2017年9月28日 11:30
名匠トラン・アン・ユン「できれば死ぬまで続けたい」という計画とは?
でも、少人数の家族である僕にはそれがないですし、誰かが欠けてしまったら家族がなくなってしまうかもしれないという危険性もあるので、小家族であるということに対して、脆さを感じていました。だから、大家族というのは私にとっては強さを表すものとなっているのです。
今回は初めてフランスを舞台にした作品となりましたが、フランスで映画を撮りたいと思っていたのですか?
監督
というよりも、まずは原作となる本との出会いがあって、その作品がフランスを舞台にしたものだったからです。だから、今回は本当にアリス・フェルネの小説が原点でした。本を読んだときの感動を再現したかったので、そのためにはどういう映画にしたらいいかと考えて、セリフの少ない静かな映画にすることにしたのです。
ベトナムで育った経験があったからこそ、フランスを俯瞰的に捉えることもできた部分もありましたか?
監督
それは自分ではわからないですが、おそらく『ノルウェイの森』のときと同じではないかなと思っています。もし、日本の方があの作品を観て、日本人が知っている日本とギャップを感じるとしたら、きっとそれが外からの視線ということですよね。
僕のこだわりとしては、自然主義あるいはリアリズムのあるものはやりたくないと思っています。