2019年11月19日 15:34
楽しさ重視のスクールにお金と時間をかけるメリットがあるのか問題
大学生にしても、就職する前に自分の好きなこと、やりたいことが見つからない。それは好きだと感じる機会や、やりたいことかどうかを確かめる冒険をしていない。いろいろな経験を積ませてもらっていないからです。
つい最近も「何の資格取ったらいい?」と大学生の息子に尋ねられ「自分の意思がないんです」と困惑するお母さんの相談に乗りました。このような場合、親がわが子に、あれはダメ、こっちをやれと指示命令してきたことが往々にして影響しています。
そんなふうに指示してしまうのは、子育てのベクトルがゆがんでいるからです。
「子どもに決めさせた方がいいのかもしれないけれど」「好きなことをさせてあげたほうがいいかもしれないけれど」「余計な口出しはしないほうがいいかもしれないけれど」
多くの親御さんが、「子育てに大切なこと」を知っています。つまり、正論は理解しているのです。
ところができない。私も同じ道をたどっていているので、痛いほどわかります。
転ばぬ先の杖を渡してしまうのは、親自身が子どもが失敗したり、苦労する姿を見たくないからです。お母さんも「そのような中でも試合を見ないといけないと思うと耐え難い」と書かれています。
お母さんは、ぜひ達観する力をつけてください。目の前の子どもではなく、私はこの子の人生を応援するのだ。そんなふうにマインドセットを変えましょう。子ども時代の挫折や失敗などかすり傷以下。
逆に、早期の栄光や名誉がその先の人生を狂わせることだってあるのですから。
子どもが試合に出られず、途中でサッカーが嫌になれば、やめるでしょう。もっと試合に出られそうなチームへ行きたいと言えば、一緒に考えてあげればいい。でも、子どもがそこで仲間と続けたいと言えば「ああ、そうなんだね。じゃあ、頑張って」と送り出せばいい。試合を見たくないなら見に行く必要はありません。当番などがないクラブを選べばいいし、行きたいチームにそれがあるなら、当番のときだけ行けばいいのです。
■「転ばぬ先の杖」が奪う、子どものエネルギー
(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)
最後に。
転ばぬ先の杖は、前述した大学生のように、自分で考える力を養えない、段取り力がつかないといったさまざまなリスクをもたらします。そのなかでも、自分の好きを見つけて取り組むエネルギーを奪うリスクが一番怖いと感じています。
「好きだ」