大阪市立大学は3月18日、iPS細胞と人工神経を組み合わせて、マウスの坐骨神経損傷部に移植し、神経再生の長期有効性と安全性を実証したと発表した。同成果は同大学医学研究科整形外科学の中村博亮 教授、上村卓也 病院講師らのグループによるもので国際細胞組織学誌「Cells Tissues Organs」オンライン版に掲載される予定。外傷などによる末梢神経損傷に対しては自家神経移植が行われるが、神経を採取した部分に新たなしびれが生じてしまう。そのため、人工神経の臨床応用が進められているが、現在市販されているものは材質が硬く、移植場所が限られる、人工神経の神経再生が乏しいなどの課題がある。同研究グループが開発した人工神経は二層構造となっており、内層をポリ乳酸とポリカプロラクトン、外層をポリ乳酸のマルチファイバーメッシュで構成することで強度を保つと同時に、高い柔軟性を実現した。研究では、マウスiPS細胞から分化誘導した神経前駆細胞を人工神経に充填し、培養したものを坐骨神経損傷マウスの損傷部に移植し、48週間にわたり知覚機能の回復を調査した。その結果、iPS細胞を付加した人工神経を移植したマウスでは、人工神経のみを移植したマウスに比べて有意な神経再生が確認された。また、iPS細胞移植による腫瘍形成は認められず、iPS細胞と人工神経の併用によって長期的に安全かつ有効な神経再生が得られることがわかった。今回の成果によって今後、iPS細胞の移植再生医療が実現すれば、末梢神経領域へのiPS細胞の応用も可能になる。また、将来人工臓器や人工の手足が作成されるようになった場合、それらを神経でつないで動かすことに応用できる技術であると考えられるという。
2015年03月19日ミトコンドリア・パワー株式会社chaseは、機能水「ミトコンドリア・パワー」の公式サイトをオープン。「ミトコンドリア・パワー」は細胞レベルから美容・健康に挑戦する機能水だ。株式会社chaseは医学的にも学術的にも根拠のあるヘルスケア商品を取り扱う会社。「ミトコンドリア・パワー」も多くの医療機関や整骨医院、スポーツジムなどから支持を得ており、トップモデルやトップアスリートの愛飲者も多い。この度、「一般の方々にも広くにご飲用頂くため」に公式サイトをオープンする。ミトコンドリアとは人間のからだのエネルギーは、約90%がミトコンドリアで生産されている。つまり、ミトコンドリアは人間の健康・美容・活力に多大な関わりがあるのだ。「ミトコンドリア・パワー」は、ミトコンドリアを活性化する機能性飲料水。ミトコンドリアが入っているわけではない。「ミトコンドリア・パワー」がミトコンドリアの活動を助けることにより、健康や美容への近道となる。約1ヶ月で株式会社chaseは1日500ml~1,000mlの飲料を推奨。約1ヶ月で体調の変化を感じるのが一般的とのこと。価格は1,000mlを12本セットで7,800円(税込)だ。(画像はプレスリリースより)【参考】・細胞レベルから美容・健康に挑戦する機能水「ミトコンドリア・パワー」公式サイトオープン
2015年03月14日理化学研究所(理研)は3月11日、iPS細胞とES細胞の違いを決める分子を特定したと発表した。同成果は理研ライフサイエンス技術基盤研究センタートランスクリプトーム研究チームのピエロ・カルニンチ チームリーダー、同 アレクサンダー・フォート 客員研究員と、理研統合生命医科学研究センター免疫器官形成研究グループの古関明彦 グループディレクターらの研究グループによるもの。2月12日付け(現地時間)の米科学誌「Cell Cycle」に掲載された。体細胞に由来するiPS細胞と受精卵に由来するES細胞は、幹細胞としての多くの共通した性質をもつ。これまで、両者では遺伝子発現が異なると報告がある一方、特定のiPS細胞はES細胞とほぼ区別がつかないという報告もある。同研究グループは、2014年に、iPS細胞とES細胞の核内にはこれまで知られていなかった数千種類のRNAが発現していることを独自技術によって明らかにしていた。また、その多くがレトロトランスポゾンという遺伝子因子に由来するノンコーディングRNA(ncRNA)であることを突き止めた。ncRNAは、メッセンジャーRNAと異なり、タンパク質の設計図として用いられないRNAのため、これまでの解析では詳しく調べられていなかった。今回の研究では、マウス由来のES細胞とiPS細胞を用い、ncRNAを含めた全転写産物の網羅的な発現比較を行った。その結果、ES細胞の核内で発現するncRNAの多くが、iPS細胞では十分に発現していないことが判明。これらのncRNAの中には、多能性に関わる遺伝子の発現を促進する遺伝子制御部位や、レトロトランスポゾン由来のRNA配列が含まれており、既存のiPS細胞作製方では、ES細胞で機能している多くの遺伝子制御部位の活性が十分に起きていないことが示唆された。今回の結果は、今後、臨床に用いるiPS細胞を適切に評価する方法の開発や作製技術の改良に役立つと期待される。
2015年03月11日リプロセルは3月9日、国立がん研究センター(国がん)とヒト正常上皮細胞とがん細胞の培養試薬に関する共同研究契約を締結したと発表した。同研究では、これまで樹立や培養が困難だった各種がん細胞および正常上皮細胞を安定的かつ高効率に培養することが期待される。同社は「上皮細胞向けの培養試薬は身体のさまざまな部位に存在する、あらゆる上皮細胞を対象としております。また、がん細胞向けの試薬も、がん研究の障害であった培養の困難を克服する画期的なものであります」とコメント。次世代シーケンサーを用いた臨床検査事業におけるがん診断サービスへの取り組みに着手しているとした。
2015年03月11日京都大学は2月27日、ヒトiPS細胞から軟骨細胞を誘導し、硝子軟骨の組織を作製したと発表した。同成果はiPS細胞研究所(CiRA)の妻木範行 教授、同 山下晃弘 研究員らの研究グループによるもので、2月26日付け(現地時間)の米科学誌「Stem Cell Reports」に掲載された。関節軟骨は骨の端を覆い、腕や膝を曲げた時などにかかる衝撃を吸収している。正常な関節軟骨は硝子軟骨と呼ばれ、加齢に伴いすり減ったり、事故などの怪我により損傷受けるとより機能的に劣る繊維軟骨に変わってしまう。一度軟骨が繊維化すると、元に戻ることはなく、関節をスムーズに動かすことが難しくなり、痛みや炎症が起こることがある。現在、自分の軟骨細胞を移植する方法が有効とされているが、高品質で十分な量の軟骨細胞を用意することは難しい。また、採取した細胞をシャーレ上で増殖させると、繊維芽細胞様に変質し、それを移植すると修復時に繊維軟骨ができてしまうという課題があった。同研究では、ヒトiPS細胞から軟骨細胞を作製するための培養条件を検討した上で、足場材を使わずに細胞自身が作るマトリックス(細胞と細胞の間を埋めるように存在するタンパク質)からできた硝子軟骨組織を作製することに成功した。足場剤とは、細胞を培養する際に、細胞外マトリックスを模す目的で使用されるゲルや多孔体などのこと。これを用いて軟骨組織を培養した場合、残存する足場材が炎症を起こしてしまうなどの問題がある。また、免疫不全マウスやラットを用いた実験では、軟骨細胞を移植しても腫瘍形成は見られず硝子軟骨が形成されたほか、関節軟骨を損傷させたラットやミニブタの患部に移植したところ、生着して損傷部を支えるなど、動物実験において安全性および生体軟骨と融合することが確認された。同研究グループは今後、ヒトへの臨床応用を目ざして有効性や安全性の確認など、さらにデータを積み重ねる予定だ。
