2020年12月18日 19:50
今年の注目ワードは「シスターフッド」 “今”読みたい小説5選
ハリウッドのプロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインを告発するために調査し続けた、2人の女性記者の執念が素晴らしい。次の世代に被害を持ち越さないために自分たちが戦うのも、シスターフッドですよね。
瀧井:女性同士の話といえば『愛されなくても別に』は母娘問題がいろんな形で描かれていて、学生の貧困が切実。経済問題が親子関係により影響しやすくなっている気がします。家族のあり方を描いた小説としては『だまされ屋さん』も最高です。母親と成人した子どもたちが断絶しているのですが、それぞれの葛藤について言葉を尽くしていく中でいろんな問題が浮かび上がって、従来とは違う家族の形態が見えてきます。
三浦:息子を溺愛して娘に厳しい母親は、一見、プロトタイプな毒母なのに、物語として読むと全然違う印象なんですよね。
瀧井:世の母親が言いそうなことを言うし、無意識に子どもを傷つけているような“あるある”が描かれているけど、そういう母親を責めるだけの話ではない。
希望を感じさせてくれる小説です。
「おじさん」中心の社会からの脱却。
『持続可能な魂の利用』松田青子
セクハラを訴えたのに会社に追い詰められて無職になった30代の敬子は、図らずも男が演出する女性アイドルにハマっていく。