2018年11月16日 18:00
世の中に浸透する“男らしさ”の呪縛 『野ブタ』の作者が新作
少しでも男女間格差に悩むすべての人に贈りたい一冊がある。白岩玄さんの新作長編『たてがみを捨てたライオンたち』だ。
「20代の頃は、僕も恋愛関係の中で相手の女性よりも立場が上でいたいと思ったり、年収を気にしていたりしていました。ずっと“男らしさ”の問題に縛られていたんです。あの頃は男の弱さを語る言葉が見つからなかった。これは30代の今、出すべくして出した本だといえます」
世の中に浸透する“男らしさ”の呪縛を、3人の男性の立場から浮き彫りにする本書。勤務先で評価が得られず、妊娠中の妻から「専業主夫になれば」と提案される直樹、離婚して気ままに生きるが孤独を感じる慎一、アイドルオタクであることを職場に隠す幸太郎。それぞれ、著者自身が投影されているという。
「直樹はもともと家庭的な人間。でも“男の価値は仕事で決まる”という古い価値観に縛られている。慎一は他人の痛みに鈍感で傲慢。幸太郎は学生時代にモテなかったことがコンプレックス。彼らや僕の世代は、旧来的な男性観、女性観の中で育ってそれをひきずっている。と同時に、男にとっては、そうした価値観をひきずっていたほうが楽、というところもあると思います」