こだわりが強く、心配性な長男長男は現在小学2年生。年長のときに自閉スペクトラム症やDCD(発達性協調運動症)などの診断を受けました。性格は特性も関係しているのか、こだわりが強く融通が利きにくく、また慎重で真面目で過剰なぐらい心配性で、不安感も強く怖がりです。そして、独り言が多く過剰に喋る所があります。もともと優しく世話焼きな性分なので、過剰なぐらい世話を焼いたり、小言なども多い長男。学校や学童では次男の世話を焼き過ぎるぐらい焼いては、次男に「うるさい!」などと言われているようです(苦笑)。私と実母、実父との関係私と実母(子どもたちにとっての祖母)の関係はあまり良いとは言えません。私自身バツイチなのですが、離婚の際には世間体を気にして大反対、今の夫(夫もバツイチです)のことも最初から受け入れてくれず、その後生まれたわが子たちに関しても「孫だとは一切思わないし会いたくもない!」と言い張っていると実父から聞いていました。母は障害への偏見も強く、元々好き嫌いをハッキリ態度に出し、一度相手のことを嫌い!となるとそれ以降は一切受け入れないので、そもそも「会いたくない」と言っているのに、障害のある長男を受け入れてもらえるかは心配の種でした。実家が遠いこともあり、頻繁には会わないのですが、対照的に父は「会ったことがない孫であっても孫には変わらないから」と毎月仕送りをしてくれています。御礼の電話の度に子どもたちと楽しそうに話す様子を見て「父はやっぱり孫に会いたいのだろうな…」と私も夫も申し訳ない気持ちになっていました。家族旅行で実家のある県へ。そこで両親に会い…そんなある日、家族旅行で実家のある県へ行く機会がありました。仕送りしてくれている父への感謝を会って伝えたい。せっかく近くまで行くのだから、両親に孫を会わせたいと考えました。実家で会うよりも外で会う方が良いだろうと、宿泊しているホテル近くの駅で待ち合わせて、喫茶店で話すことにしました。喫茶店で自己紹介をするやいなや、定型発達の次男は当たり前のように私の両親の間に座り、うれしそうに2人と手をつなぎました。甘え上手な次男のニコニコと人懐っこい様子に、二人は「可愛い、可愛い」と目を細めました。一方長男は、様子を伺いオドオドして、私の手を離しません。父が長男に少し質問したら、関係ないことまで話し出したり、独り言を言いはじめたりといつもと違う環境に興奮気味なのか声の大きさの調節もできずにいました。Upload By 発達ナビ編集部長男がパニックを起こしてしまい…次男と夫がトイレで席を立つと、母から責めるような言葉を投げかけられました。長男の様子が気に入らなかったのでしょう。場の空気が張り詰めたキツイ感じになりました。そんな母を父は諫めてくれたのですが、長男は場の雰囲気を感じ取りパニックを起こし大声をあげて号泣してしまいました。私は長男を抱き締めて「大丈夫だよ。喧嘩じゃないからね。ママはここにいるよ」と背中をさすり続けました。Upload By 発達ナビ編集部その間もずっと母から「小さい子じゃあるまいし泣き喚いて恥ずかしい」「何話してるのかさっぱり分からないし、独り言をずっと言ってて気持ち悪い」「甘やかしてるからそうなるんじゃないの?障害だからって周りの人にも迷惑でしょう?」など厳しい言葉を言われ傷つきましたが、ただ長男の背中をさすって母の言葉をやり過ごし続けました。昔からこう言う人だからと、あきらめていたのだと思います。それを聞いていた父は、優しい口調で「ビックリしたんやなぁ。電話で毎月じぃじと話してるけど初めての土地で初めて顔合わすし、そら怖いやろう。でも、じぃじは泣いてもその顔すらもうれしいんやでぇ。それだけ大きい声で泣けるんは元気な証拠やぁ。お前もよう頑張ってるなぁ。2人を見れば分かるよ。大変やと思うけどえぇお母さんやっとる。頑張っとるなぁ」と長男の頭をなでてくれました。父が話してくれたこと夫と次男がトイレから戻ると、父が持病のかかりつけの医師に、長男の発達障害について話したときのことを教えてくれました。なんと父自身、多動傾向があり衝動性が強く、集団生活が苦手で会社を辞め自営業に転職したことや、国語はからっきしなのに、計算だけはものすごくできたというのです。医師に「ご自身も発達障害の傾向があったのかもしれませんね」と言われたと話してくれました。それを初めて聞いた母は「なんでそんなこと言い出すんよ?!そんなわけないやろ?!」と苛立って声を荒げました。父はしれっとした感じで「障害があろうとなかろうと、この子はこの子でただの個性や。それをぐちぐち言える権利が俺らにはないんやで?この子のありのままを受け入れてやらんとやろ?」と泣いている長男の手を取り何度もさすってくれました。その言葉がとてもうれしく、涙がこぼれそうになりました。Upload By 発達ナビ編集部次男も「お兄ちゃんはね、パニックになってるだけなの。優しくてね、僕の自慢のお兄ちゃんなの。だからねチクチク言葉はダメなんだよ?」と母に言うと、母は父と次男に「自分が悪いの?」と非難するような視線を送りました。父は「何も気にすることはないし、この子はこの子。しっかり育てるんやで」と笑ってくれました。母だけが納得のいかない表情をしていました。長男の優しさに触れて別れる時間となり、みんなで両親を駅まで見送りに行きました。母は数ヶ月前に足を骨折してから、骨粗鬆症もあり治りが悪く、足を引きずるようになっていました。父からも母が週5だった仕事を週3にしていることを聞いていたので子どもたちにも「ばぁばはね、足が悪いからゆっくりしか歩けないんだよ。抱っこをねだったり、手を引っ張って急かしたらダメだよ」と言い聞かせていました。父と母と手をつないで歩いていた次男がふざけて手を引っ張り駆け出そうとしたりしていたのを見て、長男が「そんなことをしてはダメ!」と強い口調で言いました。その後、母の元に駆け寄ると「ばぁば、足痛いんでしょ?大丈夫?弟がごめんね。無理しないでね」と顔を見上げ心配そうに声を掛けていました。母は驚いて戸惑うような表情をしていました。先程パニックを起こした長男の様子を見ていたので、そんな気遣いができるなんて想像できなかったのだと思います。その様子を見た父は、目を細めて微笑みながら長男の頭をなでて、母に「この子は優しい子やないか?違うか?」と言い、「ありがとうな。ばぁばを気遣ってくれたんやなぁ」と長男をたくさん褒めてくれました。母は父の言葉に目を伏せて黙って頭を垂れていましたが、「ありがとうね。心配してくれたんやね」とそのときに初めて長男と言葉をかわし、頭をなでてくれました。駅に着き、別れたあとも両親は改札の向こう側から何度も振り返り、手を振ってくれました。Upload By 発達ナビ編集部母に対して思うことすぐさま、母の認識や価値観を変えるのは難しいと思います。ですが、最後に長男の優しさに触れて、長男自身を見てくれた、と少しだけ安心しました。完全に解決したとはまだまだ言えませんが、少しばかりは母との関係も前進したのかなと感じています。エピソード提供/みぃこイラスト/SAKURA(監修:三木先生より)優しいお祖父様ですね。ご自身が苦労をされて、そしてそれを悩みながらを乗り越えられた経験のある方は、同じような困難を持つ人に受容的になれますよね。またお祖母様も長男さんと気持ちのこもったやり取りができることによって、「障害」というフィルターを外したコミュニケーションができたんですね。こういう関係を積み重ねていくことで、またみなさんの関係が良くなっていくのだと思います。あなたのエピソードもコラムになるかも?体験談募集中!保護者の方が日々子育てをする中で「こんなトラブルがあった」「こんなハプニングがあった」など悩みはつきないと思います。そんな発達ナビユーザーのみなさんの「困った」エピソードを募集しています。テーマは「反抗期・思春期」「自傷」「学習」「不登校」「ゲーム」「不器用」「ママ友・保護者」「ご近所トラブル」などに加え、今回より「パートナーや両親(義両親)、親族間トラブル」「冠婚葬祭」のお悩みも追加募集!パートナーなどとの意見の相違、冠婚葬祭でのルールが分からない、反抗期による親との言い争い、癇癪を起こして自分の頭を叩く、地団太を踏むなどの自傷行為…読み書きや計算の困りはもちろん、授業を落ち着いて受けられないなどの学習の悩み…行き渋りや不登校などの悩み…いろいろなお悩みエピソード、お待ちしております。お寄せいただいたエピソードの中から数作品、発達ナビの連載ライターさんにコラムとしてコミックマンガエッセイ化していただき、発達ナビで公開いたします!あるあるのエピソードからヒヤリとしたエピソード、SNSなどではなかなか言えないような家族やママ友とのトラブルまで。いろいろな「困った」エピソードをぜひ教えてください。
2022年06月28日元NHKアナウンサーの久保純子さんは、大みそかの『NHK紅白歌合戦』の司会を務めるなど、大活躍していました。プライベートでは、2000年に大学の同級生だった会社員男性と結婚。そして2002年に長女、2008年には次女を出産しています。現在はアメリカ・ニューヨークに在住。そんな久保さんのプライベートに迫ります!次女の卒業式に出席 この投稿をInstagramで見る 久保純子(@kubojunkony)がシェアした投稿 アメリカでは、今が卒業シーズン。久保さんは、「いつまでも小さいと思っていた娘も、9月からは高校生。感慨深いです。新しい世界をいっぱい冒険してね」、「#アメリカは13歳14歳で中学卒業」と次女の卒業式に出席したことを報告しました。投稿された1枚目の画像は、黒のノースリーブに黒のパンツスタイルで花束を持った姿。2枚目は、娘さんとのツーショット。娘さんの顔はハートマークで隠されていますが、輪郭や口元が母娘でよく似ていることがわかります。そして、久保さんのNHK時代と変わらぬスタイルや50歳とは思えないかわいらしい笑顔に見とれてしまいます。この投稿に、元フジテレビアナウンサー・中村江里子さんは「お嬢さん、輪郭や口元、ママにそっくり」とビックリ。ほかにも「ご卒業おめでとうございます‼素敵なハイスクールライフになりますように」「相変わらずお綺麗ですね!」「口元も輪郭も分け目もそっくりですね!素敵な笑顔の母娘写真に癒されました」「美のDNAはしっかりと受け継がれていきますね」などの声が届いています。現在、幼稚園の先生としても働いてる久保さん。いくつになっても挑戦しつづける姿に、とても刺激を受けます。
2022年06月27日SSRIはどんな薬?適応となる症状は?SSRIとはSelective Serotonin Reuptake Inhibitor(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の頭文字をとったもので、こだわり行動、うつ、不安障害、場面緘黙、潔癖症などの症状緩和に使われる薬剤です。発達障害のある子どもには、「自分が一番にならないと気が済まない」「方法や手順などに自分の中での確固としたルールがあり、状況に合わせて柔軟に変更することができない」「一つのことに集中しすぎて周囲が見えなくなる」と、いった特性が見られることがあります。これが「こだわり行動」といわれるものです。不安障害は、突然理由もなく激しい不安に襲われ、心臓がドキドキしたり、めまいがしてふらふらしたり、呼吸が苦しくなってしまうといった症状で、パニック障害とも呼ばれます。場面緘黙とは、家族などとは問題なくおしゃべりできるのに、幼稚園や学校など特定の場所になると話せなくなってしまう症状です。ただ、一口に「こだわり行動」と言っても、その程度はさまざまです。環境を整えたり、周囲が発達障害の特性を理解して接することで、生活に支障がない程度に改善できることも多いでしょう。その一方で、こだわり行動や突発的な不安からイライラが募り、自分や他者への暴力的な衝動に駆られたり、外に出られなくなったり、といった問題がある場合には、薬の力を借りて症状を緩和させることも選択肢の一つです。SSRI(フルボキサミン)の投薬の適応となる症状には、ほかにも強迫性障害、潔癖症などが挙げられます。強迫性障害は、「十分に洗ったのに、くり返し手を洗い続ける」「持ち物がなくなっていないか、何度も確認してしまう」「服が少しでも汚れると、全部着替えないと気が済まない」といった行動となってあらわれます。また潔癖症があると、人が使ったものがどうしても触れなかったり、手指が汚れるのが嫌で手づかみで食べることができない、といった困りごとがでてきます。SSRI(フルボキサミン)の効果・効能は?SSRIには、脳内の神経間でセロトニンという神経伝達物質の再取り込みを阻害する効果があります。セロトニンには心のバランスを整えてくれる働きがあることから、「幸せホルモン」の異名でも知られています。セロトニンが不足すると、気分が落ち込んだり、不安を感じたりしやすくなると言われています。SSRIは、セロトニンの再取り込みをしにくくすることで、脳内のセロトニンの量を安定させ、気持ちを穏やかにする働きをします。SSRIにはいくつかの種類がありますが、本記事ではこだわり行動、うつ、不安障害、強迫性障害などに使われる「フルボキサミン」について見ていきましょう。SSRI(フルボキサミン)は、日本では「ルボックス」「デプロメール」の商品名で販売されている錠剤です。また、「トーワ」の商品名で、ジェネリック薬も出ています。いずれも8歳以上の小児の強迫性障害にも使用が認められています。SSRI(フルボキサミン)の用法・用量は?SSRI(フルボキサミン)の錠剤には、25mgのもの、50mgのもの、75mgのものの3種があります。8歳以上の子どもがSSRI(フルボキサミン)を服用する場合は、1日1回、就寝前に25mgの錠剤1錠からスタートします。1週間以上継続したのちに、朝に25mg1錠、就寝前に25mg1錠、合計50mgに増やします。薬の量は、年齢や症状に応じて医師が判断し、1日合計150mgを超えない範囲で増減します。ただ、増量する場合は、1週間以上の間隔を開け、1回ごとの増量は25mgまでに留めるように推奨されています。医師は、必要最小限の服用で効果が出るよう、慎重に経過を観察しながら処方量を調節します。自己判断で勝手に薬の量や回数を増やしたり、減らしたりしないことが大事です。副作用の心配はない?子どもへのSSRI(フルボキサミン)の投与で最も懸念される副作用は、自殺念慮、自殺企図があらわれる可能性です。24歳以下の患者に投与した場合に、リスクが増加することが報告されています。子どもがSSRI(フルボキサミン)を使う場合、保護者は自殺念慮や自殺企図があらわれる可能性についてきちんと知っておくことが重要です。そして、担当医と緊密に連絡を取り合いながら、経過を見守ることが大切です。自殺念慮、自殺企図のほかに、下記のような副作用があらわれることもあります。・眠気・吐き気・悪心・口の渇き・便秘・めまい・ふらつきまた、投薬を急に中止したり、急激に減らしたりすると、頭痛や吐き気、めまい、不安感、不眠、集中力の低下などがあらわれることも報告されています。服用を止めるときにも、徐々に減量していくなど、医師の指導に基づいて慎重に行いましょう。親子で抱え込まずに、医師に相談をASDなどの発達障害による特性は、個人差も大きいものです。また、成長するにつれて、特性が変化していくことも大いにあります。ただ、強いこだわりや不安、過度の潔癖症などによって、日常生活に困難を抱えている場合は、薬によって症状を緩和していくことも検討したい選択肢の1つです。困りごとを抱えたままでは、強いストレスにさらされ続けることになったり、失敗や挫折が続くことで自己肯定感が低下たりすることが考えられます。そうした状態が長く続くことで、身体的不調、うつ症状、不登校やひきこもり、暴力といった二次的な問題に発展してしまうこともあります。笑顔で過ごせる時間を増やしていくためにも、家庭のなかだけで抱え込まずに、医師や専門家に相談することが大切です。 そして、投薬をする場合は、副作用のリスクなどもしっかり理解したうえで、医師と手を取り合いながら適切な服用をしていくことが重要です。参考:日本薬局方 フルボキサミンマレイン酸塩錠|ニプロ株式会社医療用医薬品 フルボキサミンマレイン酸塩|KEGG データベース
2022年06月26日義実家に帰省して言われた言葉わが家の娘は現在小学5年生です。特に診断などはおりていませんが、昔から切り替えが苦手だったり、集団だと指示が入りにくいなどという特性がありました。子どもが4歳のある日、私たち家族は夫の実家に帰省をしました。義実家で子どもとともに楽しく過ごしていました。ですが、このころの娘は食事をあまり食べない時期でした。そんな娘を心配して、どのようにしたら食べるようになるのかと試行錯誤をしましたがなかなかうまくいかず…それに加え共働きということもあり、私自身心の余裕がなく、しつけができていないことが問題なのかと悩んでいました。ですが、無理矢理に食べさせて娘が食事自体を嫌いになってしまったら元も子もないと思い、当時は娘の望むまま、私のひざの上でごはんを食べさせていました。Upload By 発達ナビ編集部義実家での食事の際、慣れない環境もあり今日もいつもと同様にひざの上で食事をとる娘。そんな娘を見て義母は決めつけるような物言いで「この子はいじめられるよ!ちゃんと見てあげて!ADHDかもしれないから病院にいけ!絶対発達障害だ!」と言い放ちました。普段から思い込みで決めつけることがよくある義母。何故そんなことを言われなきゃならないの?私のしつけが悪いから?発達障害はしつけが原因ではないですが、そのときの私はあまりのショックに言葉を失ってしまい、予定を早めて自宅へ帰ることにしました。Upload By 発達ナビ編集部娘が小学校入学前には…その後も娘が小学校入学前に義実家の行事の準備の手伝いで私一人で訪ねたときには、親戚と私の四人くらいでの作業中に「あの子は先生に怒られるタイプだから」などと言うことがありました。Upload By 発達ナビ編集部義母は会うたびに、娘について気になる点を私に必ず指摘してきます。実の息子である、私の夫には一切言いません。夫は仕事がとても忙しいので、元々娘のこと以外のことも、すべて私を通して話してきます。夫は義母に対してなにも言ってくれないものの、娘についての発言は不愉快に感じているようです。大事にしてくれているのは分かるけどとはいえ、義母が、私や娘のことが嫌いなわけではない、ということは伝わってきます。おそらく義母にとって、娘は自分の知らないタイプ、理解しがたいタイプの子どもなので、心配していて、それをいちいち口に出してしまうのだと思います。私の誕生日にはプレゼントをくれたり、夫と二人でしっかり家庭を築いていることに、感謝の気持ちも伝えてくれます。ですがやはり、悪気はなくてもずけずけと娘の発達に対して指摘をされることには心が壊れそうになり、悪気のない人間はたちが悪いと思ってしまう自分がいます。これからの義母との付きあい方義母に対して「こんな風に言われたら嫌だ」と伝えたら分かってくれそうな気もしますが、そもそも悪気がないので、こちらの思いが伝わるのだろうか?とも思ってしまいます。今は諦め半分ですが、娘も4歳のときとは違い、相手の言ったことを理解できる年齢になっています。もし義母が、娘に対して直接酷いことを言ったら、もう会うこともないだろう、というのが正直な気持ちです。これは私の主観ですが、子育てに関する思い込みが激しい人が比較的多い世代なのかもしれません。街中でも子育てが終わった義母と同世代の方から配慮のない言葉をかけられることが多く、悲しい気持ちになることがよくあります。義母は、娘にとって唯一無二の「おばあちゃん」です。そのおばあちゃんには「よくできた孫だから、かわいい」ではなく、特性を理解し、認め、無条件の愛を孫に与えてほしいのです。現在の娘は、特性はうっすらありつつも、いろいろと折り合いをつけながら成長していっています。苦労することもあるとは思いますが、私は今後も娘の良い部分を最大限伸ばしていってあげたいと考えています。Upload By 発達ナビ編集部イラスト/taeko※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。(監修:三木先生より)教育や子育ては、誰もが一家言もつジャンルですよね。ましてや子育てを一周した祖父母からすると、どうしても自分の意見を言いたくなるものです。しかしそれも孫かわいさゆえであることを相談者さんはしっかり理解されているんですね。一方、世代が違うと価値観や常識も違うこと、子育てに責任を持つのは親であることまで理解して見守ってくれる祖父母はなかなか多くない印象です。上手く距離をはかりながら自分なりの子育てを続けていけると良いですね。あなたのエピソードもコラムになるかも?体験談募集中!保護者の方が日々子育てをする中で「こんなトラブルがあった」「こんなハプニングがあった」など悩みはつきないと思います。そんな発達ナビユーザーのみなさんの「困った」エピソードを募集しています。テーマは「反抗期・思春期」「自傷」「学習」「不登校」「ゲーム」「不器用」「ママ友・保護者」「ご近所トラブル」などに加え、今回より「パートナーや両親(義両親)、親族間トラブル」「冠婚葬祭」のお悩みも追加募集!パートナーなどとの意見の相違、冠婚葬祭でのルールが分からない、反抗期による親との言い争い、癇癪を起こして自分の頭を叩く、地団太を踏むなどの自傷行為…読み書きや計算の困りはもちろん、授業を落ち着いて受けられないなどの学習の悩み…行き渋りや不登校などの悩み…いろいろなお悩みエピソード、お待ちしております。お寄せいただいたエピソードの中から数作品、発達ナビの連載ライターさんにコラムとしてコミックマンガエッセイ化していただき、発達ナビで公開いたします!あるあるのエピソードからヒヤリとしたエピソード、SNSなどではなかなか言えないような家族やママ友とのトラブルまで。いろいろな「困った」エピソードをぜひ教えてください。
