AI時代を生き抜くために 「失敗力」を育てる6つの栄養素 子どもの脳の発達は環境しだい
そこで成田先生は、①夕食は19時にとる。②21時までに寝る。この2つだけを守るようにA君に約束させて、宿題はできてもできなくても気にしないでいいと伝えました。
さらに、お母さんにはときおり、わざと食事の支度が間に合わない事情をつくってA君に手伝ってもらって、できたら必ずありがとうと言う。お父さんにはできるだけいっしょに食事をする機会を増やし楽しい会話をするなど、親の関わり方を変えるようにアドバイスしました。
すると2カ月後、A君はすっかり落ち着き、問題児どころか、やり残した宿題も、朝自分で起きてやるようになったそうです。
よい脳が育つ環境を用意すれば、何歳からでも脳は育て直せる
そんな魔法のようなことがどうして起こったのでしょうか。そのかぎを握るのが生活環境を整えることです。
成田先生は次の6つを「親など周囲が子どもに与える、脳を育てる生活環境」として整理しました。
- ブレない生活習慣を確立する。
- 調和がとれたスムーズなコミュニケーションを図る。
- 親子がお互いを尊重して協力しあう体制をつくる。
- 怒りやストレスへの適切な対処法を共有する。
- 親子が楽しめるポジティブな家庭の雰囲気をつくる。
- 親はブレない軸を持つ。
これは、わたしがこれまでいろいろなテーマでお伝えしてきた6つの栄養素とも共通することが多いなと思います。
(6つの栄養素については第1回をご参照ください)
脳を育てる生活環境をつくるには、まずは、起きる時間、寝る時間、食事の時間といった基本的な生活リズムを整えること。そして、子どもを感情的にコントロールしたり、反対に手を出して甘やかしたりせず、共同生活を送る一員として尊重しあうことが大切です。
成田先生は、何歳からでも、どんな子でも脳は育て直せると言います。もし、困ったなと思うことがあってもあきらめずに、やってみてくださいね。
※脳を育てる6つの生活環境を生活にとり入れるための具体的な方法は、『子どもの脳を発達させるペアレンティング・トレーニング』(成田奈緒子上岡勇二著、合同出版)で紹介されています。
子どものよい育ちは、よい脳の育ちから
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中曽根陽子教育ジャーナリスト
教育雑誌から経済誌、紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。子育て中のママたちの絶大な人気を誇るロングセラー『あそび場シリーズ』の仕掛人でもある。