アンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッド(Andreas Kronthaler for Vivienne Westwood) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月29日(土)に発表された。「9」の持つ意味を今一度問うクリエイティブ・ディレクターのアンドレアスにとって、9作目のコレクションとなる今季。9の数字が持つ“普遍的な愛”や、“人類への奉仕”という意味を見つめなおした彼は、改めてコレクション制作こそが自分の人生にとってかけがえのないものであると実感したという。愛するクリエーションによって誕生するのは、きっと誰かの人生を後押しをできるとっておきの服。今季は、音楽史におけるストラヴィンスキーの最高傑作「春の祭典(Rite of Spring)」を着想源に、寒く暗い冬から温かな地上へと導いてくれるようなパワフルなワードローブを作り上げていく。マニッシュなムードでパワフルにこれまでもジェンダーへのアプローチを行ってきたブランドだが、今季はそんな“パワフルさ”の象徴として、マニッシュな要素を強く取り入れているように感じられた。がっちりとしたショルダーラインを主流に、スタイリングには本来紳士服を起源に持つアイテムを組み合わせ。ゆったりとしたパンツ×オーバーサイズのトレンチコートや、豊かなドレープを描くビッグサイズのスーツスタイルといった力強いワードローブがランウェイへと姿を現した。ドレススタイルまた優雅なドレススタイルも、こうした男性的な要素とドキング。裾元のプリーツが美しいパープルのドレスには、ウエストマークするようにして、メンズライクなネルシャツをオン。アウターには、ショート丈にカッティングされたトレンチコートを合わせて、ジェンダーの垣根を超えるギリギリのラインで、エレガンスなスタイルへと導いている。ことわざ通りのアクセサリーさらにホワイトのオーガンザで仕立てられたセクシーなワンショルダードレスには、刃先が"ペン”へと姿を変えたアクセサリーを組み合わせた。“ペンは剣よりも強し”ということわざ通り、彼女たちの知性によってくり広げられる、新たな世界の幕開けを期待させてくれるルックだ。フェミニンに着こなすメンズスタイル一方メンズにも、フェミニンムードに近づけるスタイリングが。スーツスタイルには、艶めく布でしっとりと仕上げたトレンチコートを、スリット付きのドレスのような佇まいで着こなし。フリル付きの裾が目を惹くブルーのジャケットは、煌く装飾付きのカラータイツと共に提案された。新作シューズもなおコレクションには、アーティストたちとのコラボレーションによる新作シューズも登場。バイカーブーツや、スワロフスキーで覆われたストラップサンダルをはじめ、シューレースの代わりに無数のリボンを結んだスニーカーがモデルの足を飾った。
2020年03月04日コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月29日(土)フランス・パリで発表された。超ボリューミーなドレスが登場それぞれの物語を持っているかのように、モデルごとに異なるショーミュージックを起用した今季のランウェイ。「ネオ フューチャー」をテーマに、ブランドの新しい未来像を目指したというピースは、オブジェクトのような超ボリューミーなフォルムで構成されているのが特徴だ。サイドに突き出していたり、岩のようにゴツゴツしていたり、“クッション”のような装飾で更なるボリュームを追加してみたり…。これまで見た事のないドレスの数々に、近未来の世界へと迷い込んでしまったような感覚に陥る。ビッグパーツを組み合わせ実はこういった一連のピースは自然を着想源に制作したという。自然界の中に、火・水・土・木…といったエレメントが存在するように、1つのピースには、あらゆる素材とフォルムを交えながら、1つの形の形成をしているのではないだろうか。ディテールも拡張して拡大されたディテールも今季を語る上で大切な要素のひとつ。巨大な胸元と膝丈まで垂れさがるビッグアームには、たっぷりの布地を使用したギャザーをあしらい、本来とは異なる重厚感溢れる表情を生み出している。漆黒の美しさを讃えて1つのピースに2色以上の色彩で溢れるコレクションの中、ブランドのシンボルコード=ブラックのドレスに至っては、異なる素材の質感を引き立てる単色でスタイリングされた。モデルのヘッドピースには、今季の特徴でもある3Dのベールをオン。ドレス構成のアプローチとしては他と共通項があるものの、半透明の黒の世界を通すことで、どこか妖艶な雰囲気が漂っているのが印象的だった。新作シューズもなおコレクションの中では、新作のフットウェアが続々と登場。ナイキ(NIKE)エアフォース1とダブルネームを刻んだハイカットスニーカーにも視線が注がれた。
2020年03月04日ノワール ケイ ニノミヤ(noir kei ninomiya) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月29日(土)にフランス・パリ市内で発表された。パンク&ロックな要素と融合バラをモチーフにしたようなボリューミーなドレスから始まった今季。例年のようにレースやフリル、フェイクレザーといった立体的な装飾を施しながらも、パンク&ロックテイストのカラーやディテールを組み合わせて、パワフルな表情に仕上げているのが印象的だ。安全ピン付きのシューズ一連のドレスに組み合わせられたのは、複数の安全ピンでデコレーションしたレザーシューズ。そして毎度ショーで目を惹くヘッドピースは、逆立てたヘアスタイルのように、四方八方へと流れている。鋭利なデコレーションまさにそんなヘッドピースと連動するような、エッジを効かせたブラックドレスも登場。鋭利にカッティングされた1つ1つの装飾はクリアな素材と組み合わせることで、危な気な光沢を放つ。またその裾にはフリルを差し込み、逆説的にフェミニンなムードをプラスしているのも面白い。メタル素材で仕立てるドレステーラリングの美しさが際立つブラックのピースには、硬質なメタリックな装飾が加えられながらも、どこかフェミニンなムードを演出する。モデルが身動きをとれないほど複数のワイヤーで囲ったピースは、全体を俯瞰すると、ふんわりと袖が膨らむドレスのよう。また安全ピンのように細長いメタルパーツを繋ぎ合わせたピースは、ひとつひとつは無機質な表情であるが、イブニングドレスのような優雅なシルエットを生み出している。パンキッシュなチェック柄もショーの終盤に差し掛かると、パンキッシュな真っ赤なチェック柄を取り入れたピースが登場。フロントを大きくくり抜いたドレスには、表情の異なるチェック柄スカートをレイヤード。アームとボディそれぞれに2つのチェック柄を取り入れたピースも存在する。“貴族風”のドレスルックもそれに続くように現れたのは、まるで舞踏会に登場するような“貴族風”のドレス郡。しかしこれらのピースは、本来の姿に“反抗”するような前衛的なアプローチのもと作られている。クリノリンに直接編み込みドレスの構造を明らかにしたり、綿のようなものを重ねて優雅なヘッドドレスに見立てたり。漆黒に溶け込む正体は?そしてショーのラストに現れたのは、超ボリューミーなブラックピース。これまでとは繋がりのないようにも思えるその姿は、不気味なほど装飾でモデルを埋め尽くしていて、かろうじて顔や手の平を覗かせている。漆黒に包まれた会場に溶け込むようにして消えたその正体は、今季のコレクションに潜む反骨精神のようにも感じられた。