2015年02月27日理化学研究所(理研)は2月19日、ヒトES細胞から毛様体縁を含む立体網膜を作製することに成功したと発表した。同成果は理研多細胞システム形成研究センター器官発生研究チームの桑原篤 客員研究員、立体組織形成研究ユニットの永樂元次 ユニットリーダーらと、住友化学生物環境科学研究所の共同研究グループによるもの。2月19日付けの英科学誌「Nature Communications」に掲載された。同研究グループはこれまで、「SFEBq法」という分化誘導法を開発し、マウスES細胞やヒトES細胞から立体網膜を作製していた。今回の研究では、「SFEBq法」を改良し、胎児型網膜に似た毛様体縁を含む立体網膜の作製に成功した。毛様体縁は、胎児の網膜の端に存在する領域。魚類や鳥類などで幹細胞を維持する働きをしていることが報告されていたが、ヒトではその役割がほとんど分かっていなかった。そこで、作製した立体網膜を解析したところ、ヒト毛様体縁には幹細胞が存在し、この幹細胞が増殖することで試験管内で網膜を成長させることが判明した。今回開発された新しい分化誘導技術は、立体網膜を効率よく安定的に生産できため、同研究グループは同技術を用いて生産した立体網膜を、網膜色素変性を対象とした再生医療に応用するための研究を進めていくとしている。
2015年02月20日日本エイサーは13日、IPS液晶パネルを搭載した液晶ディスプレイとして、21.5型ワイド「G227HQLAbmix」、23型ワイド「G237HLAbmix」、27型ワイド「G277HLbmidx」の3モデルを発売した。価格はオープン。○G227HQLAbmixIPS液晶パネルを搭載する21.5型ワイド液晶ディスプレイ。画面周囲のフレームをなくした「ゼロ・フレーム」デザインを採用する。ブルーライト低減機能を搭載し、ブルーライトの透過率を80%~50%まで4段階で調整可能。「フリッカーレステクノロジー」と合わせて、眼精疲労の軽減を助ける。主な仕様は、画面サイズが21.5型ワイド、解像度が1,920×1,080ドット(フルHD)、液晶パネルがIPS方式の非光沢(ノングレア)、視野角が水平垂直とも178度、輝度が250cd/平方メートル、コントラスト比が1,000:1、応答速度が4ms(GTG)。映像入力インタフェースはHDMI×1、D-sub×1。スタンドのチルト角度が上15度/下5度。1.5W+1.5Wのステレオスピーカーを搭載し、本体サイズはW499×D185×H384mm、重量は2.8kg。○G237HLAbmix「G237HLAbmix」は、画面サイズが23型ワイドのモデル。基本仕様は「G227HQLAbmix」とほぼ共通。本体サイズがW532×D185×H402mm、重量が3kg。○G277HLbmidx「G277HLbmidx」は、画面サイズが27型ワイドのモデル。基本仕様は「G227HQLAbmix」とほぼ共通。主な相違点は、映像入力インタフェースがHDMI×1、DVI-D×1、D-sub×1であること。本体サイズはW621×D179×H454mm、重量は4.3kg。
2015年02月13日理化学研究所(理研)は1月30日、ヒトES細胞を小脳の神経組織へと、高効率で選択的に分化誘導させることに成功したと発表した。同成果は理研多細胞システム形成研究センター器官発生研究チームの六車恵子 専門職研究員を中心とする研究チームによるもので、1月29日付(現地時間)の米・科学誌「Cell Reports」オンライン版に掲載された。同研究チームは、以前の研究でマウスES細部から、小脳の主要な神経細胞で、医学的に重要なプルキンエ細胞への分化誘導に成功していた。今回の研究ではマウスで成功した培養法を応用することで、ヒトES細胞をプルキンエ細胞を含む小脳の神経細胞へと分化させ、さらに初期の小脳皮質構造へと誘導することができた。また、iPS細胞からプルキンエ細胞への分化誘導にも成功しており、将来的にはヒトiPS細胞を脳神経組織へと分化させることで、さまざまな脳神経系疾患に対する治療法開発への応用につながることが期待される。
2015年01月30日ベンキュージャパンは23日、IPSパネルとフリッカフリーLEDバックライトを搭載する4K対応32型ワイド液晶ディスプレイ「BL3201PT」を発表した。1月27日より発売する。価格はオープンで、店頭予想価格は129,800円。3,840×2,160ドット(4K)対応の32型ワイド液晶ディスプレイ。sRGB100%をカバーし、視聴距離約600mmの位置で活用するのが最適としている。ちらつきにくいフリッカーフリーバックライトやブルーライト軽減モードなどを搭載。目に対する負担も軽減する。映像用途にデザイン / CAD / CAMなどのモードを搭載。デザインモードでは10段階での輝度調整が可能になった。そのほかにも、PIP(ピクチャーインピクチャー)や、PBP(ピクチャーバイピクチャー)などの多彩な機能を搭載する。ディスプレイ前面にEcoセンサーを搭載することで、ディスプレイの前から人がいなくなったのを検知し自動で待機状態に移行する。そのほか、ディスプレイ周辺の照明条件を検出してバックライトを自動調整する機能なども搭載する。主な仕様は、液晶パネルが32型ワイド、解像度が3,840×2,160ドット(4K)、視野角が上下 / 左右ともに178度、輝度が350cd/平方メートル、コントラスト比が1,000:1(DCR時20,000,000:1)、応答速度が12ms(GTG:4ms)。映像入力インタフェースはHDMI×2、DVI-DL×1、DisplayPort×2。5W+5Wのステレオスピーカーと5ポートのUSB 3.0ハブ機能を搭載。スタンドのチルト角度は-5~20度、スイーベルは左右45度、150mmの高さ調整が可能で、ピボットも可能。ディスプレイパイロットソフトウェアを導入することで、回転させるだけで表示画像も自動で回転するオートピボット機能も利用できる。VESAマウント100mmに対応し、本体サイズはW740.3×D213.4×H490mm、重量は約12.5kg。
2015年01月23日本連載の第4回では、ADCが備える主要なセキュリティ機能の1つである「WAF」について解説した。WAFはIDS/IPSとは異なり、Webアプリケーションへの攻撃を防御の対象として利用されるものであり、WAFとIDS/IPSをうまく組み合わせることで効果的な多層防御が実現できる。今回は「ADCとIDS/IPSとの関係」について、別の切り口から取り上げてみたい。というのは、進化する攻撃に対応するためにIPSの進化もめざましい。そのIPSとADCを連携させれば、より効果的に堅牢な防御を実現できるのだ。○本来のメリットを生かすのが難しいIPSの運用まずは、IDS/IPSについて簡単におさらいしておこう。IDS(Intrusion Detection System:侵入検知システム)は、主にOSやミドルウェアの脆弱性を突く攻撃を検知するためのものだ。ネットワーク上を流れるパケットの中身を監視し、シグネチャとのパターンマッチング処理によって既知の脅威に関係すると思われる不正な通信を検知し、管理者にその旨を通知する。IPS(Intrusion Prevention System:侵入防止システム)は、このIDSの機能に不正通信の遮断機能を追加したものだ。IDSが不正な通信を検出・通知するのみなのに対し、IPSでは検出と同時に不正な通信を遮断できるため、より強固なネットワークセキュリティを実現できる。しかし、いまや多くの企業が当たり前のように導入しているIPSも、実際にはほとんどのケースでその機能が十分に活用されていない。せっかくIPSを導入しても、不正通信の遮断機能を使っていないケースが多いのだ。