2021年2月25日 19:30
センスよすぎ! 戦前の天才アーティストが残した「しびれる作品」3選
今でも使われている「資生堂書体」の基礎を築きました。36歳で退職したあとは装幀や新聞連載の挿絵、歌舞伎や映画などの舞台装置の原画制作など、多方面で活躍しました。
センスよすぎ!
会場にはたくさんの作品が並んでいますが、特にステキなのが木版画の数々。
必見作品のひとつ目は木版画の《おせん雨》。1933年に東京朝日新聞で連載された邦枝完二の小説『おせん』の挿絵として描かれたものです。
小説の舞台は江戸時代の明和期。三美人のひとりとして有名な茶屋の看板娘おせんをめぐる悲恋のストーリーで、この挿絵では、しつこく言い寄る若旦那から逃げる場面が描かれています。(画面右下で黒頭巾をかぶっているのがおせん)
絵の半分以上が傘で埋めつくされ、その上をシャープな雨の線が走り、円と直線の配置が秀逸。
モノクロームのシンプルな作品ですが、今の時代に見てもとってもおしゃれ。連載当時も雪岱の挿絵が人気となり、新聞の発行部数も増えたそうです。
ちなみに、展覧会図録の裏表紙にも本作品がデザインされていて超クールです!
想像力をかきたてられる!
必見作ふたつ目は、雪岱が装幀を手がけた泉鏡花の小説『日本橋』の見返し絵をもとにした連作原画の版画3点。