2020年12月18日 19:50
今年の注目ワードは「シスターフッド」 “今”読みたい小説5選
そこで描かれるいくつかのセクハラが、体を触るような直接的なことではなく遠回しだけど嫌なやり方で。こういうことでも十分に人を傷つけるのだときちんと書いてくれたところが素晴らしいです。
三浦:遠回しなセクハラを快く思わない同僚女性が復讐する際も、上司に訴えるような直接的なやり方ではなく、同じように知恵を絞って追い詰めていくのが痛快でした。また、男性発信のフェミニズム小説として挙げたいのが『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』。女性が不快に思うかもしれない言動にいちいち引っかかる男性が主人公で、女性以上に繊細なんです。それと、『ピエタとトランジ〈完全版〉』もそうですが、シスターフッドは今年のキーワードですよね。女性たちが手を取って権力に立ち向かったり、社会システムの問題点について一緒に声を上げる様は、いろんな小説に描かれていました。
瀧井:強靭な肉体を持つ女性がヤクザのお嬢様を守る、王谷晶さんの『ババヤガの夜』もそうですね。
強い人が可憐な人を守るだけなら今まで通りだけど、全然違う展開が待っています。
三浦:ノンフィクションですが、『その名を暴け:#MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い』も。