2021年1月28日 19:00
現代のチャップリンが訴える「いまの危機を止められるのは若い人だけ」
そのためには、自分をきちんと見つめて、自分がどういう反応をするのか、ということを客観的に見つめることも必要だと感じています。外から影響は受けているけれども、自分の心情に照らし合わせて行っている作業なので、非常に個人的で実存的なことでもあるのです。
―過去の作品ではパレスチナを世界の縮図として描いていたけれど、今回は世界をパレスチナの縮図として提示しているそうですね。世界に対する見方が変わったきっかけなどがあったのでしょうか?
監督長編デビュー作はパレスチナで撮影していますし、いまもしょっちゅう行ってはいますが、そのあとはニューヨークやパリをはじめ、いろいろな場所に住み、つねに旅を続けているので、僕はパレスチナを去った人間でもあります。だからこそ、インサイダーでありアウトサイダーであるという感覚をつねに並行して持っているのです。
そういったこともあって、僕の映画というのは、“観察記”のような要素を持ち合わせているのかもしれません。そのなかでいま感じるのは、徐々に世界は似てきているということです。
―具体的には、どのようなところにそれを感じていらっしゃいますか?
監督政治的、社会的なところはもちろんですが、どこにでも緊張感があふれていて、軍が介入していたり、占領されるようになったり、暴力が増えたりと、世界がパレスチナ化しているように思うことが多いからです。