教えてくれるのは、神話や聖書の物語をはじめとし、その時代を生きる人々の暮らしだけではなく、情景を切り取った筆跡から、画家自身の個性が読み取れます。また、それぞれの画家が捉えた世界の見方は、私たちに光と影が織りなす世界の美しさを教えてくれることでしょう。是非、多様なスタイルで表現した風景画の旅に出かけてみてはいかがでしょうか。 【情報】 『プーシキン美術館展――旅するフランス風景画』 会期:2018年4月14日(土)~7月8日(日)会場:東京都美術館 企画展示室(東京・上野公園)時間:9:30~17:30※金曜は20:00まで ※入室は閉室の30分前まで休館:月曜日(ただし、4月30日は開室) 【プレゼント応募】本展覧会の無料鑑賞券をプレゼント致します。件名に【『プーシキン美術館展――旅するフランス風景画』『チケットプレゼント】に加え、下記の情報を記入の上、info@pelulu.jp宛にメールにてご応募下さいませ。名前(漢字/カナ)郵便番号住所電話番号Q1:pelulu.jp内で今までで面白かった記事3つをあげるとしたら?Q2:今後pelulu.jpで取り上げて欲しい記事を3つあげるとしたら?応募締切日:6月24日プレゼント当選者は発送をもって代えさせていただきます。
2018年04月28日世田谷文学館は、宿命的放浪の作家・林芙美子の原稿・書簡・絵画など約250点の資料を紹介する展覧会「林芙美子 貧乏コンチクショウ ―あなたのための人生処方箋―」を4月28日から7月1日まで開催する。幼少期の行商生活を経て、職を転々としながらも詩や童話を書き続けた林芙美子は、自らの貧困生活へ立ち向かうように、生きる苦しみを吐露し、血みどろの人生を奔放な文体で表現した。とりわけ『放浪記』は、映画やテレビドラマ、舞台などに姿を変え、ひた向きに力強く生きる女性を描いた名作として戦前・戦後を通じて多くの読者を魅了し続けている。林は1925年、世田谷区太子堂の二軒長屋で詩人・野村吉哉と暮らした。肺を患った野村は暴力的で、争いが絶えない辛い生活だったが、近隣に暮らす作家仲間に支えられた時期でもあった。しかし、翌年には野村と別れ世田谷を離れる。新宿区中井に自宅を構えるまで、住まいを転々とし旅を愛した林。その作品は作者自身の前向きな人生観に裏打ちされ、労苦の多かった人生経験がその奥行を形作っている。本展では、林の言葉を現代の私たちへのメッセージ、“幸福に生きるための処方箋”と捉え、約250点の資料で紹介する。『放浪記』 改造社 1930年見どころは、今も昔も変わらない、若者の貧困と悩み。職を転々とし食いつなぐ生活をしていた林の青春時代は、現代のワーキングプアにも通じる厳しいもの。本展では、林の人生をプレカリアートの視点で読み解き、「家族」「世田谷」「男女」「貧乏」「生きる」の5章構成(予定)で展示。力強い詩や言葉にも注目。散文の中に詩を挿む方法を好んで用いた林。特に『放浪記』は、センテンスごとに改行し余白をとる日記体文章のため、1日分の記述が一編の詩の様相を呈している。自らの気持ちを思うがまま吐露した野性味あふれる林の言葉は、彼女の自由奔放な精神と相まって、飢えや貧困を吹き飛ばし、時代を超えて私たちを励まし続ける。今回、林の詩を持ち帰ることが出来る「コンチクショウカード」も用意。展示を巡りながら全20種類のカードを収集し、心に触れた詩の一節を人生の処方箋にしてみては。この他、林の選りすぐりの詩が掲載されると共に、自分の言葉を綴ることが出来るオリジナル手帖「コンチクショウ手帖」をミュージアムショップで販売する。関連イベントとして、4月28日の14時から15時まで1階文学サロンにて、新宿歴史博物館ボランティア朗読の会・ふみのしおりによる「朗読会 林芙美子を読む」、6月30日の14時と16時半には2階展示室にて、昭和の香りが漂う日本の雑芸レヴュー団・デリシャスウィートスが登場する「朗読ショー★貧乏コンチクショウ」を開催。5月26日の13時半から16時半には、林が晩年の10年間を過ごした新宿区・中井の家を訪ねる「フィールドワーク 芙美子のまちを歩く・落合篇」を実施する。各イベントの申し込み方法や詳細は公式サイト()にて。さらに、6月2日の10時から15時には、セレクト書店、ワークショップなどを展開するミニマーケット「セタブンマーケット+烏山下町まつり」が開催される。思春期を広島県・尾道で過ごした林にちなみ、「ひろしまブランドショップTAU」より広島のグルメが並ぶ。なお、当日は展覧会も無料となる。【展覧会情報】林芙美子 貧乏コンチクショウ ―あなたのための人生処方箋―会期:4月28日〜7月1日会場:世田谷文学館時間:10:00〜18:00(入場・ミュージアムショップの営業は17:30まで)料金:一般800円(640円)、65歳以上・高校・大学生600円(480円)、小・中学生300円(240円)、障害者手帳をお持ちの方400円(320円)※( )内は20名以上の団体および「せたがやアーツカード」割引料金※4月28日・6月2日は観覧料無料、5月4日は65歳以上無料休館日:月曜日(月曜日が休日の場合は開館、翌日休館)
2018年04月27日女優・のん初となる個展「‘のん’ひとり展 -女の子は牙をむく-」が、2018年4月19日(木)から5月8日(火)まで、東京・渋谷のギャラリーエックス バイ パルコ(GALLERY X BY PARCO)で開催される。女優だけでなく、モデル、ミュージシャン、絵描きと多くの顔を持つのん。自身初となる個展となる本展では、のんが打ち出したコンセプト「女の子は牙をむく」をもとに描き下ろした絵画、立体物、インスタレーションを中心に、スケッチ、自作の衣裳、コンセプトにあわせてセレクトされた過去作品など、様々な形態のアート作品を展示する。展示物の中には、一見「抽象的」に見える作品を、‘のん‘自らが身体を使い、また演出を加えることでより「具体的」な作品に落とし込んだ写真作品があり、その両方の作品を比較しながら鑑賞出来るのも本展の見どころの1つとなるという。そのほか、牙をモチーフに本人がペイントしたTシャツやトートバッグなどのオリジナルグッズの販売、コラボカフェメニューの展開、‘のん’率いるガールズバンド「のんシガレッツ」初となるワンマンライブの開催など、自由でオリジナリティ溢れる“のんワールド“の詰まった内容となっている。【開催概要】「‘のん’ひとり展 -女の子は牙をむく-」開催期間:2018年4月19日(木)〜5月8日(火)場所:ギャラリーXバイパルコ(GALLERY X BY PARCO)住所:東京都渋谷区宇田川町13-17 スペイン坂路面営業時間:11:00〜20:00 ※会期中無休入場料:500円(おみくじ付)■クロージングイベント「のんシガレッツ」ワンマンライブ開催日:2018年5月8日(火)会場:渋谷クラブクアトロ前売りチケット価格:4,000円発売日:4月7日(土)スペシャルゲスト:大友良英、高野寛、弓木英梨乃(KIRINJI)
