子どもから「やりたい職業が何もない」と言われたら?
こんにちは。コラムニストの鈴木かつよしです。
ママやパパのみなさんは、お子さんから「やりたい職業が何もない」と言われたらどうお感じになりますか?
お子さんが小学生以下なら滅多にそういうことはないかもしれませんが、中学生・高校生になってくると現実に「進路を決めろと言われても、したい仕事がない」と相談される場合があります。
けれどみなさん、中高生のお子さんにとって『したい仕事が見つからない』ことは別に不思議なことでも何でもなく、むしろ自然なことです。
今回は、中高生の子どもから「やりたい職業が一つもない」と言われたらどう対応したらいいのか ということについて、ご一緒に考えてみましょう。
●親の仕事を見れない?現代の子どもたち
かつてのわが国では、子どもはいちばん身近な職業人である自分の親(特に父親)の仕事ぶりを身近で見ながら育ちました。
そしてその姿に憧れ、自分も親と同じようになるのが当然と考えたものです。
床屋さんの子は床屋に、豆腐屋さんの子は豆腐屋に、電器屋さんの子は電器屋に。
開業医の子は開業医に、設計士の子は設計士に。それが普通のことでした。
高度経済成長期の終焉とバブルの崩壊、さらに経済のグローバル化の進行とリーマンショックを経て、業種にかかわらず大規模に資本を投下してより効率的に経営しないとコスト競争に負け事業として成り立たない時代に入り、町の豆腐屋さんや電器屋さんは姿を消して行くようになりました。
子どもにとってその仕事ぶりを身近で見ることができるのは医者をはじめとするごく限られた仕事だけになってしまったのです。
医者に代表されるような専門性が高くて収入がいい職業の人を親として生まれた子は「将来は自分も医者になろう」とさほど思い悩むこともなく意思を固めることができるかもしれませんが、そうでない普通の中高生の子にとっては小学生時代のようにプロスポーツ選手やプロのミュージシャンになることがそう簡単ではないことに気づきつつあることも手伝って、「やりたい仕事なんてない」となっていくわけです。
しかも、凡人は凡人らしくお勤め人になればいいかと思っても、正社員なら生活はしていけるけど生涯“社畜”の人生。
やり甲斐を求めてフリーランスの道を行けば30代・40代になっても生活がままならない。こういった人生の“予後”が何となく見えてしまう 。
今のわが国は多くの中高生の子どもたちにとってそんな時代なのです。