2020年6月12日 19:30
裕福な主婦と“悪女”…91歳“伝説漫画家”の愛憎劇から目が離せない!
また、西洋の洋館や上流階級の暮らしなどを、いち早くマンガを通して紹介してくれたひとりでもある。
「時代ものや外国を舞台にした作品なら、参考資料や空想で補えるのですが、現代ものは、イマドキらしさをどう出すか、人物像やコスチュームに悩みますね」
わたなべさんはいわずと知れた少女マンガ界のレジェンド。ホラーやサスペンス、ミステリー、怪異譚といったハラハラドキドキする作品を連綿と手がけてきた。特に“悪女”を描いたものは名作揃い。対照的なふたりの女性、出生の秘密、裕福さへの憧れなど、本作にちりばめられたモチーフは、マリサとイサドラが活躍した『ガラスの城』にも通じるものがある。
「現実の生活では、理性が勝つので、普段抑えているものを創作の中では思い切り描くことができる。私の心の奥には、悪女に対する憧れがあるのかもしれませんね。なにしろ、悪女を描くことは面白いんです」
現在は『Jour』(双葉社)で「中国怪異譚」を連載中。
創作意欲はいまなお盛んだ。わたなべ先生の歴史的名作に触れてみたい人は、電子版をチェック。
’52年に貸本マンガからキャリアをスタートさせ、今年で画業67周年を迎える。