愛あるセレクトをしたいママのみかた

【子どもの聞く力】あなたのお子さんは最後まで話を聞いて、理解できていますか?

あんふぁん
【子どもの聞く力】あなたのお子さんは最後まで話を聞いて、理解できていますか?


人の話を〝きちんと聞くこと〞の重要性が、今、注目されています。わが子は「聞く力」を身に付けていますか?


臨床心理士の河井英子さんに話を聞きました。

人の話を〝聞く力〞と積極的に〝話す力〞まず備えたいのはどっち?


幼稚園に入って集団生活をするようになると、家庭で生活していたときより人の話を聞いたり、気持ちを言葉で伝える機会が増えますよね。
今は積極的に発言することを良しとする風潮があり、子どもが自分の意見をきちんと話せると「よく言えたね」と褒めてもらえるし、黙ってしまうと「きちんとお口で説明しなさい!」と叱られたりします。
その反面、しっかり話を聞いていても「ちゃんと聞いているね」と褒められることはあまりないのではないでしょうか。きちんと聞けていることは大前提で、その上で自己主張をすることが子どもたちに求められているのです。
でも、考えてみてください。赤ちゃんが最初に言葉を発するのは、周りの大人たちの会話を〝聞いて〞覚えるからです。人間にとってはまず〝聞く〞ことが基本で、話すのはそれからのこと。
どちらが大切ということではなく、聞く力を備えているからこそ、考えて話すことができるようになるのです。

わが子は話が聞けていないかも?と思ったエピソード


● 「説明している途中で“分かった” と言ってすぐ行動してしまいます。最後まで話を聞かないとできないことや、最後に注意事項があることもあるのに…」(年長ママ)
● 「返事だけはいいので、支度は済ませたと思っていたら、実は忘れ物をしていたことなどがあり、ひやひやします」(年少ママ)
● 「パパに怒られた息子が泣きながら私のところに来たので、『なんで怒られたの?』と聞いたら『分からない』と答えました。ちゃんと聞いていないのかな~と気になります」(年少ママ)
● 「叱られるとすぐに『ごめんなさい』と言うけれど、その後また同じことをして『ごめんなさい』。その繰り返しです。ごめんなさい、と言えばその場が終わると思っているようで心配です」(年少ママ)
● 「人の話を聞かず、自分が話してばかり。主張が通らないと泣き出すため、さらに話を聞かなくなります」(年少ママ)
● 「子ども2人が同時に話し出し、どちらも譲りません。お互いの話も聞かないので大変です」(年長ママ)

子どもたちが話を聞けないワケ


子どもたちが話を聞けないのには、理由があります。
思い当たること、ありませんか?

理由1
「聞ける」より「話せる」が重要視されている
今は、自分の意見を話せることに重きを置かれる傾向があります。ママたちも「黙っていないでちゃんと話しなさい!」と子どもを叱った経験があるのではないでしょうか。自己表現力を育てることに力を入れすぎると、子どもたちは「黙って聞いているだけだと、パパやママに叱られるんだ」と捉えてしまいがちです。

理由2
外的刺激が多い
スマートフォンやゲーム、テレビなど、刺激的な映像や魅力的な音楽など、子どもたちの周りには興味関心を引く遊びやツールがたくさんあります。そのため、聞くことに対する集中力が散漫になり、大切なことを聞き逃すことになってしまうことも。

理由3
命令や指示ばかりで、子どもにとって魅力的な言葉がない
つい言いがちな「早く!」「〇〇しなさい!」などの言葉。忙しいママにしてみれば、一度で聞いてほしい切実なお願いですよね。でもそればかりだと、子どもは“またママが怒ってる”と感じ、ママが話す=叱られる・ダメ出しされると考えてしまい、聞く気持ちがなくなってしまうのです。


聞く力を土台にさらなる〝伸びゆく力〞とは


幼児期に聞く力を育むことによって、子どもの将来を支える他の力も伸びていく可能性があります。

共感力


聞く力を身に付け、想像力が育まれると、「この人はどんな気持ちでこう言っているんだろう」と、相手の立場や心境を思いやる気持ちが生まれます。その結果、話す人の言葉からくみ取れる感情を理解しようと努める、共感力につながっていくのです。

【子どもの聞く力】あなたのお子さんは最後まで話を聞いて、理解できていますか?