2022年06月25日発達障害に携わることは、自分の価値観を問われること中央大学では、2007年から一部の教員が「軽度発達障害の縦断的研究」を開始。これを引き継ぐ形で2016年から「発達障害者傾向を有する大学についての縦断的研究」を行い、このたび『キャンパスにおける発達障害学生支援の新たな展開(中央大学人文科研究所研究叢書)』に活動の記録をまとめました。今回は、同研究チームの主査を務めた山科満教授に、学生支援の根底にある想いや具体的な支援事例、支援者の方へのメッセージを伺いました。発達ナビ編集部(以下、――):山科先生の「支援における思想」について教えてください。山科先生:「発達障害」とは何であるのかということに尽きます。これは、私が大学生や社会人になって初めて発達障害と診断されるような人たちと関わってきたことから出てきた問いであって、発達障害という言葉が関与する全ての事象に当てはまるものではないと思うのですが。――特に精神科医時代のご経験が大きいのでしょうか。山科先生:そのように思います。統合失調症の治療をやっている中で、1990年代後半頃から、統合失調症に見えるが実は高機能自閉症、という事例に出合うことが何度かあり、学会報告をしていました。しかし当時はあくまで統合失調症の治療という視点から、「似て非なるもの」を鑑別する、という発想に止まり、発達障害に関心をシフトすることはありませんでした。よりインパクトがあったのは、精神科医の衣笠隆幸生が2004年に「重ね着症候群」として、パーソナリティ障害のベースに軽度の発達障害がある1群の報告をしたことです。精神療法に関心を寄せ実践もしていた身として、思い当たる事例がたくさんあったのです。さらに、2008年以降、精神科医の中安信夫先生が初期統合失調症と誤診していた発達障害の事例について報告するようになりました。これにも私は衝撃を受けました。――インパクトがあったとは、具体的にどういうことでしょうか。山科先生:自分がこれまで出会った患者さんを思い返してみると、発達障害的な特徴を有する人について、それなりに思い当たったのです。しかし、当時は発達障害の診断はなされていませんでした。それらの人たちの診断は正しかったのだろうか、患者さん達のことを私はちゃんと理解できていたのだろうか、と不安になりました。考えを進めていくにつれ、発達障害をほかの診断基準と同じ水準の診断概念として扱って良いのか、徐々に疑問に思い始めました。これが、2010年ごろまでに私が経験したこと、考えていたことです。発達障害の診断は、医学的な手続きだけに拠ってできるものではありません。常に、その人とその人を取り巻く環境との関係性を見ることになります。とりわけ、日本社会は発達の特性を有する人にとっては生きづらい社会です。「障害は社会の側にある」ことを忘れず、「障害」という言葉に押しつぶされることなく、自己と社会との関係性を多角的に捉えていくことが、発達の特性を有しながら生きていく人には必要なのではないかと私は思います。またその思想は、精神科医も含めて支援する側にも必要なことだと思っています。――発達障害との出合いが、山科先生ご自身の大きな転機となったのですね。山科先生:私は発達障害というものに出合ったことで、精神医学の診断基準も、世の中の常識も、絶対的なものではなく相対化して見るようになりました。それまで信奉していた価値観を捨てる作業は、けっして簡単なことではなく、今も何かの折に自分の中で矛盾を抱えていることに気づかされることがあります。もちろん、私は自分の考え方を声高に主張するつもりは全くなく、最終的に辿り着くところは一人ひとり違っていて良いと思います。ただ、発達障害と関わるということは、さまざまな側面で自分の価値観を問われることになるのではないかと、思っています。活動をまとめた新刊『キャンパスにおける発達障害学生支援の新たな展開』――出版までの経緯について教えてください。山科先生:中央大学の学内公募に手を挙げて大学生の発達障害に関する共同研究を始めたのが2012年度でした。本書の中で紹介されている障害学生支援を担う専門職=キャンパスソーシャルワーカー(以降、CSW)を、学内の競争的資金によって初めて採用したのが2014年、その後紆余曲折を経て、2022年度には中央大学全体では6名のCSWを配置するまでになりました。来年にはさらに2名の増員が決まり、中央大学の全学部にCSWが配置されることになりました。どうにか仕事にひと区切りが着いたところで、これまでの活動を振り返り、本にまとめようということになりました。Upload By 発達ナビ編集部――紹介されている支援例の中から一つ、挙げていただけますか。山科先生:私が担当した、共同研究を始めて間もない時期でCSWもいなかったころの事例です。入学後に1年次の基礎科目でつまずいて卒業の見通しが全く立たなくなっていた学生さんがいました。親御さんは困り果て、学科の先生方も事務職員もどう支援して良いのか分からず途方に暮れているようでした。ご本人にお会いしてみると、いわゆる二次障害が酷く、深い絶望感を抱えている人でした。最初の1年は、休学した上で面談を継続し、関係性づくりだけに費やしました。絶望感からの回復には、成功体験を実感していただくことも必要です。そのため、翌年からは少しずつ基礎科目の単位取得から勉学に復帰しましたが、この過程では事務職員の力を大いに借りることになりました。同じ領域の科目群の中でどの科目・どの先生なら単位取得をしやすいかとか、基礎科目と応用科目の順番を考慮し無理のない履修計画を立てるといったことを、本人を含めて関係の事務職員が学期ごとにミーティングを開いて確認しました。遮音のためのヘッドホン装着など初めての支援策については、各教員の理解を得られるよう個別の折衝を重ねました。――じっくり時間をかけて支援を続けられたのですね。山科先生:そうですね。最終的に入学から7年半かけて卒業し、障害者枠で一般企業に就職しましたが、この過程で、発達の特性がある大学生の支援のためには、心理的な関与、精神医学的なアセスメント、そして何より関係者の理解を得ていくためのソーシャルワークが必須だということが分かりました。その経験から、アクティビティの高い心理職を学部事務室に配置してソーシャルワーク的な役割を担ってもらう、という支援の方法に辿り着きました。具体的には、「発達障害に関する精神医学の知識を運用できるだけでなく、学生の困りごとを具体的に把握できる面接を行う能力があり、かつフットワークが軽く多職種連携ができる人」というイメージを持ちました。そして、呼称をキャンパスソーシャルワーカーに決めたのです。支援者は「孤立しない」ことが大切出典 : ――学生支援に携わる人たちへの願いは何でしょうか。山科先生:学生本人が支援を求めてくるのを待っていては、効果的な支援体制は作れません。具体的にはその組織に応じたやり方があるのだと思いますが、困っている学生に、少しだけ「おせっかい」する教員と、それに呼応する事務職員、そして大学生の成長に「伴走」することを喜びと感じるような支援員がいてくれることを、私は願っています。ただし、発達の特性は百人百様です。診断名で支援の内容が決まることはありません。全て個別のオーダーメイド支援になります。「この学生さんにはこういう支援が望ましい」ということをその都度考え、当事者を含めて話し合い、関係者でコンセンサスを作り上げていく必要があります。――支援は連携が重要なのですね。山科先生:そうですね。発達の特性を有する学生への支援は、教員であれ専門職であれ、ひとりの努力で完遂することはあり得ません。多くの関係者が、支援に関する全体的な理念も、個別の学生の理解についても、共有することが必要です。孤立せずに、「話の通じる仲間を増やしていくこと」は、支援者にも必須なことだと思います。――この本を、どのように役立ててほしいとお考えでしょうか。山科先生:大学で発達の特性を有する学生の支援に関わっている方を主たる読者として想定していました。支援の方法は、大学によって異なって当然であろうと思いますが、私たちの方法の背後にある思想については、どの大学であっても通底するものではないかと思います。手前味噌にはなりますが、「発達障害とは何か」「診断とはどういうものか」ということについて、私なりに考えてきたことを自分の分担した第6章で記述しました。そこも含めていくつかの章は、当事者の親御さんにもお読みいただける内容になっていると思っています。執筆/LITALICO発達ナビ編集部<目次>・第1部キャンパスソーシャルワーカー導入の経緯第1章:キャンパス内での支援のかたち―キャンパスソーシャルワーカー(CSW)の学内配置に焦点を当てて・第2部理論・研究編第2章:精神医学的観点からみた大学生の発達障害、第3章:発達障害のある大学生の課題と支援のあり方をめぐって―外国語教員の視点から、第4章:発達障害当事者からみた「自己」をめぐる問題、第5章:発達障害特性を有する大学生の“自己治療”としてのインターネット依存―一般大学生のアンケート調査から・第3部臨床実践編第6章:発達障害特性を有する大学生の自己理解に寄与する支援のあり方、第7章:学生の成長に寄与する支援者の関わり―理工学部CSWとして7年間を振り返る、第8章:キャリア支援と自己理解―法学部キャンパスソーシャルワーカーとして5年間を振り返る
2022年06月22日支援が必要な学生により早い段階で支援を提供したい2005年に施行された発達障害者支援法では、「大学及び高等専門学校は、個々の発達障害者の特性に応じ、適切な教育上の配慮をするものとする」と明示されました。そこで発達ナビでは、実際に大学でどのような支援が行われているかについてお届けしていきたいと思います。このコラムで紹介する中央大学では、2007年から一部の教員が「軽度発達障害の縦断的研究」を開始。これを引き継ぐ形で2016年から「発達障害者傾向を有する大学生についての縦断的研究」を行い、このたび『キャンパスにおける発達障害学生支援の新たな展開(中央大学人文科研究所研究叢書)』に活動の記録をまとめました。今回は、同研究チームの主査を務めた山科満教授に、キャンパスにおける学生支援の現状や発達による特性がある学生、保護者の方への願いについて伺いました。参考:発達障害者支援法 | 文部科学省編集部(以下――)現在注力されている研究について教えてください。山科先生:中央大学では、未診断ながら発達の特性がある学生への支援体制の構築と、支援のノウハウについての臨床研究を続けています。従来型の学生相談室、あるいは支援室というのは、いくら「箱」を充実させても、支援が必要な学生の多くはそこにたどりつくことなく、大学からドロップアウトしていきます。そのような学生により早い段階で支援を提供できるために必要なことは何だろうと、手探りで活動を続けてきました。――山科先生は、精神科医から大学教員に転身されたのですよね。山科先生:はい。大学教員、それも臨床心理学の教員になろうと思った理由は2つあります。私は1989年に医学部を卒業して精神科医になり、最初の十数年は統合失調症の入院治療に力を入れていました。臨床経験を積む傍らで、次第に薬物療法の対象とはならないパーソナリティ障害や神経症の治療、すなわち個人精神療法、とりわけ精神分析の勉強もするようになりました。これが自分としては興味深かったのですが、脳科学全盛の大学病院の精神科で精神分析を実践することや、まして研究することはできないことだったのです。端的に、居場所がないわけです。もし研究を続けたければ、文系の大学の教員になるしかない、という状況がありました。より直接的には、大学病院で臨床心理士を目指す大学院生の実習指導を引き受けるようになったところ、実習生たちがとても熱心で、その人たちに基礎的な精神医学と精神分析学の両方を教えることに、やりがいを感じるようになったのです。そこで、大学教員を目指すなら臨床心理士養成のための大学院をもっているところにしようと、思い定めました。2006年に文教大学人間科学部に就職したのは、こういう経緯からでした。その後、2010年春に中央大学文学部に移りました。――現在の支援体制について、どのようにお考えですか。山科先生:少しずつ支援体制をつくりつつあるのですが、私のやっていることはどうしても支援者ないし教員の目線での発想に傾きがちです。支援対象当事者の気持ちや困りごとをより具体的に知るために、今は学生さん当事者の人たちに協力してもらいインタビュー調査を積み重ねているところです。また、ピアグループの運営をサポートするようにもなりました。――そのほかの研究はいかがですか。山科先生:東日本大震災にまつわる臨床研究を行っています。中央大学文学部に移った約1年後、2011年3月に東日本大震災が発生しました。以来私は岩手県の北リアス地域に通い、病院臨床や地域の精神保健活動に携わりながら、津波被災者の心理過程と、過疎地域におけるひきこもりの支援に関する臨床研究を続けています。――ひきこもりには発達の特性も影響しているのでしょうか。山科先生:そうですね。その地域で家庭訪問を行っていて、大学中退、あるいは卒業後早期に社会からドロップアウトして、実家に戻りそのままひきこもっているという人たちに少なからず出会いました。その人たちの生きにくさのベースに、多くの場合で発達の特性が絡んでいることが見いだされました。まだ論文化できるほどのデータはたまっていないのですが、実感としてはそういうことです。3/4が支援開始時点で発達障害未診断というデータも出典 : ――大学に通う発達に特性がある学生の傾向や、支援状況について教えてください。山科先生:中央大学の一学部のデータですが、発達の特性があるために適応に困難を来して支援を受けることになった学生のおよそ4分の3は、支援開始時点で未診断でした。多くは幼稚園・保育園時代から多少なりとも「発達が気になる子ども」ではあったのですが、よく護られ、あるいは勉強ができるために周囲から一目置かれ、大学まではさほど不適応にならずに来ているのです。――そのような学生は、大学入学後に困り感が生じているということですね。山科先生:そうなりますね。大学では高校までの生活とはタスクが全く異なります。また、コロナ禍で普及したオンライン授業にはメリットもありますが、時間管理や同時並行処理など、発達の特性を有する人には高いハードルとなることもありました。さらに、授業はこなせても、就職活動で「筆記は通るのに面接でことごとくはねられる」といった経験から、自身の特性について気づくこととなる学生さんも少なからずいます。――学生自ら支援を求めることができているのでしょうか。山科先生:支援対象者となっている学生のうち、自ら支援機関や支援者に直接コンタクトを取った学生は半分以下です。ドロップアウトしかかったところで、ゼミの教員や、キャリアセンターの職員、学部事務室の職員などが関与し、そこから支援者につながることが多いです。ということは、支援機関・支援者は、学生からみてアクセスしやすいだけでなく、一般の教職員にとってもアクセスしやすい存在でなければなりません。これは「箱」を整備すれば良いというものではなく、支援者の「顔」が多くの学生や教職員から認知されることと、支援システムが柔らかいものであることが必要と考えられます。――現在、キャンパスで支援している学生はどれくらいですか。山科先生:中央大学では、私の推計では概ね全学生の1%ほどの学生を支援対象としていると思われます。他方、私たちはいくつかの学内調査から、発達の特性を有し、本人なりに困り感を抱きながら過ごしている学生が1割弱いるだろうと見積もっています。以前行った調査で「自閉症スペクトラム指数(AQ)」という質問紙では、カットオフポイント(その点数以上であれば自閉スペクトラム症の傾向がある可能性が高い)を超える人が数%ほどいました。もちろん、カットオフポイントを超えた人がみな困っているわけでも、まして発達障害と診断されるわけではないのですが、私は、今支援を受けているのは本当に支援を必要としている人の一部に留まっているのではないかと、危惧しています。また、今困っていないから支援の必要がない、とは必ずしも言えません。問題が先送りされ、会社員になってから不適応に陥っても、企業の中では大学のように手厚い支援はありません。それは、私がクリニックや企業内の健康管理センターで精神科医として働いていて実感することです。――さまざまな課題を感じられているのですね。発達の特性がある学生には、どのように過ごしてほしいとお考えですか。山科先生:できることなら、発達の特性がある人は、学生時代に自身の特性と向き合い、この複雑で曖昧な世の中を生き抜く戦略・戦術について考え始めてほしいと願っています。「障害は社会の側にある」のですが、その社会と自分との相性を客観的に分析する視点をもつこと、その前提となる柔軟な自我が育つような支援を一人ひとりに提供することが、私たちの最終目標です。