厨子には木彫作家のクロヌマタカトシさんに彫ってもらった松ぼっくりがおさめられている。これは葬儀の際には棺の中に入れてほしいというくらい松ぼっくりが好きで、海外滞在時も含めて膨大な数の松ぼっくりを収集していた故人を偲ぶものだ。
「結局、窓と絵とピアノと松ぼっくりとが集合することになって、日常の生活の中でもお母さんの影というのか存在を感じられるスペースになったのではないか」と若原さん。
テーブルはこの家のために製作されたオリジナル。リストアされて新品同様に見えるピアノの右隣には厨子の置かれたコーナーがつくられている。
奥さんがとても好きだという庭。大きな窓を通して庭を体感することができる。窓の上部が壁から突き出て段状になっているがこれは「リビングのある空間の断面のプロポーションが最後までしっくりこなくてスタディを重ねた結果」できたもの。
1962年頃、Nさんのご両親がイギリス滞在時にハロッズデパートで買い求めたドイツ製のピアノ。
リビングの開口近くから見る。左手にキッチンがある。
厨子の中にはお母様が大好きだった松ぼっくりを象った彫刻がおさめられている。
最初から懐かしい家
この家に越してきてから4カ月ほどだが、奥さんは新築であるにもかかわらずどこか懐かしい感じがするという。