2018年5月30日 22:00
脱ぎたてのパンツを貸す!? 『文豪たちの友情』が面白い~
を借りた話や、借金魔の石川啄木が、世話を焼いてくれた金田一京助の毛生え薬の秘密を小説に書いてしまい、ケンカした話。微笑ましい、文豪たちの知られざる一面だ。
「書いていると、ダメ人間と思っていた作家も、みな好きになりましたね(笑)。とにかく一生懸命生きていたんだなとわかりました」
それにしても、文豪たちの友情はなぜこんなに面白いのか。
「距離感がおかしいんですよ。ライバルでもあるから互いに意識もするけれど、スポーツのライバル関係とも違う。一般的な友人関係よりずっとぶっちゃけ合っている。仲良くなるきっかけが、だいたい、“互いの作品を認め合った”ことなんですね。
自分が好きで書いたものに共感して、『いいね!』と言ってくれた人はやっぱり特別なんだな、と。互いの文学の趣味も似ていることが多く、彼らにとって友と語り合うことはとても幸せだったでしょうね」
いしい・ちこ1973年、佐賀県生まれ。早稲田大学卒業後、書店員を経て、書評家、ライターとして活躍。共著に『世界の8大文学賞』『きっとあなたは、あの本が好き。』(共に立東舎)がある。
文豪たちの仲睦まじい姿をイラストにしたのは鈴木次郎さんとミキワカコさん。