2018年4月25日 16:50
あなたなら…?『ザ・スクエア』が訴える「見て見ぬふり」の残酷な心理
そんななか、初来日をはたした監督に、作品に込めた思いや今後のことなどをたっぷりと語っていただきました。
本作ではインターネットの炎上についても描かれていますが、どのようなことを意識していましたか?
監督
今回描きたかったのは、いまはある種のメディア危機に陥っているということ。というのも、西洋社会においては、“クリック経済” といわれるものがメディアにも起きていて、僕はそれがすごく危機的な状況だと感じているからなんだ。
なかでも、特にどのようなことを懸念しているのですか?
監督
たとえば、政治の世界でいうとトランプ大統領。内容は関係なく、みんなが彼のことをニュースにしていたけれど、それによって露出が増え、投票する人が増えるという現象が起きてしまったよね。彼が間違ったことをしていると書くことで相手を抑制できると思いがちだけど、実はそれが逆に注目を集めることになり、投票につながってしまったということなんだよ。政治家たちはそういった原理を見つけてしまったこともあり、いまではなるべく物議を醸すようなことをするようになったんだ。
だから、注目されるということが一番で、内容が二番以下になっているという民主主義にとって非常に恐ろしいことが起こっていると感じているよ。