2020年03月03日ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME des GARÇONS) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月29日(土)フランス・パリで発表された。“無音”で始まったランウェイ不気味なほど真っ赤なネオンライトによって染まったショー会場。始まりの合図はなし、気が付けばその異様な空間に漆黒に包まれたモデルが登場していた。音響障害だろうか?通常ショー演出の1つとして大切な役割を担うサウンドはなく、“無音”という斬新な演出で、モデル達が歩みを進めていく。ランウェイに浮かび上がるのは、ブラックの“レザー”を取り入れたスタイリング。その会場の色彩によって、ワードローブのディテールをみることは困難だが、レザーの持つハードな表情を感じることは確か。静まりかえったランウェイに、更なる緊張感を生み出している。レザーの可能性を探る突然これまでの演出を覆すようなポップなサウンドが会場に鳴り出したかと思えば、照明も白へと変わり、コレクションの全容を鮮明に映し出していく。なるほど、今季はロックなテイストを交えた、レザーの可能性を探求するアプローチが行われているようだ。ベースとなるのは、ブランドの得意とするテーラリングジャケット。その上には、鮮やかなレッドへと代わったレザーアイテムが、私を見て!といわんばかりにそのユニークなスタイリングを提案している。従来のイメージを覆す例えば、マニッシュなレザージャケットは、タフなショルダーラインを残したままスカートへと変身。クラシカルなトレンチコート×レザーや、フェミニンなレースを差し込んだレザースカートなど、本来出会うはずのない要素を掛け合わせたピースも登場した。レザーという硬質な素材を使用しながらも、美しいドレープやプリーツを生み出しているのもブランドならではの成し得る技だ。ロックテイストなテーラードジャケット美しきシルエットのテーラリングジャケットにも、ロックなアレンジを加えて。レオパード柄のシャツには、ジャケットのアームだけをくりぬいた斬新なスタイリングを提案。両肩を繋ぎ合わせるように、ハーネスベルトが装飾として取り入れられている機能的な“ハーネスバッグ”そしてこうしたハーネスは、機能的な一面を持ったアクセサリーとなっていたのも印象的。従来よりもベルトの本数を増やし網目模様を描いたそのモチーフは、ベルトが行きつく先にバッグをオン。ウエストの両サイドやショルダーという至るところまで、最大4つのバッグが現れた。
2020年03月03日バレンシアガ(BALENCIAGA)が、2020年ウィンターコレクションショーを3月1日にパリで開催。Courtesy of BALENCIAGA
2020年03月03日ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月29日(金)にフランス・パリ市内で発表された。漆黒に染まったコレクションヨウジヤマモトのコード=黒一色に包まれた今季。ロングレングスを主流とするコレクションは、とにかくその“黒の布地”という舞台で繰り広げられる、様々なアプローチを伺うことができる。黒のレースアップで引き立てる女性美序盤に登場したテーラードのロングジャケットスタイルには、ビスチェのようなレースアップのディテールを1つのキーワードとして捉えた。ジャケットのサイドやフロント、そして差込んだドレスなど、あらゆるところに現れたそのディテールは、もとよりセンシュアルな機能を持つことはもちろん、生地を縛ることで生まれるドレープや、崩れることのない美しいシルエットも相まって、黒から生まれる女性の美しさを静かに讃えている。チェック柄をモチーフに続いて行われたのは、黒を通して“柄”を生み出すという手法。格子柄のストールを差し込んだスタイリングが登場したかと思えば、その“チェック柄”を2Dや3Dといった観点から生地の上で表現。ツイード風のどこかおぼげなチェックや、“くりぬく”というカッティングによって生まれた網目模様のチェック、そしてチェック=図形としてとられたかのような、四角形の集合からなる立体的なモチーフ…。再び2Dに戻ると、今度は真っ白なスプレーで描いたようなストリートライクなチェックへと進化。さらにそのモチーフを拡大させたジャケットは、まるでクロス(十字架)が浮かび上がるような神聖な表情へと導いている。黒が秘めるパワー終盤にかけては、黒の世界へレッドやブルー、パープルといった差し色を投じた。波打つドレスのフリルに色をのせて躍動感をプラスしたり、グラフィカルなモチーフをボディに描いてみたり。黒に浮かび上がるそれらの色は、日常がフェイクと思えるほど、鮮やかな色彩を放つ。再び黒一色の世界へと戻ると、色が無くともそこには無限の美しさが広がっていることに気付かされる。エレガントなドレスルックには、黒のチュールを“纏う”だけで、妖艶なムードをプラスしている。ラストを飾るポップなカラーショーのラストに現れたのは、今季のコレクションとは繋がりを全く持たない鮮やかなピース。ブルーのドレスに真っ赤なカーディガン、そして首元には不思議な装飾を巻き付けている。ヨウジ ヤマモトならではの構築的なシルエットはそのままにもかかわらず、何故か“違和感”を覚えてしまうルックだ。会場を後にした後、“あれが黒だったなら…”と想像してしまった観客は、おそらく一人だけではないはずだ。
2020年03月03日クリスチャン ワイナンツ(christian wijnants) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月28日(金)フランス・パリで発表された。温もり溢れるニットを主役にその上質な素材と色使いで人気を誇るニットウェアを中心に展開された今季。ワントーンを基調としながらも、編み模様の切り替えや、肩から胸元にかけてアシンメトリーに重ねた共布によって、モダンな雰囲気を演出しているのが特徴だ。帯を連想させるデザインも中でも印象的だったのは、日本の伝統衣装・着物の“帯”を連想させるデザイン。ゆったりとドレープを描くエレガントなニットドレスには、ウエストから背後へとその独特なモチーフが流れていく。帯がほどけてしまったかのようなその姿に、私たち日本人は一種のセンシュアリティを感じるかもしれない。ジグザグ模様が“飛び出す”ニットウェアブランドの得意とするグラフィック柄も、ニットのセットアップで提案。キャンバスに見立てたアイボリーのセーター×スカートには、立体的なジグザグ模様があしらわれている。そしてそのラインの延長先上には、フリンジ状のストラップをオン。まるでジグザグ模様が、裾から“飛び出してしまった”かのようなユニークな表情が面白い。ストラップを使用したアプローチもこうしたグラフィックへのアプローチは、布地やニットの上だけでなく、複数のストラップを重ね合わせたドレスからも見て取れた。網目状のドレスに繋がれたそれらのストラップは、モデルが歩く度にユラユラと揺れ、一瞬一瞬に異なるグラフィカルな模様をみることができるのだ。カラーパレットパレットは、ブラック、ホワイト、ペールピンク、淡いブルーといった落ち着いた色彩に、ネオンオレンジ、ミントグリーン、鮮やかなブルーをアクセントに投じて。コレクションの中では、こうしたプレーンカラーのピースみならず、グラフィカル模様のピースも、同柄でスタイリングされていた。
2020年03月03日マルベリー(MULBERRY) 2020年秋冬コレクションが発表された。今季クリエイティブ・ディレクターのジョニー・コカの着想源となったのは、英国の黄金時代を築いた強い女性たち。彼女たちの纏ったワードローブに、モダンなアレンジを加えたコレクションを作り上げた。英国の制服の装飾をミックスケープやダブルコート、リラックスフィットのスーツジャケットといった秋冬の装いには、英国の伝統的な制服に使われる装飾をミックス。金のボタンやロゼット、光沢のメダルなどをポイントにあしらうことで、ロイヤルなムードをプラスしている。また赤のラインをアクセントに加えたケープには、“勲章柄”のセットアップをインサート。ウエストは一連の装飾と共通カラーのゴールドチェーンで引き締め、統一感をもたらした。パンキッシュなチェック柄を愛してジョニー・コカの愛するブラック×レッドのパンキッシュなチェック柄は、クラシカルなトレンチコートに合わせて、現代へとアップデート。同柄のタートルネックのノースリーブドレスは、計算されたアシンメトリーなフリルをあしらい、エレガントなムードへと引き寄せている。ノスタルジーなチェック柄も英国のカントリーサイドへの魅力へと迫ったノスタルジーなチェック柄も登場。ロングジャケット×ワイドパンツ、ショートジャケット×ワンピースといった具合に2ピースでの着こなしが提案されている。グリーン×ブルーのややマニッシュな細身のセットアップには、フリル襟にリボンを飾ったブラウスをさしこみロマンティックな印象に。腰元には、やや太めのベルトでウエストマークし、女性らしいシルエットをさりげなく演出している。レザーアクセサリーさらに、今回はブランドのシンボルカラーとなる“マルベリー グリーン”がコレクションのキーカラーとして初登場。ワードローブはもちろんのこと、今季シルエットをモダンにアップデートしたハンドバッグやウォレットといった、人気のレザーアクセサリーにも起用される。2019年に発売された100%サステナブルな話題のレザーバッグ「ポートベロー トート」にも新作が。ラージやスモールなどサイズのバリエーションを加えて、店頭に並ぶ予定だ。
