子育て情報『#23 作家/マンガ家・小林エリカさん』

#23 作家/マンガ家・小林エリカさん

として、東山あかねという筆名で活動していた母を両親にもつ小林さん。シャーロック・ホームズ関連の共著や翻訳本を数十冊も刊行する両親と4人姉妹が暮らす家の中は、まさに本の山。本棚だけではおさまりきらず、階段やテーブルにまで本がうずたかく積まれていた。

「父と母が本好きだったから、家族全員、本がない生活は考えられないというか。本にかこまれて育ちました。もうあらゆるジャンルの本が何の分けへだてもなく、それこそポルノ雑誌も転がっているみたいな状況で(笑)。私は4人姉妹の末っ子で、長女の姉とは18歳、3番目の姉とも12歳離れていたので、姉たちの本もたくさんあって。私が幼い頃から、姉たちそれぞれが好きな本を勧めてくれて、絵本を読んでくれるという環境でした。


両親から『こういう本を読みなさい』と言われたことは特になかったですね。二人とも大人なのに、それこそ『ひとまねこざる』シリーズのジョージみたいに、好奇心のおもむくままに生きていて、常に自分たち自身がおもしろいことを学んでいるっていう感じでしたから。あ、でも、シャーロック・ホームズだけは子どもたち全員、強制的に読まされていました。バイブル的に。だから私、“練馬区ヴィクトリア朝育ち” って言っているんです(笑)」

「自分はこれが大好き!」という情熱は、純粋でエネルギーが強いぶん、他の人に伝わりやすい。小林さんの両親は、本のおもしろさを教育の一環として子どもに教えるというより、本を通して自分たちが感じる幸せを全身で体現している人たちだった。

子どもの頃に読んだ絵本が
今の自分を形成してくれた

「科学にしても、好奇心や探求心にしても、『世界を知るって、こんなにも楽しくて、エキサイティングなんだ!』っていうことを、子どもの頃に読んだ絵本に教えてもらっていたんだと、最近気づきました。こざるのジョージの『失敗を恐れなくていい』っていう気持ちとか、かこさとしさんの科学的なことをベースにした絵本の楽しさとか、小さい頃に読んだものがいまだに深く根づいていて、今の自分を形作っているんだと思います」

小林さんが作家になりたいと思ったのは、もう少し大きくなってから『アンネの日記』を読んだことがきっかけ。
子ども時代に出会った本は、ときに後の人生を左右するほどの影響力を持つこともある。

「そこまで自分に深い影響を与えてくれていた存在が実際には会ったこともない他人だった。

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