くらし情報『崔実「#MeToo運動で言葉にできない自分を責めた」 自身の過去にも迫る新作』

2020年11月6日 19:40

崔実「#MeToo運動で言葉にできない自分を責めた」 自身の過去にも迫る新作

人にはなかなか語れないことがある。それでも語ることで一歩踏み出す主人公、そして著者自身に心揺さぶられる崔実さんの『pray human』。デビュー作『ジニのパズル』以来、4年ぶりの新作だ。

時を経てようやく語られる心の傷。話題の新鋭作家、突き刺さる第2作。
崔実「#MeToo運動で言葉にできない自分を責めた」 自身の過去にも迫る新作


「『ジニのパズル』を書いた時、最初は少しだけ精神病棟の場面があったけれど削除したんです。その時、当時の編集長と“次は精神病棟の話を書いたらどうか”と話しました」

本作は17歳の時に精神を病んで入院した過去を持つ〈わたし〉が語り手。時を経て〈きみ〉に語りかける形でその日々を振り返り、さらに入院時代の仲間の一人・安城さんという女性と再会し思春期について語る。
そこでは塾で受けた性的虐待の経験にも触れられて―。

「最初に精神病棟の日常を書いたのですが、行き詰まった時に編集者に“入院した理由に触れたほうがいいのでは”と言われ、また新たに入院するまでの話を書きました。でも掘り下げられなくて。どこか逃げていたんです」

日本で#MeToo運動が高まった頃だった。

「いろんな人が声を上げる姿に勇気づけられると同時に、言葉にできない自分を責めました」

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