通信の遮断を行うにはIPSをネットワークのインラインに設置する必要があるが、実際にはスイッチのミラーポートに接続し、パケットのコピーを監視して不正パケットの検出のみを行っているケースがほとんどだ。その理由は、多くの管理者が誤検知による誤遮断を嫌うためだ。IPSにより不正通信の検知を実施すると、正常なパケットを誤って不正パケットと判断して遮断してしまうケースがどうしても起こってしまう。つまり、サービスを提供したい正規ユーザーの通信を遮断して、サービス提供をできなくしてしまうのだ。これに対処しようとすると、実はハードルが非常に高い。IPSによる不正アクセスの検知は、システムの規模にもよるが1日で数千件~数万件におよぶことがある。これは自社の環境に影響がない不正アクセスまで合わせて検知するため、検知されたアクセスが本当に実害に繋がるかどうかを判断するのが難しい。また新しい攻撃が発見された場合は、その攻撃に対処するシグネチャをIPSに随時アップデートし続ける作業が必要だ。○"次世代IPS"は高度な可視化と自動化機能で管理者を救うこうしたことから、これまで多くの企業ではIPSを採用しても、その導入メリットを十分に生かし切れていたとは言い難かった。しかし近年、こうした課題を克服できる可能性を秘めた"次世代IPS"と呼ばれる製品が出てきた。これまでにない高度な機能を備えることで、従来のIPSに付き物であった誤検知やシグネチャのアップデート作業といった運用上の泣き所を解決しようとしている。シスコシステムズの次世代IPS製品「Cisco Sourcefire」を例にとって説明しよう。既知の脅威をシグネチャベースのパターンマッチング処理で検知するという基本的な仕組みは従来のIPSと同様だが、Cisco Sourcefireではアプリケーションレベルでトラフィックを可視化し、その内容を学習することでシグネチャを自動チューニングし、誤検知を大幅に減らす仕組みが実装されている。具体的な仕組みはこうだ。Cisco Sourcefireはパケットのヘッダやデータフィールドを含めて分析し、どのようなホストOS上でどのようなアプリケーションがバックエンドで稼働しているのかを学習する。例えばLinux OS上にApacheを使ったアプリケーションが稼働していると判断された場合、Cisco Sourcefireは必要とされないWindows OS関連のシグネチャをパターンマッチングの対象から自動的に外すのだ。こうしてユーザーのアプリケーション環境にとって不要なシグネチャをどんどん外していけば、そのぶん誤検知の確率は下がり、さらにシグネチャマッチングの処理量を削減できるので性能も向上する。また、管理者が自社には関係のないイベントを分析するといった無駄な手間を削減することにも役立つ。こうした仕組みによって、従来のIPSには付き物であった運用上の泣き所を取り除くことを狙っているのだ。Cisco Sourcefireではさらに、シグネチャもクラウドの仕組みを通じて自動的に更新される。世界中で発生しているインシデントを分析して検出された新たな脅威情報は、自動的にシスコシステムズが運営するクラウド上にアップロードされる。そして、その内容はただちに他のCisco Sourcefireに自動的に配布される。このような体制を敷くことで、管理者は世界中で発生しているインシデントの分析結果から得られる適切な対処を、自社のシステム環境で迅速に活用することが可能となる。こうして次世代IPSは、従来のIPSにはなかった高度なインテリジェンスを備えることにより、これまでIPSを運用する上での大きな負担となっていたシグネチャのチューニング作業や新たな脅威情報のアップデート作業などを自動的に行うのだ。○次世代IPSのインテリジェンスとADCの連携による強固な防御を実現従来のIPSと比べて機能が進化したとはいえ、次世代IPSの採用でIPSが本来備える通信遮断の機能をすぐに使えるようになるかといえば、そう簡単な話でもない。次世代IPSをネットワークにインラインで設置するとなると、ネットワーク構成を変更する必要がある。スイッチのミラーポートからトラフィックコピーを行う従来の構成を変えたくないという管理者も多いだろう。またSSL暗号化通信されたトラフィックを検査するには復号化処理が必要だが、次世代IPSといえども得意な処理ではないので不安が残る。ここで大いに役立つのが、次世代IPSとADCの連携だ。先ほど紹介したCisco SourcefireとBIG-IPの連携を例にとって説明してみよう。BIG-IPは次世代IPSとの連携を前提としたAPIインタフェースを備えている。実はCisco Sourcefireには、このAPIを通じてBIG-IPと連携できる機能が実装されている。具体的にはCisco SourcefireからBIG-IPに対して、「このソースIPアドレスの通信で不正を検出したので、30秒間は特定のIPアドレスからの通信は遮断してほしい」という依頼を自動で出せるようになっているのだ。BIG-IPはリバースプロキシとして、もともとネットワークにインライン設置されているので、Cisco Sourcefireから依頼のあった特定の通信を容易に遮断することができる。この連携機能を使えば、Cisco Sourcefire をわざわざインラインに設置せずに、かつ管理者による操作を介在させる必要もなく、迅速かつ的確に不正な通信を遮断することができるようになるのだ。また、BIG-IPをはじめとするADCに搭載されているハードウェアチップでSSL通信を復号化した上でIPSに渡してあげれば、SSL通信もCisco Sourcefireで監視できるようになる。このようにADCと次世代IPSの連携ソリューションは、日々高度化しているセキュリティの脅威から企業ネットワークを効果的に守るための手段として高い注目を集めている。今回紹介したような高度な連携は、現時点ではBIG-IPとCisco Sourcefireの間でしか実現されていないが、即効性や実践性が高い機能だけに、興味のある方は詳しい情報をチェックすることをお勧めする。
2015年01月13日体内のサビだといわれる、活性酸素やあらゆる毒素をはじめとして、現代社会に生きる人間の細胞は、常に高いストレスにさらされています。そんな悩みを解消するうえに、快眠にもよいといわれている成分があるようです。グルタチオンでガン予防!?グルタチオンという成分を聞いたことがありますか?これは、3つのアミノ酸で構成される抗酸化物質。医薬品にも使用されていることから、安全性が高い成分として知られています。摂取方法はサプリメントが中心ですが、さまざまな毒素を抱え込んで体の中で消去する働きがあります。そのため、細胞を活性化し、ガン予防やアンチエイジングに効果が期待できる成分だと言われています。また、脳内の神経細胞が死んでしまうのを防ぐ働きのある抗酸化物質として、医学的な関心も高いグルタチオン。今後、脳虚血疾患の治療に活用できないかと研究が進められている注目の物質なんです。脳の興奮状態を抑制する効果もあり抗酸化物質として関心を集めるグルタチオン。でも、どうして睡眠と関わっているのでしょうか?実は、グルタチオンは細胞を修復するだけではなく、脳内の興奮状態をシナプスレベルで抑制する働きがあるようです。その結果、脳内がリラックスした状態になり、スムーズな睡眠を促進してくれると言われています。実は、睡眠医学の世界ではすでに注目が集まっているグルタチオン。抗酸化・抗老化物質であると同時に、睡眠物質としてもよく知られています。このような成分を摂取することで、生体リズムや体内時計が整うというメリットもあるそうです。受験勉強や資格試験の勉強にも!?勉強したいという気持ちは大切ですが、寝不足だと効果がないことも。受験勉強や仕事によって、脳内の神経細胞であるニューロンが過剰に働きすぎることが、神経毒を生み出す原因だという説があります。グルタチオンハードな知的労働や作業、勉強で酷使された脳細胞を修復してくれる効果があるそうです。また、睡眠そのものが脳細胞を修復する働きを担っているといいます。グルタチオンを摂取すると、相乗効果でさらに脳内のニューロンをダメージから守ってくれるでしょう。テストや資格試験の勉強などで疲れた頭と身体。グルタチオンでリフレッシュすると良いかもしれません。Photo by Lies Thru a Lens