ただし、本人にその自覚が無いまま支援者が人の人生や心の中に踏み込むことなどできません。どうやって気づいていただくか、気づいたときに強い不安や孤独感を抱くことなく支援を開始するにはどうすれば良いのか、学生の成長に寄り添い「伴走」する支援者のあり方とは、など課題はつきません。大学・学部選びでは「本人の興味・関心」を優先させてほしい出典 : ――ここまでお話を伺い、発達の特性による困り感がある大学生の多さを再認識しました。発達に特性がある場合、どのようなことを大学・学部選びで大切にしたほうが良いとお考えでしょうか。山科先生:大学・学部選びに関しては、何よりもまず「本人の興味・関心」を優先させてほしいと思います。大学の勉強は、高校時代よりはるかに複雑でレベルも高くなります。「好き」という原動力がないと、ただただ苦しいだけの日々を送ることになりかねません。就職に有利だからという理由で学部を選んだり、大学のネームバリューに惹かれて「その中で入りやすい学部」といった選択をしたりすると、入学後に壁に当たった際に乗り越えることは難しくなります。――「好き」という原動力が、困難を乗り越える力にもなるということですね。山科先生:大学時代に学んだ「知識」など、卒業後数年したら古びてしまいます。大学で身につけるべきなのは、「調べる力」「長い、構造化された文章をつくり上げる力」「ディスカッションの力」「プレゼンテーションの力」などです。仮に会社員として生きていこうということになった場合に、これらの力があれば、支援を受けながらになるかもしれませんが、それなりの仕事ができる可能性があります。好きな勉強を通してなら、こういう経験を積みスキルが向上することが可能になるかもしれません。コミュニケーションが苦手な人でも、自分の好きなことなら話せるかもしれません。まず楽しんで話す、その次に「相手に伝わる話し方」を考える、ということで、この順番でなければコミュニケーションスキルの進歩などありえないと私は思います。――大学卒業後、つまり「将来の自立」にも関わってきますよね。山科先生:自立ということでいえば、当たり前のことですが生活スキル、自己管理能力の強化は、どうしても必要と思います。大学生活で躓くのは、実はこの点が大きいのです。ただし、朝起きられないとか、時間にルーズだとか、片づけができないといったことが、全て「心がけ」の問題として本人が叱責されてしまうというのは残念でなりません。これらはいずれも発達の特性がベースにあって生じることなのですから、本人を傷つけずにどう意識づけをやっていくか、ということについては、いろいろな工夫が必要でしょうし、薬物療法を検討すべき場合もあります。――保護者はどのようなことを意識すれば良いでしょうか。山科先生:より根本的には、「自己」を育てていく、ということが大事かもしれません。「これが好き」「あれがやりたい」という願望を持ち、その実現に向かって努力するとか、自分が頑張った結果どういう良いことが待っているかということがイメージできるように、親は気長に関わっていく必要があると思います。発達の特性によってイマジネーションが難しいからこそ、そのような頭の使い方を、地道に教えて行く必要があるのではないでしょうか。やがて経験を積み、親しい人に導かれながら内的な経験を言語化する営みを重ねると、少しずつ「自己」が複雑化していきます。そうなると、異なる視点でものを見比べるとか、思考実験的なことを頭の中で行えるようになります。発達の特性を有する人たちにはそういうことは苦手なのですが、将来を考えるときに、不安感と嫌悪感ではなく希望に根ざした発想ができるように、ということを親は意識している必要があるように思います。執筆/LITALICO発達ナビ編集部
2022年06月15日「子どもの未来を幸福に」というビジョンの下、発達障害児の将来の自立と就職に向けてトレーニングを行う教育事業者(児童福祉法に基づく児童発達支援・放課後等デイサービス)に対する開業・運営コンサルティングを提供する株式会社アイラ(本社:宮城県仙台市、代表取締役:遠藤 千尋)は、「人との繋がりの中で未来を生きる力を育む」をコンセプトに埼玉県内で児童発達支援・放課後等デイサービス「ヒトツナ」を運営する株式会社サイドアイ(本社:埼玉県越谷市)と業務提携を行い、2022年6月10日より、「ヒトツナ」フランチャイズ事業を開始しました。埼玉県のヒトツナがフランチャイズ事業を開始■児童発達支援・放課後等デイサービスの概要児童発達支援、放課後等デイサービスは、0歳から18歳までの発達に特性のあるお子様を日中や学校終了後の放課後等にお預かりし、将来の就職と自立に向けた様々なトレーニングを行う事業です。2012年の法改正により現在の児童発達支援・放課後等デイサービスの体系になってから数年で事業所数は急増し、それに比例して利用するお子様も増加しております。「発達に特性のあるお子様」とは、自閉症スペクトラム、ADHD、LD等の診断を受けているお子様や、診断名がなくても療育の必要性を認められたお子様等が対象となります。■「ヒトツナ」のコンセプト児童発達支援・放課後等デイサービスヒトツナは、2019年に埼玉県越谷市に開業しました。「人との繋がりを大切に、人との繋がりをもっと楽しく」というスローガンで、発達に特性のある子どもたちが“人と通じ合う経験”の中でたくさんの学びや発見が得られるような体験学習を重視しております。特性から、他者と通じ合う経験の乏しさや困難さを抱えている子どもたちが多かったり、自分に対する否定が強いお子様が多くみられますが、だからこそ「人と人との繋がり」が生きづらさを解消する手助けになると信じて、質の高い社会性の経験が大切に関わっています。■ヒトツナの療育の特徴ヒトツナでは、〇〇式、〇〇プログラム等、一つの療育の手段に偏らず、「子どもに関わるスタッフ一人ひとりのアセスメント力向上や、療育に向き合うマインドの形成。その上で、多様な“手段”の獲得」が何よりも大切な療育だと考えております。療育プログラムという“手段”が先行した事業所づくりでは、お子様をその手段に当てはめることが目的化してしまい、一人ひとりに合った個別性のある支援からはかけ離れていきます。最も重要なのは“一人ひとりと向き合う力”だと考え、職員に対する療育者としてのマインド、スキル両面からの育成を行うことが、ヒトツナメソッドの特徴です。■フランチャイズの特徴ヒトツナフランチャイズ加盟店様の開業にあたっては、本部のコンサルタントが物件選び、商圏調査レポート、関係法令適合の確認、事業計画書作成、資金調達支援、人材採用支援、集客、マーケティング支援、教育等、開業に必要なノウハウを以てサポート致します。【ヒトツナフランチャイズの強み】(1)開業からわずか3か月で単月黒字化を達成した実績を集約実際の教室運営に基づくサポートをいたします。(2)業界初の経過年数ごとにランニングロイヤリティを低減させる仕組みを採用フランチャイズだけど加盟店様の“自立”が目的です。高額なランニングロイヤリティで運営がひっ迫し、事業継続が困難にならないよう、ヒトツナフランチャイズはランニングロイヤリティもおさえ、さらにしました。その間に加盟店様はノウハウを内製化し、自立した運営を目指していただきたいと思っております。(3)優秀なスーパーバイザーによるリモート、巡回指導当たり前ですが、開業してからが本番です。フランチャイズや開業コンサルティングでよくあるトラブルは、「開業したら支援が手薄になる」ことです。ヒトツナフランチャイズは、本部教室の優秀な人材がスーパーバイザーとして、加盟店様の事業所運営をサポート致します。(4)WEBマーケティングに強いヒトツナフランチャイズの運営チームには、WEBマーケティングに特化した広告・制作会社も参加しています。ヒトツナ本体としてのブランディングにも力を入れ、加盟店様にとってのバリューを高め続けることは勿論の事、加盟店様の認知・訴求においてもWEBマーケティングのサポートが可能です。■当サービス立ち上げの経緯“放課後等デイサービスのフランチャイズ会社が説明している内容が施設の実態と乖離している。”当社、株式会社アイラは、児童発達支援・放課後等デイサービスに長年関わってきた実績から実際の施設運営、人材育成、障害児への教育内容の実証に基づくサービス開発等を行って参りました。実際の生きた事業所運営を行う中で感じたのは、大手フランチャイズ等の広告で表示される謳い文句は「現実とのギャップがある」ものが多いという事です。コンプライアンスを遵守した上で、人材を確保し続けながら事業所を運営していくのは、それなりの覚悟が必要ですが、短期間で高収益等の謳い文句が動機となって参入した事業者にとっては想像よりも労力の方が掛かる事です。その為、事業の早期撤退等も業界の隠れた問題であると感じておりました。放課後等デイサービスは、手軽に小資本で始められる事業ではないからこそ、「やりたい」と一念発起した起業家さんたちには必ず成功して、必ず幸せになってもらいたい。それは、結果的に地域で療育を必要とする障害児の幸せになるのだから。当社は、障害児の居場所をより質の高い環境にする事、そして、放課後等デイサービスという社会的意義の高い事業に参入した事業者様には、必ずこの事業を通じて人生を豊かにしてもらいたい。これが、私たちのビジョンです。■詳しくはこちら資料請求や個別相談にお問合せください。フランチャイズ加盟店様は、オーナー様との面談による入会審査を行わせていただいております。詳しくはこちらをご覧ください。 ■株式会社アイラについて株式会社アイラは、障害児の教育事業を開始したい事業家のスタートアップを支援するコンサルティングを行っております。中でも、クライアント企業様のスタッフ教育には力を入れており、表面的な施設運営のノウハウだけではなく人間の基本的欲求や本質を踏まえて「根本的解決」に働きかけるスタイルで、人材育成をサポートしております。特性のある子どもたちに質の高い療育を提供するためには、支援に従事する職員のマインドを高める事も、とても大切な事です。当社では、子どもたちに質の高い療育を提供する側の大人が人として満たされ、成長することにより、結果、子どもたちに還元できるものが増えるという考えのもと、事業所の教育環境の整備、研修の提供、人材育成のコンサルティングを強化しております。また、代表の遠藤自身もADHD、ASDの当事者で、不登校やうつ、適応障害等の二次障害を経験してきました。そのような経験を踏まえて、発達に特性のある子どもが今ある環境にとらわれ人生を悲観することなく、未来に向かって生きる心の器を育てていきたいと思っております。今回のヒトツナフランチャイズ事業では、フランチャイズ本部機能を受託しております。【会社概要】社名 : 株式会社アイラ所在地 : 宮城県仙台市青葉区国分町1-8-14 仙台協立第2ビル3階代表者 : 代表取締役 遠藤 千尋資本金 : 1,100万円(資本準備金含)事業内容: 障害児通所支援事業のコンサルティング事業、EC事業、人材育成事業等お問合せ: info@ayla.co.jp HP : SNS : ■株式会社サイドアイについて株式会社サイドアイは、埼玉県越谷市、春日部市で児童発達支援・放課後等デイサービスを運営する事業者です。障害や特性がある事により、自分の将来の選択肢を悲観的に考えている子どもやそのご家族に対し、自分らしく人生を充実させる事ができるよう、感性や社会性を磨き、選択肢を広げ、豊かな人生を送る事が出来るよう、障害児支援事業を通じて社会に貢献致します。【ヒトツナ創業時の思い】お読みいただき、ありがとうございます。ヒトツナ創業者の齊藤です。この事業をやるきっかけは、息子が3歳の時に受けた発達検査でした。ADHD、ASDの診断を受け、子どもの療育について学ぶうちに、「私自身も当事者なのではないか」と思い、数年前に検査を受けた所、自分自身もADHD、ASDの診断を受けました。息子の療育先を探す上で様々な施設を見学、実際に通所しましたが、親の目線で思うことが沢山ありました。障害を障害としてとらえてレールに乗った教育をするのではなく、「どうすれば生きやすくなるか」を一緒に考え伴走することこそが、療育なのではないかと思うようになり、ならば自分の理想とする施設を作ろうと思ったのがきっかけです。様々な事業所が、エビデンスや研究に基づいたカリキュラムやメソッドなどを展開されておりますが、当然、支援者としてエビデンス等から学ぶことはとても重要です。しかし、現場レベルでは子どもたち一人一人にどう向き合い、技術や知識をどう実際の支援に落とし込めるかが重要であると私たちは考えております。「何をやるか」ではなく「誰がやるか」が重要である事を、実際の教室運営の中で勉強させていただいております。私自身の診断の際に担当医に「頑張って社会適応してきたんだね、頑張ったね」と言われ、とてつもない安堵感で満たされた経験から、「誰か一人でも、世の中に自分の事をわかろうとしてくれる人がいる。」この、居場所感や大きな器こそが発達障害の支援には欠かせないと思い、人との繋がりをテーマにした施設をもっと多くの方に知っていただき、一人でも多くの親御様とお子様の手助けができたらと考え、このほど同じ志の方々とでメソッドや教室の人材、知識などの資源の共有を行うことを決意致しました。私自身が当事者でその親である事、自分自身がエビデンスになれるように。何より大切なのは、子どもたち一人一人に愛情を持って接すること、受容することです。自分自身を受け容れてくれる仲間や大人と出会えることで育まれる心の豊かさを、子どもたちにも感じてもらいましょう。【会社概要】社名 :株式会社サイドアイ所在地 :埼玉県越谷市袋山1431番4代表者 :代表取締役 齊藤 博晃資本金 :888万円事業内容:障害児通所支援事業、保護者支援、研修事業等 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年06月15日子どもの不器用さ、発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)かも?発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)とは、日常生活における協調運動が、本人の年齢や知能に応じて期待されるものよりも不正確であったり、困難であるという障害です。一つひとつの運動を関連づけたり、統合することが困難な障害ですが、運動の得意不得意はどんな子どもにも見られるため、単に不器用だから、で済まされる場合も少なくありません。そんな発達性協調運動症について、年齢別の困りごとや発達障害との関連性、支援機関や家庭でのサポート方法などを専門家の解説とともにまとめてご紹介します。発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)ってどんな障害?そもそも協調運動とは?粗大運動、微細運動の基本的な解説から、発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)のある子どもの年齢別の困りごとなどを詳しく解説します!発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)の原因は?発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)の原因や、限局性学習症(学習障害)、自閉スペクトラム症、ADHDなどの発達障害との併存の関連性などを解説。診断基準ごとの違いなどの詳しい説明も。子どもの不器用さが気になったらどこへ相談したらいい?子どもの運動や動作の不器用さが気になったら、どのような施設に相談に行けばいい?相談場所はもちろん、支援が受けられる機関を紹介します。遊びの中で取り入れられる、家庭で簡単にできるサポート方法なども!まとめ発達性協調運動症のある子どもは一見「ただの不器用」と思われがちです。しかし、見過ごされ、必要な支援を受けられないままでいると、その子どもが集団に適応することが困難になることもあります。子どもに発達性協調運動症があるのかどうか心配な場合は、早めに相談機関に相談し、必要に応じて専門家の支援を受けながら、家庭でできる工夫を行っていきましょう。
2022年06月12日遅れているのではなく、発達の仕方が異なるだけ知人で、自閉スペクトラム症がある4歳のお子さんの親御さんがいます。その親御さんも私と同じように、定型発達のクラスメートとわが子を比べては落ち込み、障害があるお子さんと比べては「わが子のほうができることがあるんだ」と感じてしまうと言っていました。お子さんは、保育園でもなかなか友達と遊べず、走り回っており、送迎時にその様子を見ては他の子どもたちとわが子を比べて落ち込んでいたそうです。ところが、療育に通い始めると、同じ4歳児でも、もっとじっとしていられない子どもや、発語がない子どももいました。「うちの子だってできること多いじゃない」と気持ちが少し軽くなったそうです。でも、翌朝、保育園に送っていくと定型発達の子どもたちを目にし、また落ち込んでしまいました。息子がまだ幼く、療育に通っていた時のこと。同じ療育を受けていたお子さんの親御さんは、小学校入学時に1年入学を遅らせる就学猶予を検討していました。そして私に「一年くらい遅れていると思えばいいんだよね」と言いました。私は「いえいえ、5歳になったとき定型発達の4歳児と同じようにできる訳ではないと思うよ、発達の仕方が違うんだと思うよ」と伝えました。参考:就学義務の猶予又は免除について | 文部科学省比べるのは仕方がないけれど他の子とついつい比べてしまうのは仕方がありません。「比べちゃうよね、それが親だよね」とかつての私を思い出し、共感しました。また、お子さんによっては一年遅らせることで、落ち着いたり指示が通るようになって、通常学級で学べる場合もあるのかもしれません。私は、自閉スペクトラム症のある子どもを定型発達の子どもと同じように成長させようとするのは子どもにとっても苦しいのではないかと思います。入学時期を一年ずらし、療育を行えば追いつくわけでもありません。療育は子どもがより暮らしやすく、学びやすくなるために行うものであって、定型発達児に近づけるために行うものではないと思います。他の子どもと比べて一喜一憂するのではなく、その子自身の成長を見守っていくことが大切なのだろうと思います。ただ、成長はします。発達はします。今のままの状態が永遠に続くわけではありません。Upload By 立石美津子息子の言葉息子は小学校に上がるまで、ほとんど言葉がありませんでした。オムツも5歳までつけていました。息子は現在、21歳です。昨日、息子が私に向かって夕食前に「もう!早く食べたい」、就寝前に「もう寝る!」と命令口調で言うので、「あんた、殿様だね」と言い返しました。すると「僕は殿様じゃない。立石○○だ」と怒りました。相変わらず比喩が通じない自閉症のある息子です。Upload By 立石美津子また…息子がカラスの声の真似ばかりして、家で「カアアアアーーーーーー、カアアアアアアアー」と大声を出すので…「カラスの写真付きのTシャツ買ってあげようか」「朝、起きたらカラスが横に寝ているかもね」と起こりもしないことを言うと、冗談であることを分かったような顔をして、少し笑いながら「いやだ~」と幼児のように叫びます。私が真顔で「でも、カラスは頭がいいから、外でカラスの声を出したら本当に突きにくるかもね!」と言いました。(外でカラスの声を出すので困ります。本当に突きにくるかもしれないので)その後、神妙な顔をしていました。6歳までほとんど言葉がなかった息子、このやりとりに成長を感じます。Upload By 立石美津子「相変わらず、字面通り受け止めて殿様という比喩が通じない、でも、冗談であることも口調や私の表情でわかる、昔に比べると、言葉が増えたし、会話も出来るようになった…ほんと、成長した。」とシミジミ思いました。親になると比べる病はなかなか改善しませんが、我が子の今と昔を比べるようにしたいものです。(監修・鈴木先生より)字面通り受け止めるのは自閉スペクトラム症の特徴です。ある子に「木」を描いてねと言ったところ、画用紙に「き」と書いていました。人それぞれです。皆とは違う自分の特性を生かせる環境のもとで育てることが重要です。最終的に自立・就職できることを目標にしていけばいいのではないでしょうか。自閉スペクトラム症は退行することはなく、少しずつ成長します。その子のレベルに沿ってゆっくりと進めばいいと思います。そのために特別支援学級で1~2年前の学習の復習をしつつSSTができるといいのです。日本にもデンマークのような自閉スペクトラム症専門の小中学校ができるといいですね。
