2021年4月22日 19:30
「本離れが進む現代でも危機感はない」アメリカ人監督が語る本の未来
でも、彼はアメリカ人のなかでもちょっと特殊なほうだと思いますけどね(笑)。
―(笑)。では、監督の人生を変えた本にはどのような作品がありますか?
監督年代によっても影響を受けている本は変わっているので1冊を選ぶのは難しいですが、子どもの頃に好きだったのは『指輪物語』。大人になってからは、サミュエル・ベケットの戯曲にも非常に感銘を受けました。あとは、作家のスーザン・ソンタグからも大きな影響を受けているので、彼女の言葉は映画の冒頭にも使わせてもらっています。―ちなみに、監督のコレクションのなかに日本の作品もあれば、どのような作家がお好きか教えてください。
監督村上春樹は外せないですが、三島由紀夫をはじめ、ほかにも何名か日本の作家の作品は読んでいます。そういった作品を通して、日本に対する印象を得ることもありますが、本よりもどちらかというと日本の映画のほうから影響を受けているところはあるかもしれません。
小津安二郎、溝口健二、黒澤明はもちろんですが、好きな作品としては、日本の裏社会を描いているヤクザが主人公の篠田正浩監督作『乾いた花』が挙げられます。
いまは本に対する危機感よりも希望のほうが大きい
―劇中で「将来は映画『ブレードランナー』のようなテクノロジーが進化した世界になり、本がなくなってしまうかもしれない」