くらし情報『湊かなえ 『落日』のために初の裁判傍聴「加害者の本当の気持ちは…」』

2019年10月1日 19:30

湊かなえ 『落日』のために初の裁判傍聴「加害者の本当の気持ちは…」

でもそうとは限らない。田舎での事件の伝わり方やとらえ方の違いも書きたかったところです」

少しずつ調べを進めていく千尋たちにも、実は複雑な過去がある。それが少しずつひもとかれ、二人の創作に対する姿勢や事件との関連も浮かび上がる。この有機的な繋げ方が、まさに手練れの技。また、本作のために、はじめて裁判を傍聴したとか。

「ドラマのように真実がさらけだされるのかと思ったら、実際には報告会のよう。加害者の本当の気持ちは、本人が語らない限り誰も知りえない。そこを考える役割を果たすのが、映画や小説なのかなと思いました」

事件の真相が見えてきた時、2人の女性の胸によぎるのは、絶望ではない。
『落日』というタイトルは最初から頭にあったという。

「私は舞台『屋根の上のヴァイオリン弾き』の劇中歌の<サンライズ・サンセット>が好きで。日が昇って日が沈む、人の営みはその繰り返しだという歌です。再生に繋がる一日の終わりもあるんじゃないかと思ってこのタイトルにしました」

そう、本作は胸を熱くさせられる、再生の物語なのだ。湊かなえ『落日』かつて小さな町で起きた、兄が両親と妹を殺した事件。真相を知ろうと調べ始めた監督と脚本家は、やがて自分自身の人生と向き合う。

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