2022年06月10日2歳5ヶ月、発育の遅れの指摘広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、現在小学6年生。発達障害の可能性を考え始めたのは、娘が2歳のときでした。定期的に行われていた母子相談に、体重測定だけを目的に、軽い気持ちで行ったら…Upload By SAKURA「2歳5ヶ月で、2語文が出ないのはちょっと…」と声をかけられたことがすべての始まりでした。それまで、娘の発育が遅いことは気になってはいましたが…Upload By SAKURA何か発育に問題があるのだろうか…いや、そんなわけない!きっと大丈夫!でもやっぱりおかしいかも…ううん、大人しい子なんだ!と、私の考えは毎日、ころころと変わっていました。今、当時の娘を見ると…今思えば、あのときの娘はやはり明らかに、ほかの子どもとは違うと感じるところがありました。当時の動画を、今見ると…Upload By SAKURA表情がない、目が合わない、意味の分からない宇宙語の独り言、私の言葉に反応しない、クレーン現象など気になる部分がたくさんあり、「なぜ気づかなかったのか!」と過去の自分にツッコミを入れてしまうほど。しかし、私にとって娘は初めての子どもで、育児も初心者。子どもがどういうもので、どういう成長を遂げていくかということも全く知らなかったのです。始まったグレーゾーンの日々娘の発育の遅れを指摘されてから、あれよあれよという間に、私たちは療育コースへ流れていきました。Upload By SAKURAしかし、このときはまだ「発育遅れ」の状態。2歳半だった娘の言語レベルが、1歳半だと言われ、言語とコミュニケーション能力に大きな遅れがあると言われているだけで、診断名はつきませんでした。Upload By SAKURAこの子は、どこにいるのだろう…そのうち定型発達になる、ちょっと発達が遅いだけ?障害はないけれど、少し苦手な部分があるだけ?それとも障害があるの?自分の娘が、どういう子なのかが分からない状態は、とても不安でした。発達障害があるのかないのかを考え続け、表情のない娘に話しかける気力を失うこともあったし、待っても待っても、言葉がなかなか出てこないことに悩み、悲観して涙した日もたくさんありました。Upload By SAKURA娘と会話する未来が全く見えず、女の子が産まれたときに「一緒に服を選んで、買い物して、一緒にランチして、女子トークして…」と夢見たことが、一つも叶えられないんじゃないかと思ったこともありました。Upload By SAKURA発達障害が、妊娠中や出産時、育て方が原因ではないと、今は分かります。でも当時は、どこで間違ってしまったのだろうか…妊娠中、食べたものが悪かった?ストレス?出産時に時間がかかったことが原因?私がなかなか母乳が出なかったから?もっと、接し方に気をつけていれば・・・と、自分を責めて責めて、後悔して後悔して、負の連鎖でした。もし・・・発達障害があったら、この子はどうなる?生きていける?みんなに愛してもらえる?友達はできる?「発達障害」という言葉は、当時の私には重くのしかかっていました。やっとついた診断。それからときが経ち、娘が4歳のときに広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。診断を受けたとき、私は…Upload By SAKURA「やっと診断名がついた」「よかった」というのが最初の感想でした。当初は、発達障害があったらどうしよう…発達障害ではありませんように…と考えていましたが、「発育が遅れている」や「グレーゾーン」という場所にいるのは、私にとって、とてもしんどいものでした。どっちのグループにも属すことができない、道がないようなそんな感じがしていました。あんなに避けたかった診断でしたが、気がついたころには「早く診断名がついてほしい」「道をはっきりさせたい」と思っていました。Upload By SAKURA自分でも想像していなかった「発達障害」の受け止め方。診断がついて、7年。今の私にとって、「発達障害」という言葉は、そこまで重いものではありません。娘を表す一つの言葉で、私にとってはプロフィールのような…血液型や趣味、特技を書くぐらいのもので、違和感はありません。もしかして…発達障害?と、悩んでいた当時の私からしたら、想像のできない姿でしょう。今の娘は会話もできているし、学校にも通えている。今思えば、あのとき、あんなに悩む必要はなかったのではないかと思ったりもします。でも、悩み苦しんだ日々も含めて、私と娘が二人で積み重ねた経験。わが子に発達障害があるかもしれないと言われたとき、悩み苦しむのは当たり前。あの苦しんだ日々は、私を強くしてくれ、今の私の土台になっているように感じます。Upload By SAKURA今、思春期・反抗期を迎えている娘。二人で言い争いをすることも、もめてうまくコミュニケーションが取れず、イライラしたり、悩むこともあります。そんなときは、あの日々を思い出し、あのころも頑張れた…きっと大丈夫と自分に言い聞かせています。執筆/SAKURA(監修:井上先生より)発達の遅れを疑われてから診断が出るまでの間は、親御さんにとってさまざまな心配ごとや葛藤に悩まされる時期だったと思います。その時期があったからこそ今があると思えたり、今の悩みや葛藤はあのときと比べるとと思えたり、お子さんが少し大きくなられた今でもさまざまなかたちでかつてのことが思い出されると思います。当時の気持ちを誰かに伝えたり文章にされたりするのは、ひょっとしたら少しつらい部分もあるかもしれませんが、その体験を語ることがほかの親御さんにとって、とても助けになっていると思います。
2022年06月08日劇的に効いた、発達障害向けの薬私が発達障害の診断を受けたのは32歳のとき。これよりも2年前に発達障害を自覚し、ほかの精神科医(発達障害は専門外)にも発達障害の可能性を指摘されていたため、診断には驚かなかった、つもりでしたが…エビリファイという、脳の覚醒度を調整してくれる薬(もともとは統合失調症用の抗精神病薬です)を処方され、半信半疑で飲んでみた初日、なんと頑固な昼夜逆転が劇的に改善されたのです。昼夜逆転には10年来悩まされていました。朝は昼下がりになるまでボーッとして目が冴えず、夜は空が明るくなるまで脳みそが高速回転している感じで眠れない。生活に気をつけてみたり精神安定剤を処方してもらったりいろいろやったのですが、どうにもならずに本当に困っていたのでした。なのに、エビリファイの最も用量の小さな錠剤を1錠飲んだ初日、私は夜9時に眠くなってパタッと眠り、気持ちよく熟睡して、翌朝6時にパッチリ目が覚めたのです。※エビリファイの副作用などを調整した、レキサルティという新薬が発売されました。現在はエビリファイから変更し、レキサルティを服用しています。生活が変わっていく服薬するようになって変わったことはまだあります。ケアレスミスが減り、生活の段取りもよくなって、まるで1日の時間がそれまでの2倍に、あるいは自分が発揮できる能力が2倍になったように感じたのです。日中は寝てばかり、夜はネットサーフィンしてばかりだった私は、夜に寝て朝に起き、3食決まった時間に食べるように。最低限の家事もこなせるようになっていきました。私は診断に対してどこか半信半疑でしたが、精神安定剤の服用ではどうにもならなかった症状が、発達障害があることを踏まえた薬の処方で、これほど劇的に軽減するとなると、私はやっぱり発達障害があるのだと認めざるをえませんでした。この時期は希望と絶望が入り混じった不思議な時期でした。自分の感じてきた不全感が自分の「努力不足」のせいだけではなかったという安堵、薬の力を借りればここまでパフォーマンスが出せるのだという自信が感じられるいっぽうで、そう感じるほどに「やっぱり私には間違いなく障害があるんだ」「30年間ムダな努力と傷つきを背負ってきたのでは」という無力感に襲われるのです。症状に応じた薬の追加その後私には、ときどき過覚醒状態に陥り、焦りから無理を重ねてドドッと体調を崩す、という癖があることが分かりました。それで主治医が、デパケン(バルプロ酸ナトリウム)を飲むように指示しました。この薬は、脳の異常興奮を抑えるもので、もともとはてんかんや双極性障害の薬。片頭痛の予防薬としての効果もあるので、片頭痛が持病の私には合っていました。最近になって自ら主治医に追加を希望してごく少量飲むようになった薬がセレネース(ハロペリドール)です。これは古くからある抗精神病薬。「不安・抑うつ発作」という、トラウマが関わる、フラッシュバックに近い症状によく効くという論文を見つけて希望しました。セレネースを飲み始めた頃はもともと自分自身の調子がかなり安定してきていたので、薬の影響がどれだけあるかは分からないのですが、少しトラウマを刺激されて動揺することがあっても、動揺が以前より小さく、落ち着くまでの時間も短くなったように感じています。服薬前との違い、副作用トラウマ治療を続けながら服薬をしてきた結果、今は仕事(障害のない人ほどの長時間は無理ですが)をこなしながら、最低限の家事プラスアルファをこなせるまでに生活が改善しています。SNSに没頭してトラブルを起こしたり、夫との関係性が緊張するようなこともなくなりました。服薬は面倒ですし、薬はなるべくなら飲まずに済ませたいのが本心ではあります。どの薬のせいか、そもそも薬のせいなのか分かりませんが、服薬するようになって以降、日光アレルギーのような傾向が出たり、やや太りやすかったりする傾向が出てもいます。しかし、せっかく安定している心身の調子を崩してまで薬から解放されたいとは思いません。精神科医は薬の調整のプロですし、主治医は10年近くにわたって私の調子の上下や性格傾向を見てくれているので、基本的に主治医の方針には従って服薬を続けていこうと思っています。メリットとデメリットを天秤にかけて薬には必ず副作用があり、お金も手間もかかります。薬に頼って生きていると、その薬が手に入らなくなったときにどうしようという不安もつきまといます。しかし、生活の質を大きく左右するような心身の調整の中で、向精神薬にしかできない範囲のこともたくさんあります。私はこうした薬のメリットを重視しています。ご自身の特性で生きにくさを感じている方は、メリットとデメリットを天秤にかけながら、賢く薬を使っていくのもよいのではないかと思っています。文/宇樹義子(監修・鈴木先生より)発達障害は「障害」というよりは「特性」と考えた方がいいです。最近は誤解のないように神経発達症という「障害」を削除した言葉が使われています。小児期に診断がつかず、成人期になって初めて神経発達症(発達障害)と診断される方が増えています。小児科はもちろん、精神科でも診断できる医師が増えてきたからだと考えています。特にADHDがあったにもかかわらず適応障害などと違う病名で悩んでいた人も、別の病院を受診することで実はADHDだったと診断されるケースが多くなっています。薬は多く飲めばいいというわけではなくて、エビリファイのようにごく少量を内服することで不眠が改善することもあります。小児においては自閉スペクトラム症の易刺激性を抑える目的で使用する事が多いです。また、最近はここでも紹介されているレキサルティが体重増加などの副作用が少ない理由で用いられるようになってきました。エビリファイがドーパミンのバランスを安定させるのに対して、レキサルティはドーパミン&セロトニンのバランスを安定させる作用があります。外からの刺激に対しての興奮を抑えるにはエビリファイが、内からのそわそわ感を抑えるにはレキサルティが用いられますが、レキサルティには自閉スペクトラム症の易刺激性に対する適応がまだありません。主治医とよく話し合ったうえでの使用となります。
2022年06月08日【アンケート】2つの商品化候補グッズについてさらに詳しく教えてください!【みんなのアンケート】日常の困りごとをぜひ教えてください!にご協力いただき、ありがとうございました。さまざまなお困りごとのご回答をいただきました。幅広い困りごとや、コメントへのイイネ!を、「なるほど~!」と思わず共感しながらうれしく拝見しました。ありがとうございました。今回はこれまでにいただいたお声などからも検討を繰り返し、次の2つに商品化アイテム候補を絞りました。1.お出かけ編:For 忘れんぼうさんお財布はもちろん、かぎやハンカチなど外に出るための持ち物をすっきりまとめてスタンバイできる「バッグインウォレット」2.おうち編:For お片づけ苦手さん収納すると隠れてしまい、存在を忘れやすい人に向けて、中を確認しやすい「透ける収納ボックス」2つのアイディアを具体的な商品化に向けて、さらに詳しくみなさまのご意見を教えていただくために、追加アンケートと、試作サンプルを試して直接ご意見をいただくモニター募集を実施いたします。アンケートとモニターを通して、発達ナビユーザーのみなさんと一緒にグッズをつくっていきたいと考えています。ぜひご回答とご応募をお願いいたします!(所要時間:約10~15分)※2022年6月19日(日)まで※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移します※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移します
2022年06月06日幼いころのゆいの様子を思い返してUpload By 吉田いらこ幼いころのゆいは素直で大人しく、いわゆる育てやすい子でした。就学前までは子育てで特に大きな苦労を感じたことはありません。ただ、ゆいは勉強の苦手な子ではありました。年中のころから幼児向けのコースもある学習塾に通わせていたのですが、小学校1年生のころに本人がどうしても辞めたいというので退会させたことがあります。続けていけなくなったのは、ちょうどそのころから塾の勉強の内容が幼児向けの簡単なものからお勉強系に切り替わったからだと思います。この塾のシステムは、できない問題があればずっと同じところを繰り返し、理解し、解けるまで次に進むことはできません。ゆいは算数のある一ヶ所でつまずき、ずっとその問題を繰り返し解くことがつらかったようです。このときは辞めさせることをとても悩みました。勉強を嫌がるのは甘えではないのか、それを許していいのか…と。結局、ゆいがとてもつらそうにしているのがかわいそうになって辞めさせてしまいました。それに、まだ低学年だし勉強は無理にさせなくてもいいやとも思っていたのです。今思えば、このころに軽度知的障害の予兆に気づいていればできたこともあっただろうなと感じます。小学校三年生、テストの点数はいつも低く…Upload By 吉田いらこ小学3年生あたりから「この子は勉強が本当に苦手だなあ」と感じることが増えました。小学校で実施される小テストやカラープリントの点数がとても低かったのです。ゆいはいつも点数の低いテストを申し訳なさそうに私に見せてくるので、私は「次頑張ったらいいよ」「ほら、ここは○が多いじゃない」と数少ない、できていたところに目を向けてほめるようにしていました。内心では「この内容だったら、ほかの子は高得点を取っているのでは…?」と思いましたが、成績が悪いことをわが子に注意するのはかなり抵抗がありました。さらに勉強を嫌いになってしまうかもしれないと思い怖かったのです。きっといつか、勉強の大切さがわかったときには自主的に始めるだろう…と楽観視していました。かといって、ゆいに勉強に興味を持たせられるような効果のある声かけもしていなかったので申し訳なく思っています。小学校4年生のある日のことUpload By 吉田いらこそして何も解決しないまま小学四年生になったある日、担任の先生から呼び出しがありました。教室に入ると担任の先生と支援担当の先生がいて、ゆいの学校での状況を教えてくれました。ゆいは勉強についていくのがとても難しそうだということ。必死で板書を書き写そうとしているが間に合わず、授業を理解する以前の状態だということ。そして最後に、一度専門機関で発達の検査をしてみてはと言われました。そのときは「ああ、とうとうか…」と感じました。なんとなくそのままにしてきたことをはっきり指摘されたような気がしました。現在のゆいは…その後小学校5年生で新版K式発達検査を受けた結果、療育手帳(B2)が申請できると伝えられました。つまり、軽度知的障害があるということです。ゆいの場合は、学年が上がって勉強につまずき始めたことがきっかけで障害があることが発覚しました。ただ、こうやって第三者に指摘されない限り、家族だけではなんとなくそのままにしていただろうと考えています。学校の先生方に指摘された当時はショックを受けましたが、そのおかげでいろいろな対応を進めることができたので今では感謝しています。執筆/吉田いらこ(監修:三木先生より)「子どもに知的障害があるかもしれない」という発想は、普通に子育てをしていてはなかなか浮かんでこないものです。ただ一方で、気づかずに一般的な勉強方法を繰り返していては、本人にとってつらいだけのこともあります。特性に気づいて最適な方法に出会えると、少しずつ前に進めて良いですね。
2022年06月03日けだまさんの息子さんは、2歳の時に発達障害の診断を受けました。そのことを受け入れているつもりでも、ゆっくりなペースに挫けそうになることもあります。幼稚園への入園申し込みの結果はどうなったでしょうか?家に届いたのは幼稚園の入園願書。けだまさんは今、願書を出そうか悩んでいます。 ゆっくりすぎる息子の成長に心が挫けそうになるときも…… 息子さんの負担を第一に考えたけだまさんは、幼稚園入園の願書を出さないことに決めました。 発達障害のあるお子さんの場合、成長はゆっくりだったり凸凹があったりしますよね。 みんなと同じ時期に同じことができなくて、焦ってしまう気持ちがきっとあると思います。 そんなとき、自分を落ち着かせるために、皆さんはどんなことを考えたり、やってみたりしていますか? 著者:マンガ家・イラストレーター 海乃けだま発達ゆっくりな息子と活発すぎる娘を育てる2児のママ。クスッと笑える育児漫画を描いています。