2014年12月27日慶應義塾大学(慶大)は12月24日、ヒトの皮膚細胞を血管内皮細胞に転換する遺伝子を同定したと発表した。この成果は慶大医学部微生物学・免疫学教室の森田林平 専任講師と吉村昭彦 教授、久留米大学医学部心臓・血管内科学の安川秀雄 准教授、佐々木健一郎 講師らの共同研究によるもの。12月24日(現地時間)に米科学雑誌「アメリカ科学アカデミー紀要」のオンライン版で公開された。血管内皮細胞は、発生の初期に、血液細胞と共通の前駆細胞から作られることがわかっている。同研究グループは今回、血管内皮細胞だけでなく血液細胞の発生にも重要な転写因子18種類をスクリーニング対象とした結果、ETV2という遺伝子を、健常人から採取しヒト皮膚線維芽細胞に導入することで、血管内皮細胞に3~4%と高効率で転換することを見出した。また、ETV2が細胞内の別の転写因子と共役的に作用し、血管内皮細胞の分化に重要なさまざまな遺伝子の発現を誘導していることも突き止めた。実験ではさらに、このヒト皮膚線維芽細胞から転換させた血管内皮細胞を免疫不全マウスの皮下に移植したところ、1.5カ月後に成熟した血管の形成が観察されたという。また、下肢の血管を閉塞させて壊死を起こさせる下肢虚血モデルマウスに移植した場合、有意に虚血を回復させることが分かった。これらの実験により同方法で作成された血管内皮細胞は、生体内でも機能的な血管を形成でき、虚血性疾患の治療に使用できることが確認された。この「人工的」血管内皮細胞はETV2が発現し続ければ安定するが、発現しないと血管内皮細胞のままでいる細胞と、ヒト皮膚線維芽細胞に戻る細胞に分かれるため、今後、これらの細胞集団の違いをもたらすDNAレベルでの分子メカニズムを明らかにし、「ETV2フリーの安定な血管内皮細胞」を誘導する方法を開発できれば、安全で臨床応用可能な血管内皮細胞の開発につながると期待される。
2014年12月25日理化学研究所(理研)は12月19日、7月より行っていたSTAP細胞が存在するかどうかの検証実験の結果を公表した。理研は8月の中間報告でもSTAP細胞を作ることはできなかったと発表していたが、実験には熟練した技術が必要な可能性があるとして、11月末まで小保方晴子氏が参加するかたちで検証が続けられていた。検証は小保方氏による実験と、相澤慎一リーダーと丹羽仁史副チームリーダーらの検証実験チームによるものが行われた。小保方氏による検証では、論文にあったように、脾臓由来のリンパ球からのSTAP現象の検証に集中して実験を行った。一方、丹羽氏らの検証実験チームでは、脾臓以外に肝臓と心臓についても検証を実験したが、どちらもSTAP細胞の存在を確認することができなかった。相澤氏は「これ以上は検証実験の範疇を超えるもの」と語り、当初3月末までを期限としていた同検証を打ち切るとした。なお、検証終了をもって小保方氏は理研に退職願を提出し、承認された。同氏は「予想をはるかに超えた制約の中での作業となり、細かな条件を検討できなかった事などが悔やまれますが、与えられた環境の中では魂の限界まで取り組み、今はただ疲れ切り、このような結果に留まってしまったことに大変困惑しております。私の未熟さゆえに論文発表・撤回に際し、理化学研究所を始め多くの皆様にご迷惑をおかけしてしまったことの責任を痛感しておりお詫びの言葉もありません。検証終了を以て退職願を提出させていただきました」とのコメントを発表している。
2014年12月19日ASUSTeK Computerは18日、27型IPSパネルを採用した4K(3,840×2,160ドット)液晶ディスプレイ「PB279Q」を発表した。12月19日から発売し、価格はオープン、店頭予想価格は100,000円前後の見込み。PB279Qは、6系統という豊富な映像入力インタフェースを搭載。DisplayPort 1.2×1、HDMI 1.4×4(MHL 2.0対応)、Mini DisplayPort 1.2×1という内容だ。DisplayPort 1.2とMini DisplayPort 1.2は60Hzの4K表示、HDMI 1.4は30Hzの4K表示に対応する。LEDバックライトの調光にDC(Direct-Current)方式を用いることでフリッカーをなくし、ブルーライト低減モードも搭載した。色域はsRGBを100%カバーする。また、映像の輪郭などを強調するVividPixel技術によって、4K未満の映像を精細に表示できる。プリセット画面モードは8種類を備え、親子画面のピクチャー・イン・ピクチャー機能、複数の入力画面を並べて表示するピクチャー・バイ・ピクチャー機能を持つ。Quick Fit機能では、画面上に写真プリントと同じサイズの枠線を表示したり、画面を分割するグリッド線を表示したりできる。A4用紙、B5用紙、USレター、8×10インチ写真、5×7インチ写真、4×6インチ写真、3×5インチ写真、2×2インチ写真、画面9分割方眼という、計9種類の表示に対応。そのほか主な仕様は、画面がノングレア(非光沢)、最大輝度が300cd/平方メートル、コントラスト比が1000:1(ASCR時 100,000,000:1)、視野角が水平垂直とも178度、G to G応答速度が5msだ。スタンド機能は、チルトが下5度/上20度、スウィーベルが左右60度、高さ調節が150mm、縦回転(ピボット)が右回転90度で、VESAマウント100mmに対応。本体に2W+2Wのスピーカーを内蔵するほか、ステレオミニジャックの音声出力がある。本体サイズはW624.96×D220.06×H407.76mm、重量は約7.7kg。DisplayPortケーブル×1本、HDMIケーブル×1本、オーディオケーブル×1本などが付属する。
2014年12月18日岡山大学はこのほど、左心低形成症候群に対する心臓内幹細胞自家移植療法の第1相臨床研究を実施し、冠動脈注入法による幹細胞移植法の安全性と心不全治療における有効性を確認したと発表した。同成果は同大学病院新医療研究開発センター再生医療部の王英正 教授、同小児循環器科の大月審一 教授、同大学大学院医歯薬学総合研究科心臓血管外科の佐野俊二 教授らの共同研究グループによるもので、米科学誌「Circulation Research」に掲載された。左心低形成症候群は、左心室が異常に小さい単心室症の一つで、予後不良の先天性心疾患。重度の場合は「心臓移植」しか治療法がない場合があるが、日本では小児の臓器提供者の数が少ないのが現状だ。同治療法は、心臓組織を約100mg採取し、幹細胞を抽出して10日間培養後、体重1kgあたり30万個を冠動脈へカテーテルで注入するというもの。同研究では2011年1月~2012年1月まで、合計14症例の左心低形成症候群に対し、「標準外科手術+細胞治療群」と「標準外科手術単独群」に分けて第1相臨床研究を実施。18カ月間の長期追跡調査により、「標準外科手術+細胞治療群」は「標準外科手術単独群」に比べ、心臓の機能が8%以上改善していることがわかった。また、細胞移植時における急性虚血や致死的不整脈は認められず、アレルギー反応もなかった。研究グループは2013年6月より実施中の合計34症例の小児心臓病患者を対象とした無作為割付第2相臨床研究においても、その安全性と有効性を確認しているとのことで、同治療法の標準医療化に向けて2015年以降に企業主導臨床治験を実施する予定だという。同治療法の標準医療化が進めば、先天性心疾患患者の心機能を向上させ、心不全を繰り返すことなく過ごすことができようになると期待される。
