入学への不安に、別れの悲しみ。困難に立ち向かうための強さをくれる、世界の隠れた名作絵本
親が別れた場合、両親が共同親権を持って、2つの家を行ったり来たりしながら育つことが多いですから、子供にとっては今までの生活がぐらりと変わることになります。こうした子供達の心に寄り添うための本が必要ですし、それなりの数出てきています。
Mum and Dad Glueという絵本をご紹介しましょう。主人公の少年は、両親の別離を受け止められずに、接着剤を探しにいきます。
ママとパパの関係を直したい!別れて欲しくない。
一生懸命接着剤を探す少年に、接着剤やさんのご主人は声をかけます。
パパとママは一緒ではなくなるかもしれないけれど、パパとママのあなたに対する愛情は壊れないのよ。ずっとずっと。
独特な絵柄が可愛らしいだけでなく、お父さんとお母さんが別れることで世界が全部壊れてしまっているように見える子供の気持ちをよく表しています。離婚した親の子供がよく抱きがちな「自分が悪い子だったから、お父さんとお母さんは別れちゃったんじゃないか」という気持ちにも触れています。
比較的平易な英語で書かれているので、英詩のリズムも楽しめます。英語読み聞かせ動画はこちら。テレビで放送されたのではないでしょうか。読み聞かせの時に「この子のせいなの?」「もちろん違うわ」といったような会話も入ります。
イギリスの国民的絵本作家×谷川俊太郎さん訳の名作
以前『もっとも “英語らしい音” は絵本の中に。読み聞かせで味わう英語の「リズム」と「イントネーション」』にて、イギリスの子供たちに愛されている絵本We’re Going on a Bear Hunt『きょうはみんなでくまがりだ』をご紹介しました。
その作者であるマイケル・ローゼンによる、Sad Book『悲しい本』という作品があります。著者本人の息子、エディーが18歳で亡くなった後の悲しみを切々と綴った本です。
子供向けに売られてはいますが、ローゼン本人は「すべての人のための本」だと言っています。にっこり笑っている絵に「こうしている時も悲しい」と説明がついていたり、と悲しみを持て余してしまう苦しさを淡々と描いていきます。
児童書作家のローゼンが子供たちと自分の息子の死について話した後に生まれた本で、英語版は5歳から7歳向けとなっていますが、題材が重いものですから、子供によっては辛いと感じるかもしれません。
お子さんに与えるのであれば、一度確認したほうがいいと思います。