2022年06月02日発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)の診断と発達障害の関係は?Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)のはっきりとした原因は、まだわかっていませんが、いくつかの原因が検討されています。また、発達性協調運動症は、限局性学習症(学習障害)、自閉スペクトラム症、ADHDと併存することがまれではないと言われています。上記との併存が多くみられるため、なんらかの共通する遺伝的要因があるのではないかと言われています。また、上記のような障害のある子どもは定型発達の子どもより、発達性協調運動症を発症する可能性が高いと言われています。参考:自閉スペクトラム症に併存しやすい疾患・障害|こころの健康情報局「すまいるナビゲーター」参考:ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について|厚生労働省e-ヘルスネットDSM-Ⅴでは発達性協調運動症は、5歳から11歳の子どもでは、5~6%が発症する、また、女児より男児のほうが発症率が高いといわれています。発達性協調運動症とADHD(注意欠如・多動性障害)との関係ADHDのある子どもがよくころんだり、物にぶつかったりしてしまうのは、ADHDによる注意散漫や衝動性に原因があるのか、それとも発達性協調運動症によってなのかを注意深く観察する必要があります。ADHDと発達性協調運動症との境界についてはDSM-5には特に記載がありませんが、ICD-11では衝動性や不注意のために物や人などにぶつかりやすい子どもを発達性協調運動症と診断しないようにとの記載があります。子どもの運動に対する困難さ、不器用さは必ずしも、ADHDだけが原因、発達性協調運動症だけが原因というわけではなく、両方が原因となっていることもあります。海外からは、ADHDがある男児の場合、発達性協調運動症との併存確率は30~50%ほどの可能性がある言う報告もあります。発達性協調運動症とADHDの、二つを併発している場合は、DAMP症候群(deficits in attention, motor control and preception/注意・運動制御認知における複合的障害)と呼ばれることもあります。参考:ICD-11における神経発達症候群の診断について|公益社団法人日本精神神経学会参考:注意欠如多動症児の協調運動機能が行為選択に及ぼす影響|J-STAGE発達性協調運動症と限局性学習症・学習障害(SLD・LD)との関係限局性学習症・学習障害(SLD・LD)は、読み書き能力や計算力などの算数機能に関する、発達障害の一つになります。限局性学習症には、読字の障害を伴うタイプ(ディスレクシア)、書字表出の障害を伴うタイプ(ディスグラフィア)、算数の障害を伴うタイプ(ディスカリキュリア)の三つがあります。日本語の読み書きに関しては発達性ディスレクシアの診断やアセスメント方法が確立され、音韻処理に基づく介入が行われている場合が多いですが、発達性協調運動症がある子どもの場合は音韻処理だけでは説明できず、診断、アセスメント、介入方法が異なるといわれています。参考:学習障害(限局性学習症)|厚生労働省 e-ヘルスネット発達性協調運動症と自閉スペクトラム症(ASD)との関係自閉スペクトラム症(ASD)がある子どもは、コミュニケーションが苦手だったり、感覚の過敏をともなったり、苦手なことでパニックになってしまう、見通しが立たないことに不安を感じてしまうなどがあります。さらに発達性協調運動症があると、うまくできないことが多くなり、遊びなども楽しむことができない可能性もあります。自閉スペクトラム症の併存症はさまざまありますが、約70%以上の人が1つ以上の精神疾患を持っているといわれています。特に知的発達症が多いですが、その他ADHDや発達性協調運動症、学習障害、不安症、抑うつ障害などがしばしば併存します。参考:発達障害の特性(代表例)|厚生労働省参考:ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について|厚生労働省 e-ヘルスネット発達性協調運動症と知的発達症(知的障害)との関係知的発達症(知的障害)のある子どもは知的能力のみならず、体力や運動能力においてもさまざまな課題を抱えている場合があります。知的発達症のある子どもは、体力・運動能力が、年齢とともに向上しないケースもあります。これは、知的発達症によくみられる自閉傾向、あるいは身体動作の障害のために運動への拒否を示す子どもでは、成長期であるにもかかわらず、本来動かすべき運動や身体を働かす機会が少ないがゆえの身体能力の低下現象とも推察されています。参考:知的障害児の発育期における運動能力について|J-stage診断基準ごとの違い現在使われている精神疾患の診断基準は、アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』5版テキスト改訂版)と世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)(※)による診断基準があります。現在、最新の診断基準である『DSM-5』が主流になりつつありますが、医師や医療機関によってどちらの診断基準に準拠しているかは異なります。発達性協調運動症における診断基準の違いは、『ICD-10』と『DSM-5』で異なる点があります。『ICD-10』では発達性協調運動症は心理発達の障害に分類されるため、精神遅滞と知能指数が重要になります。現在DSM-5、ICD-10では診断名は「発達性協調障害」となっていますが、ICD-11では「発達性協調運動症」と名称が変更されており、神経発達症群に入っています。ですので診断基準も『ICD-10』『DSM-5』から変わってくる可能性もあります。※2019年5月、世界保健機関(WHO)の総会で、国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)が承認されました。日本国内ではこれから、日本語訳や審議、周知などを経て数年以内に施行される見込みです。WHOでの公表・承認を受けて、各国では翻訳やICD-10/11 変換表の作成、疾病分類表、死因分類表の作成などの作業が進められ、審議、周知などを経て施行されていきます。ICD-11への改訂によって分類コードが変化すると、書類上で要求されるICDコードが変わったり、疾病概念やカテゴリー、名称や診断基準も変更になる可能性もあります。参考:ICD-11における神経発達症候群の診断について|公益社団法人日本精神神経学会参考:ICD-11 | 世界保健機関(WHO)まとめ子どもに発達性協調運動症があるのかどうか心配な場合は、早めに相談機関に相談し、必要に応じて専門家の支援を受けながら、家庭でできる工夫を行っていきましょう。また、発達障害のある子どもの場合は発達性協調運動症を伴うことも多いです。発達性協調運動症からの特性なのか、そのほかの発達障害による特性なのかを見極めることが重要です。
2022年05月31日発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)とは?Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンそもそも協調運動とは?協調運動とは、手と手、手と目、手と足などの個別の動きを一緒に行う運動です。例えば、私たちがキャッチボールをするとき、ボールを目で追いながら、ボールをキャッチするという動作を同時にしていますよね。他にも、縄跳びをするとき、ジャンプする動作と、縄を回す動作を同時にしなくてはなりません。このような運動を協調運動と言います。発達性協調運動症(発達性協調運動障害)について発達性協調運動症とは、日常生活における協調運動が、本人の年齢や知能に応じて期待されるものよりも不正確であったり、困難であるという障害です。本人の運動能力が期待されるよりどのくらい離れているかは、通常「MABC-2」(Movement Assessment Battery for Children,2nd Edition version)や、「JPAN」(日本版感覚統合検査)と呼ばれる感覚処理行為機能テストなどのアセスメントによって評価されます。これらのテスト結果を参考に、医師が発達性協調運動症かどうかを判断します。人間の運動の発達をみるとき、大きく分けて、粗大運動と微細運動に分類できます。人間は、さまざまな感覚器官から得られた情報をもとに、初めは姿勢を保つことや寝返りといった粗大運動を習得し、次第に段階を踏みながらより細かい微細運動ができるようになります。粗大運動とは、感覚器官からの情報をもとに行う、姿勢と移動に関する運動です。粗大運動には、先天的に人間に備わっている運動と、後天的に学ぶ運動があります。寝返り、這う、歩く、走るといった基本的な運動は人間が先天的に持っている粗大運動能力です。一方、泳ぐ、自転車に乗るなどの運動は、環境的な影響や学習によって身につけると言われています。微細運動とは、感覚器官や粗大運動で得られた情報をもとに、小さい筋肉(特に指先など)の調整が必要な運動です。モノをつまんだり、ひっぱったり、指先を使って細かな作業、例えば、絵を書く、ボタンをかける、字を書くなどの運動があります。成長とともに、粗大運動から、より細かい微細運動ができるようになります。発達性協調運動症のある人は、粗大運動や微細運動、またはその両方における協調運動が同年代に比べぎこちなく、遅かったり、不正確になります。子どもによって、乳幼児期の粗大運動には全く遅れや苦手はなかったが、幼稚園や、小学校に行くようになり微細運動を必要とする場面が増え、微細運動が顕著に困難である場合もあります。発達性協調運動症のある子どもの年齢別の困りごと発達性協調運動症があるかどうかの判断は、協調運動が本人の年齢や知能に応じて期待されるよりも著しく不正確であったり、困難であるかどうかが重要なポイントとなります。以下で年齢別によく見られる傾向を紹介します。とはいえ、年齢が低ければ低いほど、得意な運動と困難な運動は子どもによって大きく差があり、人それぞれです。ですので、以下の例に当てはまるからといって、必ずしも発達性協調運動症であるということではありません。子どもの様子を見つつ、気になるときは専門家に相談してみましょう。乳児期は、そもそも基本的な粗大運動を学び、獲得していく段階です。また子ども一人ひとりの運動機能獲得のスピードは違いますし、できること、できないことも個人差が大きい時期です。ですので、苦手なことがあっても心配する必要がない場合も多いと言えます。ですが、発達性協調運動症があると診断される子どもは、乳児期に以下の様な特徴が共通して見られる傾向があります。例:寝返りがうまくできない、はいはいがうまくできない、不器用さから母乳やミルクがうまく飲めない(むせる)、離乳食を食べるとむせる幼児期は、特に5歳を過ぎると、運動能力の個人差が縮まってきます。そのためこの時期に発達性協調運動症と診断される場合が比較的多いと言えます。発達性協調運動症のある幼児は以下のことが不正確であったり、習得が遅れていたり、困難な場合があります。例:はいはい、歩行、お座り、靴ひもを結ぶ、ボタンをはめる、ファスナーを上げる、転んだときに手が出る、平坦な場所で転ばない、トイレで上手にお尻をふく小学校に上がると日常生活、学習生活でより複雑で細かい動作を求められる場面が増えます。そのため微細運動での協調運動の障害が顕著に表れます。発達性協調運動症がある子どもは以下のように不正確であったり、習得が遅れていたり、困難なことが見られる場合があります。例:模型を組み立てたりするのが苦手、ボール遊びが苦手、文字をマスの中に入れて書けない、階段の上り降りがぎこちない、靴ひもを結べない、お箸をうまく使えない、文房具を使った作業が苦手(消しゴムで消すと紙が破れる、定規を押さえられずにずれるなど)まとめ発達性協調運動症は、一つひとつの運動を関連づけたり、統合することが困難な障害ですが、運動の得意不得意はどんな子どもにも見られるため、単に不器用だから、で済まされる場合も少なくありません。しかし、発達性協調運動症のある子どもが見過ごされ、必要な支援を受けられないままでいると、その子どもが集団に適応することが困難になることもあります。保護者が「あれ?」と思うようなことがあれば、専門家に相談することが重要です。※ICD-10では「発達性協調運動障害」となっておりましたがICD-11からは「発達性協調運動症」と名称が変更になるため一部表記を併記しております。における神経発達症候群の診断について|公益社団法人日本精神神経学会
2022年05月30日うちの娘は発達障害グレーゾーン。言葉の発達から運動面まで平均で1年以上の遅れがあり、就学前の発達評価では“軽度知的障害”とも言われるほどでした。■発達グレーゾーンの娘の入学は不安だらけ保育園でも一緒に遊ぶのは、発達具合が同程度の下のクラスの子どもたち。慣れない場面ではパニックを起こしやすく、運動会や発表会は毎年、一生懸命、練習を重ねた娘が取り乱して大泣きする姿を見るしかできないのがお決まりのことでした。そんな娘は就学前健診でもパニックを起こして泣き出し、ほかのみんながひとりで健診を受ける中で、うちの娘だけは母親である私同伴。「あの子、なんだろう?」「どうしたんだろう?」というクラスメイトになる子どもたちの視線は、母親である私でも痛いくらいでした。そんなわけなので…。娘の入学はとってもとっても心配なものでした。中でも心配だったのが、“友だちつきあい”。今まで年下の子たちとばかり遊んでいた娘が、同じ年のクラスメイトの中で、やっていけるのか…。周りの子たちから、孤立したりしないだろうか…。特に娘が入学したその年は、新型コロナウイルスで学校生活が大きく変化した年でした。そんな中で娘が楽しく学校に通えているかどうかは、入学から1年たっても、私の心配の種になっていました。 ■息子とともに、お姉ちゃんを迎えにいくことに!そんなある日…。その日は息子の幼稚園の都合で、息子の帰りと娘の下校時間が珍しく重なった日でした。「一緒に帰る子がいるから来なくていいよ」なんて言われて、しばらくお迎えもしていないし…。たまにはいいかと、私は息子を連れて、小学校の正門まで娘をお迎えにいくことにしました。息子は大好きなお姉ちゃんに会えると、覚えたばかりの言葉でお姉ちゃんを呼び続けます。そして、しばらく待っていると…。きたーーーー!!し、しかも…。集団で…!?娘は私たちの姿に気付くと、恥ずかしそうに笑って友だちの陰に隠れます。え…。え…!?一緒に帰る友だちって、ひとりくらいだと思っていたのに…!?勇気を出して挨拶すると、そのお友だちたちは笑顔で私たちを迎えてくれました。そして娘は、「えー…じゃあ、帰るね」そう言って、私たちのもとへ歩みを進めると…。「えーー!! やだーー!!」「一緒に帰る!!」そんな娘に抱きついて引き留めるお友だち。学校とわが家は目と鼻の先。どうやら、娘たちはちょっと遠回りしておしゃべりしながら帰るのが定番らしく、お友だちは娘をそちらに誘っています。えっ…。え…。ママ…もしかして邪魔だったーーー…!?ショックでした。でも、それは決して悲しいショックではありませんでした。むしろ、うれしかった。娘に、こんなお友だちができていたんだ…。 ■不安だらけの入学でも、娘はステキなお友だちに出会えた普通級のグレーゾーン児として先生が配慮してくださって、この子たちも、もしかしたら娘のフォローをしてくれている子たちなのかもしれない。でも、それでも、帰り際にこうして引き留めてくれるんだ。もっと一緒に話したいって、そばにいてくれるんだ…。私は、胸にこみ上げるものを抑えることができませんでした。泣くのは、我慢しました。ギリギリでした。そして、少しだけお友だちと会話を交わした後、この場は譲ることにして、息子とともに、一足先に帰路につくことにしました。確かに、親がいると話しづらいこと、あるよな…!なんて、ほほえましく思いながら…。不安だらけの娘の入学でしたが、こうして娘のお友だち付き合いを目の当たりにすることができて、私の心配性も、少しだけ軽くなったような気がします。まだまだ不安なことはたくさんありますし、学年が上がるにつれて逆に難しくなることもあるかもしれない。でも、娘もたくさん頑張って、学校を楽しんでいるんだ。そう実感することが、ものすごーくできた、出来事でした。ちなみに息子は、小さくなっていくお姉ちゃんの背中に向かい、壊れたおもちゃのように、ずっと名前を呼び続けていましたとさ…。
2022年05月27日しのくんは一人ぼっち!?しのくんは発達障害グレーゾーンの男の子。2歳まで発語がなく、集団行動が苦手なこともあって、2歳から療育に通っています。ちょうど3歳になったばかりのころ、こっそり保育園での様子を見る機会がありました。そのときのしのくんは、一人ぼっちで砂場で遊んでいたのです。Upload By keiko先生からは「しのくんは一人遊びが好きで、いつも砂場で遊んでいる」と教えてもらいました。お友達と遊ぶのが楽しくなってくる年頃なので、いつも一人で遊ぶしのくんのことを先生も心配していました。その話を聞いたあと、私は同じクラスの子たちがお友達同士で遊んでいるところを見て「どうしてしのくんだけ一人で遊んでいるんだろう」と、とても悲しくなりました。あれから9ヶ月…しのくんはまだ一人ぼっちで砂場で遊んでいるんだろうか?お友達はいるの?いないの?このころしのくんは、以前より発語が出てきたものの会話はあまりできませんでした。保育園での出来事をしのくんから聞くことはできなかったので、保育園の先生から聞くしか手段がありません。お友達の名前もしのくんから聞いたことはありませんでした。私は、“しのくんにはお友達がいるのか、いないのか…!?”ということがとても気になっていました。ですが、先生に聞くのもなんだか怖いと思ってしまって、なかなか聞けずにモヤモヤしていました。そんなある日…Upload By keiko保育園にお迎えに行くと、「しのくーん」と、同じクラスの女の子が声をかけてくれました。Upload By keikoUpload By keikoその子が「しのくん大好きー」「バイバーイ」と言い、しのくんも「バイバーイ」と言ってました。その様子から、私は二人の仲良しな感じが伝わってきてとてもとてもうれしかったです!しのくんは一人ぼっちなのかな?とずっと悩んでいましたが、この出来事で悩みは吹っ飛びました!現在しのくんは4歳になった現在も、保育園の様子や今日の出来事を話すのは難しいですが、「〇〇くん好き?」「〇〇ちゃん好き?」と聞くと「好きー!」と返事が返ってきます。それだけで私はうれしくなり、しのくん成長してるなー!と思います。これからもそんなしのくんを見守っていきたいです。執筆/keiko(監修:初川先生より)わが子が一人遊びをしている姿を見ると、心配になったり、切なくなったりする方もいらっしゃいますね。そういう姿を見ると、「遊びたいと思っているのに、仲間外れにされているのではないか」などさまざまな憶測が頭の中を駆け巡ることもあるでしょう。ですが、それはあくまでも、見ている保護者の方の「見方・視点」です。遊びには、発達的に見れば、ひとり遊び → 遊びを見ている行動 → 平行遊び(横で似たような遊びをする)→ 一緒に遊ぶ(まだそれぞれで遊ぶ)→ 一緒に同じルールで遊ぶ という育ちがあります。その個人差は大きいですし、また、一人遊びが好きな子、特定の遊びが好きな子など個性もあります。一人で遊んでいるからといって、「かわいそう」とは限らないものなのです。また、保育園では生活を共にする中で、クラスの子に興味を持ったり(持たれたり)、自然と関わりあいが生まれたりしますね。「同じクラス」というだけで仲間意識を持つ子もいますし、そうした働きかけが先生方からもされている場合もあります。そうして日々刻々と変化があり、子どもたちが相互作用の中で成長する中で、関係性も変化してゆくものです。同じクラスのお子さんからの言葉、うれしいですね。直球で素直な言葉、ポジティブな言葉の持つ力を大人としても改めて認識する思いがします。