2018年04月06日空想の世界遺産を巡る旅へ出かけよう!2018年3月23日(金)より表参道「SO CAL LINK GALLERY」にて開催される「未来世界遺産展」。誰もが一度は想像したことのある“未来にあるかも知れない世界遺産”を、5m~10mと圧倒的なスケールで描いた絵画たちは、見る者の心を奪う本格的芸術体験をもたらしてくれるでしょう。映画に登場しそうな世界遺産や絶景の絵画は、「ずっとそこにいたくなる」「一生に一度でいいから行きたくなる」そんな不思議な感覚にさせてくれます。3点の絵画はストーリーとして楽しめる!?絵画の前では、その街であった出来事や心温まるエピソードなどが日記として書かれた手紙が渡されます。絵の中とリンクしている手紙は、実際の絵画の中からその場所を探すことも。見るだけでなく、手紙と照らし合わせて楽しめるギミックも用意されています。展示される3点の絵画は一つのストーリーになっているので、一緒に旅をしているような感覚を味わうことができるでしょう。最後の絵画の手紙には感動的な物語が秘められているのだとか。インパクト大の巨大絵画に、素敵な物語が隠された「未来世界遺産展」。入場無料なので普段美術館などへ足を運ばない方にも、気軽なイベントとしておすすめです。イベント情報イベント名:未来世界遺産展催行期間:2018年03月23日 〜 2018年03月25日住所:東京都渋谷区神宮前4-9-8
2018年03月16日印象派を代表する画家、クロード・モネの魅力に迫る絵画展「モネ それからの100年」を、横浜美術館で開催。クロード・モネ 「睡蓮」1906年吉野石膏株式会社(山形美術館に寄託)ひたすらに風景を見つめ、描き続けたモネの絵画は、今もなお人々を魅了する。モネが最晩年、集大成となる大作『睡蓮』に着手してから約100年、豊かな色彩のハーモニーが観るものを包み込むこの作品は、以降の美術史に与えた影響を顧みる際にしばしば引き合いに出される。しかし、モネの長いキャリアを改めて俯瞰すると、そのあらゆる時期の作品に画家の独自性、先駆性が刻印されていることに気がつく。本展では、モネの初期から晩年までの絵画25点と、後世代の26作家による65点とを一堂に展覧し、両者の時代を超えた結びつきを浮き彫りにする。「印象派の巨匠」という歴史化された肩書きを超え、いなもなお生き続けるモネの芸術の豊かさ、その普遍的な魅力に迫ることができる。本展を通して、それぞれのモネに対する「好き」の理由を見つけてみては?【展示会情報】モネ それからの100年会期:7月14日~9月24日会場:横浜美術館住所:横浜市西区みなとみらい3-4-1時間:10:00~18:00(9月14日~15日は20:30まで)※入館は閉館の30分前まで料金:一般 1,600円(1,400/1,500円)大学・高校生 1,200円(1,000/1,100円)中学生 600円(400/500円)※小学生以下無料※( )内は前売り/有料20名以上の団体料金(要事前予約、美術館券売所でのみ販売)休館日:木曜日(8月16日は開館)
2018年03月12日渋谷ヒカリエの8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Galleryにて、小山登美夫ギャラリーのコレクション展を3月14日から4月2日までの期間で開催する。©Midori Sato小山登美夫ギャラリーでは、これまで国やジャンルを超えて多岐にわたるアート作品を紹介してきた。本展ではこれから展覧会を予定しているアーティストを中心に、ベンジャミン・バトラー、風能奈々、デニス・ホリングスワース、ライアン・マッギンレー、三宅信太郎、パウロ・モンテイロ、長井朋子、野田敏明、佐藤翠、シュシ・スライマン、リチャード・タトルなど選りすぐりの作品を展示する。絵画、彫刻、陶芸など多面的にアートに触れられる本展。展覧会詳細はホームページ()にて。【展覧会情報】小山登美夫ギャラリー コレクション展 3会期:3月14日〜4月2日会場:8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery住所:東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ8階時間:11:00〜20:00会期中無休、入場料無料
2018年03月12日ヨーロッパの巨匠による作品が一堂に集まるゴージャスな展覧会、『プラド美術館展ベラスケスと絵画の栄光』がはじまりました。そのプレス内覧会に潜入、 公式プレゼンターをつとめる及川光博さんのコメントも聞いてきました!スペインから名画が来日!【女子的アートナビ】vol. 102日本スペイン外交関係樹立150周年を記念して開催されている『プラド美術館展ベラスケスと絵画の栄光』では、スペインを中心にイタリアやフランドルの絵画など61点と9点の資料を含めた約70点を展示。ベラスケスやルーベンス、ムリーリョなど17世紀を代表する巨匠たちの作品をまとめて見られるまたとないチャンスです。ベラスケスって?ところで、タイトルにも出ているベラスケスとは、いったいどんな人なのでしょう?ディエゴ・ベラスケス(1599~1660)はスペインを代表する画家で、西洋絵画史においても最重要クラスに属する巨匠のひとり。美術愛好家として知られる国王フェリペ4世に気に入られ、宮廷画家として大活躍した人です。しかもベラスケスは王室侍従代や王宮建設の検査官兼会計官などさまざまな職に任命され、美術品の買い付けなども担当。1652年には王宮の重要ポストである王宮配室長にまでのぼりつめ、多忙を極めます。忙しすぎて過労死したという説もあるようですが、画家という職業があまり高い地位ではなかった当時のスペインでは異例の大出世を果たし、最後は貴族の称号も手に入れました。過去最大級のベラスケス7点は必見!それでは、見どころを数点ピックアップしていきます。やはり見逃せないのが、ベラスケスの作品です。彼の絵画は、プラド美術館で貸し出しを制限しているほど大切に扱われているので、7点一挙に日本で見られるのは今回がはじめての機会。国王の肖像画から宗教画まで、どれも見ごたえあるものばかりです。特に必見なのが、展覧会のメインヴィジュアルにもなっている作品《王太子バルタサール・カルロス騎馬像》。フェリペ4世の長男、バルタサール・カルロス王太子を描いた油彩画です。馬に乗っている姿は堂々として気品にあふれていますが、彼は当時5~6歳だったとのこと。王位継承者としての輝かしい未来が伝わってきます。将来を期待されていた王太子ですが、王位を継ぐことなく16歳で早世しました。