話す力


赤ちゃんがひとつの言葉を発するまでには、それ以上に多くの言葉を聞き、覚えています。つまり、多くの蓄積された言葉がなければ、話すことにつながらないのです。これは、成長した子どもにも言えることで、基礎となる〝聞く力〞を身に付ければ、おのずと話す力も伸びていくでしょう。

集中力


外的刺激の多い今の子どもたちは、なかなかひとつのことに集中することが難しい環境だといえます。落ち着いて聞くことができるということは、それらの誘惑に負けない集中力を身に付けることにもなるのです。


コミュニケーション力


自分ばかりが話したい!という子は目立ちますが、一方通行の関係になりがちで、深い人間関係にはなかなか発展しません。自分だけではなく、相手の気持ちも聞いてそこに寄り添えることが、本当の意味でのコミュニケーションなのです。

想像力


さまざまな映像をいつでも手軽に見ることのできる子どもたちは、自分で考えて物事をイメージする機会が少なくなっています。聞く力を身に付けることで、相手の言葉に耳を傾け、その内容を自ら形作っていくことができるようになります。

ママ・パパがやってみよう今すぐできる聞く力を伸ばすポイント


POINT1顔を見て話し掛けよう
忙しいと、ついつい離れた場所から「〇〇をやりなさい!」など言ってしまいがちです。でもちょっと待って。例え他に楽しいことがあっても、子どもはママやパパの顔を見ながら話すことをうれしいと感じるものです。少し手を止めて、子どもの顔を見ながら話し掛けるよう心掛けましょう。


POINT2行動を伴う言葉掛けを
「〇〇はダメ!」ではなく、具体的にどうしてほしいか伝えてみましょう。例えば「ゲームばかりしないの!」という言葉の裏に“歯磨きもしないで!”などの気持ちが隠れていることはありませんか?そういうときは、「歯を磨いてから遊ぼうね」と言うと、子どもは何をすべきかが分かるので、受け入れやすいのではないでしょうか。

POINT3子どもの興味に歩み寄ろう
自分が好きなことを否定されれば、誰だって嫌な気持ちになりますよね。大好きなアニメの話を「ママは興味ないから」と全く聞いてもらえなければ、子どもだってママの話を聞きたいと思わなくなります。たまには「このアニメの主人公、カッコいいよね!」など子どもの興味に歩み寄ってみましょう。“ママは僕の・私の好きなことを認めてくれてるんだ”と思い、ママの話を聞く気持ちが芽生えてくるはずです。

POINT4同じことを言わない
子どもは親をよく見ているもの。いつも同じような注意や命令ばかりしていれば、子どもは「ああ、またか」「また同じこと言ってる」と聞く耳を持たなくなります。
時々でよいので、言いたい気持ちをぐっとこらえて、子どものちょっとダメなところを受け入れてみて。いつもなら叱られる場面で「あ~こんな失敗、ママも昔やったわ」なんて言われたら、いつもと違うママの反応に子どもも興味を示すと思いますよ。

【子どもの聞く力】あなたのお子さんは最後まで話を聞いて、理解できていますか?


お話を聞いたのは
臨床心理士河井英子さん
かわいえいこ/田中教育研究所所員。武蔵丘短期大学を定年退職し、現職。臨床心理士として、子どもの心と教育をテーマに活動。専門は発達と学習の心理学、健康の心理学。

illustrationSHIBATA Keiko

提供元の記事

提供:

あんふぁん

この記事のキーワード