2022年05月26日先生から「そろそろ発達検査を受けてみましょうか」の言葉Upload By まる2歳8ヶ月ごろから通い始めた発達外来は、3ヶ月ごとに受診をしている。通い始めてから数ヶ月後、いつものようにこんなことができるようになりました!などの近況報告をしていると、先生から「そろそろ一度発達検査を受けてみましょうか?」と打診があった。発達外来に通ってはいるが、いまだにはっきりと「この子は自閉スペクトラム症があります」と言われていなかったため、私も気になっていたころだった。「ぜひお願いします」と即答。不安な気持ちも大きかったが、それ以上に早く息子の診断を出してもらってスッキリしたいという気持ちも強くなっていた。その日にそのまま検査をするわけではなく、検査日、検査結果を聞く先生との面談日、それぞれを予約した。発達検査の始まりUpload By まる発達検査を行う人は発達外来のいつもの先生とは違う先生で、診察室とは違う個室に案内された。息子はまだ「これから◯◯へ行くよ」などの声かけに対しての理解がないため事前に伝えることはしていなかったし、病院に連れて来られてもよく分かっておらずいつも通りウロウロと動き回っているだけだった。部屋に入るタイミングでは、ちょうど息子の機嫌が良くニコニコしていたのを覚えている。検査の内容は詳しく書けないが、身体を動かす検査や、椅子に座って行う検査があった。前半ではちょうど息子の得意な課題があり、なかなかご機嫌にやってくれて少し安心した。「いや~これはまだできないんじゃないかなぁ」という課題も、母の心配をよそになんと息子はクリア。「すごいじゃん!?まぐれ!?すごいすごい!」と、息子より母がはしゃいでしまうほどだった。検査の中では「こういうことも1つずつ教えていかないとダメだったのか…」と私も勉強になることもあった。やっぱり飽きるよねUpload By まる「ここまで順調に発達検査を受けられている!」と思っていたが、やはり集中力に限界が来たようで、ちょこちょこ席を立つようになっていった。ちょっと動き回っては先生の近くまで行ったり、検査で使う物が入っているバッグを開けようとしたり…。どうにか座らせて次の課題をやってもらおうとするも拒否することが多くなってきたし、出される問題も中盤あたりから息子には難しくなってきた。多分今の息子でもまだできないような課題も出てきた。そんなこんなで息子はいつの間にか全く椅子に座らずに動き回るようになってしまったのと、時間になったので検査は終了した。当日はそれでおしまい。特に先生から何を言われるでもなく帰宅した。ついに診断グレーから自閉スペクトラム症(ASD)へUpload By まるそれから数日後。検査結果を聞くだけだから息子は一緒じゃなくて大丈夫とのことだったので、保育園にお願いして私だけ発達外来に向かった。発達外来のいつもの先生と話をし、検査結果から運動や社会性など「今大体このくらいの年齢ですね」と説明を受けるだけで終わってしまった。「自閉スペクトラム症があります!」と言われることはなかった。別に診断されたから何かが変わるわけではないのだけど、気になっていたくせにはっきり言われるのが怖くて、私から「それで診断名は?」の一言が出せなかったのだ。後から知ったのだが、発達検査は発達障害の確定診断を行うための検査ではないらしい。その後、診断書を市役所に提出する機会があり、発達外来の先生に書いてもらった。用意してもらった診断書を見ていると、そこに「自閉スペクトラム症」の記載を発見。やっぱりかぁーという気持ちになったが、落ち込むことなくなんだかスッキリしたのを覚えている。※発達障害の確定診断は、生育歴や行動観察などの臨床診断と、発達検査・知能検査などの専門診断の結果を経て、総合的に診断されます。執筆/まる(監修:井上先生より)発達検査や知能検査は、お子さんが同年齢の子どもたちと比較して、発達や知能水準がどれくらいの位置にあるのかを把握したり、本人の中の凸凹を評価するために行われます。多くの実施式の発達検査や知能検査は、簡単な課題から開始され、お子さんの正答が得られなくなるまで続けられます。失敗が続くとやる気を失ってしまうお子さんの場合、休憩や気分転換を挟みながら、励ましながら行うことになります。見守っている親御さんもお子さんもよく頑張られたと思います。
2022年05月25日発達障害のある娘と環境変化Upload By 古都 コト子(koto)娘はどちらかというと新しい環境が好きです。新しいお友達や先生たちに出会えると思うとワクワクするようで、環境が変わる前はむしろ楽しみにしている様子があります。本人も「楽しみだなぁ」と、ときどき口にしたり、張り切って準備をしたり、実際に新しい環境で楽しく過ごせたと、先生や本人からも報告があります。それとは裏腹に、いつもは気にしないようなことにこだわり始めたり、うまく切り替えることができず怒りっぽくなったり…。内心は新しい環境や変化にたいして見通しが立たないことでうまく口に出せないような不安があるのだなと思います。今まで通りと違うということは、娘にとって、ルーティーンが狂うということであり見通しが立たないということでもあります。今まで守られていたその一連の流れが変わってしまうのですから、大人でも不安になることでしょう。特に春は、もともと新しい環境や変化が苦手な子どもにとっては本当に大変な時期ですよね。娘のように口では楽しみだと言っていたり、実際に楽しく過ごせているような場合でも、やはりいろいろなことに気を使ったり、変化に対応しようと本人なりに頑張っているので、想像以上に負担がかかっているようです。発達外来で医師に相談してみるとUpload By 古都 コト子(koto)当初は、このように環境の変化によって家の中で落ち着きがなくなったり荒れやすくなったりするのは、ADHDの特性からきているものだと思っていました。ですが、発達外来の先生に相談してみたところ、「自閉スペクトラム症からくる見通しの立たなさ故の不安からきているものではないか」と言われ、なるほどと思いました。なので、部屋を片づけたり、おもちゃを減らしたりなど本人がイライラする要素を減らすよりも、明日の予定や新しい環境での過ごし方をシミュレーションしてみるなど、見通しを立たせて本人の不安を取り除くことを優先することに。結果、少しずつまた落ち着いてきました。娘は幼児期から、このような傾向がありました。例えば3歳くらいまで、行ったことのない建物には入るのが難しいほど場所見知りがありました。当時はすでに療育に通っていて、療育園そのものや安心できる人たちと行く場所はどこも楽しいものだと徐々に学習していき、入り口で泣き叫んで中に入れないといった場所見知りはしなくなりました。病院や歯医者は未だに少し警戒しますが、以前のように中に入ることもできない、ということはなくなりました。事前にどういったことをするのか説明しておくと、スムーズに通えるようになってきています。声がけのポイントはUpload By 古都 コト子(koto)季節の変わり目や環境の変化以外に、園で発表会や運動会などの大きな行事があると、その練習と本番でのプレッシャーによって荒れやすい時期がやってきます。やる気はとてもあるのですが、それゆえに完璧にやらなければならない、失敗してはいけないという重圧が娘の中にかかるようです。「失敗してもいいよ」「大丈夫だよ」と伝えても、娘が納得しなければ自分で勝手にプレッシャーを抱えてしまうのです。そこで、そういう時期は家ではあれこれ急かさないようにしたり注意を減らしたりするなど、安心して過ごせる場にしてあげるよう気をつけています。進級や新しい環境でも、「分からないことがあっても大丈夫だよ」「先生やクラスの子に聞いてもいいんだよ」と、毎日本人が安心できるような声かけをしています。また、行事のときと同じように、家では伸び伸びと過ごして気力を充電することで、少しでも内心感じているプレッシャーを減らしてあげられれば良いなと思っています。大人でも緊張する「新しい環境」というものは、きっと特性のある子どもたちにとってとんでもない出来事!外で頑張っているのに、家でもあれこれ怒られたり感情を出せなくなるのは負担が大きすぎるので、家庭でしっかりリラックスできる環境をつくったり、不安な気持ちを理解して受け止めたりしてあげたいです。執筆/古都コト子(監修:井上先生より)進級や進学は環境の変化が起こることによる楽しみと同時に、変化に対する不安が加わりとても言葉で言い表せないような不安定さが現れるのかもしれませんね。さらに「うまくやらなければいけない」という完璧主義の傾向が強まると不安はさらに高まってしまいます。こういった不安に対して逃げ出さないで向き合っている娘さんは、すごいと思います。つらくなったときは、ハードルを周囲の人が少し下げてあげて、「やり過ごし体験」をしていくことで許容範囲を広げ、自信にもつながっていくと思います。
2022年05月24日単に発達がゆっくりなだけ…?1歳のころの息子の発達息子は、重度知的障害を伴う自閉スペクトラム症があります。「重度」というと、幼いころからはっきり障害の特徴が出ていたのだろうと思われるかもしれませんが、知的障害や発達障害は、子どもが幼いうちは分かりづらいことも多いです。Upload By べっこうあめアマミ1歳のころの息子は、よく寝ますし、よく食べますし、癇癪もそれほど起こしませんし、それほど泣きませんし、目立った問題行動もありませんでした。ですから私は、息子の育児に困っている訳ではなく、発達の遅れに悩んでいる、という状態だったのです。当時の息子は、むしろ育てやすいくらいだったので、よくテレビや本などで見る「発達障害がある子の育児」とは少し違うようにも感じていたのです。あるとき、息子のかかりつけの病院の先生に、発達障害と知的障害の違いについて聞いてみたことがありました。今思い返すと、息子はまさにそのとき聞いた「知的障害」の発達の仕方に近いような気がします。先生から聞いた話をかみ砕くと、できることとできないことの差が大きくて発達に凸凹があるのが「発達障害」、全体的に発達がゆっくりなのが「知的障害」、ということでした。1歳くらいだと、何も障害がなくてもまだできないことが多いですし、発達の個人差も大きいです。ですから私は、漠然とした不安を感じながらも、「単に息子は発達がゆっくりなだけ」とも思っていました。息子の発達の遅れを意識した3つのポイントそんなモヤモヤを抱えつつも子育てをしていた中で、私が決定的に「息子の違和感」に気づいた3つのポイントがありました。Upload By べっこうあめアマミ息子は、1人で立ったり歩いたりすることができるようになるまでに、とても時間がかかりました。ハイハイやお座りまでは順調だったことで完全に油断していた私は、息子が1歳のころ、児童館で息子より年下の子どもが歩いているのを見て、はじめて息子が「未だに歩かない」ことに違和感を感じました。息子は私にとって第一子だったので、通常子どもがどのくらいから喋り出すのか、あまりピンときていませんでした。ところが、そんな私にとって印象的なできごとがありました。Upload By べっこうあめアマミ児童館でよく一緒になった、息子と同じ歳の女の子が、電話のおもちゃを耳にあてて「もしもーし」と言ってみせたのです。その女の子のお母さんが、「教えたら言うようになりますよ」と言っていたので家で息子にも教えましたが、息子は全く言う気配もなく…。このとき、息子がほかの子どものように言葉を覚えていないことを知り、同時に息子が「未だに1つも発語が無い」ことに違和感を覚えました。Upload By べっこうあめアマミ1歳半健診が近づき、問診票が届くと、問診票のチェック項目にほとんど〇がつかないことに衝撃を受けました。慌てて、チェック項目にあった「指さし」を息子に教えてみましたが、全くやる気配がありません。「歩く」「しゃべる」に比べたらずっとハードルが低いと思っていた「指さし」ですら息子ができないことに、「問診表にあることもできないの?」と、息子の発達への不安は決定的になりました。ほかの子どもと比べないと違和感には気づけないUpload By べっこうあめアマミ少し前に、テレビで発達障害の専門家が、「どうしたらわが子に障害があると気づけるのか」という問いに対して、「ほかの子どもと比べること」と答えていたことがありました。「他人と比べる」という所だけを切り取ると、誤解を生みそうな言葉かもしれません。ですが、実際に子どもの発達に違和感を感じたきっかけは、多くの方がそれじゃないかと思うのです。発達障害は、子どもが小さいうちはなかなかはっきり診断されることも難しいですし、血液検査などの医学的な検査でぱっと分かるものでもありません。私のように第一子に発達障害があった場合、一般的な子育てを知らないので、自分の経験則的にも判断できません。「比べる」といっても、それは「優劣をつける」こととは違います。ほかの子どもと比べて、自分の子どもとの違いを認識し、現実を受け止めること。それは親として、子どもが生きやすい環境をつくっていくためにできる、大事な最初の一歩かもしれないと思います。執筆/べっこうあめアマミ(監修:鈴木先生より)前頭前野になんらかの障害のある赤ちゃんは手の指を握ったままハイハイすることが多く、自閉スペクトラム症のあるお子さんは重力不安のため歩行時につま先歩きをすることが多いです。違和感に気づいた時点で自治体の保健師やかかりつけ医に気軽に相談してみてください。気づいたときが早期発見です。知的に遅れているお子さんは筋の緊張が弱く、抱っこがしづらい傾向があります。誰も初めから自分の子どもに障害があるとは思っていません。1歳半や3歳児健診は5歳児健診同様、年齢相当かどうか・発達につまずきがあるかどうかを親に気づいてもらうための健診です。専門の医療機関を受診すればすぐに診断がつく場合もありますが、親の受容がまだないと思われる場合は保健師さんの配慮で、あえて受診を控えて療育という手段でフォローすることも珍しくありません。しかし、早期発見・早期療育も必要なので、まずは専門ではなくてもかかりつけ医に気軽に相談するのも一つの手段です。ほかの子と比べられるのは保育園や幼稚園のような集団に入ったときです。自分の子どもが発達障害かもしれないと受容するのはなかなか難しいかもしれません。ですが、担任からの後押しなどでようやく医療機関受診の心構えができるケースも少なくありません。わが子に障害はないと言って欲しい、そんな気持ちで受診されることも多いと思います。そんな中、医師の診断が自分の思ったこととギャップがあればあるほどショック・否定・攻撃が強く出てしまいがちです。ですが生活の場で少しずつ違和感が出てくるのが「スペクトラム」たる所以です。個人個人その特性には幅があるので、子どもの成長に合わせて見守ってあげることが重要です。
2022年05月23日いつもと違う環境を怖がるUpload By 吉田いらこゆいは一歳のころから保育園に通っていました。先生も手厚く優しく見てくださる保育園で、なんの問題もなく登園していました。でも年に一度だけ、ゆいが登園できなかったことがありました。それは夏まつりのときです。通っていた保育園では夏まつりを大々的に開催していました。縁日だけではなくフリーマーケットも同時開催され、地域の人や卒園生などが大勢参加する一大イベントです。私たち家族も浴衣を着て参加しようとしていたのですが、園の前まで来てゆいが入るのを嫌がりました。いつも通っている園の様子とは全く変わっていて、大きな音楽がなり、大勢の人でごった返していたからです。そのときは「人ごみにびっくりしたのかな」と深く考えず、ゆいに無理させないよう帰宅することにしました。これが年少、年中の二度ありました。遠足が怖いUpload By 吉田いらこそれから数年経ち、小学三年生の春の遠足のことです。当日の朝、玄関で靴を履いてから「怖い、行きたくない」と泣き出したことがありました。理由を聞いても「いやだ、いやだ」と繰り返すばかりです。そのときの私は、この子はわがままを言って学校行事をサボろうとしているのでは、そして私は母としてこれを許してはいけないのではと考えてしまいました。今思えば、あれは特性によるものだったのかと分かるのですが、そのことを理解していなかった当時は単なるわがままだと思ってしまい…反省しています…。なんとか登校させようとなだめているうちに登校時間を過ぎてしまい、担任の先生から電話がかかってきました。電話が来たことに焦ってしまい、さらに自身の出勤時間も迫っていたので、私は最低なことをしてしまいました。無理やりゆいを学校に行かせたのです。泣いているゆいの手を引いて学校に連れて行き、先生に引き渡しました。ゆいはあきらめてみんなと合流していましたが、今でも申し訳ない思いでいっぱいです。新しい学年になるのが不安Upload By 吉田いらこ小学五年生になる前の春休みのことです。夜ベッドに入ると、ゆいが「五年生の教室ってどこにあるの?」と不安そうな顔で言うのです。私は「始業式に先生に聞けばいいよ、きっとどの先生に聞いても教えてくれるよ」と答えたのですが納得してくれません。「ねえ母ちゃん、ネットで検索してよ」「学校の間取りをネットで調べてよ」と泣きそうな顔で言ってきました。学校のWebサイトに校舎の説明は掲載されていませんし、私も校舎の何階にどの教室があるかまでは知りません。ゆいはずっと「怖い、怖い」と言いながら眠りにつきました。今までもゆいのことを不安がるタイプの子だなとは思っていましたが、今回はちょっと度が過ぎているのでは、と感じました。そしてこのときは発達検査の予約待ちの時期だったので、やっぱりこの子には何かあるのかなとぼんやり考えていました。Upload By 吉田いらこ検査の結果を見てそのあと小学五年生でWISC-Ⅳを受け、ASDの傾向があるとの結果が出ました。ASDの特性に「いつもと違う状態になるとパニックになる、見通しが立たないと不安になる」というものがあると知って納得しました。ASDがあると分かったことでこれからはゆいの不安を減らして少しでも安心して生活できるように対応していけると考えています。執筆/吉田いらこ(監修:鈴木先生より)入学式や発表会などイベントに参加するときには昨年のVTRがあればそれを見せることで多少は流れや雰囲気がわかるのでスムーズに会場に入れることがあります。私たちも旅行のときなどにあらかじめ地元の地図や名産などを調べておくと予定が立てやすいのと一緒です。何事も予習が大事なのです。自閉スペクトラム症のあるお子さんたちは環境の変化に弱いのです。いつもと違う教室・洋服・順番など、環境が変わることで不安を感じることが多くあります。初めて行く場所の入り口で止まって固まってしまうのも不安があるからです。親御さんが先に入ることであとからお子さんがついて行き、入れたこともあります。スモールステップで慣らしていくことが重要です。