同展の見どころは、スペイン絵画だけではありません。イタリアの巨匠、ティツィアーノの《音楽にくつろぐヴィーナス》やフランドルの画家ルーベンスの見ごたえある名画も来日しています。比較的大きな作品が多いので、絵の前に立つとその迫力や神々しさに圧倒されることもしばしば。絵画鑑賞の醍醐味をたっぷり楽しめる展覧会です。及川光博さんがコンシェルジュに?!プレス内覧会には、公式プレゼンターを務める歌手で俳優の及川光博さんが出席。とってもステキなコンシェルジュ姿で現れました。及川さんは、展覧会の公式サイトに掲載されているPR動画で「あるお屋敷に仕えるコンシェルジュ、ミッチー」として出演。この動画では、プラド美術館やベラスケス作品への愛を熱く語る及川さんの姿を見ることができます。また、展覧会の音声ガイドも担当。美術展のガイダンスをするのは初めてとのことですが、「みなさんのお耳汚しにならないよう注意を払いつつ、ほどほどに個性を吹き込んで収録しました」と仕上がりに満足されている様子。そして、展覧会を実際に見た感想を「本物の迫力はスゴイというものを感じましたね」と述べ、「どうぞ一度といわず二度三度といらっしゃっていただきたいと思います」と熱くPRしました。この展覧会に来たら、ぜひ及川さんの甘い声が聞こえる音声ガイドを借りてみてください。プラド美術館展の見どころやベラスケスの生涯など、興味深い話もたくさん聞くことができますよ。同展は5月27日まで上野で開催。その後、6月13日から10月14日まで神戸の兵庫県立美術館に巡回します。スペインの至宝をどうぞお見逃しなく!Information会期:~5月27日(日)休館日:月曜日※*3月26日(月)、4月30日(月)は開館時間:9:30~17:30(入館は開館の30分前まで) (金曜日、土曜日は20時まで)会場:国立西洋美術館料金:一般 1,600円/大学生1,200円/高校生 800円/中学生以下無料公式サイト:※本記事の写真は、プレス内覧会で主催者の許可を得て撮影しております。
2018年03月09日巨大絵画を展示する展覧会「未来世界遺産展」が、2018年3月23日(金)から3月25日(日)まで、東京・表参道の「SO CAL LINK GALLERY」にて開催される。「未来世界遺産展」は、"未来に発見されるかもしれない世界遺産の絶景"を、10メートルもの巨大絵画で体験することができる展覧会。ずっとそこにいたくなるような景色や、一生に一度は行きたくなるような絶景の絵画3点が展示される。絵画の前では、世界各地を巡る人からの手紙が渡される。その手紙には、その街であった出来事や心温まるエピソードなどが日記として書かれており、実際の絵の中にそのエピソードの場所を探すことができる。展示される3点の絵画は一つのストーリーでつながっており、最後の絵画の手紙には感動的な物語が設定されているという。絵の中と手紙の内容がリンクし、まるで一緒に旅をしているような感覚を味わうことができる。【詳細】「未来世界遺産展」開催期間:2018年3月23日(金)~3月25日(日)時間:10:00~20:00場所:表参道 SO CAL LINK GALLERY住所:東京都渋谷区神宮前4-9-8入場料:無料
2018年02月24日「オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展」が、2018年9月26日(水)から12月17日(月)まで、国立新美術館にて開催される。ピエール・ボナールは、19世紀末から20世紀前半にかけてフランスで活躍した画家。ゴーガンの周囲に集まった若い画家達が結成した「ナビ派」の一員であったボナールは、浮世絵の影響を受けながら躍動的かつ装飾性に富む作品を生み出し、"色彩の魔術師"、"日本かぶれのナビ"とも呼ばれている。今回の「ピエール・ボナール展」は、パリ・オルセー美術館の特別協力を得た大規模な回顧展。オルセー美術館のコレクションを中心に、140点以上の作品が集結する。絵画はもちろん素描や版画、写真など多岐にわたる作品を通じて、謎多き画家ボナールの魅力に迫る。会場ではボナールの作品をテーマ別に俯瞰できる章構成になっている。"日本かぶれのナビ"と題した章では、浮世絵のように平坦な色面構成を用いた作品や、掛け軸風の縦型作品などを通じて、日本美術がボナールに与えた影響を明らかにする。続く"ナビ派時代の版画作品"では、ボナールを一躍有名にしたリトグラフによるポスターや版画集を紹介。コダックの手持ちカメラで撮影した日常のスナップ写真から創造のプロセスを探るのは"スナップショット"。"近代の水の妖精たち"では、ボナール絵画の代名詞「浴室の裸婦」に、色彩や構図などの独自性を見出すことができる。「親密さ」をテーマに室内画を紐解く"室内と静物「時間の静止」"や、ボナールが滞在したノルマンディー地方などで描かれた風景画を紹介する"ノルマンディーやその他の風景"が続き、最後は晩年を過ごした南仏ル・カネの風景を中心に、色彩に溢れた"終わりなき夏"とも言うべき作品群で締めくくる。【詳細】オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展会期:2018年9月26日(水)~12月17日(月) ※毎週火曜休館開館時間:10:00〜18:00 ※金・土曜日は20:00まで、入場は閉館の30分前まで会場:国立新美術館 企画展示室 1E住所:東京都港区六本木7-22-2【問い合わせ先】ハローダイヤルTEL:03-5777-8600
2018年02月01日静岡県にあるベルナール・ビュフェ美術館では、開館45周年企画展「絵画と想像力 ベルナール・ビュフェと丸木位里・俊」を3月17日から6月12日まで開催する。同美術館の創設者・岡野喜一郎がビュフェの作品と出会ったのは第二次世界大戦の荒廃が残る1953年。戦争によって深く傷ついた人々を虚飾なく描き出し、戦後フランス美術史の出発点となったビュフェの表現は、復員兵であった岡野の心に深く刻まれた。本展は1950年代にフランスと日本で戦争の記憶を描き、社会現象ともいえる反響を生み出したビュフェと、丸木位里・俊の交錯に注目。絵画のもつ想像力を感じ取り、共有する場となるだろう。丸木位里・俊 《原爆の図 第三部 水》 1950 紙本淡彩(原爆の図丸木美術館蔵)(左隻)丸木位里・俊は、原爆投下後の広島を見た経験をもとに1950年から《原爆の図》の共同制作を開始。洋画の俊が堅牢なデッサンで人物を描き、これを押し流すように位里が水墨を重ねていくという、二人の激しいぶつかり合いの中で生みだされた作品は日本画と洋画、前衛と伝統といった美術史の枠組みではとらえきれない力で、現在もなお私たちに強く訴えかける。戦争がもたらした痛み、絶望、人間性の喪失などを、想像力によって絵画に表した三者の作品。