2014年12月15日新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は12月10日、東北大学、Clioらのグループと共同で、多能性幹細胞の一種であるMuse細胞からメラニン産生細胞を安定的に作り出す技術の開発に成功し、そこで得られたメラニン産生細胞を用いて3次元培養皮膚を作製する技術を確立したと発表した。Muse細胞は2010年に東北大学大学院医学系研究科の出澤真理 教授らの研究グループが発見した多能性幹細胞。皮膚、骨髄などに広く存在し、腫瘍性を持たない、損傷部位へ自発的に移動し修復するなどの特徴をもつ。一方、メラニン産生細胞は紫外線による皮膚障害や悪性腫瘍の発生などを抑えるメラニンを産生することが知られているが、単離が難しく、増殖性が弱いことから、これまでは大量に培養することが難しかった。今回、Muse細胞からメラニン産生細胞を誘導する方法を確立できたことで、大量培養が可能となり、同細胞を組み込んだ3次元培養皮膚を作製することが可能となった。同技術はDSファーマバイオメディカルにライセンスされ、医薬品・化粧品の開発におけるスクリーニングや製品性能検証などに用いるキット「POCA ヒト3D HADA」として2015年1月15日より販売される。NEDOの山崎知巳バイオテクノロジー・医療技術部長は今回の成果について「従来品に比べてヒトの皮膚にきわめて近いものが作れるので、医薬品・化粧品などの安全性試験の精度向上につながる」と説明。より精度の高い安全性試験が実現することによって、新薬の開発における安全性へのリスクを低減できることから、コスト削減にも貢献するという。今後、東北大学は今回の成果を白斑症の治療へ応用することを検討していくほか、DSファーマバイオメディカルではMuse細胞から分化誘導した肝臓の細胞を用いた薬物代謝などに対する細胞アッセイ系として、実用化を進める予定だ。
2014年12月11日デルは27日、4K対応の液晶ディスプレイ新製品、24型の「P2415Q」と27型の「P2715Q」を発表した。ともに視野角178度のIPSパネルを採用している。発売は12月12日で、直販価格はP2415Qが54,980円、P2715Qが69,980円(ともに税込・送料込)。同日より、Amazon、ビックカメラグループ、ツクモ電気、ヨドバシカメラで先行予約を開始している。P2415Q、P2715Qとも3,840×2,160ドットの解像度を持つ4K対応ディスプレイ。これまで販売してきた「P2815Q」はTNパネルの製品だったが、P2415QとP2715QはIPSパネルを採用したことで広視野角を実現した。色域はsRGB 99%をカバーしており、出荷時にカラー調整を施したうえで出荷する。P2415Qの仕様は、画素ピッチが0.13725mm、応答速度が6ms(高速モード)/8ms(通常モード)、輝度が50~300cd平方メートル、コントラスト比が2,000,000:1、通常消費電力が45W。サイズはW566.64×D205×H369.53~499.53mm(スタンド含む)、重量は5.68kg(スタンドとケーブル含む)。P2715Qの仕様は、画素ピッチが0.1554mm、応答速度が6ms(高速モード)/9ms(通常モード)、輝度が50~350cd平方メートル、コントラスト比が2,000,000:1、通常消費電力が50W。サイズはW640.74×D203.86×H423.86~538.86mm(スタンド含む)、重量は7.53kg(スタンドとケーブル含む)。以下両機共通で、映像入力インタフェースはHDMI(MHL対応)、DisplayPort、mini DisplayPortを搭載。加えて、DisplayPort出力、USB 3.0×4を備える。スタンドは115mmの高さ調整、前方5度から後方21度のチルト、角度は不明だがスイーベルが可能だ。
2014年11月27日科学技術振興機構(JST)、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)および京都大学細胞—物質システム統合拠点(iCeMS)は11月27日、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者から作製したiPS細胞において、病気の原因遺伝子の修復に成功したと発表した。同成果はCiRA初期化機構研究部門の李紅梅 大学院生、同 堀田秋津 助教らの研究グループによるもので、11月26日付(現地時間)の米科学誌「Stem Cell Reports」に掲載された。DMDはジストロフィン遺伝子が機能を失うことによって、筋肉が萎縮してしまう疾患。ジストロフィン遺伝子を修復できれば、治療につながると考えられている。しかし、これまでの技術では30億塩基で構成されるヒトゲノムの中でたった1カ所だけを精密に修復するのは困難だった。同研究チームは、ターゲット以外の遺伝子に傷を付けないように、特異的な配列データを使うことで、狙ったところだけを修復することに成功した。遺伝子を修復したiPS細胞を、ジストロフィンタンパク質を作る骨格筋細胞へと分化させたところ、ジストロフィンタンパク質が作られていることが確認された。今回の成果を効果的なDMD治療に結びつけるためには、修復したiPS細胞由来の筋肉細胞をどのように移植するかなどの課題があるが、今後の遺伝子治療の枠組みとなることが期待される。
2014年11月27日ランゲルハンス細胞は肌の基礎体力を呼び起こすと言われています。睡眠は、肌の基礎体力を呼び起こすための土台となります。しっかりとケアをして肌本来の美しさを目覚めさせ、素肌のキレイな女性を目指しましょう。肌の基礎力、ランゲルハンス細胞とはあなたは自分のすっぴんに自信がありますか? どんな女性でも素肌美人に憧れていると思います。しかし、紫外線や乾燥など日常生活のなかで肌の敵は多いものです。そんな中で継続してケアをし続けることは簡単なことではありません。しかし、ケア次第で美肌を取り戻し、素肌美人になることができるので諦めてはいけません。その鍵となるのが、ランゲルハンス細胞です。ランゲルハンス細胞とは、肌の司令塔とも言われていて、外部からの刺激に対してどうコントロールするか決めるという重要な役割を担っています。ランゲルハンス細胞と睡眠で美肌を取り戻すランゲルハンス細胞を強くすることで、どんな外部の刺激にも対応できるようになります。最近では、このランゲルハンス細胞に直接働きかけて肌本来の力を取り戻す効果が期待できる化粧品も発売されています。また、同時に欠かせないのが睡眠です。睡眠不足が続くと、肌の基礎力も弱まってしまいます。ランゲルハンス細胞を強め睡眠をしっかりととることで、眠っている間に肌に働きかけることができ、美肌の基礎の基礎ができあがるのです。今まで素肌ケアをさぼりがちだった方も、今からまた始めてみませんか?特に肌は年齢がでますので、年齢を重ねるにつれて意識を高めていきたいところです。大切な日を美しい肌で迎えたいという思い結婚式やデートなど大切な日ほど良い肌状態で迎えたいものですが、そんな日に限って肌が荒れてしまった経験はありませんか?2人に1人は大事な日の直前に肌荒れを経験しているそうです。肌が荒れても、通常通りのスキンケアをし続ける方が多いようですが、肌が荒れたときは、その状態にあったスキンケアを取り入れることをおすすめします。肌が弱っている状態ですので、刺激を与えないように優しいケアが求められます。肌の基礎力がしっかりしていれば、不調なときでも適切なケアで肌荒れの治りは早くなるものです。また、大切な日の前日にはしっかりと睡眠をとり、心をリラックスさせましょう。Photo by Ignacio Bernal
