2020年8月13日 19:00
死期を悟った女優が過ごす“最後の夏休み”で家族に伝えたかった思い
ちなみに、私がこの作品で見るべきところとして挙げるとすれば、死を控えたフランキーが自分の身近な人たちを集めたことによって、彼らのなかに隠されていたものが浮かび上がっていくところ。そういう意味では、フランキーは“触媒”のような存在と言えるかもしれないですね。
―非常に興味深いところですね。また、今回もうひとつの主人公といえば、舞台となっているポルトガルのシントラ。どの景色も素晴らしかったですが、撮影中にインスピレーションを受けた部分もありましたか?
ユペールさん確かに、シントラという場所は、この作品にとってとても大事な部分でした。監督もシントラが持っているミステリアスでドラマティックなパワーをよく理解していたんでしょうね。だからこそ、こういった物語を語るには最適な場所として選んだんだと思います。
―ちなみに、そのなかでもお気に入りの場所といえばどこですか?
ユペールさん実は、2002年に制作されたヴェルナー・シュレーター監督の『Deux』という作品でもシントラで撮影したことがあり、そのときは3か月ほど滞在していたんです。
なので、私にとってシントラでの撮影は2回目なんですよ。シントラには宮殿がたくさんありますが、なかでも私が好きなのは、ルートヴィヒ2世のいとこが作ったバロックの宮殿。