彼らの作品が発表当時に共感と反感を呼び、また後の世代にとっても戦争の惨禍を追体験させるものであり続けるのは、三者の絵画が見る人の想像力をかきたて、心を揺さぶる力を持つからではないだろうか。ベルナール・ビュフェ 《キリストの受難:笞刑》 1951 油彩、カンヴァスまた、3月18日には原爆の図丸木美術館学芸員で、国内外での丸木作品の紹介にも尽力している岡村幸宣氏と、神奈川県立近代美術館の館長であり、戦中・戦後の日本近代美術に関する展示を多数手がけてきた水沢勉氏による特別対談を開催。丸木夫妻の作品を中心とした、戦後の国内外の美術について語る。【展覧会情報】絵画と想像力 ベルナール・ビュフェと丸木位里・俊会期:3月17日〜6月12日会場:ベルナール・ビュフェ美術館住所:静岡県長泉町東野クレマチスの丘515-57時間:3月 10:00〜17:00、4月〜6月 10:00〜18:00(入館は閉館の30分前まで)料金:大人1,000円 高・大学生500円 中学生以下無料休館日:水曜日(5月2日は開館、祝日の場合は翌日休み)【イベント情報】オープニングイベント 特別対談「絵画-現実と想像 丸木位里・俊とその時代」岡村幸宣(原爆の図丸木美術館 学芸員)×水沢勉(神奈川県立近代美術館 館長)日時:3月18日会場:クレマチスの丘ホール時間:14:15〜15:45(13:30開場)定員:200名(要予約)参加費無料
2018年01月27日本邦初、巨匠ベラスケスの傑作7点が出品黄金期といえる17世紀スペインを代表するのみならず、西洋の美術史上もっとも傑出した画家のひとりであるディエゴ・ベラスケス。マドリードのプラド美術館では、彼が残したおよそ120点のうち、46点を所蔵していますが、国民的画家としての重要性から、まとまった数で貸し出される機会は極めて限られています。本展には重要作ばかり7点が出品され、日本で開催される展覧会では過去最高の作品数です。うち4点をここではご紹介します。バルタサール・カルロス(1629-46)はフェリペ4世の長男として生まれ、広大なスペイン帝国の王位後継者として国中の期待を一身に背負って育てられました。本作は、フェリペ4世がマドリード市外に作らせたブエン・レティーロ宮殿の心臓部「諸王国の間」で、両親である国王夫妻の騎馬像に挟まれて扉口の上を飾っていたものです。5-6歳の王太子は落ち着き払って指揮棒を掲げ、凛々しく馬の両前脚を高く上げて王国の未来の確かさと明るさを強調しています。しかし王太子は王位を継ぐことなく、16歳で早逝しました。背景の風景はマドリード郊外のグアダラマ山脈を描いたもので、それを描き出す流麗でよどみのない色彩、そして写実性は本作にスペイン風景画史における傑出した地位を与えています。ベラスケスの主君であり、稀代の美術コレクターとしてスペイン王室に膨大な絵画コレクションを築いたフェリペ4世(1605-65年)。トーレ・デ・ラ・パラーダの「王のギャラリー」を飾っていたこの肖像では、その場にふさわしく狩猟服を身に付け、猟銃を持ち、猟犬を従えて戸外に立つ姿で表されています。狩猟は単に王族の嗜みであっただけでなく、戦争のための訓練でもあり、その腕前は統治者の軍事的責務と力量を示すものでもありました。ベラスケスの近代性は、ここに華美な装飾や狩りの獲物などを描いていないだけでなく、像主が国王であることを示す一切の道具をも排除し、一人の男を極めて率直に、しかし威厳をもって表している点にあります。これは主にセビーリャで活躍した17世紀スペインを代表する彫刻家モンタニェース(1568-1649年)の肖像です。宮廷風の衣装に身を包んだ彫刻家は肖像を制作中に手を休め、鑑賞者の側に視線を向ける姿で表されています。線描のみで荒描きされた制作中の像は、髭の形などからフェリペ4世であることが明らかです。鑑賞者の側には肖像のモデルがいるはずの場面設定も含め、これを《ラス・メニーナス》に描かれる、ベラスケスの自画像の原型と見なすこともできます。故にこれは単なる彫刻家の肖像ではなく、彫刻が絵画同様に知的創造であり、高貴なる自由学芸の一分野であると称揚しているものと解釈されています。当時の宮廷では障害を持つ矮人や道化たちが「慰みの人々」として仕えていることが常で、ベラスケスは彼らの肖像を数多く制作しました。「バリェーカスの少年」として知られる本作の像主は、本名をフランシスコ・レスカーノと言い、王太子バルタサール・カルロスの遊び相手として宮廷に暮らした矮人でした。ここでベラスケスは堅苦しい王候の肖像画のしきたりから解放され、構図や人物のポーズ、表情などにおいて先例のない新たな試みを行っています。短い脚や大きな頭部といった特徴を大ぶりの筆致で包み隠すことなく表しながら、それでいて像主には国王や貴族と何ら変わらぬ、一人の人間としての尊厳が与えられているのです。展示概要ベラスケスが宮廷画家として活躍した当時のスペインは、他にも多くの芸術家を輩出するとともに、国王らにより未曾有の規模で芸術の擁護と収集が行われ、絵画の黄金時代が築かれました。とりわけ、ベラスケスを宮廷画家としたフェリペ4世は3000点を超える美術作品を集めたメガコレクターでした。本展は、「芸術」「知識」「神話」「宮廷」「風景」「静物」「宗教」の7つの章で構成され、スペインだけではなく、イタリアやフランドル絵画の作例を加えて、61点の油彩画と9点の資料によって、17世紀のマドリード及びスペインの国際的なアートシーンを再現します。開催概要東京展会期:2018年2月24日(土) – 5月27日(日)会場:国立西洋美術館 [東京・上野公園]〒110-0007 東京都台東区上野公園7-7開館時間:午前9時30分~午後5時30分(金、土曜日は午後8時)休館日:月曜日(3/26(月)、4/30(月)は開館)主催 国立西洋美術館、プラド美術館、読売新聞社、日本テレビ放送網、BS日テレ後援 スペイン大使館お問合せ:TEL.03-5777-8600 (ハローダイヤル)兵庫展会期:2018年6月13日(水) – 10月14日(日)会場:兵庫県立美術館 [神戸市]〒651-0073 神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1HAT神戸内主催 兵庫県立美術館、プラド美術館、読売新聞社、読売テレビ後援 スペイン大使館お問合せ:TEL.078-262-0901無料観覧券を5組10名様にプレゼント