2014年11月24日クレディセゾンは17日、山中伸弥教授が所長を務める京都大学iPS細胞研究所「iPS細胞研究基金」の活動に賛同し、セゾンカード・UCカード会員がポイントプログラム「永久不滅ポイント」およびクレジットカード決済を通じて、iPS細胞研究に支援できる取り組みを開始した。「iPS細胞研究基金」は、iPS細胞研究所にて実施している研究成果をより早く患者のもとに届けるための基金。iPS細胞は、iPS細胞技術による目の細胞の移植手術の実施、軟骨の疾患に効く薬の候補物質の探索といった研究成果に世界中から関心が寄せられているが、世界最高レベルの研究を進めていくためには、生命倫理に関わる問題や、知的財産権の確保と維持、企業の橋渡しなど、多角的な方向から研究活動を支える人材が必要となる。しかし現状は、必要な人材に対し、長期的に安定したポストを十分に与えられておらず、この状況を改善し、より高度な研究を推進していくことが求められているという。クレディセゾンの支援活動では、永久不滅ポイントの交換またはカード利用で寄付することができる。永久不滅ポイントの交換では、200ポイントを1口としてポイント交換し、交換したポイント相当額を「iPS細胞研究基金」に寄付する。寄付を行った会員には、山中教授のメッセージが記載された礼状を送付する。詳細はクレディセゾンWebサイトまで。
2014年11月18日東北大学の研究2014年11月10日、東北大学は米国国立顎顔面歯科学研究所との共同研究で、上皮幹細胞から上皮前駆細胞への分化と増殖を制御する単一の分子を発見したとの発表を行った。研究成果はJournal of Cell Scienceのオンライン版に2014年10月26日から公開されている。上皮細胞とは表皮、毛、爪、消化管上皮などの上皮組織は、常に細胞増殖により、自己再生を続けている。表皮の場合は角化細胞(ケラチノサイト)の前駆細胞が幹細胞から分化・増殖し、表皮の最深部に単層構造を形成する。その表皮が肌表面の表皮がなくなるにつれ、表面に近づき、肌も常に再生が行われている。上皮細胞の幹細胞が前駆細胞へと分裂し、活発に増殖した後に増殖を停止してから、上皮細胞に分化する機構は、肌、毛、爪でも共通に見られるものであるが、どのような仕組みでコントロールが行われているのかは明確になっていない。研究内容幹細胞から生まれた前駆細胞が増殖活性を獲得した後、細胞分裂を停止し、分化・成熟する一連の過程を検討した。その結果、エピプロフィンという単一の分子が細胞周期調節因子や転写因子として複数の機能を発揮することで前駆細胞の分裂や増殖停止、上皮細胞への分化促進をすべて制御していることを明らかにした。エピプロフィンを作れなくなったマウスでは、体毛が生えない、前歯が伸び続けるなど、表皮細胞の再生能の破綻が観察できた。応用毛髪、皮膚、歯の再生に関してはいくつかの成功例が見られ、皮膚に関しては実用化に至っている。しかしながら、幹細胞から前駆細胞への誘導、前駆細胞から上皮細胞への分化に関しては制御方法が不明のため、毛髪では大量に必要なことから、実用化の目処は立っていない。皮膚に関してもやけど等の限られた部分への移植が実用化されているだけである。今回のエピプロフィンによる制御過程が明らかになったことから、大量に細胞を作り出せる可能性があり、肌や毛髪の再生への実用化が実現性を帯びてきた。iPS細胞やES細胞に比較して、上皮幹細胞はすべての上皮細胞で作られていることから、遺伝子的にも問題なく、倫理的にも使いやすい幹細胞である。(画像はプレスリリースより)【参考】・プレスリリース東北大学プレスリリース
2014年11月13日慶應義塾大学は11月12日、肥大型心筋症患者からiPS細胞を作製し、病気を悪化させる因子の同定に成功したと発表した。同成果は同大学医学部の湯浅慎介 専任講師、福田恵一 教授、田中敦史氏(大学院医学研究科博士課程)らによるもので、11月11日付け(現地時間の)の米科学誌「Journal of American Heart Association」オンライン版に掲載された。肥大型心筋症は筋原線維(筋肉細胞内を走っている多数の微小線維)を構成する遺伝子の変異によって起こる遺伝性の疾患で、突然死や心不全の原因となる。効果的な治療法がなく、国の難病に指定されている。同研究グループは今回、肥大型心筋症のiPS細胞から心筋細胞を作製し、この病気の患者由来の心筋細胞に、筋原線維の配列の乱れが存在することを見出した。さらに病気を悪化させる因子を探索した結果、「エンドセリン-1」というホルモンが筋原線維の配列の乱れを大きく増加させることを発見した。そこで、エンドセリン受容体拮抗薬を投与したところ、心筋細胞の筋原線維の配列の乱れが改善し、さらに収縮の乱れが改善することが確認された。これより、肥大型心筋症患者においては、生まれつき心筋細胞筋原線維の配列の乱れが僅かに存在しており、「エンドセリン-1」の影響により増悪していくことが想定された。エンドセリン受容体拮抗薬はすでに肺動脈性肺高血圧症という疾患の治療に用いられている薬剤で、人体への投与の安全性が確認されている。今後、実際にこの薬剤が肥大型心筋症の治療薬になるか検討する必要があるものの、有効な特異的治療方法となることが期待される。
2014年11月12日京都府立医科大学と科学技術振興機構は11月11日、マウスES細胞を用いて細胞分化と密接に関連した体内時計の発生メカニズムを解明したと発表した。同成果は、同大学大学院医学研究科 八木田和弘 教授、同 梅村康浩 助教、米テキサス大学のジョセフ・タカハシ 教授、大阪大学の安原徳子 博士(現 医薬基盤研究所)らの共同研究によるもの。11月10日(現地時間)の米科学雑誌「アメリカ科学アカデミー紀要」のオンライン速報版に掲載された。体内時計は、「昼と夜」という地球の環境周期を予測し、これに先んじて身体の機能を適応させることで生体機能を維持する役割を担っている。哺乳類では、睡眠覚醒リズムのみならず、内分泌やエネルギー代謝、循環器機能や消化器機能など様々な生理機能の約24時間周期のリズム(概日リズム)を生み出している。シフトワーカーなど、不規則な生活を長年続けることによる体内時計の乱れは、様々な健康問題を引き起こすことが分かっている。哺乳類の体内時計は、全身のほとんどの細胞に備わっている、普遍的な細胞機能でもある。体内時計は一生にわたって時を刻み続けるが、発生初期段階では体内時計のリズムが見られず、発生過程を通して形成されると考えられている。しかし、体内時計の発生メカニズムは今までほとんど分かっていなかった。八木田教授は、マウスES細胞を用いたこれまでの研究で、ES細胞に体内時計のリズムが見られないこと、培養皿上で分化誘導培養すると細胞自律性に約24時間周期の体内時計リズムが形成されることを世界で初めて発見していた。この発見から、体内時計の発生が細胞分化制御と何らかの関連があるのではないかということが示唆されていた。同研究グループは今回、マウスES細胞を用いた研究で、細胞分化に関連する遺伝子を欠損したES細胞では、分化誘導によっても体内時計が正常に形成されないことを突き止めた。また、体内時計リズムがない細胞には共通して、周期的に核内に蓄積されるはずの「PERIOD(PER)」というタンパク質が細胞質に留まり、その結果核内蓄積が起こらないことが判明した。この現象の制御する鍵因子を同定するために研究を進めたところ、タンパク質の核内への移行を制御し、細胞分化制御に必須の役割を果たすインポーチンの一種に異常が起きると、PERタンパク質の細胞内局在パターンにも異常を来すことが確認された。同研究グループは、細胞分化と体内時計という普遍的な細胞機能に、これまで考えられていなかった新たな関係性を見いだしたことで、これまで統一的見解が無かった体内時計と「がん」との関係の理解や、新たな体内時計の活用法開発などの応用にもつながると期待されるとしている。
