自然とつながって暮らす裏山にまで居場所が広がる 大らかなつくりの家
という思いのほかに、また別の設計側の意図が込められている。
「土間部分とLDKとを壁できちっと仕切るととたんにLDKの空間が限定されてしまう。それで土間自体もリビングのように感じられるようにしながらも、一方で人はある程度の縛りがないと落ち着かないところもあるので、少し囲まれている感覚をつくり出すためにケージのような空間を家のなかに設けました。このことで広がりがつねに感じ取れる空間になったのではと思います」(土田さん)
玄関を入ったところから見る。家の中に入れ子状にもうひとつ家が入っているように見えるが、この内側にはLDKがつくられている。右の土間になった廊下を進むと突き当りの左手に奥さんのアトリエがある。
キッチン側からリビングを見る。後ろの柱が廊下の土間スペースとリビングをゆるく仕切っている。
さらに土田さんは「ケージのようにゆるく仕切られた空間の周りに土間があって、そこから建物を出ると庭がある。さらにその外側には裏山があって、リビングからいくつものレイヤーが裏山のほうまで広がっていくような感じで家族の居場所をイメージしていきました。リビングから裏山までどこでも居場所になるようにすれば鈴木さんの家族が伸びやかに生活できるのではないかと考えました」