くらし情報『夢の中の不倫が現実を脅かし…官能短編集『私のことならほっといて』』

2019年7月28日 21:00

夢の中の不倫が現実を脅かし…官能短編集『私のことならほっといて』

短編は特に、ジョゼフ・コーネルの“箱作品”のようなものに近いかも」

好きな文芸作品の持つイメージにインスパイアされることも多いそう。たとえば、表題作のモチーフは、篠田節子の短編「レクイエム」で扱われたある種のタブー。死別した夫の片脚と同居する未亡人の心理を描いた「片脚」は、田中さんが川端康成の「片腕」という作品を偏愛しており、そこから考えたお話だという。

「私はセックスシーンよりフェティシズム的な世界を書くのが好きですが、自分自身に何かフェティッシュな欲望があるかといえばそうでもないんです。強いて言えば、肉体の質感やかたちの変化を観察すること。編集さんにも『男女問わず、人体描写がねちっこいですね』と言われました(笑)。若くてぴちぴちした肉体だけではなく、老いてしなびたのも味わいがあります。やせただの、色つやが悪くなっただの、そういう変化を愛でる気持ちに愛を感じてしまう。
登場人物はみなちょっと病んでいたり変だったりするけれど、そういう人も肯定したいんです」

夢の中の不倫が現実を脅かし…官能短編集『私のことならほっといて』


たなか・ちょうこ1964年、富山県生まれ。作家。2011年、「べしみ」で「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。同作を含む処女短編集『甘いお菓子は食べません』が話題に。

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