2020年03月03日ロエベ(LOEWE) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月28日(金)フランス・パリで発表された。テーマは「ファッションと遊ぶことを愉しむ」。生地が生み出す不思議なボリュームジョナサン・アンダーソンによるエッジィなアイディアをきかせたデザインは、今季も健在だった。コレクションでは、ボリューミーなシルエットを生み出すアプローチをあらゆる角度から模索。ジャケットやドレス、ブラウスといったオーセンティックなアイテムが、斬新なディテールの採用によって、あらゆる方向に膨らみを持たせているのが印象的だ。自然と浮遊するドレス例えば、裾に向けてバルーンのようなふくらみを持つエレガントなドレス。前から見るとさほど違和感はないのだが、モデルが後ろを振り返ったときにそのシルエットの種明かしが明らかに。バックから布地を絞るようにして吊り上げられたそのスカートは、自ずと裾が持ち上がり、まるで無重力の中で浮遊しているかのよう。モデルが歩くたびに、ふわりふわりと揺れる独特なボリューム感を生みだしている。サイドからのアプローチまた前シーズンに続き、クリノリン風のパーツをスカートの下に組み込むことで、サイドへのボリュームを待たせるピースも散見された。こうしたサイドへと目を向けたアプローチの中でも、ひと際目をひいたのは、煌めく装飾付のベルスリーブのニットと組み合わせたワイドパンツ。そのゆったりとしたレングスよりも先に目が行くのは、サイドへと大胆に拡張させた履き口だ。たっぷりととった布地を従来のウエストの位置でつまみだすことで、羽根のようにパタパタと揺れ動くユニークな表情を作り上げた。クラフトマンシップを感じさせるピースロエベならではの上質なレザーを取り入れたアイテムにも注目したい。中盤に現れた淡い水色ジャンプスーツは、サイドのラインやスポーティーな縦襟にレザーを採用することで、ラグジュアリーなストリートウェアへと昇華。また日本人の陶芸家・桑田卓郎(※)とのコレボレーションピースとなる、フロントを丸っとくり抜いた特徴的なドレスには、スタッズをあしらったレザーのパネルを配置。それはまるで洋服の真髄には、常にクラフトマンシップが存在していることを意図しているかのようだ。※ロエベ ファンデーション クラフト プライズ2018の特別賞受賞者。新作アクセサリーなおランウェイには、レザーを使用したアクセサリーも続々と登場。リボンをアクセントにしたコンパクトなショルダーバッグや、スエードやカーフを使用した新作「ハンモックバッグ」をはじめ、煌くジュエリーを飾ったヒールシューズなどが展開された。
2020年03月03日ジバンシィ(Givenchy) 2020年秋冬ウィメンズコレクションが、フランス・パリで発表された。見え隠れする、女性の官能美を描くアーティスティック・ディレクターのクレア・ワイト・ケラーが思い描いたのは、アートシアターのスクリーンに映し出されるヒロインの不完全な美しさを湛えた、銀幕の世界の魅惑。力強い女性のボディランゲージに見え隠れする、センシュアルでミステリアスな魅力を詰め込んだコレクションを展開する。ボリューミなショルダーパワフルなボディランゲージの象徴となるのは、大きく肩をふくらませたパワーショルダー。ゆったりとしたシルエットのマニッシュなジャケットスタイルには、タバコブラウンのケープをぐるりとまいて、より力強い表情に仕上げているのが印象的だ。官能美を引き出すケープ本来は寒さを防ぐために、身体を包み込んでくれるケープだが、今季はセンシュアルな一面を引き出す役割を担っているのもポイント。ケープとドッキングしたようなドレスは、胸元までをしっかりとガードすると同時に、ウエストからの華奢なボディラインのコントラストをくっきりと映し出す。さらにバイアスカットのスカートから、長い素足がランウェイへと出ることで、包み隠されていたセンシュアリティが一気に加速していく。ウエストマークのスタイリンググラフィカル模様を散りばめた躍動感あふれるロングドレスは、太めのベルトをウエストマークすることで、女性らしいシルエットを強調。ラグジュアリーなファーコートから、マニッシュなサルトリアルスタイルに至るまで、今季は華奢なストラップサンダルを足元に差し込むことで、程よい抜け感を演出しているのも特徴だ。クチュール×テーラリングショーの終盤にかけてランウェイを飾ったのは、クチュリエの繊細なテクニックが光るドレススタイル。華やかなイブニングドレスが登場したかと思えば、テーラリングで再解釈したピースが後へと続いていく。フェザーのような装飾をあしらったドラマティックなシアードレス×テパードパンツ、煌く銀糸が揺れるジャケットスタイルなどは、本来マニッシュな要素にクチュールが溶け合うことで、思いがけない官能美が描き出されているのが印象的だった。カラーパレットパレットは、ブラック、ホワイト、 タバコブラウン、カーネリアンといった落ち着いた色彩を基調に。時折差し込まれたチェリーレッドやコバルトといった鮮やかなカラーが、コレクション全体にリズムをもたらしていた。
2020年03月02日ヴァレンティノ(VALENTINO) 2020年秋冬ウィメンズコレクションが、2020年3月1日(日)にフランス・パリで発表された。ユニフォームを着想に今シーズン、クリエイティブ ディレクターのピエールパオロ・ピッチョーリが向き合ったのは、“個人の人間らしさ”。着こなしを取り去る一方で、表情やジェスチャー、立ち居振る舞いを際立たせてくれる“ユニフォーム”から着想を得たコレクション制作を行った。同じコードを持つピースに、アレンジを加えてモデルたちが纏うドレスの共通項として多く登場したのは、ブラックやブルー、グレーといったテイラード。ロング&リーンのシルエットに、足元はかっちりとしたレザーシューズといった組み合わせを貫きながらも、それぞれのドレスには、女性の美を引き立てるあらゆるアプローチが隠されている。カッティングや素材のチョイス、そして変化球を加えたフォルム。ワントーンを基調とするスタイリングの中だからこそ、それぞれの異なる美がより一層明確となる。異なる要素のドッキング中でも目を惹いたのは、1ルックの中で、相反する要素をドッキングさせたスタイリング。シアー素材をボディに差し込んだブラックのフレアドレスは、かっちりとしたフォルムのレザージャケットをレイヤードすることで、そのセンシュアルなドレスの表情をより強調。また硬質なレザーが生み出す緊張感も相まって、フェミニンな要素だけでは生み出せない危うい色気を醸し出している。花々に導かれてショーの中盤に差し掛かると、ランウェイのドレススタイルには、メゾンと縁のあるフラワーモチーフが次々と現れる。鮮やかに咲き誇るもの、モノクロとなって儚げにうつるもの、まるで写実画のように瑞々しく描かれているもの…。自然界がそうであるように、ドレスに現れたその花々にも優劣はなく、女性の美を引き立てる象徴として、多用されている。煌びやかなドレス郡そしてショーの終盤に差し掛かると、クチュリエの繊細な手仕事が伺えるエレガントなドレスが登場。絶妙なグラデーションカラーで輝くブラックのロングドレスや、総スパンコールの煌びやかなパンツドレスといったピースが観客の視線を奪っていく。そしてその中にはもちろん、花をモチーフにした一着も。儚げなオーガンザ一にビーズ刺繍を施した花々は、朝露でキラキラと輝く自然界の姿を彷彿させると同時に、ありのままの女性の美しさを讃えているようにも感じられた。
