1944年、ティムは志願してアメリカ陸軍にコック兵として入隊、戦地に向かう。個性的な仲間とともに過ごす日々は謎に満ちていた。東京創元社『戦場のコックたち』1900円
デビュー短編集『オーブランの少女』が高く評価された期待の新人、深緑野分さん。2冊目の単行本『戦場のコックたち』は、第二次世界大戦が舞台。純真なアメリカ兵コック、ティムが仲間のエドたちとともに、さまざまな謎に遭遇する。
「編集者から次に書く長編は他の人が書かなさそうなものを、と言われて、いくつか出した案のなかに“戦場”があり、採用されました。
19歳くらいの頃に見た『バンド・オブ・ブラザース』という、スピルバーグたちが制作した第二次大戦のアメリカ人部隊のドラマがすごく好きでマニアになったので(笑)」
米国陸軍のコックとして戦地に向かった19歳のティム。彼を迎えるのは予備のパラシュートを集める兵士の謎、粉末卵の大量消失の不思議、雪原に現れる幽霊の怪…。推理を助けるのはコック仲間のエド。とにかく彼らがチャーミング!
「女性にも読んでほしくて、親しみが持てるように無邪気な男の子を主人公にして、<僕>という一人称で書きました。対照的に、探偵役のエドは冷静で知的な眼鏡キャラです。