2019年10月10日 20:10
絵画から豪華な舞台衣装まで “色彩の魔術師”ラウル・デュフィ展
「色彩の魔術師」と呼ばれたラウル・デュフィ。彼は20世紀のパリを代表するフランス近代絵画家のひとりで、アンリ・マティスやアンドレ・ドランなどと並び野獣派と呼ばれる画風を志向した人物。野獣派とは、原色を多用した、平面的で強烈な色彩と激しいタッチが特徴の絵画だ。『ラウル・デュフィ展絵画とテキスタイル・デザイン』が開催中。
「まるで音楽が聞こえてくる」と称されたデュフィの鮮やかな世界。
1877年、ノルマンディの港町に生まれたデュフィ。音楽好きで教会の指揮者兼オルガン奏者だった父と、ヴァイオリン奏者の母の間に生まれたため、音楽と海はとても身近なモチーフで創作の原点となってゆく。18歳から美術を学び始めた彼に、転機が訪れたのは32歳の時。
当時“豪華王”と呼ばれたファッション・デザイナーのポール・ポワレと知り合い、版画でテキスタイルデザインを創り始めると、その鮮やかな色彩と大胆なモチーフの布地は、上流階級の女性たちを魅了し大評判に。これを機にデュフィは本の挿絵や舞台美術、タペストリーや陶器の装飾、『VOGUE』の表紙を手掛けるなど時代の寵児へと駆け上がってゆく。
本展ではそんな彼の画業とテキスタイル、2つに注目。