2020年03月02日オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月27日(木)フランス・パリで発表された。“SLIGHTLY OFF”をキーワードに車がアスファルトの地面へとのめりこんでしまったかのような、ユニークな演出が施された今季のショー会場。そんなオブジェクトの周りを巡るようにして登場してきたモデル達は、今季ブランドが掲げたキーワード“SLIGHTLY OFF”=何かが違う、という言葉通り、従来のワードローブに遊び心溢れるアレンジを加えているのが特徴だ。ディテールに一捻り例えば“くり抜く”という手法。ラグジュアリーなゴールドのチェーンを腰元にまいたオールインワンや、ブラトップと合わせたスカートは、片側だけに楕円型のカッティングを施し、モデルの肌を露わにする。またジャケットやロングコートといったアウターには、複数のスリットを配したり、片側だけの裾を伸ばしたアシンメトリーなシルエットを加えることで、こうした不均一な表情を演出。ウエストにはベルトの代わりに、ギャザーをたっぷりよせたガーリーなストラップの装飾をあしらっているのも今季の特徴だ。格子柄をアレンジしたユニークなジャケット本来のクラシカルなコードに、ユニークなアレンジを加えるアプローチも見て取れた。格子柄のセットアップは、途中からパターンの配置を微妙にずらすことで、ジオメトリックな表情を描きだす。足元はラフなフラットサンダルで抜け感をプラスすることで、シティライクなストリートのムードへと引き寄せている。ドレスとの融合もショーの終盤にかけて続々と登場したのは、ドレスとストリートという、相反する要素のドッキング。一方にはクリノリン入りのロマンティックなチュールドレスを、そしてもう一方にはカモ柄のカーゴパンツをあわせてみたり。もしくは艶やかなミニ丈のネイビードレスに、ネオンカラーのロングレギンスを差し込んでみたり…といった具合で、本来出会うこのない組み合わせがランウェイの上で融合され、観客の視線を惹きつけていく。ボリューミーな純白ドレスもショーのラストに登場したのは、女性が憧れる純白のウエディングドレス!…と思いきや、これもブルーのアノラックパーカーを組み合わせたユニークな着こなしだ。また、まじまじと見ていると、ウエスト部分の切り替えが見当たらず、ドレスのスカートをくりぬいたような構造であることにも気付かされる。そしてこの不思議な構造のドレスを纏ったモデルのジジ・ハディッドは、そんなチュールをラフに手繰り寄せながら闊歩するという、“どこかおかしな”ラストで幕を閉じた。
2020年03月02日リック・オウエンス(Rick Owens) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月27日(木)フランス・パリで発表された。アシンメトリーなニットウェアをベースに今季はローズリー・ゴルドベルクによるパフォーマンスアート組織「Performa」を着想源にしたメンズコレクションと連動し、柔らかなニットのボディスーツをベースにしたウィメンズコレクションを展開。メンズ同様に、不均一にボディラインをみせるニットルックは、ショーが進むごとに様々なアレンジを見せてくれる。例えば透明なPVC素材のアウターを重ねたり、あらわとなった肌を隠すように、ニーハイブーツを組み合わせてみたり。またこうしたレイヤードアイテムもどこか不自然で、膝を超えるほどのスリーブや、トレーンを引くような超ロング丈のパンツなど、いくら重ねても私たちの思い浮かべる“完璧”な衣服が完成する気配はない。パワーショルダーをシンボルにツンと上を向くイカリ肩をもつアウターも象徴的な存在。構築的な表情をもつレザージャケットやテーラードジャケットは、対局な存在となる柔らかなニットウェアを包み込み、パワフルな存在を主張する。さらに進化して…ショーが進むにつれて、そのショルダーを極端に拡大させたルックも登場。隆々と盛り上がったアグレッシブなショルダーは、カンサイヤマモト(Kansai Yamamoto)から着想したという、マニッシュなグラフィカルラインを乗せることでより力強い表情へと進化。これまでのスタイルが“控えめ”に感じられてしまうほどだ。リック・オウエンススは、この独特のスタイルを、フランスの建築家ル・コルビュジエによるモデュロール と表現している。予想を裏切るワードローブこうした“サプライズ”を詰め込んだ一連のワードローブの中でも、ひと際目を惹いたのが、ショーの終盤に靄の中から現れたダウンケープの漆黒アウターだろう。後ろから見るとスクエア型のマントのようなフォルムを持つこのアウターは、モデルが腕を広げると、凧のように広がる仕掛け。まるで今にも飛び立ちそうなその様は、既存の固定観念を打ち破るメゾンの飛躍を予感させてくれた。
2020年03月02日レオナール(LEONARD) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月27日(木)フランス・パリで発表された。東洋の美を追求ブランドらしい鮮やかな色彩と、美しい花々で彩られた今季のコレクションは、エレガントなドレススタイルはもちろん、オリエンタルなムードを強く反映させたワードローブが登場。艶やかなシルクスクリーンを贅沢に用いながら、伝統的な東洋の要素をドレッシーに解釈したレディ トゥ ウェアが展開される。日本へのオマージュを捧げてまず目を惹いたのは日本の伝統的衣装=着物へのオマージュを捧げたアウター。打掛のような艶やかな表情を持つロング丈のダウンコートをはじめ、着物そのもののディテールやシルエットをリアルに踏襲したキモノローブも登場。ロングスリーブのダウンジャケットをインサートすることで、中に重ねた着物の袖丈が覗いているかのようなフレッシュな着こなしを提案している。“サムライルック”を現代に再解釈オリエンタルなオレンジ色のグラフィックが目を惹くノーカラーのアウターは、小袖の上に重ねるサムライの“羽織”を連想させるデザイン。かつての日本男児の正装は、細やかなプリーツをあしらった同柄のスカートに、ポインテッド トゥのパンプスを合わせることで、フェミニンなムードへと引き寄せている。チャイナドレスを起源に東洋の要素は、国境を越えて中国を起源に持つものも。チャイナドレス特有の斜めの前合わせや、大胆なスリットを配したオリエンタル柄のドレスは、キルティング仕立ての半袖ジャケットをレイヤードすることで、モダンな印象へとアップデートさせた。花々のグラフィックアイコニックな蘭の花をはじめ、儚げなアサガオ、みずみずしい紫陽花と、あらゆる花々で満ち溢れたグラフィックの着こなしも印象的。異なる花同士をドッキングさせた柄×柄のスタイリングや、エッジィなレオパード柄と組み合わせるフレッシュな着こなしも見て取れた。中でも印象的だったのは、欄や紫陽花の咲くシックな絵柄のボディスーツに、PVCのフード付きプルオーバーを組み合わせたルック。PVCの半透明の水色を通すことで、従来よりもみずみずしさを増した花々が映し出される、ブランドならではのエレガントな表情を生み出していた。
2020年03月02日アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月27日(木)フランス・パリで発表された。メタリックな装飾を味方にこれまでもマニッシュな要素をウィメンズウェアに落とし込むアプローチを行ってきたアン ドゥムルメステール。今季はこれまでも行ってきた紳士服のコード=テーラリングを用いながら、“メタリックな装飾”を新たなアクセサリーとしてプラスして、斬新なウィメンズルックを作り上げていく。女性の魅力を逆説的に引き立てる本来ドレスの構築的なシルエットを生み出す“クリノリン”を連想させるそのメタルパーツは、形を変えながらあらゆるルックに登場。パワーショルダーのように両肩にあしらわれたり、冠のようにして頭にかぶったり、まるで女性のシルエットを強調するかのように胸元につけてみたり…。「形どる」という本来隠された機能を、外側から行うアプローチは非常に斬新で、その無機質な表情も相まって、前衛的なウィメンズスタイルを作り上げている。“貴族ルック”を現代に再解釈ベースとなる再構築されたウェアは、貴族たちのまとうドレッシーなピースを意識しているのだろうか。ドレス用のランジェリー=コルセットを連想させるデザインのトップスをはじめ、ドレスのようにトレーンを引くほど拡張されたジレが登場。またアシンメトリーに仕上げたドレスには、超極小のクリノリンをインサートして、わざとらしくその内部構造を露出。ロングジャケット×ロングレングスというマニッシュなスタイルは、リボンの代わりに例のメタルパーツを腰元に配している。カラーパレットブランドお馴染みの漆黒から始まったコレクションだったが、中盤から終盤にかけては、レッド、イエロー、ライムグリーンといった、ドレスカラーを彷彿させる華やかな色彩が登場。それらはメタリック、マット、シアーといった様々な生地で仕立てられ、時にはマニッシュなテーラリングとドッキングさせたドレスも登場した。
