何歳から出て行くべき? 子どもが実家暮らしを続けてはいけないワケ
その後両親の工場は最終的には倒産し、筆者と両親の間にも意見の違いから来るさまざまな葛藤はありました。
しかし、彼らの人生の最後で筆者の世帯の方で彼らを引き取り筆者の妻や子どもたちと一緒に数年間の時を過ごさせてあげることができて、両親は幸せな気持ちで旅立ってくれたであろうと思っています。
それもこれも、筆者が22歳の段階で実家を出、自分の家族を持つことができていたからです。
もちろん今のように大学を出たからといって必ずしも正社員として就職できるわけではない時代に、何が何でも実家を出るべきだなどと言うつもりは毛頭ございません。
現実問題としてワンルームを借りただけで月10万円近い家賃が出て行く東京で、月収10万円台半ばの非正規雇用の若者が実家を出ることは無謀な行為ではあります。
でも、勤務先で知り合いお互いに好意を持ったパートナーと一緒に暮らせばどうでしょうか。
1人あたりの固定費は2分の1になり総収入は2倍になりますから、単純計算で世帯の可処分所得は4倍になるのです。
「このへんで実家に依存するのはやめよう 」という気持ちさえあれば実家を出て行くことは不可能なことではないのです。
●親子の愛は確かに深いが、できることならパートナーとの戦友愛を育めたらいい
こうして考えてくると、今回のテーマの「子どもが実家に住んでいいのは何歳まで?」という問いへの答えは、「何歳までということは特にないが、その人にとってベストと思えるタイミングで一度実家は出てみるのがいい」ということになるのでしょうか。
最近は平均寿命が伸びたこともあり、50代に入ってから初めて結婚し実家を出たという同窓生が、筆者にもいます。
親子の愛というものは確かに深く尊いものですが、筆者は、人が「生きてきてよかった」と思うときというのは「パートナーとの戦友愛を実感したとき」ではないかと思っています。
もちろん筆者は、真面目に働いているのに雇用形態が非正規であることで「出たくても実家を出て行けない」若い人に精神論で独立を押しつけることはけっしてしません。
その場合は行政が支援をするべきです。税金の使い方を工夫して低家賃で住める公営住宅を低所得の若者たちに社会が用意すべきだと思います。
今、さまざまな理由から実家暮らしを続けている子どもさんがいらしたら、経済的に不可能でさえないのであればパパとママの方から背中を押してさしあげてください。