2021年1月20日 18:40
小学生年代のヘディングは禁止した方が良いの? 知っておきたい少年サッカーのヘディングリスク
頭部に対する衝撃に目を向けることは、子どもの身体を守ることにもつながります。
「ジュニア年代でヘディングの練習をするときは、高学年になるまで待って、柔らかくて軽い3号球を使うと良いと思います。それと、正しいフォームを意識することも大切です。ヘディングは髪の生え際のところにボールを当てて、インパクトの瞬間まで目を開いて、ボールをしっかりと見ます。そのヘディングの仕方をマスターすれば、衝撃は少なくなります。ジャンプヘッドや横から来たボールは難しいのですが、無謀なヘディングにならないように、基本を知っておくことが大切です」
■ヘッドギアをつけてヘディング練習をする方が衝撃が増える
子どもたちが「ヘッドギア」をつけてサッカーをしている姿を見かけますが、ヘッドギアをつければ、ヘディングの衝撃を受けずに済むのでしょうか?
「ヘッドギアはあくまで、硬いものと衝突する際に、頭を保護するためのものです。つまり、ヘディングの衝撃を守ってはくれるものではありません。ちなみに、ヘッドギアを付けてヘディングをする方が、頭にかかる衝撃は増えるというデータもあります。
そのことからもわかる通り、ヘッドギアをつけてヘディングをするのはやめたほうがいいと思います」
ヘッドギアが効果を発揮するのは、地面や頭同士など、硬いものと接触するときです。試合中にヘディングの機会がほとんどない10歳以下や、フットサルなどのミニゲームなどでの装着は理にかなっており、場面を選んで上手く使用していくと良いでしょう。
「アメリカでサッカーの脳振盪に関する国際会議があり、『ヘッドギアはヘディングから頭を守るためにするものではありません』と注意喚起がされています」
■大人が知っておくべきヘディングの注意点
ジュニア年代はなるべくヘディングをしない。するなら柔らかいボール(3号球など)を使う。ヘッドギアはヘディングから頭部を守ってくれるものではない。脳振盪の症状を教育し、症状が現れた場合はコーチに報告をする。これらをコーチを始めとする大人が理解し、実行することで、子どもたちの身体を守ることにつながるでしょう。
次回の記事では、子どもたちに増えている「シーバー病」や「腰椎分離症」にならないためのアドバイスをお伝えします。
臼井直人(うすい・なおと)
理学療法士・腎臓リハビリテーション指導士
<所属>
医療法人社団嬉泉会 嬉泉病院 リハビリテーション科 科長
順天堂大学 大学院 医学研究科 腎臓内科学
所属の嬉泉病院 リハビリテーション科では、腎臓病患者のフレイルや、心肺機能と自律神経障害、リハビリテーションなどの臨床研究に取り組んでいる。