2014年11月11日新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は11月7日、バイオ3Dプリンタや細胞シート積層技術などの立体造形技術を用いて、iPS細胞などから骨、血管、心臓などの立体組織・臓器を製造する技術の開発に着手すると発表した。事業期間は2014年から5年間、総事業費は約25億円を予定している。プロジェクト期間中にはステージゲート審査を設け、実現性が見込まれるテーマを絞り込み、iPS細胞を用いた骨、軟骨、人工血管、心臓組織などの作製技術の実用化を目指す。再生医療の技術開発では、これまで、iPS細胞などの培養や分化誘導など再生医療に用いる細胞をいかに効率良く調製するかについての技術開発が行われてきた。同プロジェクトは、再生医療製品の実用化に向けて、細胞を用いて機能的な立体組織・臓器を作製する新たな技術開発段階へ進むための第一歩となる。
2014年11月10日テルモは10月31日、虚血性心疾患による重症心不全を対象とした骨格筋芽細胞シートについて、製造販売承認申請を行ったと発表した。骨格筋芽細胞シートとは患者の大腿部より筋肉組織を採取し、組織内に含まれる骨格筋芽細胞を体外で培養してシート状にしたもの。それを傷んだ心筋の表面に貼ることで、重症心不全の病態改善が期待できる。細胞は患者自身から採取するため、拒絶反応がないことが特徴として挙げられる。同社は大阪大学との共同研究を進めており、2012年に治験の実施に至り、2014年に完了した。同申請が承認されると、世界初の心筋再生医療製品となり、心不全治療における新たな選択肢として期待される。
2014年10月31日新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は10月30日、ヒトiPS細胞由来心筋細胞の大量製造技術の開発に着手すると発表した。2015年度中に心筋細胞の商用製造を開始することを目指すという。同プロジェクトでは、京都大学iPS細胞研究所の山下潤 教授が開発したiPS細胞から心筋細胞への分化誘導技術をベースとし、新しい安全性評価試験法で求められる品質を備え、製造ロット間の差がない心筋細胞の大量製造を可能とする製造工程の開発をタカラバイオが目指す。開発は、国立医薬品食品衛生研究所などと連携しながら進められる。背景には新薬の開発コストを抑える狙いがある。500億円から1000億円もの費用がかかると言われる新薬の開発は、副作用の発生などにより、その途中で開発中止となってしまうことが多々ある。開発中止となるケースのうち、心臓に対する副作用で開発中止となるケースは約20%と一番多く、医薬品開発のコスト増の要因となっている。心臓に対する安全性評価に関しては、新しい方法について国際的な議論が昨年より始まっており、日本ではヒトiPS細胞由来の心筋細胞を利用した新しい安全評価試験法を提案するための検証試験が進められている。しかし、現在用いられているiPS細胞由来の心筋細胞は、製造ロット間に品質の差があるなど、目的により適した品質を備えた細胞を均一に製造する技術の開発が求めれられている。
2014年10月30日スマートフォンやタブレット端末で、社会人向けの大学講座を無料で受講できる大規模公開オンライン講座「gacco(ガッコ)」をご存知だろうか? NTTドコモとNTTナレッジ・スクウェアが共同で提供するサービスで、豊富な講座、豪華な講師陣を用意するほか、修了時には「修了証」も提供される。本稿では、世界中に広がるMOOCプラットフォームの日本版である同サービスの内容を詳しく紹介していく。○山中教授のiPS細胞について講義が受講できる!?2014年の秋、複数の日本人研究者がノーベル賞を同時受賞するという喜ばしいニュースが列島を駆け巡った。2012年に京都大学の山中伸弥教授が「iPS細胞の開発」で"ノーベル生理学・医学賞"を受賞して以来の快挙である。ところで「ノーベル賞を受賞した研究」とは、一体どんな研究だったのだろうか? 興味を抱いた人も多いことだろう。今もし、山中伸弥教授がiPS細胞について講義してくれるとしたら? 学生時代、理科の成績があまり良くなかった筆者でさえ大いに好奇心をそそられる。実はオンライン講座gaccoでは、その山中教授が直々に監修した「よくわかる! iPS細胞」という講座が受講できるのだ。そもそもgaccoとは、どんなサービスなのだろうか?米国では、MOOC(Massive Open Online Coursesの略)と呼ばれる"ウェブ上で誰でも無料で参加可能な教育サービス"が人気を集めており、受講者数はすでに世界で1000万人を超えている。2013年からはスペイン・フランス・中国など各国版のMOOCプラットフォームが続々と立ち上がっている中、MOOCを日本にも普及・推進させるべく、一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会(JMOOC)が設立された。NTTドコモ、NTTナレッジ・スクウェアが運営するgaccoは、そのJMOOC公認の教育サービスなのだ。gaccoでは本場米国のMOOCと同様に、オンライン講義を無料で提供し、修了者に対して修了証を発行する。ビジネス、化学、心理学、歴史、統計学、マンガ、服飾など、様々な分野の第一人者が講座を開講している。2014年12月には大阪大学の石黒浩教授による「人とロボットが共生する未来社会」が開講され、2015年1月には京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授の監修による「よくわかる! iPS細胞」が開講される予定だ。受講の流れは、以前マイナビニュースでも紹介している。○米国MOOCに日本の大学も積極参加!ここで米国におけるMOOCに日本の大学が参加している事例をいくつか紹介しておきたい。MOOCの流行が、より身近に感じられることだろう。まずは「(edX)エデックス」だ。こちらは、米ハーバード大学と同マサチューセッツ工科大学の出資により創立され、登録者数は200万人を超える。2013年5月には京都大学が日本の大学として初めて参加した。さらに、2014年2月には東京大学が配信協定を締結。東京大学は、近現代の日本に関する連携講座シリーズ「ビジュアライジング・ジャパン(Visualizing Japan)」を提供、2014年秋より順次提供を開始する予定だ。続いて「Coursera(コーセラ)」。同団体は、スタンフォード大学コンピュータサイエンス教授らによって創立され、登録者数は約270万人、200以上の講義が提供されている。2013年9月には、東京大学が日本で初めてMOOC配信の授業を導入。