TEACCHとは?ASD(自閉症スペクトラム障害)の人々を生涯支援するプログラムの概要を紹介
「この後、何が起きるか」「自分は何をすればいいか」が明確に整理されていない場合、状況理解が難しくなり混乱してしまいます。そのため、「構造化」という手法を用いて環境を整理することで、状況理解を容易にします。
環境が整理されると、心理的にも安定し、活動や学習へ参加することができるようになります。例えば、活動別に場所を決める。「休む場所」「一人で勉強する場所」など、活動と場所を結びつけることも有効な手段の一つです。これを「物理的構造化」と言います。
また、コミュニケーションにおいては、特に「話しかける」などの音声コミュニケーションよりも、イラストや写真で提示する視覚的なコミュニケーションの手法に強みがあります。そのため、指示や、意思表示をイラストや写真を使って行うようにします。
これを「視覚的構造化」と言います。これらの、「構造化」の詳細についてさらに見ていきましょう。
彼らの周囲を物理的に整理することで不安を軽減し、これから起きることを予測可能にします。この為に、「物理的構造化(Physical Organization)」という手法をとり、環境の意味、構造を整理します。
物理的構造化の手法は、大きく以下の2つです。
・エリアと期待される行動を対応させる(勉強する場所、遊ぶ場所、落ち着く場所)
・エリアを明確な仕切りで分ける(ついたて、棚、囲い、カーペット)
また、活動エリアは大きく4種類に分けられます。
1.ワークエリア(作業、勉強をする場所)
2.プレイエリア(遊ぶ、落ち着くための場所)
3.トランジションエリア(中継地、その日あるいはこの後何をすればいいかなど、個別スケジュールが確認できる場所)
4.その他、カームダウンエリア(感情的になったとき、冷静になるための場所)など
ASDの子どもは、時間の概念を理解することが難しく、自分から先のことを見通すこと、先を想像することに困難があり、「Here and Now」(いま、ここ)の世界に生きています。そのため、前もって何が起こるか、何をすればいいかがわからないと不安やパニックに陥りがちです。
不安を回避し、安心して学習や作業に取り組むために、「スケジュールを決める」ことが有効です。
また、ASDの子どもは、視覚的な理解の方が得意な場合が多いため、写真やイラストを用いてスケジュールを提示すると理解が容易になります。