2021年2月12日 20:00
尾上松也 新作映画の監督を「『どうかしてるぜ』って思ってました(笑)」
この脚本を書いてるときは、自分とは違う価値観を受け入れるかどうかだという話を結構してたんです。逆に言えば、価値観を受け入れるということは愛すること。香芝という出世命の人間が、金魚すくいばかりしてる町で、自分とは違う価値観の人たちと出会って成長していく。それが、大きな意味で人を愛するということになってる。
松也:そんな香芝の成長が、最初と最後で点と点が繋がるようになればいいなと思って演じさせていただいていた気がします。そこは撮影に入ってからも結構悩んでいたところですね。
真壁:物語の冒頭で出会う王寺昇(おうじ・のぼる)に最後、香芝が「お兄さん」と呼びかけるんですけど、それは松也さんのアイデアですね。
松也:そもそも香芝は人のことを「お兄さん」と呼ぶヤツが好きではない。
それなのに、王寺には初対面からそう呼ばれ、しかも自分が好きな吉乃が惚れている相手でもある。基本的には彼に対しては憎悪しかないのですが、最後の最後に一番嫌いだった相手を、一番嫌いな呼び方で呼ぶことで、香芝の中で変な偏見がなくなって、階段をひとつ上ったことを見せられたらなと思いました。
真壁:100%晴れやかな「お兄さん」