くらし情報『“身体の相性”は回数が大事? 直木賞作家・白石一文のセックス観』

2019年8月15日 19:30

“身体の相性”は回数が大事? 直木賞作家・白石一文のセックス観

ただ、僕に言わせると、だからといって女の人が男の身体を憶えていてくれるわけじゃないんですね。むしろ男のほうが女の身体を憶えている。作中、直子に「私は、賢ちゃんの身体をしょっちゅう思い出してたよ」と言わせましたが、あれはわざと男女逆を書いたんです。

男の人が女の人の身体を忘れないのは、反応があるからでしょうね。男の性欲って支配欲も込みだから、彼女の反応も憶えている。僕の個人的経験で言うと、女の人ってセックスしているときれいになるんですよ。その最中も、その期間も、全部。「えっ」と思うような表情をして、輝くように見える時期がある。
男はそういうのを見ているんです。

身体の相性なんて、回数を重ねていくと良くなっていく。だから、若い時は「この人と添い遂げようと思う相手じゃないと駄目だ」などと思わずに、惹かれる相手と集中的にセックスしておくのもいいと思う。もちろん、相手は誰でもいいわけじゃない。濃密な精神的な交流がないと快楽も深まらない。お互いが一緒にいる一定の理由が必要になる。賢治と直子は一度別れた後で再会しているし、従兄妹同士という血の繋がりもある。しかも一緒にいられる時間には限りがある。
期間限定セックスだから、彼らは集中する。

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