2020年03月02日ランバン(LANVIN) 2020年秋冬ウィメンズコレクションが、2020年2月26日(水)フランス・パリにて発表された。愛すべきメゾンの歴史を辿る旅今季クリエイティブディレクターのブルーノ・シアレッリは、創設者のジャンヌ・ランバンがメゾンを作り上げた歴史を、時空を超えて表現するアプローチを試みた。メゾンを代表するモチーフを現代に再解釈した、女性のためのワードローブが展開される。歴史的なコラボレーションをモチーフに例えば、今季を象徴する絵柄して登場したのは、1949年フランスの詩人であり作家のルイーズ・ド・ヴィルモランとランバンのコラボレーションによる2つの作品のモチーフ。表現力豊かなカリグラムでイラストのように描かれたモチーフは、フレッシュなショート丈のドレスにオン。一方パリの風景を切り取ったかのような水彩画は、フェザーやシルクでラグジュアリーに表現され、キャンバスに見立てたアイボリーのジャケットの上でみずみずしい色彩を放っている。彼女が愛したシルエットレディ トゥ ウェアの衣服自体には、メゾンの歴史を作り上げたエッセンスをふんだんに詰め込んで。シルエットは、1920年代から1930年代のメゾンのスタイルを踏襲し、女性らしさ溢れるしなやかなラインを意識。また今季の特徴でもあるフリルをたっぷりとあしらったスカートの裾は、メゾン設立時に提案された、歴史深いエッセンスでもある。コレクションの中では、ショート丈の斬新なフロントから後部に掛けて優雅なトレーンが流れるドレススタイルへとアップデート。空気のように軽やかなテキスタイルで仕立てることで、現代へとブラッシュアップされた柔らかな女性像を描き出している。“コスメカラー”で彩りをパレットは、ランバンの展開するコスメを着想に、パウダーブルーやブラッシュピンク、ボルドー、ルージュ、ローズミディなど、女性を美しく引き立てるカラーを取り入れた。同時に展開されたメンズウェアも同様に起用され、メンズ&ウィメンズの要素がバランスよくミックスしたスーツスタイルを提案している。アクセサリーにもこだわりをこうしたメゾンのコスメティックから生まれたアイディアは、アクセサリーにも反映。ドレスルックと合わせられた小振りのパーティーバッグは、大きめの口紅とルージュコンパクトの形をモチーフにしたもの。またジャンヌ・ランバンが愛したユニークなインテリアからもインスピレーションを得て、動物が家具に変身するジュエリーもアクセントに取り入れられていた。
2020年03月02日コシェ(KOCHÉ) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月25日(火)、フランス・パリにて発表された。ドレッシーな日常着「着られるクチュール=COUTURE TO WEAR」をコンセプトに、ストリートやカジュアルをミックスしたオリジナリティ溢れるスタイリングを提案するコシェ。今季は、ドレッシーなムードを強めているのが特徴で、たっぷりのギャザーをあしらったゴージャスなデニムスカートや、ドレス生地のような艶めく花模様のテキスタイルで仕上げたセットアップなど、日常のワードローブを“とっておきなもの”へと変えるアプローチが行われている。レースで優雅な表情に中でも印象的だったのは、レースを使用したスタイリング。クチュール的表現を代表するこのモチーフは、ダンガリーカラーでデニムに見立てたロングレギンスや、アクティブな色彩が目を惹くスポーティウェアに登場。これらの服が持つ本来のカラーコードを踏襲することで、日常に馴染むスタイリングを完成させながらも、相反する要素をドッキングさせた唯一無二のワードローブへと昇華している。アシンメトリーなシルエットオリジナリティをもたらす要素には、アシンメトリーなシルエットも深く関わっている。ドレスやスカートの裾はバイアスカットを施したり、フレアを幾重にも重ねたりすることで、優雅な動きを生み出し、よりエレガントな表情に。また片側だけの裾をフリンジ状に伸ばしたトップスは、パッチワーク風のテキスタイルも相まって、アーティスティックなムードが漂っている。日常を優雅に着飾るショーの終盤に現れたのは、観客の視線を惹きつける煌びやかな装飾が施されたワードローブ。しかしこれも良く見ると、ロングTシャツ×デニムジーンズというリアルクローズがベースとなっているのだ。そして手元、首元には、“本物”のドレスを纏っているかのように、パールやゴールドのアクセサリーを大げさにレイヤード。何気ない日常を優雅なものへと変えてくれるワードローブは、忙しない現代人に必要な一着なのかもしれない。
2020年03月01日ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月26日(水)フランス・パリにて発表された。英国のナイトガールを着想源に今季ドリス ヴァン・ノッテンが思い描いたのは、イギリスロンドンの クラブで、それぞれの夜を楽しむパーティーガールたち。セルジュ・ルタンス(SERGE LUTENS)のメイクアップの魔法にかけられ、官能的な美しさを纏った彼女たちの叙情的な夜を表現していく。クラブに溢れる様々なナイトルックを表現始まりの合図と共にランウェイに登場したのは、ヘアスタイルをピンクやブルー、グリーンなどフレッシュに染め上げたパーティーガールたち。英国を象徴するパンキッシュなムードを香らせながらも、ロカビリースタイルや、バイカースタイル、30年代のハリウッドを意識した華やかなドレスルックなど、思い思いのクラブスタイルを楽しんでいるのが印象的だ。ドレスに咲き誇る花々きらびやかな夜の世界へと観客を誘うように、彼女たちの纏うワードローブは、華美な装飾や鮮やかな色彩を取り入れているのも今季の特徴。メゾンを象徴するフラワーモチーフもその一つで、サイケデリックなカラーのハワイアンプリントや、光沢感のあるアヤメモチーフ、オーガンザに浮かび上がるポエティックな花模様などが、ドレスの上へと現れる。テイストの融合もまたこうしてテキスタイルの上へと咲き誇った花々は、各々のパーティーガールたちが持つテイストとミックス。中でも鮮やかな花々を描いたタートルネックには、バイカージャケットに、パイソン柄のエッジィなパンツ、パンキッシュなチェック柄シャツを組み合わせて、あらゆる要素と融合。上質なテキスタイルの表情も相まって、特別な夜へと繰り出すパーティーガルのとっておきなナイトルックを完成させている。眩いほどのきらめきをのせて終盤にかけては、プリント模様を抑えるかわりに、ラグジュアリーな光沢を放つメタリック素材や、スポットライトの下で眩いほどのきらめきを放つ総スパンコールのドレスが登場。そして首元や胸元、ヘッドウェアには、彼女たちの美をより一層引き立てるフラワーモチーフのアクセサリーがあしらわれていた。
2020年03月01日エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)の2020年秋冬メンズ&ウィメンズコレクションが、2020年2月20日(木)、イタリア・ミラノで発表された。クリステル・コーシェがゲストデザイナーにここ数シーズン、クリエイティブディレクターを置かずに社内のデザインチームがコレクションを手掛けてきたエミリオ・プッチ。今季はゲストデザイナーにコシェのクリステル・コーシェを迎えての発表となり、彼女が歴史あるブランドをどのように再解釈するのか期待が高まっていた。クリステル・コーシェは、エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)やボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)などのメゾンで培ったテーラリングの技術とストリートテイストを融合させたクリエーションで知られる人物。日本では東京の「SHIBUYA TSUTAYA」で発表された、映画『名探偵ピカチュウ』とのコレボレーションウェアでも注目を集めた。ストリートウェアに伝統的なプリントをのせてメンズ&ウィメンズ合同のミニショー形式で発表された最新コレクションで、彼女はエミリオ・プッチのアーカイブを再解釈しつつ、自身が得意とするストリートカジュアルを取り込んだスタイルを展開。Tシャツ、スウェットパーカーなどのストリートウェアや、トラックスーツなどのスポーツウェアといったアイテムに、ブランドが紡いできた伝統的なプリントやカラーパレットをのせた。プリントは、1957年にエミリオ・プッチ本人によってデザインされた「Palio」コレクションから、アイコニックなデュオプリント「Lupa」と「Selva」が登場。カラーは、柔らかなライラックやフューシャピンク、エレクトリックブルーなど、エミリオ・プッチでお馴染みのパレットを採用している。異素材ミックス&華やか装飾が巻き起こす化学反応クリステル・コーシェらしい異素材ミックスや華やかな装飾にも注目。たとえばドレスにはフェミニンなレースとスポーティーなテクニカルジャージ、流れるようなシルエットを生み出すツイールシルク素材を組み合わせている。トラックスーツには、煌びやかなパールとクリスタルをデコレーションした。アイコニックなプリントを単にストリートウェアに落とし込むだけではない、彼女らしいミックス&マッチのテクニックが、エミリオ・プッチとのモダンな化学反応を巻き起こしている。