2018年01月20日「アートたけし展」が、松坂屋名古屋店にて2017年9月30日(土)から11月18日(土)まで開催される。漫才師として一時代を築き、「コマネチ!」など伝説のギャグを次々と生み出してきたお笑い芸人「ビートたけし」。今では、俳優として、『アウトレイジ』などを手掛ける映画監督としても名を馳せ、「世界のキタノ」とも呼ばれる存在だ。漫才、お笑い、コメンテーター、司会者、俳優、映画監督、作家、歌手など、枚挙に暇もない程の様々な顔をもつ彼の出発点。それは、脳内に浮かぶ様々な一枚のビジュアルだという。「映画を撮るときは、まず1枚の絵もしくは写真が頭に浮かんで、そこからストーリーを作っていく」という北野の制作秘話は有名。また、「コマネチ!」も、あのポーズ=北野武の脳内に浮かんだ1枚のビジュアルといえる。本展覧会では、北野武の最も素に近い世界=「絵画」約100点を一堂に会する。 彼自らが手を動かし、ただただ「楽しいなぁ!」と夢中になり、無心で表現した世界が繰り広げられる。また、同展は、北野の希望により展示はノンコンセプト、作品はノンタイトル。「ビート」でも「キタノ」でもない第三の“たけし”、「アートたけし」の作品の数々を堪能できることだろう。【詳細】会期:2017年9月30日(土)~11月18日(土) 50日間(会期中無休)開場時間:10:00~19:30(最終日は18:00閉館、 入館は閉館30分前まで)会場:松坂屋名古屋店南館7階 松坂屋美術館住所:愛知県名古屋市中区栄3-16-1入館料:一般 1,200円、 高・大学生 800円、 小・中学生 500円(税込)※未就学児童無料
2017年10月01日特別展「ヴラマンク展 絵画と言葉で紡ぐ人生」が、山梨県立美術館にて開催される。期間は2017年9月2日(土)から10月22日(日)まで。20世紀初頭のフランスで、「野獣派(フォーヴィスム)」の旗手としてデビューしたのち、独自の画風で高い評価を得たモーリス・ド・ヴラマンク。画家として、そして文筆家としても活躍した彼の才能は、それだけに留まらないものであった。「ヴラマンク展 絵画と言葉で紡ぐ人生」ではそんな彼の多様な活動を振り返るとともに、独自の表現を探究したひとりの画家としての軌跡を追う。20世紀フランスの巨匠ヴラマンクヴァイオリン教師の父とピアノ教師の母の間に生まれたヴラマンクは、幼い頃から音楽の手ほどきを受けていた。さらに、15歳の時に自転車を買ってもらったことから、自転車レースにも興味を持つようになったという。18歳で結婚、19歳で長女が生まれてからは、ある時はダンスホールのオーケストラでヴァイオリンを弾き、またある時は自転車レースに出るなどして生活費を稼いでいた。芸術に興味をもっていたが、20歳で軍隊に入隊し、4歳年下の画家の卵アンドレ・ドランと出会い意気投合。軍隊を24歳の時に除隊したのち、ドランと共同でアトリエを借りて本格的に絵を描くようになった。独自の表現を確立するまで、マティスやセザンヌとの出会い画家のアンリ・マティスのすすめにより、展覧会デビューを果たした2人。彼らの絵画が集められた部屋は、「野獣(フォーヴ)の檻」と名付けられ、以来、彼らは「フォーヴ」と呼ばれるようになる。これをきっかけに画商がつき、ヴラマンクは絵画に専念することを決意した。「フォーヴィスム」様式で表現の探求を行っていた当時、没後1年のセザンヌの回顧展が開催された。ヴラマンクはセザンヌに触発され、画面空間の構成を改めて学ぶことに。とは言え、ヴラマンクはセザンヌから派生したキュビスムや抽象絵画などへ移行するわけではなく、終生キュビスムへは非難を示す。そして訪れたひとつの転機が第⼀次世界大戦。彼は、静かな郊外に移り住んで制作に専念。それから亡くなるまで33年間、風景や身近なもの、花などを描き続け、身の回りの自然に向き合った。特に、黒を基調とした風景画を得意とし、コントラストの強い色彩と震えるような筆遣いは彼ならではの手法。ぶれのない姿勢を貫いたことが、独自の表現を生み、彼の制作活動を大きく発展させた。【詳細】山梨県立美術館特別展「ヴラマンク展絵画と言葉で紡ぐ人生」会場:山梨県立美術館特別展示室会期:2017年9月2日(土)~10月22日(日)休館日:9月4日(月)、11日(月)、19日(火)、25日(月)、10月2日(月)、10日(火)、16日(月)開館時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)観覧料:⼀般 1000円(840円)、大学生 500円(420円)※( )内は20名以上の団体料金、前売料金、県内宿泊者割引料金※高校生以下の児童・生徒は無料※県内65歳以上の人は無料(健康保険証等持参)※障害者手帳持参で本人と付き添い1名が無料※前売券は山梨県立美術館にて、2017年8月2日(水)〜9月1日(金)まで販売問い合わせ先:055-228-3322
2017年08月12日近代日本画の巨匠、吉田博の絵画を展示する「生誕140周年 吉田博展 山と水の風景(YOSHIDA HIROSHI A Retrospective)」が開催される。東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館にて2017年7月8日(土)から8月27日(日)まで。「絵の鬼」吉田博今回開催される「吉田博展」では、明治から昭和にかけて風景画の第一人者として活躍した吉田博の作品を初期から晩年まで一挙公開。10代から「絵の鬼」と言われるほどの鍛錬を積み、欧米を中心に世界各国で活躍した吉田博の絵画の魅力を存分に楽しむことができる。自ら渡米しデトロイト美術館で個展を開催、名声を確立する吉田の名声を確固たるものにしたのは、確かな絵の腕はもちろんその行動力であるともいえるだろう。仏留学を国費での留学をせず、自費でわずかな生活費を持ち渡米、デトロイト美術館で作品を売り込み1000ドル分もの自らの絵を売り上げた。当時の1000ドルは、小学校教諭の生活費13年分に相当したという。これ以後、吉田は欧米で次々に展覧会を成功させていき、GHQマッカーサーやイギリス王室のダイアナ妃など海外の要人からも高い評価を得ていった。日本アルプスを美しく描く山岳画家としての顔も自然美に強く心惹かれていた吉田博。とりわけ高山への関心は高く、題材として多く起用した。毎年日本アルプスの山々に登っていたという吉田の自然への思いが伝わってきそうな美しい山々の絵画は見どころの一つだ。浮世絵を吉田流に再解釈した「木版画」アメリカで、風俗画としての浮世絵が人気であることに不満を覚えた吉田博は、後半生以降木版画に取り掛かった。洋画のタッチを基調に、高度な伝統技術を組み合わせ鮮やかな色彩表現を可能とした木版画は吉田の代表作となっていく。陽光のきらめきや帆船の影のゆらぎを見事に表現した「瀬戸内海集 帆船 朝」は、水を描かせたら右に出る者はいないといわれた吉田がその真骨頂を示した作品と言えるだろう。【詳細】生誕140周年記念 吉田博展 山と水の風景会期:2017年7月8日(土)~8月27日(日)※月曜日休館 (ただし7月17日・18日は開館)※会期中展示替えあり。記事中に紹介した作品は全会期で展示前期 2017年7月8日(土)~7月30日(日)、後期 2017年8月1日(火)~8月27日(日)会場:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館住所:東京都新宿区西新宿1丁目26−1開館時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)観覧料:一般1,200(1,000)円、大学・高校生800(650)円、65歳以上1,000円※かっこ内団体・前売り料金※中学生以下無料※障害者手帳提示で本人と付添の方一名無料※2回目以降は有料半券提示で一般800円、大学・高校生 500円、65歳以上 800円【問い合わせ先】ハローダイアルTEL:03‐5777‐8600