2022年05月19日ただ抱きしめてあげたいだけなのに、抱っこどころか触ることさえ拒絶され続ける毎日…。「娘の発達には、何か問題があるのでは…」と迷い苦しみ、その葛藤の日々を綴った人気コミックライターのkotoさん。同じような経験がある読者からの多くの共感の声が寄せられました。■出産後すぐに感じた違和感…こんにちは!オシャレに夢中な多動っ子の娘をもつ母、kotoです!現在、未就学児の娘は、得意なことと苦手なことの高低差が激しい自閉症スペクトラムです。注意欠如多動性障害でもあり、破天荒な毎日を過ごしています。産まれてからの娘のkoto子の様子はというと…、発育に遅れはありませんでしたが、私は生後半年ほど経った頃から何かあるのでは…と思っていました。今思えば母親の勘ってやつでしょうか…。その確信に至るまで、そして療育に通って成長していく私たち親子の記録を綴っていこうと思います!これが産後すぐに感じた違和感…。当時まだ0歳だったので、周りからは「普通だよ」「大丈夫だよ」と言われ続けましたが、そうは思えない出来事の連続だったのです。それに当時は「発達障害」「感覚過敏」なんて言葉すら知らない時期…。母親を拒否する赤ちゃんなんて聞いたことがなかったので私の接し方がダメなんだと自分を責め続ける日々が続いたのです。■今まで感じていた違和感、その正体は…その後、koto子が泣き止む唯一の方法を発見!それは何かというと…この何気ない光景で、点と線が繋がりました。「koto子には何かある!」その「何か」がハッキリした瞬間でした…。その最後のピース、それは一体…。あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は専門機関にご相談ください。こちらは1月5日よりウーマンエキサイトで公開されたkotoさんの体験漫画です。漫画に集まった読者からのコメントをご紹介します。■母親が1人で悩み自分を責める…というケースが多い! kotoさんのように、母親が子どもの違和感に気づき、1人で抱え込む…というケースは多いようで…。同様の経験をした読者から多数の投稿が寄せられました。・やっぱり、母親が先に気づき、父親が否定するんだな、と思いました。 自分の周りの家庭は、すべてその形でした。 母親だけが悩み、父親が否定し、大変なのは面倒を直接見ている母親でした。この記事を見て、ちょっとした違和感に気づいた母親を否定せず、一緒に悩んでくれる父親が増えてくれる事があればな、と思います。・同じような過去をもっていたので、大変共感しました。その違和感を感じつつ、必死で育児をしながら、体調を崩していた自分のほうが育児ノイローゼなのかな? と思っていたことも。・初めての子育てだと特に何が違うのか、もしかして何か障害があるのかがわかりにくく、自分を責めて悩んでいる方もたくさんいらっしゃると思います。この記事を読んでうちの子ももしかしてと診断を受けるきっかけになるのではないでしょうか。たとえ障害があるよと診断されたとしてもわからないままよりわかったほうが絶対に子どものためにも親のためにもいいと思うしそれは早ければ早いほうがいいとも思います。・我が家の長男は自閉症です。3歳まで発語はありませんでした。1歳から職場復帰をしていたため、愛情不足、仕事が原因だと何度も言われ、かなり苦しみました。・受給者証が郵送されたのを義母が受け取り大騒ぎ。義母は役所に「嫁が育児ノイローゼを孫のせいにしている」と電話したり。セカンドオピニオンを受けたくても、義母に怒鳴り飛ばされたり。初めの検査も旦那と強行したありさま。ほとほと疲れはてたけど、やはり発達支援センターでは、義母なんかのアドバイスより、役に立つアドバイスをもらえ、家では揉めたけど、結果よかったと思ってる。所詮、特性のある子を育てたことがない人には、一生理解できないから、専門家や第三者の支援が絶対に必要。同様の経験を乗り終えた経験談や、意見も数多くいただきました。・療育と園に子どもの様子など、とにかく話しました。ウザがられていたとは思いますが、心配や不安は周りにも共有して話すことで、気が楽になりました。 一人で抱え込まないこと。・発達障害と診断された事で、自分の育て方のせいではなかったんだと少し楽になりました。だからといって急に子どもと上手く向き合えるわけではなく、叱ってはいけないと言われても、つい叱ってしまうし…。・どうして?なんでこの子はと悩み全て自分の育て方が悪いのだと自分を責め、周りのお子さんそのお母さんに劣等感のようなものを抱えていました。小学2年の時、専門の先生にADHDであると言われまた。現在は無事大学生になり親子間のバトルもだいぶ小さくなって来ています。・診察して下さった専門医の先生からは、「今後生きていく上でこの子がどういう子かという証明にもなりますし、診断名をつけた方がいいと思います」と言われた。障害があると分かって傷付く人もいらっしゃるんだろうなぁと思った。私は、早く診断してほしかったからハッキリ言って欲しかった。結局、軽度知的障害を伴う自閉スペクトラム症でした。それからは学校にも堂々と自閉症だと言えたし、本当に心が楽になった。それからは他の人に相談してモヤモヤする事もないし、障害があるならあるなりに成長できるよう、専門家の力を借りたり私達も手助けしたりして、ゆっくりですが成長し、子供のペースでのびのび成長できてます。経験者の誰もがおっしゃるように、1人で抱え込まないことが大切のようです。違和感を感じたら、ご自分のためにも、子どものためにも、明日の笑顔に一歩近づくために、専門家に相談をしてみてください!▼漫画「我が子を触れない母の話」
2022年05月18日原因が分かったら、まずは夫婦間の情報共有。思春期・反抗期に突入し、発言と行動がめちゃくちゃになっていた、広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘。娘との関係の悪化に悩んだ私が、娘(当時、小学5年生)と発達外来に行って相談すると、その原因が自立心と自立力のバランスにあったことが分かりました。Upload By SAKURA「自立力を伸ばす方法」を先生から教えてもらい、帰宅。まずは、夫に受診時に先生と話したことを事細かく報告し、「自立力を伸ばす方法」のやり方を伝えました。Upload By SAKURA私たちは、療育方法を実践する前に、必ず夫婦間で情報の共有をします。療育方法も大事ですが、その療育をする意図をちゃんと一致させないと、それぞれの対応が異なってしまいます。娘を混乱させないためにも、とても大事なことだと思っています。同じ理解で、同じ方向を向いたら、早速試すことにしました。自立力を伸ばす方法。病院で先生から教えてもらった方法はこうでした。Upload By SAKURAUpload By SAKURAUpload By SAKURA言葉のやり取りが苦手な娘は、こういう場合、なかなか自分で答えを出せないこともあります。手助けするときは、直接答えになりそうなことは言わず、あくまでも娘の口で言わせることが大事。もし、私たちが「○○したらいいんじゃない?」と口にしてしまうと、それ自体、親の助言になってしまい、娘が選んだことではなくなります。Upload By SAKURAそのため、サポートする場合は質問自体を分かりやすく崩したり言い換えたりして、最終的に娘が『自分で答えを導き出す』ようにしました。紙に書く方法、目的は・・・定型発達の子どもの場合、「早く食べなさいっていちいち言われたくない(自立心)…だから、早く食べようっと!(自立力)」という考え方になると思うのですが…。娘の場合、「言われたくない~!」(自立心)という気持ちだけがあり、どうしたらいいかまで導き出すことが難しい。その導き出す過程や考え方を視覚化し、娘に分かりやすくすることが紙に書く目的でした。Upload By SAKURAこの一連の流れが、自立力を鍛えることにつながる。私は、どんなことでも、先生に教えてもらったこの方法を試しました。ゆっくり見え始めた変化。紙に書くというこの方法、続けて数ヶ月経つと…Upload By SAKURA自分から動けることが増えていきました。紙に書いて考え方を整理するこの方法は、娘にとても合っていたようで…Upload By SAKURA以前のように、自分の失敗なのに私にあたる…という態度をすることがなくなりました。娘に委ねる方法にチェンジ。距離はできたけど・・・この方法を始めたのを期に私は、寝る時間やお風呂の時間、いろんなことを娘に決めさせました。その結果、失敗したりパニックになったりしても、「自分で決めたでしょ?」と娘に対して、自分の選択だったことも意識させるようにしました。Upload By SAKURAそして、娘は明らかに私に噛みつくことがなくなり、自立力も少しずつですが上がってきているように感じます。ただ、選択も結果も娘に委ねるようになってから、私と娘には前より距離ができました。私から娘に対して、前もっての声かけがほとんどなくなったからです。Upload By SAKURA今まで、どれだけ私が娘にしつこく声をかけていたのかが分かりました。正直、寂しい気持ちもありますが、今の娘にはきっとこの距離感がちょうどいいのだと考え、ついつい先回りした声かけをしそうになっては「危ない、危ない」と自分を抑えています。振り返ると…今回のことで感じたのは、これは娘というよりは、私側に改善する点があったということ。娘の療育ではなく、私の子離れの第一段階だったのかもしれません。そんなふうに思いました。実は、娘と一番揉めていた時期~改善方法に取り組んでいた時期、私は第三子妊娠中でした。妊娠中のトラブルが多かった私は、体調が安定せず、妊娠初期はつわりに苦しみ、中期から後期は、切迫早産で自宅安静や入院を繰り返すという生活。お腹の子どものことを一番に考えつつも、娘とうまくいかない状況がもどかしく、娘のことに関しては常にイライラしている状態でした。娘の思春期・反抗期、甘えたい盛りの息子、安定期のないお腹の子。それに加えて、仕事、家事…すべてをうまくこなそうと思っていた私は、いっぱいいっぱいでした。いろんなことが重なって、どうすればいいのかとたくさん悩み、娘の態度一つひとつに過剰に反応して、夫の前で何度も泣きました。Upload By SAKURAなかなか涙が止まらず、夫が驚くほど泣いてしまうときもありましたが、今考えると、あれが私の…あのときの「一生懸命」だったと思います。娘との関係がうまくいかなくなり始めてから、どうしてこうなってしまったのか…昔みたいに娘と仲良くできないのかと頭を抱えましたが、最初から最後までうまくいきっぱなしの親子関係なんてありません。お互い悩んで、あーでもない、こうでもないと試行錯誤を繰り返し、なんとかあの時期を通過しただけで…今も、すべてが解決したわけではありません。きっと発達障害のある子どもでも、定型発達の子どもでも、子育てはずっとこういうことの繰り返したのだと感じました。執筆/SAKURA(監修:三木先生より)このような具体的な行動を一つずつ一緒に考えていくのはとても良い方法ですね。また、そのプロセスで子どもと大人の認識がずれていたことが分かることもよくあります。こうやって少しずつ本人の行動を本人の決定に委ねていくことで成長が見られると、保護者としても安心ですね。
2022年05月18日障がい福祉サービス事業を行う株式会社ひいらぎ(本社:埼玉県草加市、代表取締役:茂呂 史生)の代表・茂呂 史生が「発達障害は才能である」という信念のもと16年かけて培った最高の子育て方法をまとめた初の書籍『世界を変える子どもたち 発達障害という才能を最高に輝かせる方法(信長出版)』を2022年5月18日に出版いたしました。予約開始後、Amazon書籍ランキングの「障害児教育」部門と「障害児福祉教育」部門 新着ランキング1位※を獲得するなど、発売前から注目を集めています。(※2022/4/25調べ)世界を変える子どもたち 表紙■発達障害は才能である本書は、代表・茂呂が、信念である「発達障害は才能である」という言葉の真意を「書籍」というかたちで発信し届けることで、世の中の1人でも多くの人が発達障害に対する意識を変えてくれることを目的に執筆致しました。本書は、第1章 発達障害は「才能」だ第2章 障害への無知であふれる日本第3章 「接し方」を変えればすべてうまくいく第4章 子どものやる気を引き出す、たった2つの方法第5章 専門的施設の選び方の5章で構成しています。発達障がいを持つ子どもと関わる機会があるものの、接し方にいつも迷ってしまう方、ご自身の子どもの将来が不安だけれど誰に相談したらいいかわからない等のお悩みを抱えているのであれば、ぜひ本書をお手に取ってみてください。2006年より16年以上にわたり、児童福祉施設を運営してきた代表・茂呂が実体験を織り交ぜながら、独自のノウハウを語り尽くします。発達障害には大きな可能性があります。現代では、発達障害は、この新しい時代を生き抜く武器にもなり得ます。本書を読み終える頃には、発達障害に対するとらえ方がガラッとポジティブに変わっているはずです。発達障害に対する意識がポジティブに変わる!■書籍概要・書名 :世界を変える子どもたち 発達障害という才能を最高に輝かせる方法・著者 :茂呂 史生・出版社:サンクチュアリ出版・発売日:2022年5月18日・体裁 :単行本(ソフトカバー)200ページ・価格 :1,540円(税込)・Amazon.co.jpでのご購入はこちら: <内容紹介>児童福祉業界16年の経験から得た子育て教育プログラムを大公開!〇なぜ著者は、発達障害は才能であると説くのか?〇どうやって接すると本当に子どものためになるのか?・発達障害には大きな可能性がある・なぜ「早めに専門的施設を頼る」のがよいのか・自分の経験則で子どもを見ない・子どもの「好き」を探す・どのような「専門施設」を選ぶべきか〇子どもの才能が見つけやすくなるとらえ方から、誰にでもできる子どものやる気の引き出し方まで大紹介!■ハッシュタグ #世界を変える子どもたち で感想をお聞かせください!Twitterで、ハッシュタグ #世界を変える子どもたち とともに、書籍に関するご感想やご質問などをお教えください。代表・茂呂がすべての感想を読ませていただきます。■2022年5月31日まで、「第一章」無料公開中!本書の発売を記念して、本日より2022年5月31日まで、本書の「第一章」を無料公開いたします。本書がどのような内容かイメージしていただけます。多くの方にお読みいただけると光栄です。・URLはこちら: ■書著プロフィール株式会社ひいらぎ 代表取締役 茂呂 史生(もろ ふみお)1978年生まれ、埼玉県草加市出身。著者:茂呂 史生介護を受けられない障がい者をなくそうと26歳で独立。2006年、株式会社ひいらぎを設立。訪問介護事業からスタートし、第17期目を迎えた2022年現在は、放課後等デイサービス、児童発達支援事業所、相談支援事業所、就労継続支援B型事業所、生活介護事業所、ペット共生型グループホームまで事業を拡大。年齢に関わらず、障がい児・障がい者・高齢者すべての方が利用できるサービスを提供している。「日本のフクシを世界へ」を合言葉に2019年にはベトナムTVC Human(人材開発貿易サービス株式会社)と業務提携を締結、2020年には福祉業界のDX化を推進すべく連絡帳アプリ「みらいダイアリー」をリリースするなど、新たな事業領域に挑戦する取組を行う。さらなる事業拡大を計画しながら、福祉事業開所希望者へのコンサルティングや、これからの子どもたちがAI時代を生き抜くための講演活動にも日々、精力的に取り組んでいる。■株式会社ひいらぎについて所在地 :埼玉県草加市瀬崎7-11-22代表者 :代表取締役 茂呂 史生設立 :2006年5月1日事業内容:地域を一つに「障がいがあってもなくても当たり前に夢を持てる街づくり」をミッションに、幼児期から大人まで見守る障がい福祉施設・サービス事業を展開。◎放課後等デイサービス・児童発達支援事業所向け連絡帳アプリ「みらいダイアリー」の開発・提供。株式会社ひいらぎHP: 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年05月18日障害のある職人たちが手がけるボーダーレスなウォレット「UNROOF×SHIPS made in Japan」シリーズ第2弾、発売中Upload By 発達ナビニュースジョッゴ株式会社が運営する革製品ブランド「UNROOF(アンルーフ)」では、発達障害や精神障害のある革職人たちが活躍しています。障害のある方たちの新たな働き方のスタイルや、妥協のないものづくりが注目され、人気ブランドと共同開発した製品も続々と誕生しています。現在、発売中の革小物シリーズ「UNROOF× SHIPS made in Japan」は、セレクトショップ「SHIPS」とのコラボレーション第2弾。「UNROOF」が大切にするのは、性別問わず使えるデザイン、そして左利きの人でも使えるようなデザイン。「SHIPS」 が大切にしているのは、シーンを問わず、また性別も問わないジェンダーレスに使えるデザインと素材。この2つがコラボレーションしたことによって、あらゆる面でボーダレスなウォレットが誕生しました。製作は全て東京都東村山市にある「UNROOF」の工場で、革職人が一つひとつ手づくりしています。素材、生産工程の全てが「Made in Japan」のコラボレーション商品です。「SHIPS」の一部店舗、オンラインショップにて販売中です。〈「UNROOF X SHIPS made in Japan」取り扱い店舗 〉SHIPS 銀座店SHIPS 新宿店SHIPS 有楽町店SHIPS 大宮店SHIPS グランフロント大阪店SHIPS 広島店*一部変更の可能性があります※クリックすると発達ナビのサイトからSHIPSオンラインショップに遷移します。障害福祉×デザイン×地域の協働。JR東⽇本⼭⼿線沿線で、オリジナル電⾞カードが配布中Upload By 発達ナビニュース「障害の壁を越え、持ち味を生かし『好きなことを仕事にする喜び』『他者と協働する楽しさ』を誰もが目指せる世の中をつくる」をミッションに、2020年に創業したデザインチーム「想造楽工(そうぞうがっこう)」。全国各地の福祉施設と企業や自治体とコラボレーションを手がけています。今回、東京都池袋にある障害者⽀援施設「社会福祉法⼈フロンティア いけぶくろ茜の⾥」、JR東⽇本とのコラボレーションが実現。オリジナル電⾞カードが4月より配布開始されています。非売品のオリジナル電車カードの表⾯にはユニークな電⾞や⾞掌などのイラストが、裏⾯にはJR東⽇本池袋 運輸区からのメッセージが掲載されています。 デザインは2種類。池袋運輸区の⼭⼿線運転⼠、⾞掌からお子さま限定で受け取ることができます。「想造楽工」のさまざまなコラボレーションはInstagram、ホームページでご覧ください。