2021年9月6日 06:15
「なんでせかい中、こんなにおおさわぎしてるんだろう」耳ふさぎは、自己防衛の手段。聴覚過敏があった次男の繊細で豊かな世界
世界中が大騒ぎ。聴覚過敏の次男の世界
こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』ほか、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。
現在中学2年生のうちの次男には、小さなころ「聴覚過敏」がありました。そのため、園や学校、お出かけ先などの人の多い場所には、行って帰ってくるだけでもぐったり疲れてしまっていたので、引っ込み思案で積極的に人と関わることも苦手でした。
ですが今では、本人の自然な成長と、家庭でのケアと工夫、周囲のサポートなどもあって、次男の聴覚過敏はかなり緩和されつつあるようです。人より多少疲れやすくはあるものの、日常生活に大きな支障はなく、中学では特別な配慮をお願いしなくても、ほとんど欠席もせず、友達とワイワイとにぎやかに遊べるようにもなりました。
でも、私はそんな次男の成長を喜ばしく思う反面、少しだけ、寂しいような、もったいないような気持ちにもなるのです。
なぜなら、過敏症からくる繊細さは「感受性の豊かさ」の表れでもあるように思えるからです。
では、次男に聞こえていた「聴覚過敏」の世界とは、一体どんなものなのでしょうか。
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うちの次男は、「発達障害」の診断がつくほどではないものの、ややASDの傾向があるグレーゾーンで、聴覚過敏がありました。
そんな次男が幼稚園のころの、ある日の帰り道。
「ねえ、まま。なんでせかい中、まい日こんなにおおさわぎしてるんだろうね…?」
と、彼は私の背中でぽつりと言いました。
あたりは公園帰りの親子連れがちらほらいる程度の人もまばらな夕暮れどきで、到底「おおさわぎ」だとは思えませんでしたが、きっと私には聞こえない音の洪水で、次男の世界は騒々しく溢れているのだろうな、と思いました。
実は私自身も、小学校高学年くらいまでは似たような聴覚過敏の傾向があり、当時をよくよく思い出せば、次男の言わんとする感覚は、なんとなく想像できました。
ザワザワと葉っぱを揺らす風の音、ゴーッと遠くの道を通り過ぎる車のタイヤ音、行き交う人々の笑い声、近所の家の赤ちゃんが泣く声、お散歩中の犬同士の喧嘩、カラスの羽ばたき……。大人から見れば「雑音」の一言でまとめてしまえるような、これらのごく普通の日常生活に溢れる音たちが、大事な情報も、そうでない情報も、分別されることなく、鮮烈なまま同じ重さで次男の耳から入ってきていたのです。