くらし情報『「女の子の不幸が全部盛り」新人作家・伊藤朱里が描く25歳女性のリアル』

2015年12月22日 20:00

「女の子の不幸が全部盛り」新人作家・伊藤朱里が描く25歳女性のリアル

痛快なのが友人メリッサの存在だ。日常では男性として働き、プライベートでは女性名を名乗ってゴスロリファッションに身を包むこの親友は、辛辣だが愛ある言葉で恵那を励ます。

「二人のやりとりを書いている時は楽しかったですね。メリッサのように何でもずばずば言えることって私も憧れますが、言葉を武器にしないと叩き潰されるから、仕方なく身に
つけた武器だろうなとも思います」

この存在だけは唯一の救いなのだが、やがて恵那は彼女(彼)さえも傷つける行動に出てしまう。

「あまりにもずぶずぶと沈みこんでいたので、大事な人を傷つけるくらいのことをしないと、彼女は上にいけない気がしたんです」

そうして底の底まで辿りついた時に、恵那にも変化が訪れる。また、読者は終盤になってある事実が隠されていたと知って驚くはず。

「緻密な構成と言われると、すみません!という気持ちになります(笑)。主人公の気持ちになって、今この子が言いたくないだろうということは書かなかっただけなんです」

這い上がるまでの壮絶な道のりを書き切った本作。
新人離れしてます。

◇いとう・あかり作家。1986年生まれ。今年「変わらざる喜び」(「名前も呼べない」

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