教えて! 陰山先生 質問を通して感じたこと「お母さんは心配しすぎ。子どもに対して心配しすぎず、笑顔でポジティブがちょうどいい!」
ほかの人の価値観をわが子に持ってきてしまうのは、マイナス面が大きい。自分がしたい子育ての方向性がある程度明確になれば、必要以上に不安にならずにすむものです。
――方向性を決めるのはなかなか難しいので、とりあえず良い学校に入れたいという考えの人は多いと思うのですが。
陰山:それ自体は間違いではないと思いますが、ではいつの時点でその先の進路を決めるのかということですよね。子どもの学力は十分についた。いろいろな職業につく可能性は広がったけれど、何をしたいか分からないという状況は困りますよね。
――確かに、それは困りますね。なりたい職業を自分で決められる子に育てるには、どうしたらいいのでしょうか?
陰山:小さいころから、自分自身で考えさせる場面を多く持たせることが大事です。
ベストな答えを出そうと思うと決められないので、どっちでもいいから、とりあえず決めさせること。正解を探すのではなく、自分自身の心に決めさせるのです。
そのためには、いろいろなところへ連れて行って、さまざまな体験をさせることです。博物館に行ったり、旅をしたり、ワクワクするような体験をさせると、やりたいことが増えていって、可能性が広がります。
――なかなか決めない子どもを見ていると、つい口を出したくなりますが、親もがまんが必要ですね。
陰山:そうですね。
子育ては、子どもがなりたい職業につけるようにサポートできたら、合格点だと思うんです。わたしの3人の子どもたちは、それぞれが小さいころの夢を実現させています。
だから、自分自身の子育ては、100点満点中110点くらいの感覚を持っていますね。
たとえば次女は、就職活動で悩んだこともありましたが、最終的には、小さいころからの夢だった仕事を選びました。これは、自分の価値観がしっかりしていたからだと思います。自分なりの価値観をつくってあげることは、子どもの自己肯定感を高めることにもつながります。
子どもを信じることと、笑顔を忘れないこと!
――子育てで、大事にすべきポイントは何でしょうか。
陰山:この子はきっと良い方向にいく。最終的には絶対なんとかなると信じて、ポジティブでいること。わたし自身の子育てでは、激しく親子で対立したこともありました。
でも、必要な場面では、こちらが絶対折れない。ここで子どもとの関係が壊れるんだったら、それもやむなしというくらいの気持ちで立ち向かったこともあります。