2020年9月2日 19:30
不幸、事故、襲撃…が子どもを襲う恐ろしさ『かしこくて勇気ある子ども』
パキスタンのマララ・ユスフザイの銃撃事件だ。ご存じの通り彼女は、タリバン運動によって学校に通えなくなり、11歳から女性の教育の必要性を訴えてきた人物だ。
「女性が社会でどう生きていくかは、自分の作品のなかで大事なテーマのひとつといえるのですが、この事件は特に印象に残りました。“どの子がマララ”なのかわからない人間に襲撃されるということが衝撃的でしたし、アジアで起きた事件なのでより身近に感じたのもあります」
かしこくて勇気ある子どもであるがゆえに狙われてしまう世の中を憂えて、日ごとにうつ状態になっていく妻と、不安定な妻を見守りながらも理解に苦しむ夫。妊娠や出産は当事者にしかわかり得ない部分も多いのだろうが、想像して考えるのをやめないことの大切さを教えてくれる。子どもを持つとはどういうことなのか、という視点もしかり。
「妻の沙良のように悲観的な考えばかりではないと思うのですが、だからといって子どもが生まれたらそれで幸せと簡単に言えるものでもないというのは、作品を描き終えた今も変わらずに思っています。それぞれの立場で考えてもらえるような作品になっていたら嬉しいですね」
『かしこくて勇気ある子ども』出産を目前に知った恐ろしい事件。