2021年3月31日 20:10
“経済ありき”ではなく…「未来のカタチ」を実現するSDGsとは?
(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授・蟹江憲史さん)
誰もが自分の目標と感じ、納得できるような配慮は、その作成過程でも際立っていた。
みんなで考えた目標の理念は、「誰一人取り残されない」世界。SDGsに先立つミレニアム開発目標(MDGs)は、2015年までに1日1.25ドル未満で暮らす極度に貧しい人たちを半減させるなど、8つの目標と21のターゲットを掲げた。ホワイトバンドのキャンペーンを覚えている人もいるだろう。MDGsは一定の成果は上げたものの、陰で置き去りにされた人がいたり、日本などの先進国でも格差の広がりで「相対的貧困」といわれる貧困層が増えていることが後々わかってきた。SDGsでは、MDGsに不足していたこうした視点を慎重に拾い集めていった。
「MDGsは途上国の目標と捉えられてしまい、先進国にまで広がらなかった。だからSDGsでは、『環境』と『社会』と『経済』の持続性に絡む様々なことを含ませ、課題を大きく広げています」
また、SDGsといえば、カラフルなアイコンやドーナツ型のバッジを思い出すが、コミュニケーション戦略を指揮したのは、『Mr.ビーン』『ノッティングヒルの恋人』などの脚本を手がけたリチャード・カーティス。