2020年03月01日ヴェルサーチェ(VERSACE)の2020年秋冬ウィメンズコレクションが、2020年2月21日(金)、イタリア・ミラノで発表された。メンズとの合同ショー形式である。ブランド史上初ウィメンズ&メンズを同時発表「今どきの男性、そして女性の人物像とはどんなものか?」という問いに対し、「男性と女性のどちらも平等にパワフルな存在である」と答えた上で、ブランド史上初めてウィメンズ&メンズのコレクションを同時発表するに至ったドナテラ・ヴェルサーチェ。今シーズンはジェンダーの平等と多様性を祝福しつつ、官能性やパワーを主張するコレクションになっている。官能性の解放を象徴するスラッシュ抑制され続けてきた官能性を解放する象徴となっているのが、今シーズンのキーディテールであるスラッシュ=裂け目。この裂け目のディテールを、ウィメンズのスリップドレスやスカートにあしらった。またこのスラッシュをつなぎ止めるパーツとして、アイコニックなグレカキーを施したジュエリースタイルのリングを使用するなど、細部にまでこだわっている。パワフルな女性像を描き出すフォルム自信に満ちたパワフルな女性像を描き出すのが、ハリのある素材やボンディング加工された生地を重ね使いすることで生み出されたしっかりとしたフォルム。パワーショルダーのジャケットはキュッとウエストを絞ったスタイルで、スカートはくっきりとしたアーチを描いたドーム型で、力強い個性を主張する。煌びやかなイブニングウェアフィナーレに向かって登場したのはイブニングウェアの数々。ショルダーを強調した彫刻のように美しいリトルブラックドレスや、メタルメッシュやクリスタルメッシュを使用したアニマル柄のような「ヴィルトゥス V」ドレスが、イブニングに相応しい華やかなムードを放っていた。
2020年03月01日ウジョー(Ujoh) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月26日(水)フランス・パリにて発表された。パリで初開催今季パリで初のショー開催を行ったウジョー。デザイナーが慣れ親しんだその土地で、メイドインジャパンのテーラードを主流にした、女性のためのワードローブが披露された。マニッシュなボーダー柄ジャケットを再解釈今季の主役となるマニッシュなストライプ柄のテーラードジャケットは、解体と再構築を繰り返し新たなピースへと生まれ変わる。本来はフロントにないはずの側面を、正面からぐるりと巻きつけてみたり、スリーブを取り外した後、膝下まで伸びるロング丈へと拡張してみたり。スタイリングに遊び心をまた左右非対称なデザインも印象的で、左サイドのみを極端にカッティングしたジャケットや、取り外し可能なリングによって丈を調整できるジオメトリック柄のジャケットが登場。こうしたジャケットには、ワンピースやアシンメトリーの丈のシャツがインサートされたほか、プリーツ入りのボトムス、もしくはパンツ×スカートのレイヤードなど、新たなジャケットスタイルを提案している異なるピースのドッキングもまた異なるピースをドッキングさせたユニークなジャケットも登場。一方は平面的なキルティング模様、もう一方は毛足の長い装飾をあしらったピースは、その相対的な表情の違いが楽しめるだけでなく、“構造”にも一捻り。本来腕を通すはずのアームがフェイクで、その下にモデルの腕が現れるという、見れば見るほど驚きに詰まった一着となっている。テーラードを引き立てるメタリックカラーカラーは、ネイビーやグレー、ホワイト、ブラックといったベーシックカラーを基調に。ショーの終盤に差し込まれたメタリックカラーは、煌く光沢で観客の視線を惹きつけると共に、テーラードの端正なカッティングやシルエットをより一層引き立て、エレガントな表情へと昇華させていた。
2020年03月01日A|Xアルマーニ エクスチェンジ(A|X ARMANI EXCHANGE)は、俳優の山﨑賢人をモデルに起用した2020年春夏シーズンの新ビジュアルを発表。山﨑が着用するアイテムは、全国店舗にて順次販売される。山﨑賢人が着こなすA|Xアルマーニ エクスチェンジの新作山﨑賢人がA|Xアルマーニ エクスチェンジのキャンペーンモデルを務めるのは、2019年秋冬シーズンに続き2度目。今回は第1弾と第2弾の2度に分けてビジュアルを展開していく。第1弾:90’s、ストリート、クロスジェンダーの3つのテーマで展開2020年春夏シーズンの第1弾では、90’s、ストリート、クロスジェンダーの3つのテーマを展開。新作アイテムとして、90年代のムードを色濃く感じさせるデニムのセットアップ、グラフィックロゴを配したセーター、男女問わずジェンダーレスに着こなせるスポーティなトラックスーツなどを紹介する。また、A|Xアルマーニ エクスチェンジ定番のビッグロゴをあしらったTシャツは、今季も引き続き登場している。第2弾:フレッシュカラーのスポーツウェア&ワークウェアをメインに第2弾では、夏に向けたフレッシュなカラーリングのウェアを多数。ブランドロゴをアクセントにしたレモンイエローの機能的パーカーや、肌寒い日の味方となるブルーのマウンテンパーカーなどを用意した。また、旅先で活躍しそうなハーフパンツやバックパックなども登場している。いずれも軽量感のある素材なので、アクティブシーンには最適だ。【詳細】■A|Xアルマーニ エクスチェンジ 2020年春夏コレクション※現在(2020/02/26)順次展開中。■第1弾ビジュアル アイテム価格デニムジャケット 24,200円+税デニムパンツ 16,600円+税ビッグロゴTシャツ 6,900円+税コート 66,000円+税セーター 17,000円+税スニーカー 25,200円+税トラックジャケット 32,100円+税トラックパンツ 20,500円+税■第2弾ビジュアル アイテム価格バイカラーブルゾン 49,100円+税スウェットパーカ 20,500円+税クルーネックTシャツ 10,300円+税パンツ 22,100円+税スニーカー 27,600円+税ナイロンフーディー 32,100円+税スウェットプルオーバー 18,600円+税ハーフパンツ 17,000円+税ジップアップフーディ 30,600円+税コットンショートパンツ 22,100円+税3WEYバックパック 23,500円+税スニーカー 25,900円+税ナイロンフーディー 33,900円+税スウェットプルオーバー 20,500円+税バッグ 14,900円+税スニーカー 20,500円+税ハーフパンツ 17,000円+税
2020年03月01日メゾン マルジェラ(Maison Margiela)2020年秋冬ウィメンズコレクションが、2020年2月26日(水)フランス・パリで発表された。メンズ・ウィメンズの新作を合同で披露。ブルジョワのジェスチャーをキーワードにコレクションの起点となったのは、先に発表されたオートクチュール・アーティナザルコレクションから。古くから、その格式高い地位を確立している“ブルジョワ”のジェスチャーの本質を探った同コレクションのアプローチをもとに、新たなプレタポルテを生み出した。クラシカルなコードを強調ブルジョワのジェスチャーを突き詰めるにあたり、コレクションで多用されたのは、彼らを連想させる衣服の“一部”である。シンボルとなったのは、首元に大胆に結んだボウタイと、そこから繋がるふっくらとしたアーム。メインとなるワードローブはオーガンザのドレスであるものの、その透過した存在と組み合わせることで、ブルジョワのクラシカルなコードを浮彫にさせる。“解体と構築”から見えるドレスメイキングのプロセス解体と再構築を繰り返したクラシカルなトレンチコートは、解体された生地と生地の間に、チュールを忍ばすことで、ドレスメイキングのプロセスの経過を見ているかのよう。さらに左サイドには、縫い代を残したままの未完成な状態=「work-in-progress(作業途中・未完成)」のコードを用いて服の構造を露わにし、今季のキーワードをさらに探求していく。抽象的なレースドレスハンドカットのホールを一面にあしらったドレスは、服を核となる構造にまで削ぎ落とすというメゾンの手法=デコルティケを恐らくは取り入れたピース。モデルのすらりとした体躯に寄添う、エレガントなシルエットも相まって、レースを抽象化したようなドレッシーな表情に描かれているのが印象的だ。ブルジョワのコードをリサイクルメゾンならではのユニークな手法で完成したこれらのピースは、エシカルを原則としたラグジュアリーから生まれる、新たなブルジョワスタイルを感じさせる。既存のコードを崩し、価値観をアップサイクルするというプロセスを生み出すと共に、真のラグジュアリースタイルを反逆的に表現しているようにも感じられた。リーボックとのコラボシューズもなおモデルの足もとには、2020年春夏「アーティザナル」コレクションで初披露されたリーボック(Reebok)とのコラボレーションシューズが登場。メゾンのアイコンシューズ「TABI」シューズと、リーボックの人気スニーカー「INSTAPUMP FURY」を融合させたフットウェアは、フラットタイプと厚底タイプの2種類が展開される。
