【書道家・武田双雲さん】多動、衝動、トラブルも多いけれど「自分が大好き」で、「唯一飽きないのは書道だけ」。根底にある親子関係、会社員時代の驚きエピソードも
必ずどこか、凸っているところがあるから、欠点を補おうとしない方がいいですよ。僕は、しゃべるか書くかだけしかしない。作品の制作だけ。
将来のために頑張れ、はおかしい!
双雲:今のこの武田双雲の基礎は、両親がつくってる。もう間違いなく、両親が「すごかー」と言い続けてきたことの賜物です。
――今のご活躍ぶりは、すごいですもんね。
双雲:いや、今みたいな活動をするずっと前から、生まれたときからですよ。ひたすらほめてくれるし、これまで怒られたことも注意されたことも一度もない。
もちろん、「飛び出したら危なかばい!」とかはあったけれど。
うちの両親は、僕に将来の話をしたことがまったくないんです。こういう大学に行けとか、こんな人間になって欲しいとかも言われたことがない。僕のことを信じ切っているんです。
――「将来、幸せになってほしいから今頑張れ」などということも言われなかった?
双雲:将来のために今頑張ろうって、矛盾だらけですよね。頑張れっていう漢字は、”頑なに張る”って書くんですよ。ピーンと張ってたら、すぐに切れちゃいそうじゃないですか。これでどうやってなりたい人になるの?って思う。
将来のために今を犠牲にするなんて、おかしいって絶対。
富士山を見て感動したときに、富士山にこうなって欲しいとか思わないでしょう?何分後に雪が降ってほしいとか思わないでしょ?それと同じ。両親も全く僕を変えようとしたこともないし、将来についての言葉を聞いたことは、一切ないですね。
幸せは、今、この瞬間に感動し続けることしかない
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――ところで、「すぐに飽きてしまう」と言いながらも、書道だけはずっと続いているんですね。
双雲:とにかく好きなんです。筆とか墨とかの道具、その匂い。書道の全部が好きなんです。
好きなもので、人に喜んでもらえるとやっぱ一番続くじゃないですか。
書道は、3歳からやっているからもう40年以上。唯一飽きないのが書道だけ。飽きっぽい僕がこれだけやってるから、相当好きなんだと思うんです。
――好きなこと、飽きないことを見つけるって大事ですね。5秒後にはほかのこと考えちゃう双雲さんなのに、40年以上も。
双雲:集中力が続くのは短いです。普通の書道家の方の100分の1くらいしかない。
その代わり集中力は高いです。逆転の発想で、人が100時間集中して努力する分を、1分間に凝縮して、エネルギーがその100時間分にならないかと考えます。