2017年11月17日 16:00
[第1回]「同じ」ことが当たり前だなんて、誰が言い切れるの?ASDの私が、学校の外に出て教わったこと
自閉症スペクトラム(ASD)特性のある人は、よく「他人の感情を読むのが苦手」「コミュニケーションが苦手」などと説明されますが、鈴木さんとしては、「相手の気持ちがわからないのではなくて、頭に浮かぶ選択肢が多すぎて対応が絞れない」という方が、自身の感覚に近いとのこと。
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10161010185
なんとなくその場の空気で共有されている“多数派の感覚”が当たり前だとは思えない。自分と他人は違う感じ方をしているかもしれない。だから、自分は自分で思ったことを率直に言う。
そうやって素直に行動しただけなのに、“共感”することを前提とした人間関係の中では「冷たい」という評価を受けてしまう…学校の人間関係特有の息苦しさが、鈴木さんを追い詰めていきました。
小学校5年生のときには、てんかんを発症。中学生になってからの環境の変化もあいまって体調を崩してしまい、心身ともに不安定な状態のなか、学校にもあまり行けなくなってしまいます。
その後受験した私立高校は、自由な校風で過ごしやすく、小・中学校時代とは打って変わって順調な日々を送ることができたそうです。
しかし、病気がちで出席日数が足りず、3年生に上がるときに留年してしまいます。
クラス担任との相談の結果、「あなたは、自分のペースで勉強して、大検(大学入学資格検定)を取って大学に行った方が良いと思う」とアドバイスを受け、高校は中退することを決意。ここから現在に至るまで、鈴木さんはさまざまな仕事を経験していきます。
高校を中退し、働くなかで広がった世界。そして…
鈴木さんが最初に始めたのは、レコード屋さんでのアルバイト。まだ若く、はじめて就業を経験する鈴木さんに対しても、周囲の人たちは優しくサポートをしてくれました。
働くことはとにかく「楽しかった」という鈴木さん。レコード屋さんで22歳まで働いた後も、飲食店、派遣での営業事務、編集プロダクションなど、さまざまな職業を経験します。
自身の特性の凸凹もあり、相性の良い仕事とそうでない仕事の差が激しかったと振り返ります。鈴木: 在庫のチェックみたいな、黙々と集中できる反復作業はすごく得意で、楽しかったですね。逆に、派遣の営業事務で担当した経理の仕事は厳しかったですね。入力ミスを立て続けに起こし、叱られてばかりでした。