2020年03月01日サンローラン(Saint Laurent) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月25日(火)、フランス・パリにて発表された。ロングランウェイから始まる物語今季も、エッフェル塔を正面に臨むパヴァルソヴィ広場を会場に選んだサンローラン。ショーの為だけに用意された特別な屋内空間には、観客席から首を伸ばさなければみることができないほどの、ロングランウェイが出現した。そしてそんなランウェイの背景に映し出されたのは、スポットライトの中で浮かびあがる「YSL」ロゴ。ブランドのシンボルを堂々と携えたその会場には、始まりの合図と共にモデル達が次々と姿を現した。ジャケット×パンツで香らせる女性らしさ今季はジャケット×パンツをキースタイルに設定。言葉通りだとマニッシュな印象をもたらす着こなしだが、アンソニー ヴァカレロの魔法によって、もとよりフェミニンなアイテム以上に、センシュアルなムードの漂う女性像を描き出していく。例えばエレガントなピークドラペルに、ツンと肩が上を向いた逆三角形のフォルムが印象的のダブルジャケットは、素肌の上から大胆に羽織ることで、力強さを秘めたセクシーな表情に。組み合わせたスリムなロングボトムスは、艶めかしい光沢感のある素材も相まって、ボディコンシャスなデザインに自然と目が惹きつけられてしまう。また口元には真っ赤なリップを、足元にはピンヒールを合わせて、大人の女性の色気を随所から引き立たてている。スカーフで華やぎをプラスさらに今季は、首元にキュッと結んだスカーフもキーモチーフとなった。前述のジャケット×パンツのスタイリングをはじめ、タイ付きのブラウスを主役にしたルックも複数登場。“隠す”という逆説的なアプローチをとりながらも、大ぶりなスカーフによる装飾によって、コレクション全体にフェミニンな華やかさを投じている。ランウェイに現れたカラフルな色彩パレットは、メゾンコードであるブラックのほかに、カラフルな色彩が使用されていることも大きな特徴といえるだろう。コレクションには、かつてムッシュ イヴ・サンローランが生み出したセンセーショナルなカラー“フューシャピンク”をはじめ、鮮やかなパープル、ブルー、レッド、グリーンなどが複数回登場。ビビッドカラー同士のアイテムには、本来主役級の“ブラック”をベルトやブーツのアクセントとして差し込み、バランスのとれたスタイリングを創り上げている。ラストは漆黒のドレスでそんな斬新なカラーアイテムが披露された後、ショーのラストを飾るのはやはり漆黒のドレスだ。胸下でギュッと布を絞った斬新なデザインは、黒一色でありながらも観客たちの目を惹きつけるメゾンならではの一着。ショーの終わりを告げる暗転の合図と共に、暗闇へと変わる会場の奥へと、溶け込むようにして姿を消していった。
2020年02月29日ケンゾー(KENZO) 2020年秋冬ウィメンズコレクションが、2020年2月26日(水)フランス・パリで発表された。新クリエイティブディレクター、フェリペ・オリヴェイラ・バティスタによるデビューショーである。光と希望に満ちたランウェイで野外会場での開催を行った今季、広々とした広場には透明のビニールで作られた、トンネル型のランウェイが登場。燦々と降り注ぐ太陽がビニールを通り抜け、眩しいほどの光に満ちたランウェイで、フェリペ・オリヴェイラ・バティスタによる初のコレクションが幕を開けた。ジェンダーレスなシルエットコレクションの最大の特徴となるのは、メンズ同様にゆったりとしたロング丈を基調としていること。膝丈まで伸びるロングニットに、地面に伝うかのようなロングコートは、いずれもモデルの体躯をすっぽりと包みこむようなオーバーサイズで、男女の性差を感じさせないジェンダーレスなデザインに仕上がっている。機能面も重視またそれらのワードローブは機能性も重視。つばさのように広がるパーカー、寝袋にもなるダウンジャケット、まゆのように軽くジッパーで広がるドレスなどが登場。またアウター類も、複数のジップが施されており、アレンジ次第で形を変容させることができる。美しき思い出をプリントに少年時代にアゾレス諸島で過ごした夏の日々を、今季の着想源のひとつにしたフェリペ。コレクションの中には、その島での美しい思い出を物語るようなモチーフも登場。バラの騙し絵からなるカモフラージュ柄や、自然を駆け巡るような馬のプリントが、フード付きジャケットやキャップといったアイテムに姿を現した。新たな“タイガー”を携えてケンゾーへのオマージュを捧げる、アイコニックなタイガーも登場。ニットやロングコートに現れたそのモチーフは、時に鮮やかに、時に抽象絵画のように、そして時には水彩画のようなアプローチで描かれ、生まれ変わった姿を観客へと贈る。モノトーンが基本パレットは落ち着いたアースカラーを基本に、モノトーンのスタイリングを提案。時折差し込まれたグリーン、ブルー、レッドと鮮やかな色彩がコレクション全体にリズムをもたらしていた。
2020年02月29日マメ(Mame Kurogouchi)の2020秋冬コレクションが、パリ・ファッション・ウィーク初日の2020年2月24日(月)に発表された。「包む」への再訪先シーズンのテーマ「包む」をより進化させた今季は、対象物を守る“籠(カゴ)”を起点にインスピレーションを広げた。デザイナー黒河内真衣子の頭に浮びあがったものは、日本のアート・ディレクター 岡秀行による手編みのカゴやそれらが作り出す自然な格子柄。また大自然溢れるアイルランドの旅を通して、地球という惑星も“人間を守る籠”であることを悟った黒河内は、そんな温かな自然のエッセンスもコレクションに落とし込んでいく。格子柄がキーモチーフに今季のキーモチーフとなる格子柄は、ブランドを象徴するジャカード織で表現。トップス×ボトムスをモノトーンのスタイリングで纏めながらも、光沢のあるフィルム素材を織り込んだことによって、格子柄の生み出す立体的な表情をより引き立たているのが印象的だ。こだわりのディテール洋服を飾るディテールにも今季のスパイスを加えて。ドレスの上には、アイスランドの自然を彷彿させるフローラルモチーフが刺繍されたほか、洋服のスリーブの裾やラッフルには、手編みの籠を連想させるリネンのコードで、丁寧な刺繍が施されている。またそのオリジナリティ溢れるディテールによって、マニッシュなムードのアイテムも女性らしい一着へと昇華している点も押さえておきたい。ブラックのパンツに組みあわせたハードなレザージャケットは、裾やポケットに、有機的な刺繍を加えることで、力強くも柔らかなムードを描きだしている。レイヤードスタイルランウェイには、レイヤードスタイルによる着こなしも散見された。コード刺繍で仕立てたエレガントなカーディガンは、キラキラと朝露のような光沢を放つフード付きアウターに重ねることで、ドレッシーな表情を演出。ルースに編まれたニットベストは、ニットトップスと組み合わせることで、秋冬らしい温もりをプラスしている。小物アイテムも充実色味を抑えた今季は、ブラック、エクリュ、そして大地との繋がりから着想を得た温かみのあるアースカラーを中心に。小物アイテムには、ウェアと同様のコード刺繍が施されたポーチやブランド初となるバッグパックが披露されたほか、シーズンカラーのブラウンに染まったアイコニックなPVCバッグが登場。さらに足元には、先シーズンに続くトッズとのコラボレーションで誕生した、ハンドステッチの刺繍によるレザーサンダルが合わせられた。
