■妊娠を望まない女性に向けた選択肢のひとつ
妊娠を望まない女性が「中絶」を回避できることは、何にも代えがたい効能です。緊急避妊薬はコンスタントな利用を想定して開発されたものではありませんが、コンドーム以外の避妊方法のひとつとして、もっと広く認知されても良いのではと筆者は考えます(ただし、性感染症の予防の観点からは、コンドームに代わるアイテムがないことは理解するべきです)。
筆者の周りでは、低用量ピルの認知は広まっているように感じますが、本稿で取り上げた緊急避妊薬や、IUD (子宮内避妊用具)といった避妊手段の認知はそれには及びません。
自分の望みを叶えるための選択肢は多いに越したことはないのに、避妊手段に関する情報は、それを検討する主体である女性にまだ十分に知れ渡っていないと個人的には感じます。
そもそもなぜ「緊急避妊薬」が存在するのでしょうか?それは「セックス」というひとつの行為が、非対称的に女性にだけ負担の生じる「妊娠」につながる可能性があるからです。
万一、その可能性が高まってしまったときでも、なるべく体に負担をかけずに選び取れる対策、それが緊急避妊薬です。筆者は、出産を望まない女性であっても、妊娠というリスクを避けながらセックスできることは生活の質を高めると考えます。