夏目深雪さんの水先案内をもっと見る()植草信和さん(フリー編集者、元キネマ旬報編集長)「……俳優といい監督といい、韓国は有能な映画人の宝庫のようで羨ましくもある……」植草信和さんの水先案内をもっと見る()(C)2021 MegaboxJoongAng PLUS M & SEE AT FILM CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
2022年08月07日ソル・ギョング、イ・ソンギュン初共演の話題作『キングメーカー大統領を作った男』よりインタビュー映像が到着した。日本とも縁の深い第15代韓国大統領、金大中(キム・デジュン)と彼の選挙参謀だった厳昌録(オム・チャンノク)の実話を基にした本作。この度、意外にも本作で初共演となったソル・ギョングとイ・ソンギュン、それぞれが本作の見どころや、互いの印象などを語ったインタビュー映像が解禁となった。ソル・ギョングは本作について「選挙戦に臨み、世の中を変えようとした2人の男の物語です。彼らの協力関係は後にライバル関係に変わっていきます」と言い、「ビョン監督のスタイルで、昔の話もスタイリッシュに撮れば違った面白さになるという期待がありました」と語る。また演じたキム・ウンボムについては「政治家で政治の現場を変えたいという大義名分と大きな夢を持った男」と説明し、「最後まで自分が信じる大儀を守り、何というか、違う世の中を夢見るところがあります。そこが強烈でした」と一番共感した部分について明かした。さらに、『名もなき野良犬の輪舞』(17)に続いてのタッグとなったビョン・ソンヒョン監督については「私はビョン監督の作品スタイルが好きです。だから100%信じて仕事をしてます」という惚れ込みようで「歴史的な話がスタイリッシュな映画になったら、どうなるかを見るのも面白いと思いますし、政治の物語というよりも人間ドラマとして見てもらえたら嬉しいです」と思いを語っている。一方、イ・ソンギュンはビョン・ソンヒョン監督作に初参加となるが「個人的に『名もなき野良犬の輪舞』がとても好きで監督のことが気になっていました。シナリオも面白かった。そして私の目標だったソル・ギョングさんとの共演、さまざまな理由で出演しました」と出演に至った経緯をコメント。そしてソル・ギョングとの共演については、「彼は多くの俳優の模範です。そんな方と共演できて光栄でした」と続け、「私の演技を心から受け入れてくれたので、とても感動しましたし、ありがたかったです」と嬉しそうに答えている。また監督やスタッフがこだわり抜いた美術や照明などが演技をする上で助けになったそうで、「(演じた)チャンデの感情に合わせて照明やアングルで表現してくれた」とし、「素晴らしい俳優たちが様々な役を演じています。現代史を扱いながらもスタイリッシュでユニークな映像と美術、これまでに見たことのない新しいドラマです。期待してください!」と自信を見せた。名優ソル・ギョングとイ・ソンギュンが光と影の存在を体現し、2人の男たちのドラマが韓国政界の深すぎる闇を暴き出す本作。大統領選挙という緊迫のドラマはもちろん、それぞれが演じるキャラクターの関係性の変化にも注目したい。韓国版ビジュアルポストカード(シネマート新宿&心斎橋限定)また、8月12日(金)より入場者プレゼントとして、シネマート新宿&心斎橋限定で韓国版ビジュアルポストカードが配布されることが決定(数量限定につき無くなり次第終了)。ここだけしか手に入らないファンには嬉しいアイテムとなっている。『キングメーカー大統領を作った男』は8月12日(金)よりシネマート新宿ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:キングメーカー 大統領を作った男 2022年8月12日よりシネマート新宿ほか全国にて公開© 2021 MegaboxJoongAng PLUS M & SEE AT FILM CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
2022年08月05日おとな向け週末映画ガイド今週のオススメは『アポロ11完全版』『天気の子』『工作』『存在のない子供たち』。ぴあ編集部 坂口英明19/7/19(金)イラストレーション:高松啓二今週公開の作品は17本。全国350スクリーン規模で上映の新海誠監督新作アニメ『天気の子』と、250スクリーンの『東京喰種 トーキョーグール【S】』、そしてこれらに続く135スクリーンの『チャイルド・プレイ』、以上3本がいわゆる拡大ロードショー。あとはミニシアターなど小規模での公開です。その中からおとなの映画ファンにオススメしたい作品をご紹介します。『アポロ11 完全版』いまから50年前の7月20日、人類が初めて月に降り立った、あのアポロ11号のミッションを収めたドキュメンタリーです。信じられないことですが、NASAによって70ミリの高精細フィルムで撮影された未公開映像や、管制センターと宇宙飛行士たちとの交信記録など11,000時間を越える音声データが残っていて、それが今回「発掘」されました。映像は4Kリマスター処理され、現代に蘇り、これが驚くほどにドラマチックなのです。打ち上げの日、ロケットに乗り込む宇宙飛行士たち、見守る管制センター内部の様子、打ち上げ見物で宇宙基地のあるフロリダのビーチに集まった100万人の観衆を歓声とともに高精細のカメラでとらえます。50年前のアメリカ人の姿、形です。センターにつめるスタッフの大半はワイシャツに細身のタイ、女性とアフリカ系の人の姿はほんのわずかです。そして、当たり前ですが、パソコンがない。ぼけたモニター画面と、膨大なスイッチ、ダイヤル式の電話など。いまみると恐ろしくローテクです。そして始まる9日間の旅の記録。