「想造楽工」nstagram※クリックすると発達ナビのサイトから想造楽工のホームページに遷移します。「ちがいをちからに変える街」渋谷からうまれたシブヤフォントUpload By 発達ナビニュース「シブヤフォント」を知っていますか?渋谷区内の障害者支援事業所に所属する方々が描いた文字や絵を、渋谷区にある専門学校桑沢デザイン研究所の学生が「フォント」や「パターン」としてデザインしたものです。これまで400種類以上のデータが作成されています。眺めるだけでわくわくするようなデザインの数々のフォントは「渋谷区公認のパブリックデータ」として公開されています。「シブヤフォント」は渋谷区役所の新庁舎や、LINE CUBE SHIBUYA(旧:渋谷公会堂)などの公共施設の案内、渋谷区職員の名刺にも使用されています。さまざまあるフォント・パターンは、これまで企業の広告や商品などに起用されており、もしかしたら既にどこかで目にしているかもしれません。企業とのライセンス契約による売上の一部は、渋谷区内の障害者支援事業所の工賃に還元。ワンコインからできる個人利用は、新しいソーシャルアクションとしても注目されています。ギャラリーでは、シブヤフォントをもっとよく知ることができます。ぜひ足を運んでみてください。〈「シブヤフォント」ギャラリー〉【所在地】:東京都渋谷区桜丘町23-21渋谷区文化総合センター大和田8F一般社団法人シブヤフォント【開所日】:平日10:00~17:00※クリックすると発達ナビのサイトからシブヤフォントのホームページに遷移します。車いすユーザーが「何本も電車を見送らずに、電車に乗れる駅間連絡の仕組みづくり」への署名、1万5千人を突破Upload By 発達ナビニュース余裕をもって駅のホームに到着したにもかかわらず、目の前の電車に乗れなかった経験はあるでしょうか。車いすユーザーは、発車の10分前、場合によっては20分前にホームにいても目の前の電車を見送らざるを得ないというケースが日常的にある、という現状があります。スムーズに乗車できる鉄道がある一方で、全国には「降車駅に連絡がつくまで、スロープを使う車いす利用者を電車に乗せられない」という原則ルールがある鉄道もあります。その場合、電車に乗っている時間が長い時間であったとしても、乗車する前に降車駅に連絡がつかない限り、目の前の電車に乗ることはできません。現在、この仕組みを変えてほしいという署名活動が行われています。全国での「駅間連絡の仕組みづくり」実現のための活動は、多くの賛同と署名を得ています。障害の有無にかかわらず、また全国のどこにいても全ての人が乗りたい電車に乗れる社会に近づくため、ご関心あれば、ぜひ以下より署名サイトをご覧ください。※クリックすると発達ナビのサイトからChange.orgに遷移します。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2022年05月17日意外にも好きだった耳鼻科や歯医者発達障害のせいで感覚過敏がある私。小さなころは、特定の感触の服が不快で着られない、大きな音を怖がって泣き出す、食感が気持ち悪いと言って食べられないものがある、香料で気持ち悪くなるなどの傾向がありました。そんな私、病院なんか不快刺激が多くてギャン泣きしていたかというと、実はそんなことありませんでした。むしろけっこう病院が好きだったのです。特に耳鼻科や歯医者などは今思い出しても楽しかったなと思えます。好奇心が勝る耳鼻科や歯医者が特に好きだったのは、いろいろな機械があったり、変わった薬の瓶や道具が並べてあったりしてとても好奇心をくすぐるからでした。次になにを使うのかな、機械がどう動くのかな、と想像しながら治療されるのがとても楽しかった。耳鼻科や小児科で鼻や口に当てるネブライザーも大好き。看護師さんがスイッチをカチッと入れると機械がブブブブブと震えて、その振動でガラスやプラスチックのアンプルの中にある薬液が震え、同時に空気が噴射されることで霧が出る。霧の味はちょっとしょっぱい。ベースはたぶん生理食塩水… 小さなころはこのように明確に言語化はできませんでしたが、こういった仕組みが動くのを私は夢中で観察していました。耳鼻科医や歯科医の先生の特有の格好やまぶしい照明、治療しやすいように形が変わる治療用の椅子も、ちょっと怖いけど面白かったなあ。小学校低学年だったと思いますが、かっこいい医者のマンガにハマり、「あのマンガの世界みたいだ!」と、医療の世界への憧れムンムンでもありました。特定の感覚刺激にハマる私は感覚過敏のせいで苦手な感覚刺激は極端に苦手なのですが、逆になんらかの理由で好きだと感じた特定の感覚刺激にハマることがありました。病院の消毒薬のにおい、耳鼻科のハッカ油の添加された点鼻薬の味、歯医者で塗られる薬の味、風邪をひいたときに出されるシロップ薬の味。小児科で喉を診るときに舌を押さえる器具の感触、胸に当てられる聴診器の冷たさ。今では小さなころほどの感動はありませんが、病院で好きな感覚刺激に出合うと今でも「ああ、これこれ!」とニヤニヤしそうになります。「下へも置かない」扱いの心地よさ小さなころの私にとって、病院へ行くことは一種のちょっと楽しいイベントでした。両親が共働きで普段祖父母に預けられていたのですが、病院へは普段いない母か父が付き添ってくれるのが嬉しかったのです。子ども用の待合室には絵本や児童書がたくさん置いてあって読み放題だし、壁には可愛い動物のお飾りなどがしてある。おもちゃもある。途中で疲れてきて少しぐずることはありましたが、本もあるし隣で親がおしゃべりの相手をしてくれるので、基本的には長い待ち時間も退屈はしませんでした。お医者さんも看護師さんもみんな優しいし、両親も私が機嫌を損ねて素直に治療を受けなかったら大変だからか、いつもよりも優しかったように思います。みんなが、私が安心して機嫌よくいられるように扱ってくれる。治療を受ける私がいちばんの主役になるのも心地よかったですね。「病院は楽しいところ」と思わせられるといいかも自分に照らして考えてみて、子どもには「病院ではいい思いができる」と感じさせられるとうまくいきやすいのかなと思います。その子によって興味を持つものや気に入るものは違いますし、感覚過敏の程度も違うので一概には言えませんが、子どもや発達障害児の扱いに配慮のある病院を選ぶこと、また、本人には可愛らしい絵本や楽しいごっこ遊びで「病院では何をするのか」を理解させ、興味を持たせておくことは大事な気がします。普段通わず、具合が悪いときにだけ行くと、体調の悪さと病院へのイメージが紐づけられてしまう可能性もあるので、もし余裕があれば何もなくとも予防の意味でも定期的に病院に通うことをするのもいいかもしれません。健康管理のためには病院通いはとても大事。楽しみと余裕を持ってこなせるようになるといいですね。文/宇樹義子(監修:鈴木先生より)一般に顔に直接触れられてしまう歯科や耳鼻科が感覚過敏のお子さんには苦手です。特に音過敏のお子さんには歯科の機械音が大の苦手です。今回は珍しいケースですが、プラス思考で病院通いしていることがすばらしいと思います。さらに、医師、看護師、受付の人とも相性が良かったのだと思います。一つでも嫌なことがあるとそのこだわりやフラッシュバックが続いて通うのが嫌になるケースが多いのです。機械類があるのを楽しみとし、臭いや味に関しても好きな感覚刺激としてとらえ、病院は苦ではなく楽しいところと考えを転回することも工夫の一つかと思いました。親を含めた周りの人がみんなやさしいとうまくいくのです。病院だけでなく学校もそうありたいものです。
2022年05月09日学校・園行事でトラブル続出!?一体どうしたらいいの?運動会や発表会、学芸会…学校や園行事は親としては子どものいつもと違う姿を見られるということでワクワクしてしまいますよね。しかし、発達障害の特性がある場合にはそううまくいかず…いつもと違う雰囲気、たくさん来る保護者たち、ワイワイ、ザワザワと騒がしい空間。「いつも通り」が好きな子どもにとっては、行事ごとはとってもハードルの高いものなのかもしれません。2021年度に実施した、LITALICO発達ナビのユーザーさまへのアンケート調査では、「発達が気になるお子さまを育てる中で、課題や困難を感じるのはどのような場所ですか?」という質問への回答結果を見ると、かなりの多くの方が学校や保育園、幼稚園での悩みを抱えていることがわかります。ただでさえ悩みを抱えている場所なのに、普段と違うことをする行事ごと。子どもの特性を理解し、それを園や学校に連携し配慮などを頼みたいけれど、どのように伝えたらよいのかも難しいところですよね。さまざまな体験談と解決策を描いたコミックエッセイから、こうした悩みを解決するヒントやあるあるの共感などが見つけられるかもしれません。Upload By 発達ナビ編集部学校・園行事のコミックエッセイ幼稚園、保育園、小学校に通っていると、遠足、運動会、発表会など普段とは違う楽しみなイベントがたくさんあります。ウキウキワクワクする子どもたちの中に、それを嫌がる子どももいます。自閉スペクトラム症のある立石さんの息子さんもその一人でした。毎日通う保育園には行き渋りもなく楽しく通っているのに、行事になると楽しめない息子くん。行事での号泣は年々酷くなるけれど、これも成長…?しのくんは3歳8ヶ月。診断名がついていない、いわゆる発達障害グレーゾーンの男の子です。母親のkeikoさんは保育園で開催された生活発表会を楽しみにしていたのですが、いざ始まってみると…!?小学2年生のときに場面緘黙と診断された、現在4年生の次女ちゃん。そんな次女ちゃんが場面緘黙診断前の保育園時代、2歳上の長女ちゃんの小学校の運動会に参加したときのお話です。幼稚園に入園して初めての運動会で、楽しそうな様子だったいっちゃん。参加させてよかったと母のかさはらあやこさんは感じましたが、秋になり行事が増え、睡眠が不安定になったり癇癪が激しくなってきて…。自閉スペクトラム症があり、特別支援学級(情緒クラス)に在籍している小6の太郎くん。母のまゆんさんが「太郎は発達障害かも」と思い始めたのは1歳7ヶ月のころ。保育園で開催された運動会での出来事がきっかけで…。集団への声掛けに気づきにくく、個別の声掛けを必要とすることが多いコウくん。集団の中で“すぐに見つけられる”わが子の姿を見て、母の丸山さとこさんが感じた「発達障害であることを改めて意識した瞬間」とは?自閉スペクトラム症(広汎性発達障害)があるSAKURAさんの長女、あーさん。周りと比べてゆっくりマイペースだけど、だからこそ、成長の一つひとつがとても大きく、嬉しいものです。その中で一番成長を感じることができた、幼稚園の運動会でのエピソードを紹介します。まとめ行事での楽しかった、嬉しかった思い出、少し苦い思い出などさまざまあると思います。まずは子どもが無理せず安心して楽しめるように、子どもの性格や特性を理解し、苦手なシーンを避けたり、合理的配慮などを受けられるように環境を整えていくことが重要です。
2022年05月06日おとなしくて育てやすいと思っていたゆいだけどゆいは赤ちゃんのころからおとなしくて育てやすく、夜泣きやイヤイヤ期も一般的で、検診でも何も指摘されずに成長しました。小学校に入るまで、子育てで悩んだことはそれほどありません。楽しく育児ができていたと思います。でも、今思い返せば私が脳天気で大雑把な性格のため見落としたことはたくさんあったのかもしれません。小学三年生あたりから勉強についていけなくなり、四年生で学校から「発達検査を受けてみては」と勧められたときは、とうとう来たか…と観念したような気がしました。単に勉強が苦手なだけだと思っていたけれど、教育現場のプロから見ても明らかに何かあると思われたんだ…と悲しくなりました。Upload By 吉田いらこ単身赴任中の夫に伝えると…学校の先生に発達検査を勧められたときは単身赴任中だった夫にも伝えました。夫は残業も多く、話ができるのは朝の30分だけという毎日。朝から重い話だなと思いながらもゆいのことを相談していました。夫の反応はいつも「えー、そんな大げさな」。そう思いたいんだろうなと感じました。小学五年生で発達検査を受け、療育手帳が取れる(軽度知的障害がある)と説明を受けたときは頭の中がいっぱいで呆然としてしまいました。自分はわが子の発達の遅れを見落とすようなダメな親だ。そうハッキリしたような気がしてつらかったです。でもこの子のために行動しないと、とは思いました。Upload By 吉田いらこ療育手帳を取得することで、さまざまな福祉サービスを受けられメリットが多いと思っていますが、親にとってはわが子に障害があるということを認めることにもなります。そこがちょっと難しいと思う人もいて当然だと思います。Upload By 吉田いらこ「様子見でいいんじゃない?」の言葉に…夫に話すと「そんなに急がなくても…。まだ様子見でいいんじゃない?」と言っていました。様子見でいい、という言葉はいいなと思いました。不安をやんわりと先送りにできて、未来もちょっと明るく感じます。成長したら今の困りごともなくなるかも知れないのだから。でもゆいはもう小学五年生。「様子見」は未就学児だったらいいと思いますが、わが家の場合、時間はもうないのです。続けて「それにさ、そのうちみんなに追いつくかもよ?」と言われたときは、なんだこの人全然分かってないなとちょっとイラっとしました。でも、夫に対してイラっとした自分も嫌でした。勉強が苦手で引っ込み思案だけど、気にしすぎることはないと思っていたからです。Upload By 吉田いらことはいえわが家の場合は療育手帳取得のデメリットはないなと思ったのでメリットを調べてまとめて伝えました。夫に対しては、手帳がいかに必要か感情的に訴えるよりも具体的な例を並べたほうが伝わると思いました。説明しながら、なんだか仕事でプレゼンしてるみたいだな、とちょっと笑えました。結果、夫も手帳取得に納得し(仕方なく…かもしれませんが)役所に申請することができました。はりきって手帳を取得したものの、その後の私たち夫婦は「こうしたほうがいい」「こんなことをしてみたらどうだろう?」と熱い信念もなくとりあえずやったほうがいいことをこなしているだけの毎日です。意見の相違などでの夫婦間の言い争いなどはないですが、悪く言ったらあんまり頑張っていません。でもまだまだ先は長いわが子2人と夫との4人での生活、ゆいが暮らしやすいように小さな工夫などをしてサポートしながら、楽しく過ごしていこうと思っています。執筆/吉田いらこ(監修:井上先生より)発達検査を受けたり、手帳を申請したりすることは吉田さんも書いておられるように、親としては「障害を認める」ことになり、さまざまな葛藤があったかと思います。ちなみに「療育手帳」とは知的障害のある子どもが取得できる手帳になります。療育手帳に関して、何歳までに取得しなければならないという制限はありませんが、取得にあたっては吉田さんのご夫婦のような話し合いも必要になります。療育手帳はそれぞれの自治体が交付するものであり、お住まいの地域によって受けられるメリットは少しずつ異なります。吉田さんのようにメリット、デメリットをご夫婦で検討されながら判断されるのがよいと思います。
2022年05月04日止まらない、娘のおしゃべり。広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、小学4年生ごろから反抗的で発言と行動の矛盾が多くなりました。発達検査を前に、久しぶりに発達外来を受診することになったため、私は娘の行動の原因と、その対策を聞いてみることにしました。待ちに待った発達外来の診察日。担当は、今までの先生とは違う方でした。聞きたいことが山ほどある!私は、早く聞きたくてうずうずしていたのですが…Upload By SAKURA先生と娘の話がなかなか終わらない!定期的に受診していた小学2年生のころは、先生に聞かれたことしか答えなかった娘でしたが、小学5年生になり、言葉も成長していた娘のおしゃべりは、なかなか止まりませんでした。いつもと違った診察の方法に動揺!先生と娘だけの話が始まって15分ほど経ったころ、ようやく私に話がふられました。いつもなら最初、先生と娘が話をし、それが終わると、娘の相手をする看護師さんがやってきます。娘の様子や困りごとなどの話をするときは、先生と私だけです。娘が、私たちの話を聞くことはありません。しかし今回は…Upload By SAKURAなぜか先生は、娘の相手をするために来た看護師さんを、退出させました。話を始めようにも、娘がいる…話を聞かれたくない…私が、「できれば娘のいないところで話したいのですが…」と言うと先生は、『話してどうぞ』というジェスチャーをしていました。仕方なく私は、娘がいるため、言葉を選びながら、最近の様子を話しました。Upload By SAKURA最初はなるべく、娘が分かりにくいような言い回しを選んでいたのですが、途中私が気持ちをおさえられなくなってしまい、娘の前で愚痴のような内容になってしまいました。娘は、私に悪口を言われたとショックを受け、隣で泣いてしまいました。久しぶりに近づいた、娘との心の距離。だから聞かれたくなかったのに…私は娘に対して申し訳なく思い、同時に先生に対して、疑問を持ちました。すると、先生は…Upload By SAKURA先生から直接聞いた訳ではないので、ここからは私の予想ですが…先生は話を聞き始めたとき、私と娘の間の不穏な空気を感じ取ったのかもしれません。娘の話からも、矛盾感を感じ取った…。だから、私の話をあえて娘に聞かせるため、同席させたのかもしれません。何ヶ月もピリピリした状態が続いていた私と娘の心の距離が、久しぶりに近づいた気がしました。原因は、「自立心」と「自立力」のバランス?それから先生は、娘の発言と行動の矛盾の原因を話し始めました。Upload By SAKURAこの説明には、目からうろこでした。今まで、矛盾を感じていた娘の行動すべてが、理解できました。今の娘に必要なこと。娘の行動の理由は分かった…しかし、私が知りたいのは、この状態を改善する方法があるかどうかでした。Upload By SAKURAその方法とは、娘に決めさせる…?先生の言った方法は、「あーさんに、選択も結果も全て委ねる」というものでした。Upload By SAKURA次のステップへ。私は、いつも娘がパニックにならないよう、失敗しないよう、いろんなことを先回りして声かけをしていました。「○○しないと、~になっちゃうよ」「先に○○したら?」「忘れ物ない?」など、娘がスムーズに過ごせるように、良かれと思ってしていたことでした。これは私が娘の発達に問題があると分かってから、歩んできた日々の中で、言うなれば自然と身につき、染みついて離れなくなっているような…私のスキルのようなものでした。Upload By SAKURA娘がパニックを起こさないため、私が先回りしての声かけは、今の娘には不必要な支援だったのです。私は、いつまでも娘が幼くて、パニックを起こして泣いていると、思い込んでいたのかもしれません。「次のステップへ」という言葉は私の中で、区切りのように感じたのです。Upload By SAKURA執筆/SAKURA(監修:三木先生より)ご本人を場から外さないことも含めて、ちゃんと「あなたのテーマだからね」ということを明示してくださる先生なんですね。そういうメッセージも「本人のテーマを本人が扱う」ためのステップとして、素晴らしいと思います。
2022年04月27日