子育て情報『希望を持てない子が急増? 家庭環境を超えた友達を作る場所が必要なワケ』

希望を持てない子が急増? 家庭環境を超えた友達を作る場所が必要なワケ

筆者は50歳になったころ、Kくんに招待されて一度その“家”を訪れました。

12月のはじめだったので、家の中には『ここにある材料を好きなように使って自分だけのクリスマス・リースを作ってね』というコーナーがありました。

そこで筆者が目にした光景は、「うちはお母さんは一人で働いてるからクリスマスなんてやってもらえないの」と言う低学年の女の子と「勉強で分かんないところがあったらいつでも教えてやるからな」と言う高学年の男の子の、仲良く並んで話しながらリースを作っている様子だったのです。

●“場所”作りが行政には期待しにくい理由と“小さな一歩”がとても大切なワケ

あの低学年の女の子と高学年の男の子の姿を目にしたとき、筆者は「さすがはKくん。今はまだ小さな一歩かもしれないけれど、素晴らしい場所を作ってくれたものだ」と思いました。

正直言ってわが国ではもう、行政に任せていたらKくんのような発想は出てきません 。

なぜならば、すでに中央省庁のキャリア官僚はほとんど全員と言ってもいいくらいまで首都圏の富裕層出身の人たちで占められているからです。

もちろん彼らが悪い人だなどとは申しません。


でも、弱い立場にある人や、「努力」や「ハングリー精神」といった言葉がむなしくなるくらいの経済的ハンディキャップを最初から背負ってしまっている子どもたちに対する想像力や共感力を彼らに求めるというのは、やはり難しいことでしょう。

その意味ではKくんが作った“家”もそうですが、NPOの人たちの手による「無料塾」や「子ども食堂」なども運営スタッフの人たちと多少の年齢差はあるにしても“家庭環境を超えた友と出会える場所”として機能しているのだろうと思います。

最後に、中学から高校1年まで一緒だったNくんの話をさせてください。

Nくんは慶応幼稚舎という小学校からエスカレーターで上がってきたお金持ちの子だったのですが、普通部時代にご両親が離婚し飲食店を営むお母さまに引き取られ、そのお母さまの飲食店もNくんが慶応高校1年のときに経営が立ち行かなくなり、私立学校の学費を払えなくなって退学していきました。別れる際に、絵を描くのが上手だったNくんに筆者は「絵だけは描き続けてくれよな」と言い、Nくんは私に「鈴木の作文、またどこかで読ませてくれ」と言いました。

今、きっとNくんはこの空の下のどこかで絵を描いているのだろうと筆者は信じています。

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