2017年07月01日東京・上野の国立西洋美術館で、2017年6月20日(火)から9月24日(日)まで「アルチンボルト展」が開催されています。アルチンボルトの代表作「四季」の《春》《夏》《秋》《冬》や「四大元素」の《水》《大気》《火》《大地》を含む作品、10数点が日本初上陸。開催前から大きな話題を集めている展覧会の見どころを、asoview!編集部員の取材を元に一挙大公開します!ジュゼッペ・アルチンボルトとは16世紀後半にウィーンとプラハのハプスブルク家の宮廷で活躍した、寓意的な肖像画が印象的な画家ジュゼッペ・アルチンボルト。1527年にイタリア・ミラノに画家の息子として生まれ、ウィーンやプラハで生活した後に、ハプスブルク宮廷のアートディレクターになります。宮廷の装飾や衣装のデザインを手掛け、伝統的な宗教画作家としても活躍しました。1560年代頃から描かれはじめた、野菜や果物、魚、花、道具といったモティーフを組み合わせた独特な肖像画が彼の代表的な作風として親しまれ、現在もなお世界中の人々を魅了し続けています。奇想と知、驚異と論理が交差する彼の絵画は、まるで暗号のよう。見ている人を絵解きの世界へと導きます。アルチンボルトの代表作「四季」「四大元素」が全点集結!今回の「アルチンボルト展」の最大の見どころは、やはり彼を代表する表現技法「寄せ絵」で描かれた作品の数々です。世界各地の主要美術館に所蔵された作品がこの度、西洋美術館に大集合します!アルチンボルトについてここまで詳しく紹介する展覧会はもちろん日本初の試み。ぜひ、この機会にユーモアあふれる知略の世界に浸ってみてはいかがでしょうか。自分の顔がアルチンボルト風肖像画に!「アルチンボルトメーカー」展覧会会場入り口にある「アルチンボルトメーカー」です。カメラの前に立つと、自分の顔がフルーツや野菜によって描かれ「アルチンボルト風肖像画」が完成します!似ているような似ていないような肖像画は、アルチンボルトが描いた作品をベースに、約200種の食べ物が組み合わされ「髪型」「目」「鼻」「口」「顔の輪郭」など様々な角度から分類・抽象化し、なんと人の顔を数百万パターンを描けるのだとか。「アルチンボルトメーカー」は、「アルチンボルトが、私の顔を描いてくれたら…」そんな夢が叶う開催期間中しか体験できない貴重な企画になっています。来場の記念にぜひ体感してみてください!Ⅰ アルチンボルトとミラノアルチンボルトの画家としての生涯は、大きく3つの期に分けられます。第一期(~1562年)はミラノでの修行時代・第二期(1562~87年)はウィーンやプラハに滞在し、ハプスブルク家の3代の皇帝に仕えた宮廷時代・第三期(1587~93年)は、成功をおさめた後にミラノへ帰郷し、後世への伝達に努めた6年間です。アルチンボルト展は、アルチンボルトがどのような経緯で「四季」や「四大元素」などの彼ならではの作品を書くに至ったかを辿ります。展覧会は、第一期に描かれた作品の展示からはじまります。アルチンボルトだけでなく、彼が影響を受けたレオナルド・ダ・ヴィンチなどの作品も多数展示されています。ステンドグラスの図案制作をしていた師であり父のビアージョと共に1540~50年代にかけてミラノで活躍し始めたアルチンボルト。彼の作風には、イタリア・北西部に位置するロンバルディア地方の自然主義(自然のありのままを観察し、「真実」を描く作風のこと)やレオナルド・ダ・ヴィンチ以来の科学的な観察をもとに描く精巧な作風が大きく影響しているのだとか。この時期に描き留められたイメージの数々が組み合わされ、のちに彼の代名詞である「寄せ絵」が誕生したと言われています。アルチンボルトが自ら描いた「自画像」です。油彩の作品が多い彼のイメージとは異なり、ペン一本で描かれるこの作品は画家の技が光ります。死後500年経った今でも注目され続ける画家、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品も。アルチンボルトの絵画にしばしば見られるグロテスクな表現やイメージは、自然観察を重視するレオナルド・ダ・ヴィンチの作品との関連が指摘されています。アルチンボルトの画家人生初期の作品も必見です。Ⅱ ハプスブルク宮廷アルチンボルトは、1562年にハプスブルク家の宮廷にやってきて以来、ウィーン・プラハにおいてフェルディナント1世・マクシミリアン2世・ルドルフ2世の三代の神聖ローマ帝国に仕えました。皇帝一家の肖像画を数多く手がける一方で、ハプスブルク宮廷の祝祭を取り仕切る演出家や美術品のバイヤーも務めていました。また、当時彼が住み込んでいた宮廷には付属の植物園や動物園があり、それら世界中から集められた数々の生き物が彼にさらなる想像・発想力を与えたと言われています。フェルディナント1世の娘、マルガリーテの肖像画です。絵画の他にも、当時宮廷で使われていた鉢や皿などの展示もあります。豪華な装飾品の数々は、宮廷の華やかな暮らしを物語ります。代表作の「四季」「四大元素」ハプスブルク宮廷の展示に続いて、いよいよ代表作「四季」「四大元素」などの「寄せ絵」の展示が始まります。16世紀中頃のルネサンス期が終わりを迎え、ルネサンスという「究極の芸術」を乗り越えるべく、試行錯誤した後に生まれたのがアルチンボルトの「寄せ絵」という傑作です。トリックアートのような、パズルのような彼の作品は、見る人を夢中にさせます。●「四季」これは、1563年に最初に描かれた連作「四季」の《春》です。アルチンボルトの作品でもっとも有名と言っても過言ではないこの作品は、四季の植物によって肖像画が構成され、若者の《春》から老人の《冬》まで、それぞれの季節が世代に対応するように構成されています。ちなみに、《春》《夏》は女性、《秋》《冬》は男性が描かれていると一説では囁かれています。ラテン語やイタリア語で「春」「夏」は女性名詞、「秋」「冬」は男性名詞と言うことから捩られているそうです。あまりにも最初の連作「四季」が好評だった為、その後数回にわたって「四大元素」など異なるテーマを題材としてた別ヴァージョンの絵が制作されます。