2020年3月25日 21:00
“世界でいちばん貧しい大統領”ムヒカがいまの世界に伝えたい思い
―残念ながら政治の世界には、自己保身ばかりを考えている政治家もいますが、いまの政治家たちがムヒカさんから受け継ぐべき精神があるとすれば、何だと思いますか?
監督ムヒカはステレオタイプな政治家の特徴を何ひとつも持っていないどころか、むしろそれ以外のすべてを持っている人だといえます。アナログからデジタルに移行し、価値観のシステムや新しいコミュニケーション方法が誕生して、大きく変動する時代のなかでも、彼は変わったり、被害者のようになったりすることはありませんでした。
変化を柔軟に受け入れつつ、自然と対話することを続けている姿勢は素晴らしいことだと思います。ほとんどの政治家は権力を手にすると悪いことに使ってしまいますが、彼は強欲さがないだけでなく、心から他者を愛する僧侶のように、相手に物を与える人なのです。そういった人間的な本質は大統領になっても揺らぐことなく、彼は自分の一生を他人や国のために捧げています。
それゆえに、政治の実用的な部分にだけに目を向けており、物質的なことに足をすくわれることがないのです。歴史上においても、こんな政治家はほとんどいないんじゃないでしょうか。
ムヒカにはすべてのバリアを壊してしまう力がある
―映画のなかでは、ムヒカさんの熱烈な支持者が数多くいるいっぽうで、異議を唱える人も映し出されていましたね。