くらし情報『崔実「#MeToo運動で言葉にできない自分を責めた」 自身の過去にも迫る新作』

2020年11月6日 19:40

崔実「#MeToo運動で言葉にできない自分を責めた」 自身の過去にも迫る新作

親友でもないけれど敵でもない。優しい人じゃないから話しやすいこともある」

作中、幼い頃に教会で教わった「隣人を愛しなさい」「隣人を許しなさい」という言葉にも言及される。

「その言葉がすごく好きだったのに、塾での出来事の後、精神が真っ二つに引き裂かれた感じがありました。自分がふたりいる感覚があって、それで、引き裂かれたもうひとりの子を置いてきちゃったんです。自分自身を隣人にしてしまった。今は、隣人である思春期の自分を愛して許そう、という気持ちです」

ようやく声を出せた崔実さん。でも誰もがそうすべきとは思わない。

「声を上げないのは、それくらいの傷を負っているということ。
無理してほしくない」。自身も、書き終えた直後は達成感はなかったという。

「雑誌に掲載された時は敗北感でいっぱいでした。でも本にするため読み返して直すたびに距離が生まれて、客観的に考えられるようになってきました。この闘いには意味があったなと、今は思っています」

崔実「#MeToo運動で言葉にできない自分を責めた」 自身の過去にも迫る新作


チェ・シル1985年生まれ。2016年『ジニのパズル』で群像新人文学賞を受賞しデビュー。同作は芥川賞候補となったほか、織田作之助賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。

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