●「四大元素」世界を構成する4つの要素《空気》《火》《土》《水》をテーマに構成され、「四季」よりもさらにモティーフが複雑に絡み合う連作「四大元素」。こちらの《水》は、62種の魚や海獣など水に関連する生き物によって描かれているのだとか!「四大元素」は、海の生き物や動物、鳥によって皇帝が描かれており、《水》もよく見るとウニのような生物のトゲによって王冠が表現されていることがわかります。顔はもちろん、身に着けている服や装飾まで動物で描かれています。0アルチンボルトの計算し尽くされた作品たちには、まだまだからくりが仕掛けられています。なんと、「四季」と「四大元素」も組み合わせて楽しめるように構想されているのです。例えば、《水》は冷たく湿っているので《冬》、《火》は燃えるように熱いので《夏》と対になっており、実際に展示も向かい合うように並べられています。Ⅲ 自然描写16世紀に印刷技術の発展と共に確立した「博物図鑑」という絵画ジャンル。ここでは、自然をいかにリアルに描くか、を追及した作家たちの作品が展示されています。1現在のように写真がない当時、生き物の生体を描写した絵画は知識の拡散に大きな役割を果たし、科学も著しく進歩しました。描かれ始めたときは、生物研究者や科学者の間で需要が高まっていましたが、やがて君主や貴族たちからも娯楽の一環として求められるようになります。アルチンボルトの連作も、彼が皇帝に仕えていた時代に宮廷の敷地内にあった動物園、植物園で描いた自然素描が応用されて構成されています。Ⅳ 自然の奇跡2これは、1547年のパリに一人連れてこられたカナリア諸島出身の少年、ペドロ・ゴンザレスの絵です。この少年は、胸や背中、さらには顔までもびっしりと長い毛が生えていました。現代では遺伝性の多毛症として知られていますが、当時は研究もされていなかったため、このあまりにも珍しい少年を好奇な存在として崇めました。アルチンボルトは寄せ絵の画家として「絵画の驚異」を生み出しましたが、多毛のペドロは事前が生み出した「生きる驚異」として受け止められていたことから、「驚異」という親和性のもとアルチンボルト展に展示されることになりました。Ⅴ 寄せ絵3アルチンボルトと同じ時代に、彼と同じような「寄せ絵」の手法を使った絵画がインドやイスラム、さらには江戸時代の日本でも見られるようになりました。ここでは、アルチンボルト以外の作家が描いた「寄せ絵」を見ることができます。Ⅵ 職業絵とカリカチュアの誕生アルチンボルトは、植物や野菜、動物だけでなく、本や樽などそれぞれの職業に関連したモティーフが組み込まれた、職人の肖像画も描いています。4ワイン樽やボトルで構成されていてる「ソムリエ」という職業絵。日本にある唯一のアルチンボルトの作品です。5宮廷に仕えていた学者が描かれたと言われている「司書」という作品です。どこか戯画的に表現された作風が職業絵の特徴で、「司書」では頭に本を乗せた“頭の固い学者”が描かれています。Ⅶ 上下絵から静物画へ上下どちらからも鑑賞できる作品は、以前から沢山ありましたが、アルチンボルトの描く「上下絵」のようにさかさまにするとまったく異なるイメージが現れるものはこれまでにありませんでした。「上下絵」は主に、アルチンボルトが故郷のミラノに戻った後に描かれました。67人にも見え、逆さまにすると食べ物の絵画にも見えるアルチンボルトの「上下絵」。これらの絵を、肉や野菜の静物画として見た場合、これらはイタリアにおける最初の静物画となります。イタリアで最初に独立した静物画を描いたのはカラヴァッジョやアンブロージョ・フィジーノと言われていますが、彼らは共にアルチンボルトと同郷のミラノ出身で、ほぼ確実に彼の作品を知っていたと考えられます。よって、彼の描いた「上下絵」はイタリアの静物画の発展にも画期的な役割を担った作品と言っても過言ではありません。オリジナルグッズもチェック!アルチンボルト展オリジナルの限定グッズも多数あります!お気に入りの作品が描かれたグッズは思わず欲しくなってしまいます。奇想と知、驚異と論理が交差するアルチンボルトワールド「アルチンボルト展」に、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。イベント概要名称:アルチンボルト展開催期間:2017年6月20日(火)~2017年9月24日(日)時間:午前9時30分~午後5時30分、毎週金・土曜日:午前9時30分~午後9時(ただし6月23日、24日は午前9時30分~午後8時)※入館は閉館の30分前まで休館日:月曜日(ただし、7月17日、8月14日、9月18日は開館)、7月18日(火)会場:国立西洋美術館 企画展示室所在地:東京都台東区上野公園7−7料金:一般1,600円、大学生1,200円、高校生800円※中学生以下は無料公式サイト:
2017年06月21日「怖い絵」展が、兵庫県立美術館で2017年7月22日(土)から9月18日(月・祝)まで、上野の森美術館で10月7日(土)から12月17日(日)まで開催される。テーマは「恐怖」。本展では、視覚的な怖さだけでなく、隠された背景を知ることで判明する恐怖を約80点の西洋絵画・版画の中で紐解いていく。“この絵はなぜ怖いのか?”その疑問の答えを探る場でもある、今までになかった新たな視点で作品に触れられる展覧会だ。中野京子著書シリーズ『怖い絵』をもとに本展は、作家・ドイツ文学者の中野京子によるベストセラー『怖い絵』というシリーズ化された書籍の刊行10周年を記念して開催される。著書でも紹介されたポール・ドラローシュの《レディ・ジェーン・グレイの処刑》、ハーバート・ジェイムズ・ドレイパーの《オデュッセウスとセイレーン》などの作品が、展覧会を通してよりダイナミックに表現される。展覧会へ足を運ぶ人に向けて、本記事では“この絵がなぜ怖いのか”を中野京子の解説を紹介する。知るからこそ見える恐怖の世界。ぜひ予習して臨んでほしい。ポール・ドラローシュ《レディ・ジェーン・グレイの処刑》本展の注目作品である《レディ・ジェーン・グレイの処刑》。縦2.5m、幅3mにもおよぶ、ポール・ドラローシュの大作は繊細な筆致と緻密な構成で描かれた圧巻の大作だ。1928年のテムズ川の大洪水により失われたと考えられていたが、1973年の調査で奇跡的に発見された。1975年の一般公開再開以来、瞬く間にナショナル・ギャラリーの代表作品となった奇跡の作品が初来日となる。ヘンリー8世の姪の娘として生まれたばかりに政争に巻き込まれ、望みもしない王冠を被せられたあげく、わずか16歳で死なねばならなかったジェーン・グレイ。この絵画には「9日間の女王」とも呼ばれる彼女が、今まさに処刑されようとしている風景が描かれている。手探りしている首置台に触れれば、彼女は司祭の助けをかりてそばに身を横たえ、処刑人の大きな斧の一撃を受ける。