くらし情報『「漫画界は、煮え切らないヤツの集まりです(笑)」長崎尚志が語る』

2021年5月27日 21:10

「漫画界は、煮え切らないヤツの集まりです(笑)」長崎尚志が語る

そんなある日、山城の前に現れた青年は両角と名乗り、「『34』で描かれた事件を再現しておきました」と告げる。

「才能がいまひとつの漫画家が、人間離れした殺人鬼と出会ってしまったら、どんな行動を取るか。もともとのアイデアはそれでした。ただ僕の場合はキャラクター作りも『こういう設定で、こういうシーンで、自分ならどう行動するだろう』というのが軸になるんです。そんな中で、登場人物たちがどう化学変化を起こしていくかが肝だと思います。実際、そうした論理からしか、物語は生まれないと思っています」

長崎さんは、キャリアを通して、山城のような漫画家志望の青年をごまんと見てきた。

「僕自身もそうなんですが、漫画界は、煮え切らないヤツの集まりです(笑)。漫画家や漫画編集者、あるいは漫画家になりたいとあがいているような人は、『そんな自分はどこかダメなんじゃないか』と思いながら生きている。
気が弱くて、そのくせ、わずかしかない長所に強烈な自信を持っている。そういう偏った人間が多いですよね。一方、両角のような超人的な殺人鬼というのは、人類の歴史にときどき現れ、恐怖が入り交じった中で語り継がれています。そういった知識や情報は、その人物造型の参考にはしますが、結局は、自分自身と照らし合わせながら肉付けしていく感じです」

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