村山斉氏(カブリ数物連携宇宙研究機構 機構長・特任教授)による「ビッグバンからダークエネルギーまで(From the Big Bang to Dark Energy)」と藤原帰一氏(大学院法学政治学研究科 教授)による「戦争と平和の条件(Conditions of War and Peace)」の2講座を配信した。2014年度は、上記2講座に加えて経済学分野、情報学分野の新規2講座をコーセラで開講する予定としている。***学生時代は「良い成績を取らなくては」というプレッシャーから、勉強を苦痛に感じてしまう人も多い。しかし社会に出てから、趣味として勉強を始めると、これが非常に楽しいものなのだ。国内でも"生涯学習"の取り組みが盛んになってきている。これは「学習することの楽しさ」にあらためて気が付いた社会人が少なくないということの現れだろう。ここ最近のスマートフォン/ タブレット端末の進化、通信インフラの普及により、"オンライン学習"という選択肢が増えた。いつでも何処でも、気軽に勉強できる材料が整ったわけだ。gaccoの取り組みは、こうした時代の需要に呼応したものと言える。ウェブサイトに掲載されている、開講講座の一覧の中に興味の分野を見つけた方は、この機会に満足いくまで学んでみてはいかがだろうか。(執筆:大石はるか)
2014年10月30日京都大学は10月23日、ヒトiPS細胞から、血管構成細胞を含む、心臓組織を模した心臓組織シートを作製することに成功したと発表した。同研究成果は、米国ルイビル大学の升本 英利 研究員(前・京都大学 心臓血管外科 特定病院助教、前・京都大学iPS細胞研究所(CiRA))、同大学CiRA増殖分化機構研究部門の山下潤 教授、同大学心臓血管外科の坂田隆造 教授らの研究グループによるもの。10月22日(現地時間)の英科学誌「Scientific Reports」に掲載された。現在、拡張型心筋症注や虚血性心筋症などの、重度の心筋症の患者に対しては、心臓移植が最も有効かつ最終的な治療法とされているが、深刻なドナー不足から、心臓移植以外の有効な治療法を確立することが求められている。重症心筋症の患者の心臓では、心筋細胞が失われているだけでなく、心臓を構成しているさまざまな細胞失われることにより組織構造が壊れ、その結果として機能低下を来す。したがって細胞の移植効果をさらに高めるには、心筋細胞だけでなくその他の心臓を構成する細胞も十分に補い、心臓組織構造として再構築することが望ましいとされている。この点で、iPS細胞は、大量に増殖させた上で多様な心臓を構成する細胞群を効率的に分化誘導することで、十分量供給できる可能性がある。また、心臓への細胞移植治療の問題点は、心臓に注入移植された細胞が十分に生存して長期的に心筋内に留まる(生着)効率が低いことにある。山下教授らのグループは、より細胞の生存・生着を高めるような移植方法として東京女子医科大学の温度感受性培養皿を用いた細胞シート技術をヒトiPS細胞から分化誘導した心臓構成細胞に用いることにより、心臓組織を模した「心臓組織シート」を作製し、それを心疾患動物モデルに移植することで治療効果および細胞生着効果を検証した。その結果、このヒトiPS細胞由来心臓組織シートを3層重ねたものを、ラット心筋梗塞モデルに移植したところ、移植後2カ月の経過観察期間において、心筋梗塞により一旦障害された心機能の回復が認められたという。また、組織学的検査では、移植4週後で、9例中4例において移植細胞の生着を認め、最大で心筋梗塞領域の44%を移植細胞が生着・補充していた(平均24.7%)。さらに生着した移植細胞領域内に、宿主ラットの心臓から伸長した血管網が形成されており、この血流供給により移植後4週にわたる長期生着が実現できたという。同研究チームはヒトiPS細胞由来心臓組織シートについて「重症心筋症により障害された心不全に対する治療方法の一つとして、心臓再生医療の可能性につながる有用な成果と考えられる」とコメント。今後は、シートの多層化など、組織構造を改良し、シートの機能を高めることが期待される。
2014年10月23日(画像はイメージです)コーセーの研究内容2014年10月15日、コーセーと京都大学の共同研究グループは同じ人の異なる年齢で採取した皮膚線維芽細胞からiPS細胞を作成し検討したところ、老化過程の進行を示す「テロメア」の短縮が回復していることを明らかにしたと発表しました。この研究成果は第28回化粧品技術者連盟世界大会(パリ:10月27日~30日)で発表する予定です。テロメアテロメアは細胞の染色体の両端にある構造の名前です。細胞分裂を起こすごとにテロメアは短くなり、限界を超えると細胞分裂が止まってしまいます。テロメアは細胞が老化していることの指標あるいは寿命の限界を示すものです。今回の研究内容iPS細胞は、皮膚線維芽細胞など分化した細胞に遺伝子的な操作を行うことにより作成できる、様々な組織や臓器の細胞に分化能を有する幹細胞です。同一供与者より異なる年齢(36~67歳)で得られた線維化細胞からiPS細胞を作成したところ、各年齢の線維化細胞ではテロメアが年齢を重ねるとともに、短くなっていたのに対して、iPS細胞はほぼ同じテロメアの長さを有していました。(画像はプレスリリースより)さらにこのiPS細胞から表皮細胞を分化することにも成功しました。このことから、自家移植のために細胞を採取してiPS細胞を作成する際には細胞提供者の年齢は影響を及ぼさないことが想定されます。今後の展開今回の研究は36歳から67歳という年齢層のデータであることから、さらに細胞提供者の年齢や遺伝子レベルでの治験を蓄積することで、老化過程の再現やメカニズムの解明が進む可能性があります。iPS細胞を基礎的実験に用いることにより、皮膚の生理機能解析や化粧品成分の評価系の確立、動物実験の代わりに用いることなどが期待されているとのことです。今回の研究だけではまだ不足していますが、今後研究が進むことにより、細胞レベルのアンチエイジングの夢が現実になるかもしれません。【参考】・コーセープレスリリース
2014年10月22日コーセーは10月15日、同じ供与者より異なる年齢で得られた皮膚細胞からiPS細胞を作成し、解析したところ、老化の痕跡である「テロメア」が供与年齢に関わらず回復していることを確認したと発表した。同研究成果は、同社の加治和彦 研究顧問(元京都大学 iPS細胞研究所 特任教授)らによるもので、10月27日から30日まで、フランス・パリで開催される「第28回国際化粧品技術者会連盟」世界大会にて詳細が発表される。「テロメア」とは細胞の染色体の両端にある構造で、細胞分裂を繰り返すと短くなり、ある限界を超えて短くなると細胞分裂が止まるため、老化の指標として知られている。今回の研究では、iPS細胞を用いて細胞を初期化することで、「テロメア」を回復可能かを調べた。同研究で用いられたiPS細胞は、同じ人物より異なる年齢(36~67歳)で得られた細胞から作製されたもの。解析の結果、初期化されたiPS細胞の「テロメア」はいずれの供与年齢においても、長さが同程度まで回復していることがわかった。さらに、これらのiPS細胞を表皮細胞に分化させることに成功し、iPS細胞が細胞の供与年齢に関わらず正常に機能することが確認された。今後について同社は「iPS細胞化と供与者の加齢について、遺伝子レベルでの知見を蓄積することで、老化過程の再現やメカニズムの解明が進むことが期待される。また、iPS細胞やそれを分化させた細胞を用いることで、老化研究の領域だけでなく、皮膚の生理機能解析や化粧品成分の評価系の確立、動物実験代替法への応用などに広げることが可能となる」とコメント。次世代の化粧品の開発へと応用していくために、iPS細胞についてより深化した研究を進めていくという。
2014年10月16日