下に敷かれた藁は、夥しい血を吸いとるためのもので、首がころがる様をも想像させる。ハーバート・ジェイムズ・ドレイパー《オデュッセウスとセイレーン》半人半鳥または半人半魚の姿で、美声によって船乗りたちを惑乱させ、船を沈めたと言われる海の魔女セイレーン。マストに縛りつけられた古代ギリシャの英雄オデュッセウスは、彼だけ蜜蝋の耳栓をしていなかったため、セイレーンの歌声を聞いて狂乱し、海へ飛びこもうと身をよじる。その恐怖は見るものを巻き込んでいく。ドレイパーが描くセイレーンは、当時のイギリス人が理想とする若い美女そのもの。彼女らの下半身は海中では魚なのに、船べりによじのぼる時には白いエロティックな脚となり、腰には海藻が巻きついている。ウィリアム・ホガース『ビール街とジン横丁』より《ジン横丁》18世紀半ばのロンドン。イギリス国内でジンは原料も安く、税もかからず安く手に入れられたが、牛乳やお茶、そしてビールは高く、貧民街に住む人々はジンを飲むしかなかった。いつしか街の中では、子どもまでもが安酒のジンを飲み、地獄さながらの様相が繰り広げられていた。その模様がこの絵の中から読み取れる。本作品には対となる《ビール街》があるが、《ジン横丁》の悲惨さと対比的に、ビールを飲んで人生を謳歌する職人や商人が描かれている。作者のホガースは、警鐘を鳴らす意図で本作を描いたのかもしれない。「怖い絵」展 開催概要■兵庫会場会場:兵庫県立美術館住所:兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1会期:2017年7月22日(土)~9月18日(月・祝) ※月曜休館(9月18日は開館)時間:10:00~18:00(金・土曜日は夜間開館、20:00まで)※入場は閉館の30分前まで。料金:一般 1,400(1,200)円、大学生 1,000(800)円、70歳以上 700(600)円、高校生以下無料※( )内は前売料金(一般・大学生のみ)および20名以上の団体割引料金。※障がいのある方は各当日料金の半額(ただし70歳以上料金からの割引はなし)。その介護者1名は無料。※割引を受ける場合は証明できるものを持参。※県美プレミアム展の観覧には別途観覧料金が必要(本展とあわせて観覧する場合は割引あり)。問い合わせ先:兵庫県立美術館 078-262-0901■東京会場会期:2017年10月7日(土)~12月17日(日) ※会期中無休会場:上野の森美術館住所:東京都台東区上野公園1-2時間:10:00~17:00※入場は閉館の30分前まで。料金:一般 1,600(1,400)円、大学生・高校生 1,200(1,000)円、中学生・小学生 600(500)円※( )内は前売料金、および20名以上の団体料金。※小学生未満は無料。※障がい者手帳の提示、およびその介護者1名は無料。問い合わせ先:上野の森美術館 03-3833-4191
2017年05月25日ねこ業界での常識!?もりわじん さん可愛らしい笑みを浮かべる猫に、神々しい光を浴びた神様のような猫…。そんな豊かな猫の世界を作り上げるのがアーティスト もりわじんさん。日本で初めて猫を神仏像にしたねこアートの先駆者でもあり、ねこ業界では知らない人などいないのだとか。中でも全部で366体の「招きたん」は、356日プラス閏日の366体分の猫がずらりと並ぶ大作。自分の誕生日の猫が一体どんな表情を浮かべているのか見つけてみてください。浮世絵の猫を立体化小澤康麿 さん浮世絵を立体化した陶芸作品で知られる小澤康麿さん。本展で大注目すべきは、歌川国芳「猫飼好五十三疋」をすべて立体化した作品群です。ころんと転がる猫や、茶目っ気たっぷりに魚をくわえる猫など、細部までこだわり抜かれた猫たちがずらりとお出迎えしてくれます。彩り豊かな猫たちの表情に釘付け石渡いくよ さんまた花見を楽しんでいる様子が描かれた床の間には、踊る猫又たちの愉快な姿が。和室の装飾ともマッチングした作品は、ひとつの大きなアート空間となり鑑賞者を楽しませてくれます。満面の笑みを浮かべた猫や少し恐ろしい妖怪のような猫など、幅広い表情を浮かべた猫たちにハッと目が奪われます。またこの猫たちが着ている衣は、全て石渡さんの蒐集した貴重な着物の数々。一体一体その子に合う着物を作っているのだとか。人形に使われている髭は本物の猫の毛ということもあり、リアルな猫とどこか人間のようなユーモラスな猫が交差しあった重厚な作品群は必見です!取材・文/おゝしろ実結イベント情報イベント名:「福ねこ at 百段階段」展〜和室で楽しむ ねこアート催行期間:2017年04月26日 〜 2017年05月14日住所:東京都目黒区下目黒1−8−1ホテル雅叙園東京東京都指定有形文化財「百段階段」電話番号:03-5434-3140
2017年05月06日ロシアの女帝エカテリーナ2世のコレクションが基礎となり、日々進化し続けるエルミタージュ美術館。16世紀〜18世紀にかけて芸術分野における巨匠やその作品群は“オールドマスター”と呼ばれ、今なお多くの人々を魅了し続けています。そんなオールドマスター傑作の数々が、この春六本木に大集結。珠玉のコレクションを、ぜひその目で確かめて。珠玉のオールドマスター作品が目の前に18世紀、女帝エカテリーナ2世が美術品収集をはじめたことをきっかけに生まれたエルミタージュ美術館。エントランスを入ってすぐのエカテリーナ2世の肖像は、まるで「どうぞ私のコレクションを見ていって」と彼女が出迎えているかのよう。16世紀ルネサンス時代のティツィアーノや、17世紀オランダ市民絵画を代表するレンブラント、18世紀フランスを象徴するロココ主義のヴァトー。名だたる巨匠の作品が集結した本展は、エルミタージュ美術館展の決定版となっています。趣向を凝らした展示方法にも注目して展示室内は章ごとに赤や緑、金色など章のイメージに合った色で分かれています。同時代の作品を地域別に分けた本展は、それぞれの国の当時の風潮や雰囲気を味わうのにもうってつけです。またエカテリーナ2世の在位中に取得された作品のキャプションには王冠マークがついており、彼女の趣味趣向などを空想するのも楽しそう。巨匠の作品だからと身構えず、自分ならではの楽しみ方を見つけられるのも本展の魅力のひとつです。取材・文/おゝしろ実結イベント情報イベント名:大エルミタージュ美術館展オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち催行期間:2017年03月18日 〜 2017年06月18日住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階森アーツセンターギャラリー電話番号:03-5777-8600(ハローダイヤル)
2017年04月18日