2020年02月28日ディオール(DIOR)2020年秋冬ウィメンズコレクションが、フランス・パリにて発表された。女性への力強いメッセージをのせたショー会場クレール・フォンテーヌ グループとコラボレーションした今季のショー会場は、フェミニストのアーティストをはじめとする作品をモチーフに、女性への力強いメッセージが並ぶ演出が観客を出迎えた。アーティスティック ディレクターのマリア・グラツィア・キウリが着想を得たのは、彼女がティーンエイジャーだった頃の日記、そして1960年~70年代イタリアのフェミニストアートにおける象徴的な人物たち。コレクションを通して、身体とフェミニズム、そしてフェミニニティの多面的で変わることのない繋がりについて問いかけていく。始まりは「バー」ジャケットから始まり合図と共に、ランウェイに顔を出したのは、かつて女性のための“ニュールック”として誕生した「バー」ジャケット。これまでも様々な解釈でアップデートされてきたアイコンウェアだが、今季は細いボウタイ付きシャツにパンツスタイルというマニッシュな着こなしを提案しているのが印象的。メゾン初の女性アーティスティック ディレクターでもあるマリアの新たな女性の物語を予感させる。マニッシュなシンボルを、ランウェイにまたこのボウタイ付シャツは、今季のキールックとしてあらゆる着こなしに登場。中には、モデルの肌を透かせるシアー素材と組み合わせたフェミニンなルックも散見された。本来ネクタイという男性のシンボルであるピースが、女性にエールを贈る新たなアクセサリーとして提案されているようにも感じられる。コレクションを彩るチェック柄&ドット柄ムッシュ ディオールが愛したといわれる“チェック柄”も、今季のコレクションを語る上で欠かせないモチーフだ。ランウェイの上では、オンブレ・チェック、グレン・チェック、ギンガム・チェックといった様々なチェック柄がボックス型ジャケットやフレッシュなミニスカート、ワンピース、ショートパンツといったアイテムの上に登場。また同じくムッシュの愛した“水玉模様”と組み合わせたルックも姿を現している。メッセージをのせてそこに交わるのは、マリアの好むシースルーやプリーツを使用したスカートやドレスをはじめ、Tシャツやデニムパンツといっカジュアルウェア。ジレ×パンツに合わせた真っ白なTシャツの上には、今季会場のエントランスを飾ったフェミニストのカルラ・ロンツィ作品モチーフの"I say I"のロゴをプリント。ミニマルなデザインながらも力強いメッセージが放たれていた。煌めくドレスに導かれショーの終盤を飾ったのは、メタリックカラーや、ビジュー、ビーズなど、煌めきをのせたドレス群。踝まで伸びるロングスカートは、フリンジのようにカッティングされていて、モデルたちが闊歩するたびにゆらゆらと揺れ、その輝きも一段とましているようにみえる。堂々と胸を張り、前々と歩みを続けるモデルたちの姿は、これからの明るい女性の未来を描き出しているようにも感じられた。
2020年02月28日アンリアレイジ(ANREALAGE) 2020年秋冬コレクションが2020年2月25日(火)、フランス・パリにて発表された。「ブロック」をテーマに今季のシーズンテーマは「ブロック」。“服”をテーマに、ディテールのデフォルメやアングルの変容など、あらゆるアプローチで洋服を捉えてきたアンリアレイジが、今季はワードローブを“作って、こわす”新たな試みに挑戦。一般的なワードローブのパーツを積み木の形に変換して、組み換え可能なモジュール構造の洋服を提案する。異なるパーツが交じり合う先に例えば、ショーの始まりと共に姿を表したトレンチコートやMA-1ブルゾン、ジャケットの3つのピースを例に取ろう。今季のコレクション全てに共通することだが、これらのアイテムは円柱、半円柱、直方体、三角柱といった幾何学的なパーツで形成されたもの。そしてそれらのパーツの一つ一つは、ラインドホックで結合されているため、MA-1ブルゾンの身頃に、トレンチコートの肩、ブレザーのスリーブ、そして袖先にはMA-1ブルゾンのリブ…といった具合に、他のピースとドッキングさせた自由な着こなしを楽しむことができるのだ。可能性に満ち溢れたディテールまたこれらのパーツはディテールの役割をこえた組み換えができるのもポイント。袖口ひとつをとっても、アームにも襟にも、裾にも、スカートの一部にも変化。さらに積み木のような3Dの奥行きをもつパーツ同士の融合によって、従来のピースとは大きくかけ離れたボリューミーなシルエットを描き出しているのも特徴だ。結合から生まれる統一感素材、柄、パーツと全てが自由なスピリットでミックスされることで、そのユニークな表情はより一層加速。これはトップス×ボトムスに分かれた2つのピースなのか?それともアイテムを組み合わせることで生まれたひと繋ぎのピースなのか?ショーが進むごとに、ピースごとの複雑さは増していき、客席からだけではその“正解”さえも分からなくなってくるほど、1つのスタイリングとして馴染んでいることにも気付かされる。ピュアな発想力を起点に作ってはこわし、こわしては作る。子供の頃に誰もが親しんだ積み木遊びのアイディアが、デザイナーのヒントとなり、近未来的な新たなクリエイションを生み出した。心躍るファッションの創作に必要なのは、一歩先に進んだ発想なのではなく、童心に戻るようなピュアなアイディアからなのかもしれない。
2020年02月28日ジョルジオ アルマーニ(Giorgio Armani)の2020年秋冬ウィメンズコレクションが、2020年2月23日(日)、イタリア・ミラノで発表された。漆黒のベルベットを主役に今シーズンのテーマは「VELVET NOTES」。メインマテリアルにブラックのベルベットを据え、纏う人個々の美しさを引き出すようなピースを展開していく。アイテムは、美しい光沢によって身体の動きを強調するベルベットの特性を生かしたもの。たとえばジャケットは力強いショルダーラインを主軸にボディラインになめらかに寄り添うようなシルエットで、モデルが歩くたびにベルベットが上品な輝きを放つ。マスキュリン×フェミニンのロマンティックスタイルコレクション全体を流れているのは、マスキュリンとフェミニンを絶妙なバランスでマッチさせたロマンティックなムード。華やかな装飾を襟元に施したトップスには、ニッカボッカパンツと、ロングブーツを組み合わせて。たっぷりのフリルをあしらったブラウスには、洗練されたシルエットのスラックスをスタイリングした。ネオンカラーや幾何学模様でアクセントカラーは、漆黒のベルベットの美しさを引き立てるピンクやブルー、ライムグリーン、パールグレーなどをアクセントとして取り入れて、奥行きのあるパレットに。また花びらの抽象的なプリントによって構成されたカモフラージュ柄や、モザイク、ストライプ、千鳥格子をモダンに再解釈した柄などジオメトリックなパターンもコレクションにリズムを生んでいる。中国への愛のメッセージなお、今回のショーはイタリアでの新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、発表前日に無観客での発表に切り替えられた。全世界にライブ配信されたショーのエンディングでは、中国をモチーフにしたジョルジオ アルマーニ プリヴェ 2009年と2019年コレクションからのアーカイブドレスが登場。全12体のルックに中国人モデルを起用し、ジョルジオ・アルマーニの中国に対する愛のメッセージが表現された。
2020年02月27日マルニ(MARNI)の2020年秋冬ウィメンズコレクションが、2020年2月21日(金)、イタリア・ミラノで発表された。「不思議の国のアリス」から着想クリエイティブ・ディレクターのフランチェスコ・リッソが今シーズンのテーマに掲げたのは「不思議の国のアリス」。会場はラビットホールをイメージしたもので、うさぎの穴をまっさかさまに落ちたゲストたちが、過去・現在・未来をタイムワープするというミステリアスな世界観を作り上げた。パッチワークで過去・現在・未来を融合キーディテールはパッチワーク。上品な光沢のあるレザーやベルベットをはじめ、近未来を彷彿とさせるメタリックなファブリック、ヴィンテージ風のオリエンタルなフラワー柄テキスタイルなど、様々なパーツを貼り合わせることで過去・現在・未来を1つのピースの上で融合させている。パッチワークで構成されたAラインのミニ丈ワンピースもロングアウターも、シルエットそのものは非常にトラディショナルで無駄をそぎ落としたもの。クラシカルなアイテムに多彩な要素をコラージュすることで、洋服の表情にどのような変化が起きるのか?というエフェクトの研究を行っているとフランチェスコは語っている。クラフトマンシップを取り込んで伝統的なクラフトマンシップを取り込んでいきたいという彼の意図が垣間見えるディテールもある。今シーズン新たに取り組んだのは、紙の上だけではなく、トルソーを使ってデザインをするという試みだ。パッチワークと並んで目を惹いたメタリックパーツは、実際に粘土をトルソーの上にのせて型をつくることで形成されたもので、彫刻のような佇まいが印象的だ。またニットカーディガンの大きく拡大されたスティッチやドレスの裾のほつれも、温もりのある職人の手仕事を感じさせる。
2020年02月27日