探査船の月面着陸時、「鷲は舞い降りた」と交信し、アームストロング船長が「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な躍進だ」と月に足を踏み入れる。いちいちカッコいいんです。夢を信じた時代です。こういう映画こそ大きなスクリーンの映画館で是非!『天気の子』雨の多いこの7月にお似合いの映画です。公開初日、東京の朝は気持ち雨模様でしたが、9時からの上映が終わって外に出ると、青空さえ顔をのぞかせ、これは天気の子の神通力かと思いました。家出をして東京に出てきた16歳の少年が、天気を晴れにする超能力を持った少女と出会い、「世界を変える」というファンタジー。新海誠さんの作品は、背景や風景が実写の街よりもフォトジェニックで、詩情があり、ロマンティックにすら感じるのですが、それがこの映画のテーマにぴったりです。実景のなかに映り込む、商品名やビルボード、ネオンの実名も、アニメなら普通消しますが、逆にかなり精彩に描き込んでいて、とても効果的です。東京のあちこちが登場します。田端なんて聖地巡礼、流行りそうですね。平泉成さんや倍賞千恵子さんなど、安定感ある声の出演にも親しみを感じます。シニアの方まで充分楽しめる映画です。『工作 黒金星と呼ばれた男』韓国のポリティカルサスペンス映画は絶好調です。この作品も実話に基づく、ブラック・ヴィーナス(黒金星)というコード名でよばれたスパイの物語。舞台は1990年代初頭。主人公は、核開発の疑惑を探るため、なんと北朝鮮まで潜入し、当時の金正日総書記接見までやってのける「韓国のスパイ史上最も成功した対北工作員」です。黒金星がいかにして、北の信頼を勝ち取っていくか。その大胆不敵な行動も見ものですが、彼の所属する国家安全企画部についてもていねいに描かれます。かつてKCIAとよばれた、金大中拉致事件の実行犯とされる組織。金大中が大統領選の有力候補となり、もし政権交代にでもなったらその組織があぶない、そんな背景がスリリングです。ぴあの連載「池上彰の 映画で世界がわかる!」で、この映画をとりあげた池上さんは、例えば平壌の空港に降り立つシーンなど「過去に2回、北朝鮮を取材したことのある私から見ても、このあたりの描写はリアルです」と書かれています。そのリアルさに裏打ちされた、サスペンスの傑作です。『存在のない子供たち』現代のレバノン。12歳の少年が「どうしてこんな世の中に、僕を産んだのか」と両親を法廷で訴える、というショッキングな出だし。なぜ、彼はそういう行動に出たのか。貧民窟に生まれ、親が出生届をださなかったので、誕生日もわからないし、学校へも行っていない。まさに社会に「存在をしていない」子供なのです。演じているゼイン・アル=ラフィーアという子役の目に吸い寄せられます。目力があります。利発な少年で、生活力もある。こんな環境の中ですら、粗暴で、言葉もきたないのですが、弱い存在へのまなざし、彼らを必死で守ろうとするやさしさに胸をうたれます。フィクションなのですが、この少年の未来をみてみたい、そんな気持ちになりました。悪党かもしれないし、社会の役にたっているかもしれない、でも、ひとかどの人物になっていると思います。厳しい現実を突きつけられますが、一筋の希望の光を感じる、そんな映画です。特集上映では。「洒落たタッチと円熟の演出 職人監督降旗康男」(新文芸坐)7/22〜30「洒落たタッチと円熟の演出 職人監督降旗康男」(新文芸坐)7/22~30池袋の新文芸坐では、5月に他界した降旗康男監督の追悼回顧上映が行われます。東映出身、プログラム・ピクチャーで鍛えた「職人監督」です。高倉健出演の作品が多く、東映での代表作は健さん主演の『新網走番外地』シリーズ。フリーになってからも、『あなたへ』(2012年)まで、ふたりの共作は続きます。今回上映する14本も半分以上が高倉健主演作。『新網走番外地』は入っていませんが、最初にコンビを組んだ『地獄の掟に明日はない』(1966年)や、任侠ものというよりは文芸映画のテイスト『冬の華』(1978年)、『駅 STATION』(1981年)など6本や、監督デビュー作、緑魔子主演の『非行少女ヨーコ』(1966年)も上映されます。
2019年07月19日「彼女の周りには人がいない。独身で家族もなく、40年来の親友は、自分への贈賄容疑で被告の身。孤立している。哀れでかわいそうだ」(辺真一コリア・レポート編集長) 3月10日、朴槿恵・韓国大統領(65)が罷免された。憲法裁判所8人の裁判官、全員一致の決定だった。 韓国の歴代大統領は“血塗られた歴史”と言われてきた。退任後にいずれも悲惨な運命をたどったからだ。だが朴前大統領について、ジャーナリストの高英起氏はさらに過酷な運命が待つという。 「冷静に考えると、退任後に断罪された歴代大統領たちも、例えば息子が罪に問われた金大中は悠々自適。金泳山もそうでした。逮捕された全斗煥、盧泰愚も最後は恩赦で許されています。しかし朴前大統領は罷免され、単なる一般人になりました。任期を全うし、最後は許された歴代大統領たちと決して同じではありません」 コリア・リポート編集長の辺真一氏もこう言う。 「彼女の今後は2つしかありません。ひとつは、塀の中に入ること。もうひとつは、温情で在宅起訴になることです。どちらにしても有罪は免れません。朴氏がそれを“生き恥”と考えたら、かつての盧武鉉・元大統領のような悲劇的な結末を迎えるのではと私は恐れます。本当に、彼女はいま孤独なのです」 08年まで大統領の座にあった盧武鉉氏は、退任後に不正疑惑で側近や実兄が次々と逮捕された。元大統領自身の逮捕も噂されるなか、09年に盧氏は自殺。元大統領の自殺に韓国社会は衝撃を受けた。 大統領職を追われた65歳の朴氏が、現在それ以上の絶望に瀕しているだろうことは容易に想像がつく。 公職にも5年間は就くことができない。惨めな引退生活に、彼女は耐えられるのか――。
2017年03月17日