強豪クラブに移籍してすぐにケガ。ひと月離脱の息子の力になりたい問題
うまくいかないことも隠しておかないと大変なので、いいところしか見せない。「自分は大丈夫」と思えないからです。そのような歪んだ人間形成につながります。
そこで、子どもに何かうまくいかないことがあったときは、そのピンチを「この子はどうやって(成長という)チャンスに変えるのかな?」と眺めるくらいの余裕をもつことをおすすめします。
このことを、私は小児科医で脳科学者の成田奈緒子先生から学びました。先ごろ『高学歴親という病』(講談社α新書)という本を一緒に作りました。親の溺愛が干渉や矛盾した子育てに変わり、そのことが子どもに良くない影響を及ぼすことや、そうならないための処方箋も紹介しています。
■今少し差をつけられても大したことではない。子どもの「サッカー」ではなく「人生」を見て
ふたつめは、自分のなかの子どもへの心配を信頼に変えること。私自身、お母さんと同じようにいつも息子を心配している親でした。
忘れ物がないかな。
学校でけんかしていないかな。
担任の先生に任せていて大丈夫だろうか。
漢字は覚えられているかな。
サッカーで嫌な思いはしていないだろうか。
そんなふうに、些末なことを心配していました。
が、成田先生や様々な専門家や書物から自己肯定感の大切さを学んで、自分の子育ての軸が持てたように思えます。カラ元気でもいいから「うちの子は大丈夫」と思い込むことから始めてください。
「本人は差をつけられるのでは無いかと不安になっているように思います」とありますが、差がつくのではと不安なのは実はお母さんのほうかもしれません。差をつけられたところで大したことではありません。
「息子のサッカー」ではなく「息子の人生」を見つめましょう。
■親はサッカーでなく生活のサポートをすることが大事
(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)
また、ご相談文に「栄養ある美味しい食事、睡眠時間の確保などできる限りサポートしていますがサッカーに関しては教えることも出来ず......」と書かれていますが、親がサッカーを教える必要はありません。20
そのためにコーチがいますし、ましてやケガのためお休みしている最中です。何もすることはないし、逆に何もしないほうがいい。
美味しいご飯を食べさせて、早寝早起きさせているお母さんは、すでに合格点ですよ。
島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。