2017年9月28日 11:30
名匠トラン・アン・ユン「できれば死ぬまで続けたい」という計画とは?
なぜなら、僕は日常生活を真似したものを画面に映し出すのではなく、舞台がどこであっても、何か現実と映画とのギャップみたいなものを感じてもらえるような映画を撮りたいからなんです。だから、僕が探しているのは、芸術の真実であって、日常生活の真実ではないんですよね。
監督の作品は映像の美しさに定評がありますが、美意識はどのようにして身に着いたのですか?
監督
僕自身の美意識というよりも、映画においては、正しいものであるほど美しさを感じるものだと思うんです。つまり、映像が物語や登場人物の心理に合っているというような一致感があったときに、より美しく感じられるのであって、それは映画の特性といえるかもしれないですね。
たとえばあるシーンを撮影しているときに、僕はモニター越しに見ていても、それが正しいのか、美しいのかどうかというのをすぐその場で言うことができます。つまり、何か特別に映画の美を探しているわけではなくて、チームのみんなが正しい仕事をしていれば、必然的に美しいものというのが撮れるんですよ。そして、美というものが人々を驚かせ、感動させることができるという考え方が僕は好きでもあります。
その美しい映像の中心で魅力を放っているのが、オドレイ・トトゥをはじめ、メラニー・ロランやベレニス・ベジョといった3人の女優たち。