スポーツを習えば体力が向上するとは限らない!? 子どもの体力アップの秘訣・3か条
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睡眠不足の弊害について詳しく説明しましょう。
・睡眠不足は、心・体・脳の成長を妨げる
「寝る子は育つ」という諺がありますが、人の体の中では眠っている間に「成長ホルモン」が出て、骨や筋肉を成長させたり、傷んだ細胞の修復をしたりします。だから「寝る子は育つ」は本当なのです。成長ホルモンが足りないと肥満にもなりやすくなるので、体の健やかな成長のために睡眠時間の確保は大切です。
また、脳は眠っている間に記憶を整理しながら自らを休ませています。睡眠をしっかりとらないと脳は充分休むことができず、集中力や記憶力が減退し、イライラしたりやる気が出なくなったりしてしまうのです。
・睡眠不足は、良い眠りを促すホルモンの分泌を阻害する
良い眠りのためには、暗くなると分泌される「メラトニン」というホルモンが必要です。このホルモンは、眠気をもたらし、しっかり眠るために必要なホルモンですが、暗くならないと分泌しません。
夜遅くなってもテレビやスマートフォンなどの明るい画面を見ていてはいけないのです。
また、メラトニンの材料になるセロトニンは、昼間たっぷり活動することによって作られます。良い睡眠に不可欠なメラトニンやセロトニンをたっぷり分泌させるためには、「夜になったら暗くして眠る、朝明るくなったら活動する」という生活が子どもにとってとても大切です。
・睡眠不足は、体内時計を乱す
人間は昼行性の動物なので、暗くなったら寝て、明るくなったら起きて活動するリズム(サーカディアンリズム、体内時計)が脳に刻み込まれています。にもかかわらず夜更かし・朝寝坊をしてしまうと、自律神経の働きが乱れ、更年期障害のような症状(頭痛・頭がぼーっとする・体がだるいなど)が出てしまいます。
日本学校保健会が調べた、寝起きの状態に関する子どもたちの自覚症状を見てみましょう。すっきり目覚めた子どもは少なくて、「少し眠かった」「眠くて起きられなかった」と答えている子どもが低学年で6割、高学年だと7割ぐらいいます。
夜遅くまで起きていれば、当然朝すっきり目覚めることなどできません。
睡眠不足のまま登校するのですから、午前中にぼーっとしてしまうのは言うまでもないこと。実際、午前中に体調が悪くて保健室を訪れる子どもや、「イライラする」「やる気が出ない」と訴えてくる子どもたちは睡眠不足のことが多く、ベッドに寝かせるとお昼ぐらいまでぐっすり眠ってしまったり、教室で机にうつ伏して眠ってしまったりする子もいます。